ほんの少し延ばすだけで利便性が飛躍的に上昇する路線
ちょっと延ばすだけで利便性が飛躍的に上昇するという事例はいくつかあるようです。先日は「神戸の新地下鉄構想」について触れましたが、改めて振り返ってみると、東京でも「ほんの数キロ延ばすだけで利便性が大きく変わる」というものがいくつもみつかります。当ウェブサイトではこれまで、それらについて三々五々触れてきたのですが、年が変わったという事情もありますので、改めてそれらを簡単に振り返っておきましょう。
計り知れない利益をもたらす(かもしれない)神戸新地下鉄構想
先日の『空港・都心・新幹線を直結する鉄道路線は合理的=神戸』では、神戸で浮上している新たな地下鉄路線計画に関する報道記事に加え、これに関する当ウェブサイトなりの(勝手な)鉄道路線計画に関しての私見を掲載しました。
この点、「地下鉄路線の整備」と金融評論、一見すると関係なさそうに見えるかもしれませんが、じつはそんなことはありません。金融・経済評論の世界では、コストパフォーマンスがなによりも重視されるからです。
当ウェブサイトの勝手な構想に基づけば、新神戸駅から三宮、ポートアイランドなどを経由して神戸空港に至る鉄道路線は、「完成すれば」、それなりに有益な路線となることは間違いありません。
その理由は簡単で、せいぜい10キロ弱の路線を整備するだけで、神戸市にとってのみならず、関西全体、ひいては日本全体に計り知れない利益をもたらす可能性があるからです。
空港・中心部・新幹線直結の利点
そもそも論ですが、神戸はかつて、世界有数の貿易港でした。
しかし、以前の『釜山はリスク…「神戸港復活」に向けた地元の取り組み』などでも取り上げたとおり、国際的なハブ港としての地位は非常に低下し、とりわけ阪神・淡路大震災などの影響もあり、アジアでは釜山港などにもかなりの後れを取っています。
もっとも、神戸市が必至の思いで開港させた神戸空港のおかげで、街は大きく変わろうとしています。神戸空港であと数年以内に国際定期便が就航し、現在は1日当たり往復30便に制限されている発着回数も、往復40便に緩和される見込みだからです。
神戸市役所の試算によると、神戸空港が国際化すれば、利用者数は2019年(329万人)の2倍以上となる約700万人に増えることが見込まれているそうであり、そうなれば、地方空港でありながら、中部国際空港と並ぶ、空の一大拠点となるかもしれません。
その一方で、新神戸駅は山陽新幹線ののぞみ、みずほを含めた全列車が停車する重要な駅であり、地下鉄で一駅先の三宮(正確に表記すれば、JRは「三ノ宮駅」、阪急・阪神は「神戸三宮」、地下鉄海岸線は「三宮・花時計前駅」、それ以外の路線は「三宮駅」)は神戸の中心地です。
もしも神戸空港、三宮駅、新神戸駅が1本の鉄道路線で直結された場合には、その利便性は飛躍的に上昇しますし、途中駅の設置場所によってはポートアイランド地区の産業拠点としても大きく発展していく可能性が開かれます。
ただし、当ウェブサイトで「理想的な路線は、こうだ!」などといくら叫んだとしても、現実には建設コストと将来キャッシュ・フローという問題が立ちはだかりますし、こうした経済性の観点に加え、地元でのさまざまなしがらみも考慮する必要があります。
これについては「神戸市在住です」様というコメント主の方がいくつかの案をコメント欄に書き込んでくださっていることからもわかるとおり、地元の事情はなかなかに複雑そうです。
首都圏にも新路線が多数!
