X

韓国経済副首相「韓日通貨スワップの再開を議論する」

やっぱり、日韓通貨スワップを再開する地ならしのようです。今月末の日韓財務対話を控え、韓国で経済副首相兼企画財政部長官は、日韓通貨スワップの再開に関し「議論する」と述べたそうです。端的にいえば意味不明です。ソウル日本大使館前や釜山総領事館前の慰安婦像も片付いていないのに、なぜ日本が韓国に通貨スワップを提供する必要があるのでしょうか。

棚ボタ自民と緩み切った対韓外交

今朝の『維新躍進?それでも岸田首相にとって今こそ解散の好機』でも指摘したとおり、正直、現在の自民党はほぼ無敵状態にあります。今すぐ選挙をやったとしても、おそらく自民党は大きくは負けず、それどころか「維新棚ボタ効果」で議席増まで狙える状況にあるからです。

維新躍進・立民惨敗なら棚ボタ的に自民の議席も増えてしまう岸田首相が13日に会見を実施するとの報道が出てきました。表向きは「異次元の少子化対策の説明」なのだそうですが、はて、本当にそうなのでしょうか?こうしたなか、6月解散・7月総選挙となった場合、選挙プランナーの松田馨氏は自民党も立憲民主党も数議席減らし、日本維新の会が1.5倍に議席を増やすとの予測を示していますが、この場合でも自民党政権、立憲民主党が最大野党、という構図はまだ変わりません。いま解散総選挙が行われた場合、日本維新の会の候補者擁立が間...
維新躍進?それでも岸田首相にとって今こそ解散の好機 - 新宿会計士の政治経済評論

その結果、何が起こるか――。

最も懸念されるべきは、自民党政権が慢心し切った結果、日本国民の、とくに自民党支持層の期待に背くような動きを、次々としかけて来ることです。

それらの典型例は増税やLGBT法案の推進ですが、それだけではありません。山積する日韓諸懸案がほぼ何ひとつとして解決していないなかで、岸田文雄首相が日韓関係「改善」(?)に前のめりとなり、日本が韓国に対し、ほぼ一方的に譲歩するという動きが相次いでいます。

韓国を輸出管理上の「グループA」、つまり昔の用語でいう「ホワイト国」に戻そうとする政令改悪の動きもそうですし、また、韓国軍による日本の自衛隊に対する犯罪行為である2018年12月の火器管制(FC)レーダー照射事件を巡り、日本政府が事実上、不問にしてしまったこともそうです。

まさに対韓外交は緩み切っているのです。

日韓鴨葱スワップ

こうした流れを見ていくと、日本が韓国を金融面で一方的に支援する協定である日韓通貨スワップ(あるいは「鴨葱スワップ」)の再開も、当然のことながら視野に入ってきます。

日韓通貨スワップに関しては、当ウェブサイトでは『韓国の外貨準備高がまた減少傾向』や『詐欺師が狙う次の「鴨葱」:日韓スワップ交渉本格化へ』を通じ、これまでも「岸田政権が再開を画策しているのではないか」と指摘してきました。

「強制徴用賠償判決に対する韓国政府の解決策発表後に韓日関係が雪解けムードを迎えている中で、韓日通貨スワップ再開の声も出ている」。そんな声、少なくとも日本では出ていません。幻聴ではないでしょうか?ただ、「相手に考える時間を与えない」のは詐欺師の常套手段ですし、少なくとも韓国から見れば、現在の日本の首相は「葱(ねぎ)を背負った鴨」です。尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領の訪日にあわせてスワップ外交が本格化する可能性は濃厚です。実務能力が極端に低い岸田首相岸田ディールという岸田首相の愚かな決断自...
詐欺師が狙う次の「鴨葱」:日韓スワップ交渉本格化へ - 新宿会計士の政治経済評論

これに関しては、一部では「何を大げさな」、「関連する報道が出ていないうちから大騒ぎする話でもない」、といったお叱りを受けることを覚悟のうえで、それでもあえて、「日本は韓国に対する通貨スワップを再開するのは、原理原則を踏み外すことにもつながる」と申し上げてきたつもりです。

