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    Categories: 金融

スリランカの債務問題にみる国際与信統計の大きな課題

「スリランカの中国からの借金を、日本がチャラにしてあげる」。「またも気前良く、岸田がバラマキ外交を行った」。そんな批判の声も漏れてきます。こうしたなかで、本稿では銀行による国境を越えた融資を示す国際与信統計をもとに、スリランカの民間債務の状況について、中国が統計データを出していないことで生じる問題点を確認してみましょう。

CBSと日本

CBSとは?

当ウェブサイトにおける論考では統計データを重視しているつもりであり、それらのなかでもとくに重視しているものが、「おカネの流れ」に関するものです。

こうした「おカネの流れに関する統計」のなかでも、とりわけよく知られているものとしては、資金循環統計や国際債務統計、国際通貨基金(IMF)の外貨準備の通貨構成別統計、SWIFTがほぼ毎月公表している『RMBトラッカー』などがありますが、それだけではありません。

個人的に、とりわけ有用度が高いと考えている統計のひとつが、国際決済銀行(BIS)が公表する『国際与信統計』です(英語では “Consolidated banking statistics” と呼ばれているため、しばしばこれを「CBS」と略すこともあります)。

日本が通貨危機に陥る可能性が極めて低い理由

たとえば、先日の『データで見る「外貨建ての負債が少ない国・ニッポン」』では、このCBSのデータ上、日本は外貨建ての債務がとても少ない国だ、という話題を取り上げました。

改めて指摘しておくと、2023年12月末時点で日本の金融機関は(最終リスクベースで)全世界に対し5兆0435億ドルという与信を有しており、そして、この金額は世界最多です(ちなみに日本が世界1位となるのは2015年9月期以降、34四半期、すなわち約8年半連続のことです)。

ただ、日本は国を挙げて、かなりの額のカネを外国に貸していることは間違いないのですが、その経済規模のわりに、外国から借りているカネは非常に少ない、という特徴があります。

もちろん、外貨建て(とくにドル建て)の資金調達(ファンディング)は日本にとって死活的に重要なものではありますし、こうした外貨調達ができなくなってしまうと、日本経済にも深刻な影響が及ぶことになります。

しかし、2023年12月末時点において、日本が国全体として外国から借りているおカネは(所在地ベースで)約1兆3256億ドルですが、外貨建ての債務は5658億ドルとその半額以下であり、7597億ドルが自国通貨建て、すなわち円建てなのです。

しかも、日本の場合、そもそも外貨準備で1兆ドル前後という巨額の流動性を保有しているのに加え、米国、欧州など主要先進国と無制限常設型為替スワップを保有していることを忘れてはなりません。いざとなれば、日本の金融機関は、ドル、ユーロ、英ポンドといったハード・カレンシーであれば、調達可能なのです。

ちなみに余談ですが、最近だと、「円安で日本が売られ、やがては金融危機が発生する」、などとしきりに叫んでいる人たちもいるのですが、こうした意見を持っている人たちはたいていの場合、金融のド素人だったりもします。日本のオールドメディア界隈は、本当に面白いですね。

債権債務データで見る世界

債権国からは32兆ドル

それはともかくとして、このCBSは国境をまたいだ資金のやり取りを総合的に同じ尺度で把握することができるため、大変便利で有益な統計なのですが、それと同時にひとつ、大きな欠点もあります。

それは、CBSの債権国側のデータが31ヵ国・地域の「報告国」のものに偏っている、という点です。

当ウェブサイトで紹介しているデータは、基本的に「債権国側」のものと、「債務国側」のものがあります。たとえば「日本が世界最大の債権国だ」とする説明は、次のようなデータに

図表1 最終リスクベース・債権【債権国側】(全報告国集計)
債権国 債権額 構成割合
1位:日本 5兆0435億ドル 15.64%
2位:英国 4兆5015億ドル 13.96%
3位:米国 4兆2308億ドル 13.12%
4位:フランス 3兆5257億ドル 10.93%
5位:カナダ 2兆7702億ドル 8.59%
6位:スペイン 2兆2274億ドル 6.91%
7位:ドイツ 1兆8195億ドル 5.64%
8位:オランダ 1兆5634億ドル 4.85%
9位:イタリア 9833億ドル 3.05%
10位:スイス 9284億ドル 2.88%
その他 4兆6542億ドル 14.43%
報告国合計 32兆2478億ドル 100.00%

(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)

この図表から判明するのは、「日本が世界最大の債権国である」、といった事実だけではありません。図表末尾の合計額が32兆2478億ドルとなっている、という点についても、確認しておきましょう。

債務国も金額合計は32兆ドルで一致する

これを踏まえたうえで、次の図表2が、「債務国」側から眺めたランキングです。

図表2 最終リスクベース・債権【債務国側】(全世界分)
債務国 債務額 構成割合
1位:米国 8兆2986億ドル 25.73%
2位:英国 2兆2075億ドル 6.85%
3位:ドイツ 1兆7488億ドル 5.42%
4位:フランス 1兆5438億ドル 4.79%
5位:ケイマン諸島 1兆4913億ドル 4.62%
6位:日本 1兆2681億ドル 3.93%
7位:中国 8727億ドル 2.71%
8位:イタリア 8631億ドル 2.68%
9位:香港 8626億ドル 2.67%
10位:ルクセンブルク 7795億ドル 2.42%
その他 12兆3119億ドル 38.18%
合計 32兆2478億ドル 100.00%