もっとも、神戸のケースだけでなく、じつはこの「ちょっとした路線」を作ることで、交通事情が大きく改善するという事例は、ほかにもいくつか存在しています。同じ記事に「とある23区民」様というコメント主様から指摘を受けた、首都圏の路線の事例があります。
その代表例が、昨年首都圏で開業した、相鉄・東急の直通ラインである「新横浜線」でしょう。
首都圏(とくに東京都南部や神奈川県東部)在住の方ならば土地勘があると思いますが、新幹線の新横浜駅は、これまで必ずしも交通アクセスが良い駅ではありませんでした。いちおう、JR横浜線や横浜市営地下鉄などが通ってはいたものの、たとえば東急東横線沿線住民からすると、やはり微妙に不便だったのです。
しかし、昨年開業した新横浜線は、田園調布・日吉間で東横線と事実上の複々線状態となっている東急目黒線が、日吉以降で地下に路線が延伸され、そのまま新横浜を経由して相鉄線に直通するようになったため、東横沿線だけでなく海老名など相鉄沿線にとっても、新横浜へのアクセスが飛躍的に向上しました。
蒲蒲線構想
この「ちょっとした路線」、意外と重要であり、ほんの少しの距離を地下で延ばすだけで利便性が飛躍的に上昇する路線は、ほかにもいくつかあります。たとえば以前の『たった数キロで東京をガラッと変える「蒲蒲線」とは?』でも取り上げた「蒲蒲線」がその典型例でしょう。
これは、現在は蒲田駅で止まっている東急多摩川線を、一部区間の地下化によって蒲田から京急蒲田駅まで延伸するというもので、将来的には京急蒲田からさらに先の京急羽田線の糀谷駅あたりまで延伸し、京急線と同一ホームでの乗り換えを可能にするという構想もあるようです。
現状、東急と京急の「蒲田駅」は、同じ「蒲田」駅なのに直線距離で800メートルほど離れており、東急沿線やJR京浜東北線沿線住民が蒲田駅から京急で羽田空港にアクセスするには、かなり不便です。空港利用者は重い荷物を抱えていることが多く、それだけに徒歩・バスでの乗り換えは非現実的です。
すなわち、たった800メートル(※地下区間を含めれば1㎞前後)といいながらも、これが完成するだけで、羽田空港までのアクセス事情が飛躍的に改善します。東急線が京急蒲田からさらに延伸すれば、乗り換えはさらに容易になります(その建設費が割に合うかどうかは別の論点ですが)。
もちろん、東急と京急だと軌間(レールの幅)が異なるため、現在の鉄道技術では両路線が相互直通するのは困難ですが、同一ホーム乗り換えが実現するだけでも、利便性はまったく異なります。
南北線や有楽町線の延伸、そして臨海地下鉄構想
同様に、以前の『ウクライナ改軌なら欧州化と脱ロシアがいっそう進行へ』などでも取り上げたとおり、たとえば東京メトロ南北線・白金高輪駅から品川駅までの2.5㎞を直結する地下鉄新路線計画、東京メトロ有楽町線・豊洲-住吉駅間の4.8㎞の延伸工事なども、地域の利便性を飛躍的に高めるものです。
さらに、実現可能性がいかほどなのかはわかりませんが、『6キロ少々の「臨海地下鉄」構想が秘めるポテンシャル』などでも紹介したとおり、東京都が現在、東京駅から発展著しい臨海部までの6㎞弱の地下鉄路線新設を計画している、などと一部メディアが報じたこともあります。
しかも、これらの新線計画を眺めていると、たいていの場合、整備すべき距離は、せいぜい数キロ、下手をすると数百メートルというレベルです。この手の「ちょっと延ばすだけで利便性が飛躍的に上昇する」という路線は意外と多いのは、興味深い限りです。
もちろん、少子化などで人口が減少するなかではありますが、その一方で日本は国家戦略として観光客を外国から呼び込もうとしており(※それが良いか悪いかは別として)、体力のあるうちに新規路線の整備を進めることには一定の意義があります。
その意味では、「ほんの少し延ばすだけで利便性が大きく高まる」という路線の整備を加速することは、国益にも直結しているのではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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>神戸市にとってのみならず、関西全体、ひいては日本全体に計り知れない利益をもたらす可能性があるからです
縁も無い神戸に関する記事にコメントを書くのは、正に、この観点と思いからです。やはり、関西圏の経済の動力は、大阪・神戸を結ぶ軸ではないかと思います。尼崎市の市外局番が06なのもその現れではないかと。それだけに、神戸空港案が市民運動で潰れた時は、本当に残念でした。その後、小規模ながら神戸空港が出来た時は安心しましたが。地域の自治体とその住民は、自分達の目前の視点で判断するばかりでは無く、日本全体の将来と利益の面から、自分達の住んでいる場所の価値の有り様を考えて見ることも必要ではないか?と思います。今後の住民運動のやり方にも、そんな視点があったら良い。