ただ、非常に残念ながら、やはり当ウェブサイトとしてのこの懸念は、正解だったようです。やっぱり、通貨スワップの話題が出て来たからです。

韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の報道によると、韓国の秋慶鎬(しゅう・けいこう)経済副首相兼企画財政部長官は8日、今月29日に東京で開催される日韓財務対話に関連し、日韓通貨スワップの再開を「議論する」と述べたそうです。

韓日財務対話で通貨交換再開議論へ 韓国経済副首相「最善尽くす」

―――2023.06.08 11:47付 聯合ニュース日本語版より

慰安婦像の問題も片付いていない

端的に、意味がわかりません。

かつて日本は韓国に対し、ドル建てで100億ドル、円建てで30億ドルのスワップを提供していましたが、それらが終了したのは、麻生太郎総理によると、韓国側が「日本が借りてくれといえば借りてやらないこともないとぬかした」(『韓国の無礼な態度により麻生総理が席を立ったのは当然』等参照)からです。

ここ数日、当ウェブサイトで精力的に追いかけているテーマのひとつが日韓通貨スワップです。3月19日に米韓為替スワップを復活してもらったにも関わらず、韓国側ではいまだに「日韓通貨スワップ待望論」が根強いのですが(『韓国、米韓為替スワップに続き日韓通貨スワップに期待』等参照)、これについて麻生太郎総理は昨日、参院・財政金融委員会で日本維新の会の音喜多議員の質問に対し、日韓通貨スワップが失効する前に韓国側が「『そっちが借りてくれと言えば借りてやらないこともない』とぬかした」と述べた、と明らかにしました...
韓国の無礼な態度により麻生総理が席を立ったのは当然 - 新宿会計士の政治経済評論

また、その麻生総理が故・安倍晋三総理のもとで副首相兼財相を務めていた2016年8月27日、韓国で開催した日韓財務対話で当時の柳一鎬(りゅう・いちこう)副首相兼企画財政部長官(当時)から日韓通貨スワップの再開を依頼されたことがありました。

麻生総理はこの韓国側の申し出を受け、日韓通貨スワップの再開交渉を開始したのですが、その直後、韓国側で釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されたことを受け、日本政府が激怒。

当時の内閣官房長官だった菅義偉総理が2017年1月、日韓ハイレベル経済協議とともに、日韓通貨スワップ再開交渉を中止すると発表し、今日に至っています。

現在の宏池会政権も基本的には麻生、安倍、菅各総理を輩出した自民党政権であることを踏まえるならば、岸田文雄・現首相がやるべきは、「慰安婦像が撤去されていない以上、日韓通貨スワップの再開はあり得ない」と突っぱねることです。そうでなければ長い目で見て、自民党は岩盤支持層を失います。

財務省の狂った理論

ただ、財務省としてははおそらく、日韓通貨スワップを再開したいのでしょう。財務省は日韓通貨スワップには「日韓双方にメリットがある」と認識しているフシがあるからです。参考になるのが財務省の山崎達雄・国際局長(当時)のこんな趣旨の答弁です(『【資料】2014年4月16日の日韓スワップの議事録』等参照)。

  • 日韓通貨スワップなどの金融協力は、為替市場を含む金融市場の安定を通じ、韓国だけでなく日本にとってもメリットをもたらす
  • 日本と韓国との間の貿易・投資関係、とりわけ日本企業も多数韓国に進出して活動しているという事情を踏まえると、その国の経済の安定というのは双方にメリットがあり、通貨という面では、むしろ通貨ウォンを安定させるという面もある
  • 財務省が当時、日韓通貨スワップの規模を拡大した理由としては、韓国のためだけというよりも、むしろ日本のため、ひいてはアジア地域の経済安定のためという側面があった

