韓国紙「ロシア・CIS向け輸出増加」…迂回貿易か?
韓国向けにキャッチオール規制が外され、軍事転用品が「日→韓→CIS→露」に流れると…?
本当に韓国を「(旧)ホワイト国」に戻して良いのか。こうした問題意識から、ちょっと気になる記事を発見しました。韓国メディアの報道によると、韓国では現在、ロシア向け、CIS向けの輸出が急増しているというのです。これに関し「対外経済政策研究院」のロシア・ユーラシアチーム長は「ロシア地域は人的ネットワークなどが重要だが、一度断たれると復元しにくい」としたうえで、「中央アジアのCIS諸国をテコに協力基盤も築いておかなければならない」とも述べたそうです。
目次
ちょっと気になる記事が…
韓国メディア『中央日報』(日本語版)に19日、ちょっと気になる記事が掲載されていました。
ウクライナ戦争は変わらないが…ロシアとCIS向けの輸出急増=韓国
―――2023.06.19 09:27付 中央日報日本語版より
中央日報によると、韓国関税庁・韓国貿易協会は18日、5月の対ロシア向けの輸出額は前年同期比で103.9%、独立国家共同体(CIS)向けの輸出額は前年同期比で78.8%、それぞれ急増したと発表したのだそうです。
しかも、韓国の輸出は「8ヵ月連続でマイナス成長」となっているそうですが、ロシア・CIS向けだけが例外的に伸びている、ともしています。
いったいどういうことでしょうか。
韓国は13ヵ月連続で貿易赤字
これについて事実関係を確かめるべく、韓国銀行のデータベースから相手国別輸出入額のデータを取得したところ、残念ながら現時点でダウンロードできるデータは4月分までであり、5月までの輸出入について取り上げた同記事の内容自体の事実確認はできません。
ただ、4月までのデータをもとに輸出入を追いかけてみると、たしかに興味深い事実がいくつか浮かび上がってきます。
図表1は韓国の輸出入額の合計をグラフ化したものです。わかりやすく、輸出はプラス、輸入はマイナスで棒グラフ形式として表記し、差額としての貿易収支を折れ線グラフにしています。
図表1 韓国の貿易の状況(合計)
(【出所】韓国銀行。以下同じ)
これによると、たしかに韓国は2022年4月以降、13か月連続で貿易赤字を計上していることがわかります(※ただし、ウクライナ戦争前後からの貿易赤字常態化という意味では、日本も似たようなものです)。
対日赤字、対米黒字という基調は変わらず
ただ、韓国はもともと、輸出入の規模の大きさに対する貿易収支の黒字幅が小さいという特徴があります。その理由は、とくに一部の国との貿易収支の黒字で大きく稼ぐ一方、一部の国に対しては恒常的に赤字を計上しているという構造に由来します。
たとえば日本に対しては長年、常に貿易赤字を計上し続けていることがわかります。日本に対する輸出額は毎月せいぜい20~30億ドル前後に過ぎないのに対し、日本からの輸入が毎月40~50億ドル程度と圧倒的に多く、結果として巨額の貿易赤字を計上しているのです(図表2)。
図表2 韓国の対日貿易の状況
その一方、恒常的に貿易黒字を計上している相手国は、米国でしょう。とくに消費財などを中心とする対米輸出が好調であるためか、2023年4月の貿易黒字額は過去最多の37億ドルに達しています(図表3)。
図表3 韓国の対米貿易の状況
これは日本などから最先端の「素材・部品・装置」を輸入して生産活動を行い、それを米国などの最終消費国に輸出する、という韓国のビジネスモデルに従ったものでしょう。
対中貿易では赤字が常態化
もっとも、ここに大きな変調が生じているとしたら、それは対中貿易でしょう。
韓国は中国に対し、長年、常に貿易黒字を計上し続けてきましたが、その対中貿易では赤字に転落することが増えており、2022年5月以降、22年9月を除き、毎月のようにそこそこの額の赤字を計上していることが確認できます(図表4)。
図表4 韓国の対中貿易の状況
ウォン安の影響に加え、中国向けの輸出自体が低調となっていることが響いているのでしょうか。
対露貿易はたしかに輸出が増えている
このような状況を踏まえたうえで、対露貿易の状況を確認すると、たしかにウクライナ戦争直後は韓国の対ロシア輸出が減っていたものの、最近になってこれが再び増え始めていることが確認できます(図表5)。
