6キロ少々の「臨海地下鉄」構想が秘めるポテンシャル

東京で今度は「東京駅を起点とする地下鉄の新路線」という構想が出てきました。読売新聞の報道が事実ならば、東京都が事業主体となる「都営地下鉄としては5本目」、「東京で14本目の地下鉄」となる可能性が濃厚です。しかも、報じられた地下鉄自体は6㎞と短いものですが、2㎞前後の延伸で「つくばエクスプレス」の秋葉原駅にも接続可能でもあるため、東京の交通を大きく変えるポテンシャルもありそうです。

東京で相次ぐ新線

少しローカルな話題で恐縮ですが、最近、東京で鉄道新路線の計画が相次いで発表されています。たとえば『たった数キロで東京をガラッと変える「蒲蒲線」とは?』では、「蒲蒲線(かまかません)」に関する話題を取り上げました。

この「蒲蒲線」は、東急電鉄・多摩川線を蒲田駅から京急蒲田駅まで地下区間で延伸し、将来的にはさらに京急空港線内の糀谷駅まで乗り入れるという構想であり、空港線直通には技術的な課題はいくつか残されているものの、実現すればそれこそ東京の交通網をガラッと変える可能性があります。

また、『ウクライナ改軌なら欧州化と脱ロシアがいっそう進行へ』では「軌間」などをテーマにしつつ、ウクライナの話題だけでなく、東京における地下鉄整備の現状について、ほかにもいくつかの話題を取り上げています。

当ウェブサイトで取り上げた東京・首都圏の鉄道に関する話題としては、次のようなものがあります。

東急蒲蒲線構想

東急多摩川線を矢口渡駅付近から地下化し、東急蒲田駅・京急蒲田駅を経由して大鳥居駅の手前で京急空港線に乗り入れるもの。東急と京急の軌間の違いから相互直通運転にハードルはあるにせよ、多摩川線の終点・多摩川駅は交通の要衝であり、実現すれば羽田空港への鉄道アクセスが飛躍的に改善する

有楽町線・豊洲-住吉駅間延伸

東京メトロ有楽町線を豊洲駅から分岐し、半蔵門線・住吉駅までの4.8㎞をつなぐ延伸計画。実現すれば埼玉方面からの東京都心へのアクセスがさらに改善する

南北線・白金高輪-品川間延伸

東京メトロ南北線の白金高輪駅からJR・京急の品川駅までの2.5㎞をつなぐ延伸計画。実現すれば東京都心部の飯田橋、市ヶ谷、四ツ谷、麻布方面からリニア新幹線の起点となる品川駅まで乗り換えなしにアクセスできるようになる

また、当ウェブサイトであまり詳しく取り上げていませんが、新線はこれら以外にもまだあります。

たとえば2023年3月には相鉄線・羽沢横浜港大駅と東急東横線・日吉駅の直通運転が開始される予定であるほか、JR東日本は羽田空港アクセス新線(東海道貨物路線の一部などを流用しつつ、東京都心部から羽田空港にアクセスする新路線)を2023年に着工する予定だ、といった話題もあります。

費用対効果が高い東京の新路線

しかも、これらの構想、興味深いことに、どれも大した距離ではありません。

もちろん、すでに道路、建物、高速道路などが密集している市街地に鉄道を通すため、必然的に地下鉄とならざるを得ないのですが(とくに南北線延伸については直線ではなく「Sの字」に迂回するルートを通ります)、それでもほんの数キロを掘り進めるだけでアクセスが大きく改善するというのは興味深いところです。

たとえば東急蒲蒲線については、東急蒲田から京急蒲田までは直線距離にしてわずか700メートル少々に過ぎず、矢口渡駅付近から地下化するにしても、掘り進める距離はせいぜい2キロ少々です(※ただし将来的に大鳥居駅に至るにはさらに2キロ前後を掘り進める必要がありますが…)。

このように考えていくと、たった数キロの地下鉄でアクセスが大いに改善するというパターンが東京都心などには非常に多く、正直、費用対効果で見るならば、どうしてもっと早くそれが実現していなかったのかと疑問に感じざるを得ないものもあります。

読売「東京都が臨海地下鉄を事業化へ」

こうしたなか、またしても興味深い話題が出てきました。

【独自】東京駅―勝どき―有明を結ぶ「臨海地下鉄」新線、全7駅新設…2040年代前半に開業へ

―――2022/11/24 07:00付 読売新聞オンラインより

読売新聞が「独自」と銘打ったこの記事によれば、東京都は東京駅から臨海部の有明に至る総延長約6㎞の「臨海地下鉄」の事業化に着手するとして、小池百合子東京都知事が近く計画を公表することを「複数の関係者」が明らかにしたと報じています。

