菅義偉総理大臣の置き土産:いよいよ処理水放出開始へ
#ありがとうガースー
菅義偉総理大臣の遺産が、またひとつ、結実したようです。岸田文雄・現首相は22日、関係閣僚会議で、福島第一原発のALPS処理水の海洋放出を24日以降に開始するとの方針を表明しました。この海洋放出はIAEAの「お墨付き」を得て行われるもので、もとをたどれば菅総理が在任中の2021年4月に決定した方針に基づくものです。
菅総理の384日
菅義偉総理大臣といえば、故・安倍晋三総理大臣が再登板した際の2822日にわたって内閣官房長官を務め、安倍総理が持病の悪化で降板を余儀なくされた際には後継者として、384日間、政権を担った人物です(『菅義偉総理大臣の事績集:「日本を変えた384日間」』等参照)。
ただ、この菅総理の384日、「密度」は濃厚です。菅総理の個人ウェブサイトに掲載されている内容を抜粋すると、こんな具合です。
- ワクチン接種率世界トップクラスの水準へ
- 携帯電話料金の大幅値下げ
- 不妊治療の保険適用へ
- デジタル庁発足
- 小学校35人学級
- 2050年脱炭素社会を実現
- 子ども庁創設準備
- 若い世代のための医療費窓口負担見直し
- 孤独・孤立大臣の新設
- NPOを支援
- 農林水産品の輸出額が過去最高
- オンライン診療解禁
- 安全保障上重要な土地の利用を制限する法律成立
- 改正国民投票法成立
- 最低賃金過去最高の引き上げ
- 男性の育休促進 取得率過去最高
- 日米首脳会談などの外交成果
- 英国でのG7サミットの成功に貢献
- 東京オリンピック パラリンピックの開催
- アメリカによる福島県産の米や牛肉など日本産食品の輸入規制を全面廃棄
- 福島第一原発処理水問題に結論
- 黒い雨訴訟被害者救済へ
- 既存ダム活用で洪水対策に成果
- バブル崩壊後の株価最高水準
…。
ALPS処理水の海洋放出決定
今になって見ると、とくにエネルギー政策や「脱炭素」など、どうも疑問に思えるようなものもないわけではありませんが、それでも立った384日で、よくぞここまで仕事をしたものだと驚くほどです。
そして、菅総理の功績のなかでもとくに大きなものがあるとすれば、そのひとつは、福島第一原発のALPS処理水の海洋放出決断でしょう。
『処理水は「汚染水」に非ず:海洋放出は合理的な決定だ』などでも取り上げたとおり、この問題は、「菅は菅でも『かん』」、すなわち「菅(すが)義偉総理」ではなく「菅(かん)直人元首相」の時代に発生した、福島第一原発事故の負の遺産です。
余談ですが、菅(かん)元首相といえば、外国人からの献金疑惑も含め、在職中からなにかと問題があった人物ですが、東日本大震災を巡る対応のまずさもあり、「首相なんてだれがやったって一緒さ」、といった無責任な意見を日本から一掃したという意味では、日本の政治史にいくばくかの貢献はしたのかもしれません。
岸田・現首相が海洋放出を表明=24日から
それはともかく、この菅総理の処理水海洋放出に、続報が出てきました。
岸田文雄・現首相が22日午前、関係閣僚会議で、海洋放出を24日から開始すると表明したのです。
24日に処理水放出開始 岸田首相が表明
―――2023/8/22 10:43付 産経ニュースより
産経ニュースなどによると、岸田首相は関係閣僚会議で「現時点で準備できる万全の安全確保、風評対策、生業継続支援策を講じることを確認した」としたうえで、「気象・海象条件に支障がなければ8月24日を見込」んで東京電力に処理水の放出を求めると表明したそうです。
また、放出を福島県沿岸の沖合底引き網漁が解禁される9月1日よりも前に設定することで、放射性物質の濃度などのモニタリングのデータも公表する方針だとしています。
これについて岸田首相は、こう述べたそうです。
「風評影響や生業継続に対する不安に対処すべく、たとえ今後数十年の長期にわたろうとも、処理水の処分が完了するまで政府として責任をもって取り組む」。
是非とも、そうしていただきたいところです。
菅総理の遺産が結実
実際、菅総理による海洋放出方針の決定以来、日本政府は国際原子力機関(IAEA)などとも密接に協議しながら、安全性確保と風評対策に万全を尽くしてきましたし、IAEAも今年7月、科学的調査に基づき、海洋放出が「国際的な安全基準に合致している」との「お墨付き」を出しています。