図表5 韓国の対露貿易の状況
輸出額は2023年4月時点で7.7億ドルです。韓国の輸出規模に比べれば、正直、金額的には大したことはありませんが、それでも中央日報が述べるとおり、韓国の輸出が数ヵ月連続でのマイナス成長に沈むなかで、ロシア向け輸出の伸びは「率」だけで見れば目立ちます。
こうしたなかで、中央日報の記事には大変に気になる記述がいくつかあります。
「(ロシア・CIS向け輸出急増の原因は)ロシアとウクライナの戦争長期化にも消費財を中心にした迂回・並行輸出などが進んでいるためと分析された」。
「CISへの輸出急増の背景は単純にベース効果だけとみるのは難しい。戦争が1年以上出口も見えずに続いているところに西側の対ロシア制裁などが相変わらずのためだ」。
「専門家らは昨年以降に市場撤退や取引中断などで対ロシア貿易のルートが狭まった状況でロシア近隣国などを通じた迂回・並行輸出が定着したものと評価する」。
さらりと書いていますが、よく読み返してみると、意味合いとしては強烈です。
まるで「韓国が西側諸国の対露制裁を迂回するために、ロシア近隣国への輸出を急増させている」、とでも言いたいかのようです。「迂回輸出」という、なんだか穏当ではない単語が、韓国を代表する大手メディアに堂々と掲載されるというのも、なんだか新鮮です。
それって「迂回貿易」では…?
中央日報の記事は、こう続きます。
「特に今年に入りCIS諸国のうちカザフスタンが76.4%、キルギスタンが509.2%と輸出増加傾向が目立つが、この2カ国は2015年にロシアを中心として発足した経済共同体であるユーラシア経済連合(EEU)参加国という共通点がある」。
すなわち、韓国はロシア向けの輸出を回復させているだけでなく、制裁対象品目についても中央アジア諸国向けなどに偽装させる形で迂回輸出をしているのではないか、といった疑念を抱く材料ともなりかねません。
これについて対外経済政策研究院のロシア・ユーラシアチーム長は中央日報に対し、次のように述べたそうです。
「ロシア地域は人的ネットワークなどが重要だが、一度断たれると復元しにくい。消費財などの輸出を着実に継続する一方、中央アジアのCIS諸国をテコに協力基盤も築いておかなければならない」。
正直、素直に驚いてしまう記述です。まるで「韓国の経済的利益を維持するためには、中央アジア諸国との関係も利用しながらロシアとの輸出を継続しなければならない」、とでもいいたいかのように見えてしまうからです。迂回貿易を推奨するつもりでしょうか?
現在、ロシアによるウクライナ侵略を失敗に終わらせるべく、西側諸国が一致団結しているさなかに、私たちの隣国で「保守系」を名乗る大手メディアに、迂回貿易を推奨するかの記事が掲載されているというのは、ちょっと複雑な心境になります。
ちなみに日本の岸田「宏池会」政権は、その韓国を輸出管理上の「(旧)ホワイト国」に戻すべく、政令改悪案を進めていますが(『パブリック・コメント大募集!入力方法を解説します!』等参照)、果たして韓国を輸出管理上「最も信頼し得る国」とみなすのが正しいものなのでしょうか。
輸出管理上、韓国を「(旧)ホワイト国」、すなわち現在の「グループA」に追加すれば、韓国に対し、多くの品目で「一般包括許可」と呼ばれる輸出許可の仕組みが適用されるようになるほか、「キャッチオール規制」も適用されなくなります。
韓国に「キャッチオール規制」が適用されなくなれば、日本から韓国に許可なく輸出できる品目が増えます。
過去に日本が対韓輸出管理適正化措置を講じた際の「前科」などから判断しても、軍事転用利用な品目が韓国、CIS諸国などを経由し、最終的にロシアに流れて武器になり、ウクライナ戦争に実戦投入されるというのは、考えたくないけれども十分にあり得るシナリオです。
したがって、輸出管理という件に関しては、少なくとも日本の有権者が無関心でいて良い話題ではないことだけは間違いないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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いや、普通に衝撃的なニュースなんだが。
日本も中古車の対露輸出が伸びてますから、余り他国の事を言えないのでは?