この鉄道、もともとは2016年4月20日付で交通政策審議会が国土交通省に提出した『答申第198号』【※PDF】の30ページに記載されているとおり、「常磐新線」、つまり「つくばエクスプレス」の東京駅までのと一体で整備されることが提案されていたものです。

ちなみに気になる駅について、読売は「複数の関係者」の情報源として、この路線には約1㎞ごとに全部で7つの駅が設けられるとしています。具体的には東京駅の北東側に設置される「東京」を起点に、「新銀座」、「新築地」、「勝どき」、「晴海」、「豊洲市場」、「有明・東京ビッグサイト」(いずれも仮称)だそうです。

東京、あるいは首都圏以外の方からすればあまりなじみがない地名も多いかもしれませんが、東京に住んでいると、たしかにこの鉄道ができれば、利便性はさらに上昇しそうです。しかも、ルート次第では例の羽田空港アクセス線への接続も可能です。

しかも、先ほど挙げた「延伸計画」などとは異なり、この路線、短くても「新路線」です。「東京都が事業化に着手する」とする報道が事実だとすれば、事業主体も東京都となる(=都営地下鉄となる)可能性が高そうです。

ちなみに現在、都営地下鉄は4路線、東京メトロは9路線ありますので、「東京都営地下鉄」としては5本目、「東京の地下鉄」としては14本目の路線であり、たった6キロですが、東京の交通をガラッと変えるポテンシャルもありそうです。

難工事が予想されるが…

もっとも、報道された「東京駅」は、地図等で判断する限りは呉服橋交差点付近の地下に設けられるものと考えられ、この付近は既存の地下鉄も多く、さらにはすぐ北を首都高速道路の日本橋区間地下化事業が進展中でもあります。

このため、ここに「東京駅」を新たに設置するためには、またしてもかなり深くまで掘り進める必要がありそうです(しかも、この地点だと「東京駅」というよりは東西線の大手町駅や日本橋駅、半蔵門線の三越前駅などの方が近そうです)。

ただし、将来的につくばエクスプレスの秋葉原駅(直線距離にして約1.6㎞)と結ぶことも考えるならば、ある程度の深度となるのはやむを得ない話なのかもしれません。

この手の話題はもっとあるはず

いずれにせよ、首都圏で「ちょっとした鉄道」ができることで、利便性が飛躍的に上昇するというのは興味深い話であることは間違いありません。

そして、こうした都市部の「ちょっとしたアクセス改善」という話題は、おそらく東京・首都圏だけでなく、札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡といった地方都市にもあるはずであり、調べてみると面白いかもしれません。

もし当ウェブサイトにて取り上げてほしいというリクエストなどがあれば、読者コメント欄などにもお願い申し上げます。

読者コメント一覧

  1. 神戸市在住です より:

    >こうした都市部の「ちょっとしたアクセス改善」という話題は、おそらく東京・首都圏だけでなく、札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡といった地方都市にもあるはず

    はい。
    鉄オタにはほど遠いレベルですが、私は色々と想像するのが好きなので「空想鉄道」のサイトに投稿したことがあります。お暇でしたらご笑覧ください。
    https://ku-tetsu.net/161386.html

    神戸高速線と市営地下鉄線とを結ぶルート案は、数年前に議論になった三宮で阪急が地下鉄に乗り入れる案よりは簡単そうだし、また、神戸電鉄粟生線と市営地下鉄線を結ぶ案は、すでにあるトンネル(※須磨ベルトコンベヤ、で検索してみて下さい)を有効利用する点でアイデア賞ものだと、自分では思っているんですけどね。

    もうひとつ、以前11月5日配信の「ウクライナ改軌」記事へのコメントで少し触れた「神戸空港への連絡地下鉄線」については、こんな案を持っています。「5ちゃんねる」に書いたら面白がってくれた人がいました。

    神戸市営地下鉄空港線(全体経路)
    https://i.imgur.com/eoiw3Af.jpg
    三宮駅構造
    https://i.imgur.com/bqPpfOm.jpg

    新神戸からさらに東へ六甲ケーブル下まで延伸するのはさすがにやり過ぎですが、三宮花時計前駅での既存の地下鉄海岸線との接続は、ふつう新路線が合流することになる駅では2面4線化しても上手く配線しないと乗り換えが不便だったりしがちですが、これなら同一ホーム対面乗り換えが出来てアイデア賞ものだと思うんです。ただこんな大きな駅に拡張するスペースは無いんですけどね。