自分の住んでいる場所は、自分が作ったものではなく、歴史的に作られて来たもので、その土地の多様な価値は、自分達だけのものではないという視点ですか?今は、上手く表現出来ませんが。
鉄道会社にとって、大量の訪日外国人を鉄道利用させることは、定期通勤に変わる収入アップでメリットですね。
でも、自治体が建設費を負担するのは地域住民に借金を残して、サービス低下になる。
貧乏自治体ランキングに上位にある神戸市は1兆円の債務がある。
夕張市になる前に立ち止まるのも必要だと思います。
https://president.jp/articles/-/65582?page=4
蒲蒲線にしても、大田区にはメリットはない。
途中下車はなく、通り過ぎるだけ。
建設費の債務は自治体で、東急が儲かるだけではないでしょうか。
まあインバウンド需要を目的に国が建設費を出せば別ですが・・・。
そういえば、
「♪僕の名前は目蒲線~」
というコミックソングがありましたな。
蒲蒲線も良いのですが、都営浅草線西馬込駅と東急多摩川線 武蔵新田駅を結ぶと横浜方面から成田空港迄便利になるんじゃないですかね、都知事の公約の東急田園都市線の混雑対策にもなるような気がするんですが
都営浅草線、なんであんな中途半端なとこで止まってるんだ。投球のテリトリーの問題があるのかもしれないけど武蔵小杉あたり迄伸ばしたら絶対需要あんだろ。
大都市あるいは地方の小都市にせよ、農村あるいは漁村地域にせよ、利便性の向上だけでなく環境保全や災害防止など生活環境の改善に対する投資は継続的に行われなければなりません。私たちが暮らしている環境は先人から引き継いだものであり、より良い環境を次の世代に残すのが責任だと思います。
その原資を稼ぐためにも経済政策が重視されるべきであり、ただ単に食っていければそれで良いというものではありません。
空港からの連絡鉄道という話から発展したこのテーマ、関西では今建設中の「なにわ筋線」も外せないところでしょう。JR大阪駅からJR難波駅間3.9km、あるいはJR大阪駅から南海電鉄の新今宮駅間のルートで6km。「せいぜい10キロ弱の路線を整備するだけ」という範疇には入ってます。これにより関空と大阪(梅田)の移動時間が短縮されます。JR西日本の計画では、特急「はるか」「くろしお」「関空快速」「紀州路快速」の運転経路を大阪環状線経由からなにわ筋線経由に変更する予定、ということです。
https://www.westjr.co.jp/railroad/project/project16/
余談で今春、北陸新幹線が敦賀まで延伸開業の予定ですが、特急「はるか」の敦賀延伸要望が北陸3県の知事から出ているそうです。現在、大阪から金沢を交流直流両対応車の特急「サンダーバード」が結んでいますが、これが北陸新幹線延伸後は敦賀止まりになる。金沢にとっては大阪へ行くのに所要時間短縮の割に新幹線乗り換えの手間と料金が増えてあまりメリットが感じられない。敦賀までは直流区間なのだから直流専用車の「はるか」で敦賀から関空まで直通で行けるのなら我慢しよう、というところでしょうか。名前も特急「サンダーはるか」ではどうか?なんて与太話が(汗)
なにわ筋線が開通すれば、今まで大阪ミナミの難波までだった南海電鉄が大阪キタの梅田までつながることになります。ただ入線するのはライバル会社であるJR大阪駅のうめきた地下ホームでそこが終点。新幹線乗り換えのできる新大阪駅までは「線路容量が足りないので…」とか言い訳されて入らせてもらえないようです。
そこで出てきたのが関西大手私鉄仲間の阪急。「うめきた地下ホームから十三を通って新大阪まで新線を作るつもりなんだけど、一緒に乗ってく?」と。しかし阪急は1435mmの標準軌で南海はJRと同じ1067mmの狭軌。どうするつもりなのかと思えば阪急は1067mm狭軌の線路を敷くのだそうで1067mm狭軌版の新車両も新造すると(南海と共同開発かな?)。これが阪急新大阪なにわ筋連絡線計画です。大々的に発表しているのでたぶん大丈夫だと思いますが、「やるやる詐欺」の阪急だからなぁ…というのはあります。
新線建設ではありませんが、阪急は京都線と千里線が交わる淡路駅周辺の高架化(京急「蒲田要塞」のように、この阪急淡路駅も要塞化しつつあるとのこと)で苦戦して完成時期が何度も延期されており、現在は2032年完成予定ということで、同時並行して進められるのかなという心配は当然おきます。ちなみにこの大阪の淡路は兵庫県淡路島の淡路です。由来は次の4コマ漫画で。
https://u5h.jp/four-panel/6449/
新線構想、なんとも夢のある話だな。年初から災害だ事故だとギスギスしてる中でこういう夢のある構想をもっと知りたい。新宿会計士さんは首都圏の話題が多いから出来ればこうやって大阪とか関西の話題を書いてくれる人がいたら面白いのに。