¥6百万以下は規制が無いらしい。
中古車の業者間価格で¥6百万超って、かなりの高級車・劇レア車等しかないのでは?
多分ロシア側では、サポカー機能等の余計なものを外し、車は普通の車として、外した部品は軍需用とかで再利用しているのではないかと思われる。
勿論、兵站等に使われる車もあるだろう。
話戻って、
輸出管理は、横流しした側より、横流しする様な処に輸出した側の責任の方が重い。日本の輸出管理能力、特にインテリジェンスが問われているのでは?
墺を見倣え様
>輸出管理は、横流しした側より、横流しする様な処に輸出した側の責任の方が重い。日本の輸出管理能力、特にインテリジェンスが問われているのでは?
秀逸な観点の文章に心から同意します。
後者の問に関しては日本は落第点です。
是正措置として日本で競争力がある産業を根こそぎアメリカに持って行かれ、アメリカ産業におけるAll in oneを形成すると思います。
アメリカの国益からの点ではワザと安全保障違反の事案を韓国に再発させて「日本の競争力がある主要産業総てを日本からアメリカに収奪」するのが最も良い方法です。日本にはロクでもないことですが。
日本人のIntelligenceの質が劣悪故に近衛文麿やポッポ鳩山、岸田文雄程度の浅知恵連中しか日本の指導者に持てないのです。
思い起こせば安倍晋三は日本人の指導者には過ぎたる存在でしたね(笑)。
当方は安全保障管理違反事案の再発は日本だけ責任を取らされることを指摘の上でパブコメにて政府の政策を支持する意見を書きました。
日本人は失敗より自己改善できますがお隣についてはそうではないですからね。
欧州兵装品市場を席巻できるつもりでポーランドと甘美な共同幻想を見ていたらしい韓国。国力に見合わない一本足傾斜を戒める報道が現地で出ているとのウワサがあります。
無原則。根っからのコウモリですな。
だから、昨日までNO JAPANとイキってたのが、
手のひら返しで「日本大好き」なんて言い出して、
恥ずかしいとも思わない(笑)。
「(我々に甘くしてくれる)日本大好き」なんだと思います。
韓国のチーム長の発言は自分ところが貿易でプラスになるなら、ロシアや周辺国と言えども輸出もしますよーーと。愕然としますね。それも武器化可能なモノまで含んでいるだろうし。
「ロシア地域は人的ネットワークなどが重要だが、一度断たれると復元しにくい。」そりゃ共産政権だもの。密談で賄賂と売買を決めるんだから、一度手に入れた甘い蜜(朝鮮はみかんだっけ?)を手放すはずがない。
しかし韓国は何処と関係を取り持っても、信頼関係は続かないヨ。だってスグ裏切り、態度豹変、善意の行動でも罪人扱いされる。「CIS諸国をテコに協力基盤も築いておく」ハア?AHOか。
直接ではないにしろ、韓国は1つの戦争地域の両陣営に武器や戦うためのモノを売ることに成功しているかもしれないと。アナハイムもびっくりの手腕ですね。
ただまぁ後先考えて正当化を準備していると良いのですが。いずれどちらかから叩かれ、しまいに両方から叩かれるなんてことのないよう。
日本は関与していないという証明を早めに立てておいた方が良さそうですが……逆行したなぁ。
「他者の心情(欲求?)はコントロールできない」ものなのですから、
「彼らが翻意しても困らない」ように立ち回るよりほかないですね。