もちろん、現在でも一部の国やメディア、政党、活動家らが、処理水をわざと「汚染水」などと誤った用語で呼び、積極的に風評加害を継続していますが、それでも現状、国内外の理解を得るための努力は、十分に尽くされたと考えてよさそうです。
いずれにせよ、これも菅総理の384日がもたらした遺産が結実した事例のひとつであることは間違いないといえるでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
どっかの国の「資産売却命令」のように、決定されても実行されないことはままあるわけで(しかも首相が交代している)、なにはともあれよかったです。
復興をこころよく思わない勢力のネガティブキャンペーンが続くと思うが、データに基づく反論と厳正な対処をお願いしたい。
やはり政治というものに対する姿勢、考え方が菅総理と岸田現総理とでは全く異なると推察。
方や、菅さんは国益、国民の利益を最優先、一般国民の通常の感覚を忘れずに政治に処した。そして何より、これを一つ一つきちんと実行していった(勿論、実行したものの中に賛成しかねるものもありましたが)。
これに対して、現総理、政治家を生業とする事をアプリオリに考えて育ってしまった、そこで何より自らの保身、延命(含む家族や側近)責任回避、といった事がその考えのプライオリティの最初に来てしまうタイプの人物と見受けられる。自らの言葉で語れず、ましてや日本の将来を考え、何をすべきかを考えていない or 考える能力と熱意もなし。あるのはただただ、財務省と米国への追随、つまりは国民負担のさらなる増加と国威の限りない毀損。救いようがない。
ピープルのパセティックな叫びはプライムミニスターには聞こえないでしょう。所謂、隔絶されたボンボンというやつかと。
処理水の問題はリトマス試験紙のようなものですね。
反対しているのは、中国、北朝鮮、ロシアそして韓国です。
韓国は、バイデンの手前、今回は反対はしませんでしたが、コメントしないという逃げの態度です。
表向き西側のふりをしていても、本心は強権国家の側なのです。
バイデンは本気で日韓が協力すると思っているのでしょうか?
バイデン大統領は慰安婦合意から何も学んでいないようです。
今回のキャンプデービッドでの会談による日韓仲直りの無理強いは、日本の保守層の反米感情だけでなく、韓国のアメリカに対する警戒心も高める結果になったのではないでしょうか?
菅氏は官房長官時代にも豪雨災害時はダム放水量の調整権限を農水省管轄の利水ダムまで拡大できるよう動いた功績があります。実際は国交省の河川担当局長がお恐れながらと持ってきた案だったそうですが、菅氏が台風災害後すぐに来年までにできることをやろうと動かなければ、今までだれも縦割り行政の弊害をなくせなかったことなのです。
2020年の話題ですが週刊ダイアモンドが今週号で記事にしていたので菅氏の置き土産の一つとして。
こういうお話は現政権からももっと聞きたいですねえ。
日本人は自ら菅義偉という、庶民感覚をもっていた稀有な政治家を手放した。後任が岸田文雄という、鳩山由紀夫と双璧な暗愚な人物を選択してしまった。そりゃ直接選挙制じゃないから、選んだ訳じゃないと云えばそうだが、地元への利益優先を考えるから、国会に暗愚な人物を送り込んでしまう。おれの選挙区は神奈川13区だ。強いのは牧島かれん前IT大臣だ。対抗が立憲民主党の上山洋一郎だ。二人とも実績がみえない。さて、どうしたものか?牧島の経歴はいいんだがIT大臣としての印象が乏しい。上山は牧島に負け続けているのに加え「なんでも批判党」の立憲民主党なのが気にかかる。二人とも直接話をしたことがあるが、良い印象があるのは牧島か。少し太られた。議員生活は快適らしい。
菅さんは、実務家にして、実行家、実際家。
3実主義者(造語)。
実際とは、客観的で冷静な現実認識のこと。
実務とは、現実世界を運営する現実的・実際的・実効的な手法のこと。
実行とは、目的・目標を明瞭にして、実際的現実的に効果のある行動スキームを立て、着々と確実な行動を進めて行くこと。試行錯誤はあるかも知れないが、空回りは無し。
菅さんは、以上のようにするから実際の成果が出せるのです。
極めて、稀有な人材であり、信念の明確な傑物です。
歴史上も余りいない人です。
強いて言えば、大久保利通?
