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民主主義に対する挑戦:新聞記者が国会議事進行妨害か

自民党の和田政宗参議院議員によると、参院法務委員会で入管法改正案を討論していた際、東京新聞の記者が何度も大声で言葉を発し、静粛な委員会進行を妨げるという事案が発生したそうです。新聞記者という「国民の代表」でも何でもない者が、国会議員という「国民の代表」の議事進行を妨害するというのは、まさに民主主義に対する冒涜であり、挑戦です。やはり、民主主義を歪めてきたのは、新聞、テレビなどのオールドメディア業界だったのかもしれません。

ジャーナリストは何と戦っているのか?

正直、あまり厳しいことは言いたくないのですが、やはり長年規制業界に身を置いていると、どうしてもさまざまな考え方が世間とずれてくるものなのかもしれません。

何の話をしているのかといえば、ジャーナリストなどと総称される人たち、とりわけ新聞記者やニューズキャスター、テレビのコメンテーターらを中心とする、新聞、テレビ、通信社といったオールドメディア業界の関係者のことです。

たとえば先日の『新聞記者の皆さま、会社に不満があるなら独立しては?』では、今月開催された新聞労連などが主催するシンポジウムで、「最近、大手新聞社に所属する記者を中心に、社外での言論活動を制限されている」とするアンケート調査結果が紹介された、などとする話題を取り上げました。

「彼らはいったい何と戦っているのだろうか」。そう疑問に感じる方も多いでしょう。3日に都内で開かれた「言論機関の言論の自由を考える」と題されたシンポジウムで公表された「社外での言論活動」によると、新聞社などを中心に、記者による社外執筆活動に対する会社による規制が強まっているのだそうです。ただ、それは「政治の圧力」ではなく、むしろそのメディア自身の方針でしょう。もし記者の皆さまが自社の方針に不満を抱いていらっしゃるなら、独立してウェブ評論サイトを立ち上げれば良いのではないでしょうか?怪しいRSF...
新聞記者の皆さま、会社に不満があるなら独立しては? - 新宿会計士の政治経済評論

なかでも印象的なのが、シンポジウム参加者のひとりが述べた、こんな内容です。

新聞社も部数減でセコくなったものです。安倍政権からの言論弾圧の延長線上にあるのでしょうが、新聞社が萎縮すれば権力の思うツボ。これでは21世紀の大政翼賛会になってしまいます」(2023/06/05 13:40付 日刊ゲンダイ『堕落した大新聞ついに自ら“言論統制”の自殺行為 朝日新聞が社員の書籍出版を「不許可」』より)。

彼らの不満の正体は新聞・テレビの社会的影響力喪失

はて?面妖な。

最近、新聞部数が猛烈な勢いで減っていることは間違いありませんが、それと安倍政権は何の関係もありません(※そもそも安倍政権が終了してから、すでに3年近くが経過しています)。というよりも、新聞は今まで通り、自由に政権批判をしています。

強いて指摘するならば、政権批判記事を含めた新聞記事そのものを、一般国民がインターネット上で自由に批判できるようになったことが、過去との最大の違いでしょう。

何のことはありません。

新聞記者を中心とするジャーナリストさんたちの不満の正体は、「政権からの圧力」ではありません。「自分たちが国民世論を思い通りに動かすことができなくなっていること」、「自分たちが人々から批判されていること」に対する強いフラストレーションなのです。それを「政権からの圧力」だと言い張っているだけのことです。

考えてみればわかりますが、かつて新聞、テレビを中心とするマスコミは、報道を通じて国民の世論を支配し、ときの政権を左右するほどの絶大な力を持っていました。自分たちを「権力の監視役」、酷いケースだと「第四の権力」などと称していたほどです。

極端な話、人気ニューズ番組のキャスターの方が「私はこの人が首相になることに反対なんですよね」、などと主張すれば、その発言によって内閣支持率に大きな影響が生じるわけです。下手をするとそのニューズ・キャスターの方が、ときの首相よりも大きな権力を持っていたという言い方もできるかもしれません。

我々はあなた方に権力を委ねた記憶はない

ただ、当たり前の話ですが、私たち日本国民がニューズキャスターやジャーナリストらに権力を与えた事実など、ありません。

ジャーナリストらの多くはフリーランスとして活躍しているケースもあるものの、多くの場合はマスコミ各社(新聞社やテレビ局、通信社など)の採用試験に合格し、新聞関係者、テレビ関係者などとしてキャリアを積んできた人たちです。

