SNSで「福島の魚は安全です」宣言=在日豪州大使館

在日豪州大使館が「福島の魚は安全です」、「大使館ではこれからも福島県産の食材を使っていきます」とと宣言した動画をX(旧ツイッター)に投稿しました。日本の友好国からこのような動画が出て来ることは、本当にありがたい限りであり、歓迎すべき話です。対抗措置として我々日本人も、オージービーフを食しても良いのかもしれません。

中国の対抗措置、意味なし

福島第一原発から「核汚染水」が放出されているとして、中国が強く反発している問題を巡っては、これまでに当ウェブサイトでもしばしば言及してきたテーマのひとつです。

とはいえ、『核汚染水呼ばわりの中国にセルフ経済制裁が突き刺さる』などでも指摘したとおり、正直、中国による日本への「対抗措置」が日本経済に具体的な打撃をもたらすものであるとは考えられません。

この点、メディアはしばしば、「日本の水産物の輸出先としては中国や香港が重要な市場だ」、などと主張するのですが、そもそも水産物の輸出量自体が日本の輸出全体に占める割合自体が極めて少ないことを忘れてはなりません。

それに、『政治家は「ふるさと納税」で中国の輸出規制に対抗せよ』などでも指摘したとおり、日本国民が「ふるさと納税」などにより、水産物の産地の自治体を応援することも可能ですし、実際にそのような動きも広まっているようです。

これに加えて中国人の日本への団体旅行のキャンセルが相次いでいる、といった報道も見られるのですが、これも正直、日本経済に与える悪影響は、限定的です。

実際、日本のインバウンド観光はすでに中国人観光客に依存していない現状にある(『「中国頼み」でなくなる日本のインバウンド観光の課題』等参照)どころか、むしろオーバーツーリズム、観光公害に悩み始めているという状況にあります。

中国の異常性を際立たせている

そうなると、中国における「日本旅行キャンセル」の動き自体、結果論かもしれませんが、むしろ観光公害対策になっているという実情があるのでしょう。

さらに、中国が「核汚染水」なるプロパガンダを展開し、日本を世界中で貶めようとしている点に関しては、海外メディアなどの報道を眺めていると、むしろ科学的根拠を欠いている中国の対応を批判的に報じるものが多いようにも見受けられます(※この点は著者自身の主観です)。

このように考えていくと、「福島核汚染水」問題は、「中国自体、科学的思考も、国際社会の常識も、一切通用しない国である」という風評を、全世界にばら撒いているようなものだと考えてよさそうです。

このあたり、日本政府にも福島処理水の海洋放出の安全性に加え、むしろ中国の泰山第三原発のように、福島の数倍のトリチウムを海洋放出している事例があるという事実を、もっと世界中に宣伝する努力をしても良いくらいかもしれません。

友好国・豪州の大使館のツイート

ただ、非常にうれしいことに、日本の友好国からは、こんな動きも出て来ています。

在日豪州大使館はX(旧ツイッター)に「福島の魚を使ったフィッシュ&チップスをオーストラリア大使館で食べて応援しています」とする動画を投稿しました。動画内では大使館員の皆さんが、こんな趣旨のことを話しています。

今日は大使館で福島の魚を使ってフィッシュアンドチップスを食べています。/オーストラリア人はフィッシュアンドチップスが大好きです。/オーストラリア大使館では、これからも福島県産の食材を使っていきます。/新鮮な福島のヒラメがぴったりです。/福島の魚は安全です。

おそらく「オーストラリア人はフィッシュアンドチップスが大好きです」と述べているのが、ジャスティン・ヘイハースト大使であり、「オーストラリア大使館では、これからも福島県産の食材を使っていきます」以下はピーター・ロバーツ主席公使やクレア・エリアス政務担当公使らでしょう。

安全性は間違いない

こうした安全性と美食性のアピールは、大変に有意義です。

小泉進次郎氏が福島でサーフィン:東京都は中国語応答』でも取り上げたとおり、小泉進次郎・元環境相が福島でサーフィンに興じ、美味しい食材を食べたとする話題もありましたが、これも福島の食材の安全性を強くアピールするのにつながったことでしょう。

これに加えて今回、米国、インドとともに「クアッド」を構成している豪州の大使館から、こうした動きが出て来たことは、大変に有意義です(しかもなかなかに美味しそうです)。

かくなるうえは「対抗措置」として我々日本人も、明日はオージービーフでも食べますか。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 農民 より:

     ヒラメでっか!!そりゃ美味しいでしょう。

     「安全だなどと強弁するならば、日本人は福島の魚を食べて汚染水を飲んでみろ!!」と怪気炎を上げた連中は、相手が別に何の苦もなくそれらを飲み食いした時に(しかも科学的観点から、飲み食いして見せられる可能性が高い)、どうするつもりだったのでしょう。まぁ処理水は単に元が飲料水ではないなので飲んだらアカンですが。
     その上、こうやって日本と利害を共にする第三者が思惑はさておき援護までしてしまう始末。予想不能だったとは、とても思えません。
     このあたり、正義は我にありとばかりに裁判に持ち込んで負けてみせる我が国の左翼さんもそうなのですが。敗北のお墨付きをわざわざ頂戴し、相手に錦の御旗を進呈に行くのは一体。
     ちょっとお粗末すぎて、真の目的が何か他にあるんじゃないかと思ってしまうほどです。

