実際のところ「中国発の金融危機リスク」はあるのか?
世界の金融機関が中国に貸しているカネは9171億ドルだが…
昨日の『中国「総資産39兆円」企業の経営不安と日本への影響』では、中国最大級の不動産デベロッパー「恒大集団」の経営危機に関し、「経営破綻した場合のインパクトは凄いが、同社単独の経営破綻が国際社会(たとえば日本)に与える影響は限定的」と申し上げました。本稿のはその続きで、ちょうど公表されたばかりの国際決済銀行の国際与信統計を使い、「金融」という面での中国と世界のつながりを確認しておきましょう。
目次
「恒大集団」の経営破綻説
流動負債でファイナンス:リスキーな財務モデル
昨日の『中国「総資産39兆円」企業の経営不安と日本への影響』では、中国最大級の不動産会社である「恒大集団(エバーグランデグループ)」の経営危機について、「金額の見た目は非常に大きいが、少なくとも日本に与える影響は限定的ではないか」とする当ウェブサイトなりの見解を「速報」的にお伝えしました。
もちろん、ただのデベロッパーが自己資本の6.6倍にまで資産規模を膨らませ、日本円にして流動資産に32兆円相当(※おそらくは取得原価主義)の開発中不動産を棚卸資産として抱え、運転資金を26兆円の流動負債でファイナンスしているというのは、大変にリスキーなビジネスモデルです(図表1)。
図表1 恒大集団の連結貸借対照表(2020年12月末時点)
項目 | 金額 | 円換算額 |
---|---|---|
固定資産 | 3962億元 | 6兆7133億円 |
流動資産 | 1兆9049億元 | 32兆2755億円 |
うち開発中不動産 | 1兆2579億元 | 21兆3129億円 |
資産合計 | 2兆3012億元 | 38兆9888億円 |
資本 | 3504億元 | 5兆9374億円 |
固定負債 | 4435億元 | 7兆5138億円 |
うち長期借入金 | 3811億元 | 6兆4563億円 |
流動負債 | 1兆5073億元 | 25兆5375億円 |
うち買掛金及びその他の債務 | 8292億元 | 14兆0488億円 |
うち短期借入金 | 3355億元 | 5兆6840億円 |
負債合計 | 1兆9507億元 | 33兆0514億円 |
負債純資産合計 | 2兆3012億元 | 38兆9888億円 |
(【出所】恒大集団・『投資家向けレポート・年次報告書』ページの『2020年アニュアルレポート』【※PDF】P79~80を著者要約。金額は「百万人民元」単位なので要注意)
世界的な危機に波及するのか?しないのか?
いや、「大変にリスキーな」、という言い方には、きっと語弊があるのでしょう。
私たちの国・日本とはまったく違うルールが適用される中国のことですから、「鬼城」と呼ばれる、誰も住まないゴーストタウンをせっせとこしらえていたとしても、不動産の開発と販売が回り続けている限りは、きっと大丈夫な国だったのでしょう、多分。
こうしたなか、改めて確認しておきたいのが、これが万一、「中国発の巨大デフォルト案件」に発展したとして、世界経済にどの程度の影響があるのか、という点です。
もちろん、株式市場に対しては、短期的にはそれなりのインパクトがあったことは間違いないでしょう。
ただ、より中・長期的には、この債務者がデフォルト(債務不履行)状態に陥った際、この国にどの程度の連鎖破綻が生じるのか、そして海外の金融機関や投資家がこの国にどの程度の金銭債権(金融機関貸付金や債券)、デリバティブなどのエクスポージャーを持っているか、という視点の方が、遥かに重要です。
結論から言えば、「中国の企業や公的機関などが外国から借りているおカネが全額返せなくなった」という極端な事態でも生じれば、国際社会にはそれなりのインパクトを与えるかもしれませんが、ただ、もしそうだったとしても直ちに「リーマン」級の損害を世界経済に与えるとは思えません。
恒大集団の問題は現物資産の範囲に限られるはずだが…
そう判断する根拠は、いったい何でしょうか。
そもそも、「恒大集団」の連結貸借対照表を信頼するならば、同社はデリバティブ取引(オフバランス取引)自体をほとんど行っていません。
2019年12月期の連結貸借対照表に計上されているデリバティブ負債の金額は46.66億元、つまり1元≒17円で換算しても、せいぜい791億円に過ぎず、正直、想定元本数京円というデリバティブの世界においては存在しないのと同じです。
というよりも、中国という国自体がグローバルなデリバティブ・マーケットにおいて存在感を持っていないため、「リーマンからAIG」、「証券化エクスポージャー・再証券化エクスポージャーのポジション」、といった2008~09年のときのような問題は生じ様がないのです。
したがって、「恒大集団」の問題は、あくまでも現物資産の範囲に限られます。
次に、「恒大集団」自体は金融機関ではありません。あくまでも不動産デベロッパーです。
中国の国内銀行が同社グループに相当のカネを貸し込んでいた場合、「恒大集団」の経営危機は中国の金融機関の経営問題、そして金融システム全体の健全性の問題に発展しかねませんが、それはあくまでも「二次被害」の話であり、経営破綻するのが同社だけだとすれば、中国国内で何とかなる問題でもあります。
もっとも、中国リスクの怖いところは、全容が見えないところであり、また、政治リスクが強すぎるところです。