そして、これらマスコミ各社は、公的機関ではありません。単なる民間企業です。NHKにしたって公的機関を装っていますが、自ら「政府から独立している」と騙っているとおり、少なくとも政府機関ではありませんし、ましてや民放各局や新聞社、通信社はいずれも政府機関ではありません。

要するに、ジャーナリストらは単なる民間企業の従業員か、フリーランスに過ぎない人たちであり、そのような人たちが新聞、テレビといった媒体を支配し、「第四の権力」として国民世論に絶大な影響を与えていたこと自体、民主主義を大きく歪めてきたのです。

近年、オールドメディアの社会的影響力が急降下していることは事実ですが、これはオールドメディア関係者がいう「安倍政権の言論弾圧」が原因では決してありません。インターネットが大いに発達し、「第四の権力」の利権をインターネットがぶち壊し始めただけの話です。

何より、これらの「ジャーナリスト」さんたちの主張を眺めていると、とにかく自分に甘く、他人に厳しいという傲慢さを見せつける事例が多々あります。最近だと『首相記者会見で「逃げるんですか」発言記者に批判殺到』でも紹介した、朝日新聞出身の記者の「逃げるんですか」事件などは、その典型例でしょう。

すでに予定を10分超過していた会見の場で、当初の予定通り4社からの質問に対する回答を終えて演台を去ろうとした岸田文雄首相に対し、とある記者が「逃げるんですか」と畳みかけ、岸田首相が演台に戻って3分ほど質問に答えた、という「珍事」が生じました。広島サミットという貴重な機会で重要な会議がおしている首相の時間を奪うほどの価値がある質問だったのかという点もさることながら、国民の代表者たる首相に対し、「逃げるな」とは、いったいなにさまのつもりなのでしょうか。マスコミ業界の苦境いわゆる「マスコミ」業界の未...
首相記者会見で「逃げるんですか」発言記者に批判殺到 - 新宿会計士の政治経済評論

彼らは一様に、なにか非常に大きな「思い違い」をなさっているようです。

「国民の代表」を騙る新聞記者、そして「国民の敵」』などでも指摘してきたとおり、くどいようですが、ジャーナリスト(新聞記者など)は「国民の代表」ではありません。本当の意味での「国民の代表」は、政治家(たとえば国会議員)です。

以前、『新聞労連の思い上がり 新聞記者は国民を代表していない』のなかで、新聞労連の思い上がった声明文を、「国民の敵」という言葉とともに紹介しました。これについて、一部メディアの報道によれば、東京新聞側は首相官邸から「記者が国民の代表とする根拠を示せ」と要求されていたのだそうですが、「根拠を示せ」と正論を突きつけられたとしても、そんな根拠など示せるはずがありません。なぜなら、新聞記者は「国民の代表」ではないからです。新聞記者は国民の代表ではない!以前、『新聞労連の思い上がり 新聞記者は国民を代...
「国民の代表」を騙る新聞記者、そして「国民の敵」 - 新宿会計士の政治経済評論

新聞記者は新聞社の従業員であり、新聞社は民間企業です。よって、新聞記者は民間企業の従業員であり、国民の代表ではありません。新聞社は国民からそっぽを向かれ、部数が激減するなどしたら、通常は倒産する以外にありません(不動産事業がうまくいっているなどの事情でもあれば別ですが…)。

新聞記者が議事妨害

こうした正しい知識を持ったうえで、「国民の代表者」のひとりである、自民党の和田政宗参議院議員が発信したこんなツイートを読むと、大変に驚きます。

和田議員によると、参院法務委員会で入管法改正案を討論していた際、東京新聞の記者が大声を発するなどし、静粛な委員会進行を妨害するという事件が発生したそうです。

というよりも、和田氏のツイート通りだとすれば、これは民主主義に対する深刻な挑戦です。なぜなら、新聞記者という国民の代表でもない一私人が、国民の代表者である国会議員らによる討論、議事進行を妨害したからです。

これはたんに、この新聞記者の問題ではありません。この新聞記者を雇っている株式会社中日新聞社という会社の問題でもあり、ひいてはこのような新聞記者をこれまで公然と批判してこなかったオールドメディア業界全体の問題でもあります。

あるいは、新聞記者を中心とするジャーナリストこそが、民主主義の妨害者だった、という言い方をしても良いのかもしれません。

このあたり、これまでの部数分析に基づけば、多くの新聞は、あと10年かそこらで廃刊に追い込まれるでしょうが、超新星爆発と同じで、どんな業界でも滅亡する直前が最も強烈な光を放つものです。今回の新聞記者による不祥事のような事案は、これからどんどん増えていくように思えてなりません。