端的にいって、とんでもない認識です。

財務省が経済オンチ、外務省が外交オンチというのは大変に有名ですが、この山崎達雄元局長の答弁、端的にいえば狂っています。

日韓通貨スワップで韓国の国際的信用力をバックアップしてやれば、韓国がそれを悪用し、為替介入を常態化させ、為替レートは「韓国にとって非常に有利なレート」で安定します。かつての半導体産業がそうだったように、韓国は為替ダンピング戦略で日本の産業を潰しに来るのです。

せっかく円安で日本経済が復活し始めているなか、日韓通貨スワップの提供は韓国の為替操作に悪用されることは明白であり、日本にとって一利もないどころか有害極まりないものです。

いずれにせよ、安倍、菅政権のころであれば、当ウェブサイトとしても「韓国でこんな議論があった」などとしつつ、「こんな寝言は聞き流せばよい」とするスタンスで一貫していたのですが、最近は「旧ホワイト国」の件にしても、FCレーダー照射事件の件にしても、油断できない動きでいっぱいです。

まさに対韓外交に関していえば、現在の岸田文雄政権の姿勢は、自民党政権でありながらも、2012年の民主党・野田佳彦政権のときとそっくりになって来たといえるのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (21)

  • 「2012年の民主党・野田佳彦政権のときとそっくり」
    つまり間抜けなお人好し総理だと言う事ですね。
    自民党政権が続く事に異議は有りませんが、岸田政権が続く事に異議ありです。
    この流れが続くと民主党に政権を取られた自民党に成り下がっていくようで怖いですよね。

    • キシダは全くダメで呆れる。いい加減にしろと言いたい。
      K国にとっては笑いが止まらないことだろう。ちょっとすり寄っただけなのに、首脳会談には応じるし難なくホワイト国にもどすし、レーダー照射も無かったことになったし、いよいよスワップも。
      キシダはチョロイと思っている事だろう。今のうちにに全て譲歩させて後はまた蒸し返しだ。
      福島処理水、農産物禁輸、佐渡金山の登録妨害、
      やりたい放題だ。まだまだ慰安婦、徴用工だって解決していない。日本を攻撃する手には困らない。
      早くキシダを辞めさせないととんでもない事になる。

    • > 「2012年の民主党・野田佳彦政権のときとそっくり」

      外見上はそうでも、内情は全く逆でしょう。
      特亜工作員の指示に従った野田総理と、バイデンの忠実なポチである岸田総理では、ベクトルが真逆です。

      半導体3品目包括化や、韓国をグループAに入れる件等、岸田総理が米国の意向に逆らってやっている訳ないでしょ。全てバイデンの指示に忠実に従っているだけ。真田氏が2020年に「バイデンが当選すれば、理不尽な対韓譲歩を水面下で迫って来る」と予言した通りです。

      FCレーダ照射をウヤムヤにしたのも、今後韓国が日本近海で瀬取り等を行っても、それを覗きに行ったりしませんという意思表示だし、日本のオールドメディアもバンバン報道している日韓スワップも、サムスン等を惜しげもなく経済援助しますという意思表示でしょう。

      岸田総理は、「米本土が核攻撃されない限り核は使わない」と公言する議員が米民主党内にゴロゴロ居るのに、米国の核の傘を信じて疑わない位No thinkなので、全てバイデンに御伺いを立てての事でしょう。

      また、G7サミットが広島だったのも、彼の選挙区だから。米大統領の広島訪問は2回目だから新鮮味無しだけど、彼は「被爆地といえば広島。長崎なんて無きが如く振る舞う。」を実践する位、我田引鉄型の化石的政治家でもある。

      こんなポチを放し飼いにしていては日本が滅びます。
      選挙があれば、宏池会系候補を落選させる必要があります。

  • 韓国は、感情論と目先の損得ばかりで他国を振り回す悪癖があります。

    それに対して日本のように「真面目な対応」をすることは「正直者が馬鹿を見る」結果になるのは、1965年以降の日韓関係史を見れば明らかです。

    それがわからないのが外務省であり、自民党の親韓派議員なのではないでしょうか?