サイズがサイズだけあって、今回、「恒大集団」のが何らかの形で経営破綻に追い込まれたとして、それが「引き金」となり、有象無象の不動産デベロッパー業界全体に危機が波及し、信用がどんどんと目詰まりしていき、やがて中国全土で猛烈な信用収縮が生じるとしたらどうなるのか。
あるいは、「恒大集団」の経営破綻に端を発する連鎖破綻により、中国の商業銀行のなかに経営破綻に追い込まれる社も出てきた場合、中国の金融システム全体の健全性に問題が波及するのかどうかについては、大変に楽し気になる点でもあります。
このあたり、中国という国の統計自体がよくわからないという事情もあるため、蓋を開けてみなければどうなるかが読めない、というのも事実でしょう。
BIS統計から見える中国
ただ、中国の統計があてにならないのだとしても、中国以外の国が中国にいくらお金を貸しているかという統計ならば信頼できます。
そのような都合の良い統計が存在するのでしょうか。
結論からいえば、存在します。
『「カネから見た国際関係」と世界最大の債権国ニッポン』でも使用した「国際与信統計」、すなわち国際決済銀行(BIS)が世界の主要31ヵ国・地域に本店を持つ銀行を対象に調査した、国際的な与信状況に関するグローバル・ベースでの四半期統計がそれです。
現時点では日本が取りまとめたものは2021年6月末分まで整っていますが、グローバルベースに関してはまだ、2021年3月末までのものしか出ていません。ただ、それでも国際与信の状況を見るうえでは、十分でしょう。
なお、データ自体はBISのウェブサイトの統計データ一括ダウンロードページ “Download BIS statistics in a single file” で手に入る “Consolidated banking statistics” というシートが便利です(ちょうど現地時間の9月20日付で更新されたばかりです)。
これの「最終リスクベース(※)」で「どの国がどの国に対しておカネを貸しているのか」を分析していくと、大変興味深い事実がいくつか判明します(※なお、統計データの「所在地ベース」と「最終リスクベース」の違いは下記のとおり)。
所在地ベース
与信先の所在地によって一律に国・地域別に分類する考え方。たとえば日本の金融機関が米国に拠点を持つ日系企業に対してカネを貸した場合は「米国向け」とみなす。
最終リスクベース
与信先の所在地ではなく、「与信の最終的なリスクがどこに所在するか」を基準に国・地域別の分類を行うもの。ある銀行の外国支店に対する与信はその銀行の本店所在国への与信とみなすほか、保証やクレジットデリバティブ、担保などによる信用リスクの移転を勘案する。
債権債務の詳細と中国
世界の債権国で日本はトップ
そもそも国際与信統計自体、データを提出している国が31ヵ国しかありませんが、この31ヵ国は、米国、英国、日本、ドイツ、フランスなどの「グローバルな金融大国」ばかりが含まれているため、世界的な統計としては十分です。
図表2 世界の債権国一覧(2021年3月末基準)
債権国 | 金額 | 構成比 |
---|---|---|
1位:日本 | 4兆9845億ドル | 16.08% |
2位:米国 | 4兆2442億ドル | 13.70% |
3位:英国 | 4兆0641億ドル | 13.11% |
4位:フランス | 3兆6211億ドル | 11.69% |
5位:カナダ | 2兆2044億ドル | 7.11% |
6位:スペイン | 2兆0131億ドル | 6.50% |
7位:ドイツ | 1兆8336億ドル | 5.92% |
8位:オランダ | 1兆5066億ドル | 4.86% |
9位:スイス | 1兆2564億ドル | 4.05% |
10位:イタリア | 1兆0050億ドル | 3.24% |
その他 | 4兆2558億ドル | 13.73% |
合計 | 30兆9888億ドル | 100.00% |
(【出所】 Bank for International Settlements “Download BIS statistics in a single file” のページにある “Consolidated Banking Statistics” を著者加工)
これによると、国境を越えた与信活動は、総額がだいたい31兆ドル弱、といったところです。
世界最大の債権国が5兆ドル近くを外国に貸し付けている日本であるというのにも驚きですが、日本以外には米国、英国、フランスなどの欧米諸国が上位債権国に登場します(カナダが国際与信で5位に食い込んでいる理由は、国境を越えて米国の企業や家計にカネを貸しているからでしょうか?)。
また、これらの国々には、たいていの場合、G-SIB(グローバルなシステム上重要な銀行)の本店所在地があります。日本だと3メガバンク、米国だとBofAやBONY、JPモルガンなど、スペインだとバンコ・サンタンデール、カナダだとRBC、オランダだとING、といった具合です。
いずれにせよ、この「31兆ドル」という金額が、「主要31ヵ国の銀行の非居住者に対する与信(エクスポージャー)」だと考えて間違いないでしょう。
(※もちろん、中国にもG-SIBは存在しますが、残念ながら中国はBISに対して国際与信統計を提出していません。)
債務国のトップは米国、次いで英国