    余談① 菅直人のカイワレと、本件や小泉氏のアピールと随分印象が違うのは何故なのかしら。

    余談② 右端の女性がすごくnVidiaっぽい。

    1. 農民 より:

       この”勝てると思ってる左翼さん”のケースに、大暴れした匿名様を加えます。ついでに「伝説の92」を思い出してしまいました。

      https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/25706.html

    2. 伊江太 より:

      農民様

      中国で発生した武漢肺炎の由来を調べる必要があるという、オーストラリア首相のごく真っ当な発言にぶち切れた中国習近平政権が、同国産の牛肉や大麦、ロブスター、ワインなどの農水産品に高率の関税を課して、輸入規制に走ったことは、記憶に新しいところですが、
      (『豪州からの輸入制限、中国はあの手この手-口頭指示や個別企業標的も』Bloomberg News 2020/12/18)
      https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-12-18/QLI8EMDWX2PU01

      それでオーストラリアが蒙った被害と言ったら、実質的にはほぼゼロだったそうです。
      『【オーストラリア】中国の経済制裁、豪への影響はほぼゼロ』NNA ASIA 2023/7/26
      https://m.facebook.com/news.nna.asia/posts/755809129884551/?locale=ja_JP

      何のことはない、中国という国は、他国が癇に障ることをやると、後先考えずに過激な報復に走り、それもきちんとした計算の上のものではないから、効果を上げるどころか、自らの異常性を世界に宣伝し。ますます敵を作るだけの結果に終わる。これ、半ばお約束みたいに思えてきます。

      オーストラリア大使館のX(ツイート)は、そうした経験を共有しているという思いのほかに、そんな馬鹿げた仕打ち、何の役にも立たないんだよという、自信の顕われだとも思います。そうなるのも、普段から世界により多くの友人を作る努力を払っていればこそ、ということを忘れるべきではないでしょうね。

      1. 農民 より:

         なるほど「敵の敵は味方」を体現していますね。一昔前の「親中侮日の信用ならないオーストラリア」からいまいちイメージがアップデートされていませんでした。隔世の感です。
         殴り返す事ができない国はナメられる、というのは自国で嫌というほど身にしみていましたが。殴り返したら超弱かった、という方がむしろ決定的にナメられるようになるのかもしれませんね。そして価値観外交が現代では有効というのも実証されてきていると。

        1. naga より:

          オーストラリアと日本は、各々の政権によって多少温度差があるかも知れませんが、敵の敵は味方というより元から基本的に味方だと思います。
          オーストラリアは以前から好きでオージービーフも以前から食べています。

  2. 元雑用係 より:

    あ、ツイート主は大使館じゃなく大使でしたね。
    心温まるツイートではあります。

    しかし、ヒラメなんか使えばフィッシュ&チップスでも料理として昇華するでしょうが、もったいない気がしなくもないです。(笑)

    1. ぴよすけ より:

      海外赴任から帰国した先輩と飲んでいた時、注文したフィッシュ&チップスを口にした先輩が「日本人にフィッシュ&チップスを作らせちゃダメだ。本場の味が出せない。美味い食い物にしてしまう。」とニヤニヤしながら暴論を吐いていたのを思い出しました。

      #酔っ払った個人のタワゴトです。

      1. 元雑用係 より:

        ジャンクの良さはジャンクであってこそ、ですかね。(笑)

  3. 引きこもり中年 より:

    (豪産ワインなどを中国に輸入規制された)オーストラリアの行動は、「中国が政治的圧力をかけるために、相手国の輸入品を規制した場合、各国は連携対抗しよう」という意味ではないでしょうか。(それにしても、中国は自分からデカップリングしようとしているのでしょうか)
    蛇足ですが、日本左翼メディアは、「この在日豪大使館のSNSは、フェイクだ」と言い出すのでしょうか。

  4. Masuo より:

    一昔前、行き場を失った台湾産パイナップルをスーパーで見かけて、買って食べたら、すごく甘くておいしいくて、すっかりファンになって、見かければ買うようにしてました。(最近は人気なのか、見かけなくなりましたが)

    また、ホタテも好きで、あれば買っていたのですが、少し前は冷凍ホタテも見かけなくなってましたが、中国が禁輸してからは、心なしかスーパーで見かけるようになりました。(たまたまなのか・・・)

    今回はオーストラリアを応援して、オージービーフとワインを買おうと思います。
    自宅のオーブンでローストビーフにするとたまらないです。本当にありがたいと思います。

    そう思うと、中国には感謝したいと思います(嫌味です)

  5. 国会食堂では福島産食材を使わないのでしょうか?
    それとも使っているのでしょうか。
    他にも県ごとに公共食堂はあるわけで福島産食材使用運動を広げましょう。

  6. さより より:

    友好って、良いものですね。

    どこかの国も、このX投稿を見て、友好の素晴らしさを知ればいい。
    戦狼の先には、何がある?抑圧に次ぐ抑圧を続けるしかないということが分からないのか?

    武者小路実篤が、仲良きのことは良きことなり、と言ったのは、正しくこういう事ですね。

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