    韓国への扱いは、かつて彼らの宗主国であった中国のように対応するのが正解でしょう。

  • 韓国側の「韓日通貨スワップの再開を議論する」・・・勝手にほざいておれ。キンスの用立てはせぬから。コレをやったら岸田氏は100%辞職することになる。

  • 韓国の自称徴用工問題の財団方式の「解決」という暴挙に出た時点で、ホワイト国や通貨スワップの件も必ず出てくるだろうと予測してる人がほとんどだったと思いますが、やはり出てきましたね。もうある程度決まっていたことなんでしょう。本当にあきれるしかない。

  •  実施されたら「レーダー照射事件棚上げ」に続く暴挙であり、断固として反対します。既に当面、自由民主党には投票しないと宣言しておりますが、この他に何をすればいいんでしょうか?
     レーダー照射棚上げについても、辛坊治郎が「北朝鮮のミサイル発射直後のデータを得られるから日本にとって有益」とか、阿呆な議論をしていましたが、今回の為替スワップについては、衰退していく韓国と道連れになりたい、ということでしょうか。
     韓国の単なる希望的観測であることを願ってやみません(いまいち岸田政権が信用できないんですよね)。

  • >韓日財務対話で通貨交換再開議論へ 韓国経済副首相「最善尽くす」
    >秋氏は財務対話について、「両国の経済懸案、域内での金融協力について議論する」と述べた。

    彼らは、自国メディアに核心(記事タイトル)を代弁させ、決して頭を下げたりはしないんです。
    「最善尽くす」の実態が「察してくれよ!と『”秋”波』を送ること」なんてオチでは笑えません。

  • オカルトですが、一昔前に話題になった日月神示が現実化してるように思えて来ました。

  • おお、やはりですか。

    日本から実利をしっかり盗み取る尹錫悦政権の用日手腕が大したものなのか、

    韓国に騙される為に産まれてきた岸田文雄が駄目すぎるのか、

    一体どっちなんでしょうね?

    とりま、岸田文雄が総理の職に居る限り韓国は日本から「公金チューチュー」し放題でしょうから、早く岸田文雄を処理した方が良いと考えるんですけどね。

    外患誘致罪で死刑なんか良いんじゃないですか?

  • 国民の多くが反日、嫌日、侮日で日本を辱め、韓国国内に留まらず海外でまで辱めている韓国に対して片務的経済利益を与えるのは反対です。
    特に侮日が酷かった文政権を選んだのは韓国国民であり、政権が変わったとしても、保守、進歩・左派を問わずその責任は韓国国民全員が負うべきものだと考えます。百歩譲っても、今でも少なからざる韓国人が日本を辱めており、そのような韓国人にまで利益が及ぶ片務的経済利益を提供する必要はないと考えます。
    両国間の関係改善は、積み重なった問題の根本的解決がスタートであり、それなしの利益提供は「用日」の餌食になるだけであり、政治家・官僚諸氏は韓国へのいわれのない利益提供について国民が納得できる説明を行うべきです。
    「用日」の餌食にならなければ日本が滅びるのであれば、筋をとおして滅んだ方がましと考えます。

  • 日本にとってのメリットとして一体何があるのでしょうか。デメリットはあっても、メリットは思い浮かびません。いいように韓国にメリットのみ享受させるような愚策は実行すべきではないと思います。
    一方、これまでの経済、外交等の政策立案と実行をみるに、岸田首相は原理原則に忠実に、つまり我が国の国益を第一に考えての政治ではなく、頭の中で何事も究極的には自身の保身が優先させる思考サイクルの御仁であるように見受けられ(これが安倍さん、菅さんとの大きな相違点)、本件についても又もや水面下で何をしでかす(or しでかしつつある)のか,ただただ大きな不安しかありません。
    因みにJETROが財務省、日銀の発表した「本邦対外資産・負債残高統計」及び「外国為替相場」に基づき作成、発表した日本の対外直接投資残高2021/末によれば、韓国向けのそれは40,096百万ドルで、全体に占める割合は2.02%。因みにASEAN4向けは7.22%, 中国向けは7.39%。

1 2