さて、BIS統計には「債権国」が基本的に31ヵ国に限られてしまうという問題点があるのですが、その一方で、「債務国」、すなわち「この31ヵ国がカネを貸している相手国」に関しては、基本的に全世界のほとんどの国が含まれます。
これを債務国順で並べ替えたものが、図表3です。
図表3 世界の債務国一覧(2021年3月末基準)
債務国 | 金額 | 構成比 |
---|---|---|
1位:米国 | 7兆4149億ドル | 23.93% |
2位:英国 | 2兆5779億ドル | 8.32% |
3位:ドイツ | 1兆7786億ドル | 5.74% |
4位:フランス | 1兆5237億ドル | 4.92% |
5位:ケイマン諸島 | 1兆4606億ドル | 4.71% |
6位:日本 | 1兆2515億ドル | 4.04% |
7位:香港 | 9268億ドル | 2.99% |
8位:中国 | 9171億ドル | 2.96% |
9位:イタリア | 7788億ドル | 2.51% |
10位:ルクセンブルク | 7576億ドル | 2.44% |
その他 | 11兆6012億ドル | 37.44% |
合計 | 30兆9888億ドル | 100.00% |
(【出所】 Bank for International Settlements “Download BIS statistics in a single file” のページにある “Consolidated Banking Statistics” を著者加工)
図表2でも図表3でも、総額が30兆9888億ドルであるという点が共通している点については、いちおう確認しておきましょう。
辛うじてマネージ可能
そのうえで、「借りている国」の最上位にあるのが米国であり、金額も7兆4149億ドルに達し、グローバル与信の約4分の1が米国に集まっていることが確認できるでしょう。英国も2兆5779億ドルで世界2位につけています。
また、5位にケイマン諸島が来ているのは、『「カネから見た国際関係」と世界最大の債権国ニッポン』などでも述べた、日本の金融機関によるケイマン籍SPVなどを使ったオフショア投資による影響が非常に大きいと考えられます(※著者私見)。
一方、国際与信統計の「債権者」側で圧倒的な存在感を誇っていた日本は、債務者側では元気がありません。外国から借りているカネが1兆2515億ドルに過ぎないからです(※この金額は、『2000兆円に達する日本の家計資産:国債増発が急務』などで触れた資金循環統計上の金額ともだいたい整合しています)。
そして、7位の香港(9268億ドル)、8位の中国(9171億ドル)を合わせれば、日本が借りている金額を大きく上回っているというのも興味深いところです。
いずれにせよ、債務者側の統計に初めて中国が出てきたわけですが、その金額は香港を含めて1兆8439億ドル、香港を除けば9268億ドルであり、決して少なくない金額ではあるものの、国際与信全体では6%、中国本土に限定すれば3%という状況です。
これを多いと見るか少ないと見るかは微妙ですが、このくらいの金額ならば辛うじてマネージ可能なレベルでしょう。
対中与信最大の国は英国
さて、中国に対してカネを貸している国を列挙していくと、これはこれで興味深いことがわかります(図表4)。
図表4 中国に対する債権国一覧(2021年3月末基準)
対中債権国 | 金額 | 構成比 |
---|---|---|
1位:英国 | 2449億ドル | 26.70% |
2位:米国 | 1322億ドル | 14.42% |
3位:日本 | 1043億ドル | 11.37% |
4位:台湾 | 653億ドル | 7.12% |
5位:フランス | 585億ドル | 6.38% |
6位:韓国 | 289億ドル | 3.15% |
7位:ドイツ | 240億ドル | 2.61% |
8位:豪州 | 191億ドル | 2.08% |
9位:カナダ | 168億ドル | 1.84% |
10位:スペイン | 86億ドル | 0.94% |
その他 | 2145億ドル | 23.39% |
合計 | 9171億ドル | 100.00% |
(【出所】 Bank for International Settlements “Download BIS statistics in a single file” のページにある “Consolidated Banking Statistics” を著者加工)
トップに来たのは英国で、その金額は2449億ドルです。
一方、英国と並ぶ金融大国であるはずの米国と日本の対中与信額はそれぞれ1322億ドル、1043億ドルであり、ことに中国の「隣国」であるはずの日本が対中与信で3番目というのも面白いところです(ちなみにこの1043億ドルという金額は、日本のタイに対する与信よりも少ないです)。
また、金融の世界でほとんど存在感がない台湾と韓国の両国が、対中与信ではドイツを抑えてそれぞれ4位、6位に入っているというのも、重要な事実です。
とくに台湾を巡っては、中国との「決別」を選んでしまえば、これらの対中投資の元本が回収できなくなってしまうかもしれない、という意味において、言葉は悪いのですが、「カネを人質に取られている」ような状態だといえるかもしれません。
これを機にポート見直しを!