こうしたなかで、私たち国民としては、誰が本当に民主主義の妨害者なのか、見極めていかなければならない

いずれにせよ、せっかく手に入れたインターネットというツールを賢く使いたいものです。

新宿会計士:

View Comments (25)

  • 望月女史かぁ。相変わらず明後日の方向で爆発してますねぇ。コメントする事は無いですが…

  • 新聞社は相変わらず下品で低劣な行動をやってますね。「参院法務委員会で、東京新聞の望月衣塑子記者が何度も大声で言葉を発し、静粛な委員会進行を妨げた」またアノ女子記者ですかぁ。

    つまみ出す訳には行かないんですネ、これが。また「新聞社が萎縮すれば権力の思うツボ。これでは21世紀の大政翼賛会になってしまいます」ハア?日刊ゲンダイさん、寝言は寝てからにして。国民を誤誘導して来たのはジャーナリズムじゃないか。昔も今も。特に新聞、テレビ。罪は重いよー。もはや「ジンケンガー」「ジユウナハツゲンヲー」「ジャクシャヲマモレー」とか、誰もアンタラの嘘八百、ホンマは恐っそろしい管理統制社会が好きなクセに、、騙されんぞ!

  • 新聞記者こそが民主主義を破壊に導く騎手だったとは。
    ヒュンダイのジャンヌダルク!

    ……実に迷惑です。

  • どうせ望月氏だろうなあって思ったら本当に望月氏だった
    これで処分できるなら最初っから処分してるよなぁ……。

  • 東京新聞と聞いてやはり
    記者章は付けてはいても
    ただの どぶサヨ活動家の
    望月でしたか。

    ま、ジャーナリストと言うより
    日本と健全な民主主義にとっては
    ジャマなリスト の人ですわなあ

  • どんな大層なお題目を掲げようと良いのだが、それはジャーナリスト個人、或いはその組織での理屈や名分でしかなく、「私(我が社)はこう主張する」以外の何でもない
    国民や有権者等と主語を大きくし口撃に使う手法はチンピラの恫喝と何も変わらん
    ましてや多くの人が個人で自由に意見や主張を発信しているこの時代において、代弁者や代表を騙るなど烏滸がましいにも程がある

  • 議会制民主主義国家の日本は議会での討論の上、与野党で修正したり付帯決議をつけたりする調整がなされる時もあれば、調整がつかずに粛々と採決されるものもある。

    このシステムを否定するのは、どんな人間であってもおかしなことだ。

    仮に議会がおかしなことをするのであれば、次の選挙で議員を入れ替えて、政策を改めさせることもできるのだから。

    望月記者もそうだが、そのことがわからない輩が多すぎる。

    この件では委員長へのダイブを試みて、他の議員に怪我をさせた山本太郎参議院議員に懲罰動議が出されている。

    さらに強烈なのは、志葉玲というジャーナリストが山本氏を擁護するコメントをYahoo!ニュースでしていることだ。(https://news.yahoo.co.jp/profile/commentator/shivarei/comments)

    もう一度いうが、そんなに政策が気に入らないのであれば、国政選挙で勝負すれば良いことだ。

  •  コメント失礼します。

     遺書泥棒にまともな礼節や品性を期待するのは酷かと。憐れみを以って接するべきかと。
     気になるのは大声で妨害出来てしまう事。その気になればテロ起こして皆殺しとか出来ちゃうのかな?警備はしっかりして欲しいです。

  •  現時点で産経しか報じていないのがなんとも……その産経が報じた内容にしても、鈴木宗男氏による批判を基にしたもので、曰く

    「傍聴に来た国会議員は発言してはいけない。今日は『良識の府』の参院とは思えないほど、立民や共産の人たちが声を出していた」

     入管難民法改正に関する場であり、望月も立民共産も異様な執着を見せる議題ですが。いつもの支持者へのパフォーマンスのつもりでしょうか。支持側と思われるメディア各社も動きが鈍いですし。
     自己利益などのために小さなルール破りが常態化し、どんどん麻痺して刺激が足りなくなり、お仲間内だけの世界に浸って過激さを増し、と古典的な左翼仕草という印象ですが、新聞屋と左翼政党が世間から完全に見放される……を通り越してパブリックエネミーに認識され始める地点、ルビコン川を越えた瞬間かもしれません。どうせ渡るなら三途の川でいいんだけど。

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