多分、大久保よりも、更に実務家であると思います。尤も、大久保は、いよいよこれからという時に暗殺されてしまったから、その後どういう活躍をしたかは分かりません。
菅さんに、活躍の機会が巡って来ますように。
菅さんは典型的な政治主導の人でしたね、官僚(特に財務省)の言うがままの岸田さんと正反対、本当に素晴らしい仕事人でした。
再び首相になりますように。。
PONさん、ありがとうございます。
同士を得た気持ちがして嬉しいです。
私も、次の選挙で自民党が大敗を免れる策は、菅さんの活用かも知れませんが、参謀がいくら優秀でも、指導者の能力不足は補えないと思います。
岸田首相が、菅さんに禅譲するとも思えませんし。
岸田降ろしで菅さんが選ばれれば良いのですが、可能性は低そうです。
自民党は詰んでいるのではないかと思います。
どうせ次の選挙の議席減はもう決まったのだから、いっそ岸田に選挙やらせた方がいいと思いますよ。
ここで中途半端に次の総裁にして岸田の責任を免除して、次の人材を無駄死にさせる方が損です。少なくとも政権交代は無いのですから
菅さんには地味ながら信念があって、そのために官僚に人事権を行使して従わせやりたいことを実現していく実務家としての力量があったと思います。正に仕事人でした。安倍総理という後ろ盾を失った今、菅さんの再登板は厳しいかもしれませんが期待しちゃいますね。
岸田は信念がないから結局はマスコミが誘導して作り上げたおかしな世論や財務省や外務省の役人の言うことに流されておかしな決断をするのでしょう。
漁業協同組合の方は風評被害を理由に反対だと言いますが、その態度こそ風評被害を起こす危険を高めていると思います。
全く同感です。
彼らは、現実を見ることをしないのですね。
子孫の為に数十年廃炉せずに処理水を延々と積み重ねて面倒から逃げるような地域を、子孫が誇りに思えるのかという想像力が皆無なのですね。
菅さんなら総理会見でそれを直々に説いたのかも知れませんが。
失礼します。ここでのコメントには、菅さんを礼讃する話が多いのだが、なんで菅さんを引き摺りおろしたのか。菅氏はもう表舞台には立たないと云っている記事を読んだ記憶がある。菅氏には、もう一度総理を務めて欲しいのだけど、、、それだけ岸田が惨すぎる証だろう。録な総理、総裁候補がいない。茂木?萩生田?西村?あぁ誰もいない。
さすが―っス! ガースー!! 菅々しいイニシアティブの賜物ですね。
因みに原理原則に寄り添わぬ岸田氏の言動は「イニシア恥部」です。
・・。
ここに来ての中露の執拗な処理水放出妨害工作に対し、無視を決め込み粛々と実行に移す岸田氏を、まずは評価したいと思います。この妨害工作をさも正しい主張かのように記事化する新聞社、同調する日本の特定野党、実害も無いのに風評云々とごねる利権団体。まさに国賊です。
岸田氏は菅首相を三顧の礼で政権に迎い入れ、菅首相に采配を揮って頂くのが、岸田氏に残された唯一の政権延命策です。
菅総理待望論は賛同したいところなのですが、安部菅体制が上手くいったのは、安倍総理の稀有なリーダーシップと、菅総理の稀有な実務力の陰陽のシナジーだったように思います。
菅政権に菅官房長官無しなどと言われましたが、加藤官房長官はむしろ実業家一家の実務家で同型だったように感じます。悪く言えば陰陰で地味な実務家が揃い、本文で挙げられたように堅実に実務を遂行していったものの、ちゃんと見ている人からは高評価、マスコミ評から入る人には低評価という結果でした。そして退陣後は、マスコミフィルター解除とともに掌を反すように一般でもほとんどの人が高評価。
仮に菅総理を自民党の奥の手にするのであれば、実務に強いのは確かな菅加藤体制で今の高評価を絶対に守り切るか(しかし加藤氏も統一教会がらみでイチャモンつけられ済み……)、足を引っ張る連中対策になる陽のタイプの官房長官を据えなければならないかもしれません。映画に出てくる美形のアメリカ大統領補佐官や報道官みたいな。かつて適役に思えた小泉氏は地に落ちっちゃって戻ってこないからなぁ……