いずれにせよ、中国発の信用不安が生じたときに、最も大きな打撃を受ける可能性がある国は英国であり、日本の金融機関についても、「影響をまったく受けないで済まされる」、というものではありません。
ただ、ドル建てで5兆ドル、円建てで550兆円という国際与信の世界において、1000億ドル少々の対中与信の比率はせいぜい2%であり、これは決して「高い」とはいえません。
したがって、「中国発・メガクラッシュ」が現実のものとなったとして、世界各国が「被弾」したとしても、まずは英国が大きな影響を受けますが、日本が受ける打撃はゼロではないにせよ、限定的です。
もっとも、今回の事態は、日本の機関投資家が中国という国の「隠れ債務」、「政治リスク」など、かな~~~り以前から指摘されてきた問題点を直視する良い機会でもあります。
日本の機関投資家もポートフォリオのアセットアロケーションを再検討し、さらなるリスク管理の徹底を図る好機が到来している、という言い方をしても良いのかもしれません。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
> 「証券化エクスポージャー・再証券化エクスポージャーのポジション」、といった2008~09年のときのような問題は生じ様がないのです。
心配なのは、この部分です。
米中関係がさほど悪くなかった頃に、金融工学に長けた米国の証券会社などが仲介し、ジャンク債に等しい中国の様々な債券をマジェマジェして投資適格商品に化けさせ、自らはリスクを取ることなく手数料目当てに世界中に売り散らかしていたら・・・というのが最悪のシナリオでしょうか。
リーマンショック時のサブプライムローンの再来です。
日本の場合、膨大な資金を持ちながら運用ノウハウのない、ゆうちょ銀行やJAなどが、投資適格の高利回り商品として買込んでいたら、大きな混乱につながりそうです。
昨晩の記事の
>WSJ「習近平指導部の方針?」
については、「不動産市場の引締め」にとどまらず、習近平総書記による、改革開放路線を担ってきた旧勢力つぶしの一環だと見ています。
THE LONGER TELEGRAM が「習近平個人をターゲットとし、中国共産党に内在する対立を助長する」戦略を公言したことで、(実際にその戦略が採用されるか否かにかかわらず)習近平総書記が自らの地位を脅かしかねない旧勢力を、積極的に潰しにかかっていると言うわけです。
アリババや滴滴に対する締め付けも、同じ脈絡だと考えるとしっくりきます。
>習近平総書記による、改革開放路線を
ふと、習氏の肩書は今何だろうと思い調べてみました。最近は
・共産党中央委員会総書記
・国家主席
・中央軍事委員会主席
の3ポストを兼ねるのだとありました。鄧小平は軍事委員会主席だけで総書記や国家主席には一度も就いたことがないなど、まちまちでしたが江沢民の代から最高指導者は3つのポストを兼ねるのが慣例になっているようです。中国の最高指導者(国家主席)は当然共産党のトップ(総書記)であり、人民解放軍の長(軍事委員会主席)ということでしょう。
あまり関係ないことで すみません。
イーシャ様
>米中関係がさほど悪くなかった頃に、金融工学に長けた米国の証券会社などが仲介し、ジャンク債に等しい中国の様々な債券をマジェマジェして投資適格商品に化けさせ、自らはリスクを取ることなく手数料目当てに世界中に売り散らかしていたら・・・というのが最悪のシナリオでしょうか。
中国の不動産を担保とした証券は、中国政府が規制したこの5月までは各市場で多大に販売され、またおそらく、おっしゃるようにデリバティブ商品に組み入れられて販売されたものもあると推定されます。
どの程度売り散らされていたかは不明ですが、ここ近年の中国における異常な不動産価格の高騰から、欲を出して買った投資家も決して少なくないのではないでしょうか?