阪急の話が出たついでに、「空港・都心・新幹線を直結する鉄道路線は合理的=神戸」の記事にて新宿会計士さんが少し触れられていた阪急と神戸市営地下鉄との直通接続に関して。
この直通計画、直近では2020年3月に白紙撤回が公表されましたが、もう何十年も前から出ては消え、を繰り返している話です。
山手線がまだ建設途中だった1980年頃の三宮周辺の地図です。
https://i.imgur.com/4oyJ3y9.jpg
三宮から北へ延びる建設予定の地下鉄(青の破線)の終点、仮称ぬのびきと記された駅は、新幹線の新神戸駅と並行して東向きに配置されています。将来的には道なりに東へ延伸して阪急神戸線の西灘駅(現在の王子公園駅)あたりで繋げるというのが神戸市の当初の構想でした。そのために規格は標準軌で架線集電方式を採用、車体も阪急と同サイズに揃えていたのでした。
また同じ頃、六甲山をトンネルで南北に貫く北神急行の建設が始まります。実はコレ、神戸電鉄が北神地域の沿線住民を三宮へ運ぶための直通バイパス線なのですが、神戸電鉄は中小私鉄の身ゆえに親会社の阪急と共に別組織の子会社として設立し、建設にあたらせたもの。しかし阪急が援助してもなお、三宮までの直通線建設は資金的に困難、新神戸までトンネルを掘り抜くのが精一杯。ということで当時、三宮-新神戸間で具体的な鉄道建設計画のあった神戸市営地下鉄に直通乗り入れして三宮まで行けるようにするという方針に変更。北神地域の人にとっても新神戸止まりだったらほとんど意味ない(乗らない)ですからね。
阪急は当時、神戸高速鉄道線を経て山陽電鉄線の須磨浦公園駅まで乗り入れており、さらに西の明石駅まで乗り入れの延伸を目指していたため神戸市営地下鉄との直通接続は断り、その上で北神急行が直通接続を申し入れて、神戸市は承諾。
神戸電鉄は狭軌なので、単独で三宮まで建設出来るのなら当然、北神急行も狭軌だったと思いますが、地下鉄全線に直通乗り入れするため標準軌で建設。地下鉄の新神戸駅は北神急行に繋げるため現在のような北向きの配置に変更して作られました。北神急行が開通したのは1988年です。
しかし神戸市はあきらめていなかった。地下鉄の三宮駅を作る時にこんな仕掛けを施していました。
http://wr19.osaka-sandai.ac.jp/ce/rt/ByRail/wp-content/uploads/2015/04/DSCN1532.jpg
神戸市営地下鉄三宮駅のホーム端から東方向を見ると、新神戸駅へ向かって左カーブで北上する本線からそのまま東方向へ進もうとする線路(今は保線車両が止めてある)が分岐しており、これは三宮駅建設の際に将来の阪急神戸線との直通接続を見据えて一緒に作られたと言う噂です。三宮・新神戸まで開通したのは1986年です。
このへんまでが神戸市から阪急に求愛していた時期。その後、2000年頃からは阪急が山陽電鉄への乗り入れをやめて(現在は神戸高速鉄道の新開地駅止まり)、そのかわり神戸市営地下鉄への乗り入れを求める時期。ただ、その時期の神戸市は震災復興のための借金で首が回らない時代。直通工事なんて不可能でした。
借金の返済に一応の目途がついた2017年頃からまた直通の話が再燃したが、コメント欄でリンクした市長の定例会見にもあったように、もう阪急と直通して何か効果が得られる時代じゃなくなってしまったという判断になって終了。
結局のところ、ご縁がなかったのね、という話でしょうか。
訂正:
>三宮・新神戸まで開通したのは1986年です。 →1985年です。
交通インフラの整備は、最大の受益者が地元住民になるとは限らないですからね。大田区民に蒲蒲線の恩恵はほとんどないのだから、地元が盛り上がらないのは仕方ないでしょう。国や東京都、鉄道会社などがもっと前に出てこないと。
外環道や圏央道の建設に時間がかかったのも、西九州新幹線が佐賀県内のルートで揉めているのも、全部 「地元が受ける恩恵と、地元に強いられる負担が釣り合わない」 からですよね。(リニア新幹線には地元自治体の負担はないから、静岡県知事がやってる事は純粋に妨害だけど。)
ただ、JR東日本が (東京モノレールを子会社に持っているにもかかわらず) 休眠中の貨物線も活用した 「鉄路」 での羽田アクセス線の建設を始めてますね。これは京急にとっては脅威だから、京急が蒲蒲線の実現に積極的になる可能性はあると思います。
羽田空港アクセス線 (仮称) の本格的な工事に着手します – JR東日本 2023年4月4日
https://www.jreast.co.jp/press/2023/20230404_ho03.pdf
【2031年開業】羽田空港アクセス線が着工!東京駅から18分で羽田空港へ直結【アットホーム タウンライブラリー】
https://www.athome.co.jp/town-library/article/122962/