    いずれにしても、建設費など経済的な考察は無いので、こちらのサイトでは場違いだったかも(汗)

  2. 古いほうの愛読者 より:

    千葉県民目線ですが,京成線の青砥駅以西が脆弱な気がします。あと,京成上野駅が微妙に不便です。このあたりがスカイライナーのネックではないでしょうか。ただ,国際線が成田から羽田にだんだん移っているからいいかな。西武新宿も同じ問題がありますが,こちらは乗降客が多いですね。

  3. 福岡在住者 より:

    相鉄・東急のコラボとかもありましたね。
    https://www.hamakei.com/headline/12064/

    人が増えそうな地域へのインフラ整備投資は、新しい街づくりに繋がると思います。 そこが暮らしやすい治安のよい街になるのかは次の世代の宿題。

    JR系の赤字路線がいろいろと言われてますが、超赤字路線を廃止できないのだったら上場廃止を命じたら?と昔から少々思っています。(大ではないです ) 今のまま、かつての国鉄情緒を引きずるのには疑問を感じています。(求める側も)

    TVとかでは、学生の通学とか高齢者の通院・買い物とかを前面に出しますが、だったら自治体がコミュニティーバスを運営すれば良いし、それができなければJRへそれなりの額を出資すべきです。
    働き手はそれなりに車を活用し労働しているのだから・・・。 労働は自動車、学生(子供)・高齢者はJRというのもおかしな現実では?

       

  4. とある福岡市民 より:

    > ちょっとした鉄道」ができることで、利便性が飛躍的に上昇する

     福岡市の鉄道であれば次の通りです。

    1、地下鉄七隈線を天神南駅から築港本町へ伸ばし、ビートルの航路と直結して福岡市と釜山港、さらには福岡市とソウル駅を繋ぐ。
    2、地下鉄七隈線渡辺通駅から住吉通りを経由して博多駅へ直結させる。
    3、貝塚駅で分断された地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の線路をつないで、相互直通運転。
    4、地下鉄空港線を福岡空港駅から東へ延ばしてJR福北ゆたか線の原町駅または長者原駅とつなぎ、直方駅まで直通運転させる。
    5、地下鉄空港線を福岡空港駅(国内線ターミナルの真下)から南西に少し延ばして国際線ターミナルの真下に新駅を作る。
    6、地下鉄空港線姪浜駅と七隈線橋本駅を繋いで天神ー姪浜ー橋本ー博多ー天神の環状運転を実現させる。

     1は七隈線開通前からあった構想で、空港線と七隈線で筆記体小文字の f を描くように整備する事、西日本新聞や在福テレビ局、福岡市議らが推進していた韓国及びアジアとの経済交流活性化の目玉となる事を目指していました。その後、日韓関係の冷え込み、七隈線の大赤字で市に余裕がなくなった事からこの妄想は霧散しました。
     それでも七隈線の収支を改善する何らかの手を打つ必要があり、1と2の中間に当たる、天神南駅から国体道路、キャナルシティ博多、はかた駅前通りを経由して博多駅に至るルートで延伸が決定。来年3月27日に開業します。はかた駅前通りは地盤が弱いので、6年前に陥没事故が起きて大騒ぎになりましたけれど。

     3は箱崎線全線開業以来検討されてきましたが、西鉄ライオンズ売却や西鉄福岡市内線全線廃止の時から福岡市と西鉄の関係が良くない事、西鉄側に改修費用の負担がより多くかかる事、直通による経済効果や時短効果が乏しい事、地下鉄側のダイヤ編成が複雑化する事から見送られました。

     4は様々な検討を行いましたが経済効果に乏しいと判明して見送り。6は空港線と七隈線の軌間が違う事から検討もされてません。5は先日地元のニュースになりましたが、まだ構想段階です。

     あらゆる延伸計画が計画倒れになるのは、福岡が東京と違って鉄道需要が少ないせいでしょう。廃線になる区間こそないでしょうが、これ以上の延伸もないと思います。

  5. 匿名 より:

    羽沢横浜国大駅ですえ。相鉄が臨海部まで延伸したのかと思ったよ。

  6. sqsq より:

    逆もあるよ。

    営団日比谷線は東横線に乗り入れていたけど副都心線が東横線に乗り入れることになり中目黒でストップ。 

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