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-01/QTYZY4T0G1KX01
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72298240W1A520C2EE9000/
今回は中国政府がなんとかマネージするのではというのが個人的な勘です。
何といってもメンツを重んじる国、次々に連鎖倒産、銀行の取り付けは見たくないでしょう。
もちろん無傷ですますはずがなく、いくつかの倒産、この会社からカネを吸い上げていた官僚がでてくるのではと考えています.
中国に世界的に有名なプロサッカーチーム「広州恒大」があります。溢れる資金を元に、欧州の超有名選手を集めまくってます。正直言ってあのやり方は好きではありませんでした。でも、これで弱体化か廃止になると、おも黒いです(笑)。
日本とは違うルールの共産国家、中国のことですから、不動産の開発と販売がそこそこまわり、国が支えたら生きながえるでしょう。でも、ここ迄来たら、派手にドカンというのが見たい。
対中与信最大の国は英国、ぐっと離れて米国、日本、台湾、韓国。幸い日本は被害は少なさそうで良かったです。
めがねのおやじ様
不勉強ながら、15年ほど前くらいまで広州恒大というサッカーチームを広東省の大学チームだと勘違いしていました…
中国の大学の少なからん大学が軍の経営である事から、莫大な資金を投じた五輪等対応の軍直轄体育大学かと連想したあほな私。
そういえば、中国語で「大厦」ってビルディングの事だなぁ…と。
お恥ずかしい。
関係ないかもしれないが…
リーマンショックの時は、銀行間取引市場(日頃から銀行間は金の貸し借りがある)が止まり信用収縮になり、直接サブプライムを持たないところも巻き込まれたと聞きました。要するに、貸したら返ってこないんじゃないか?と疑心暗鬼になって貸し渋った、銀行間がそうなり、それが市井にも伝播かな?
三菱UFJが直接傷つかなくとも、HSBCやバークレイズ(共に英銀行)が毀損すれば、BNPパリバ(仏)、サンタンデール(スペイン)、UBS(スイス)、ドイツ銀行(独、毒?)、シティバンク(米)、JPモルガン(米)と巡り巡って日本も影響あるんじゃないかと(最悪はリーマン級)。
人間のやることなので、あとで大したことないや、となっても、動いてるときはそれは分からず
疑心暗鬼にかられると…。
なんて…。専門じゃないんで私は分かりませんが…。
まあ、みんな私の憶測ですが ┐(´∀`)┌
Well done, Holmes. 会計士さんのinteresting but elementaryに今晩は乾杯しようと思います。
一連の騒動が中国国内や他国銀行間で済む事を願っているのですが…
困ったことに中国やかつてその支配下だった韓国ではちょっとした国内問題が起こる度に、自国民を色々な理由を付けて他国に膨大な数で押し付ける事が心配です。
経済難民は日本での保護対象では無いというものの、何故か特亜と呼ばれる国々からは面倒くさいにも程がある移民が生じます。
記憶にある程の昔でもあの朝日新聞社の音頭とりと親中議員の暗躍で「戦後残留孤児」帰還活動が行われました。
もちろん残留孤児の方々の帰国には異議はないのですが、あの時何故か家族親戚御一統様まで優先日本帰化され、孤児の数倍じゃ済まない人数が渡って来て職も基本的学校教育も受けていないまま日本人になりました。
新宿会計士様のお膝元の新宿や六本木・赤坂などを地盤に新興ギャング集団「関東連合」なる暴対法に定義されない無法者が野に放たれ、また本来日本人のライフラインであったはずの公営住宅が最優先で宛がわれ、都市部地方自治体が彼らの受け入れの為に相当な税支出を続けています。
当方地元の公営住宅なんか、中国出身者だけではありませんがほぼほぼ外国のスラム化しております。
単なる経済動乱に終らず、じわじわと真綿で首を締めるようにボディブローが効いてくるのではないでしょうか?
とても心配です。
中国に向かった世界のマネー(大和総研2014.11.25)
https://www.dir.co.jp/report/column/20141125_009176.html
>ケイマン諸島に法人登録をする企業の役員等が実際に所在する国(≒企業が実際に活動する国)を見ると、中国と香港の企業が全体の8割を占める
↑資金の行方は、実際のところどうなのでしょうね。
かなりドメスティックな企業とは言え
30兆円という天文学的負債なんだから他国が被害ほとんど受けないってことはない