(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)

これによると世界で最大の債務国が米国であり、国際与信の約4分の1を米国が1ヵ国で借りている、といった実態が見えて来て、これはこれで興味深いのですが、ここでもうひとつの注目点が、やはり図表末尾の合計額が32兆2478億ドルとなっており、図表1の末尾と一致している、という事実でしょう。

つまり、図表1と図表2は、同じデータを債権国側から、債務国側から、それぞれ集計し直したものに過ぎません。

データの網羅性に大きな違い

しかし、この2枚の図表で、大きく異なる点があります。

それは、「データの網羅性」です。(どちらの図表でも11位以下は割愛していますが)図表1に登場する債権国は31ヵ国・地域に過ぎないのに対し、図表2に登場する債務国は、なんと228ヵ国にも達しています(ただし債務国側のデータは「国際機関」を1ヵ国とカウントしています)。

債権国側のデータは最大でも31ヵ国に過ぎないのに対し、債務国側のデータは地球上に存在するおそらくほとんどの国が網羅されています。というのも、BISにデータを報告し得る債権国は限られているのですが、その債権国が「わが国はこの相手国に貸しています」とBISに報告しているからです。

ここでよくわかる事例が、北朝鮮でしょう。

北朝鮮はもちろん、BISの「報告国」ではありませんので、北朝鮮の銀行が外国にいくらおカネを貸しているか、というデータについては、わかりません。

しかし、債権国側が出しているデータには「北朝鮮向けの与信」も含まれているため、北朝鮮が債務国となっているデータだけを抽出すれば、次の図表3のとおり、(いちおうは)北朝鮮が国際社会から借りているカネ(の一部)を集計することが可能です。

図表3 北朝鮮向け与信・上位4ヵ国(最終リスクベース、2023年12月末時点)
債権国 債権額 構成割合
1位:イタリア 392.2万ドル 20.35%
2位:豪州 334.1万ドル 17.33%
3位:フランス 100.0万ドル 5.19%
4位:アイルランド 1.3万ドル 0.07%
その他 1100.0万ドル 57.07%
報告国合計 1927.6万ドル 100.00%

(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)

北朝鮮向け与信の額は少なすぎる?

ただし、この図表3のデータを見て違和感を抱くとしたら、「北朝鮮が国際社会から借りているカネは(最終リスクベースで)たかだか2000万ドル弱に過ぎない」、という点ではないでしょうか。

もちろん、北朝鮮は貧しい国ですので、外国からカネを借りても返せない、という問題はあるでしょう(というか、北朝鮮はむしろ過去から借金のたぐいを積極的に踏み倒してきた国でもあります)。

ただ、1ドル=150円と換算しても、2000万ドルといえば30億円少々に過ぎません。いくら北朝鮮が貧しいからといって、核やミサイルを開発するだけでなく、何らかのインフラ投資で外国から少しくらい、カネを引っ張っていても不思議ではないはずです。

このように考えると、北朝鮮が本当に、国際社会からたった2000万ドル少々しかおカネを借りていない、という可能性ももちろんありますが、どちらかといえば「CBSのデータ提供源が最大31ヵ国・地域に限られているため、それらを集計しても2000万ドルにしかならない」、という方が、実態に近いのではないでしょうか。

また、図表3の「約2000万ドル」は「最終リスクベース」で集計を行った結果のものですが、ここで「所在地ベース」のデータを使うと金額は5073.5万ドルになり、「最終リスクベース」と比べ、集計される与信総額は倍以上ですが(図表4)、こちらのデータであっても感覚的に少なすぎる気がします。

図表4 北朝鮮向け与信・上位5ヵ国(所在地ベース、2023年12月末時点)
債権国 債権額 構成割合
1位:ブラジル 2548万ドル 50.22%
2位:メキシコ 462万ドル 9.11%
3位:イタリア 392万ドル 7.73%
4位:豪州 334万ドル 6.59%
5位:フランス 100万ドル 1.97%
その他 1237万ドル 24.38%
報告国合計 5074万ドル 100.00%

(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)

中国要因に隠れたスリランカ問題

やはり中国からの融資が隠れている問題は大きい

あくまでも「可能性」の議論ですが、北朝鮮に対しては中国などの銀行も、それなりにカネを貸していたとしても不思議ではありません。実際、ときどき報じられるとおり、中国の一部の民間銀行は、北朝鮮関連融資で米国から経済制裁を喰らっていたりもします。

このため、現実のCBSのデータでは北朝鮮の対外債務を正確に把握することができない、という可能性が濃厚でしょう。とりわけ中国からの債権データが、CBSだと得られないからです。

債務国(おカネを借りている側の国)の一覧表である図表2だと中国は出てきますが、債権国側(おカネを貸している側の国)の一覧表である図表1だと、中国の名前が出てきませんが、これも中国が債権国側として、データをBISに提出していないからです。

中国が将来、BISにデータを報告したからといって、それが信頼できるのか、という問題はあるかもしれませんが、それにしても現状で考えると、やはり中国との金融面でのつながりが指摘される国の債務総額を正確に知ることが難しいというのはもどかしいかぎりです。

スリランカの債務再編問題と日本

こうしたなかで、金融評論家的にもうひとつ「もどかしい」事例があるとしたら、それはスリランカではないでしょうか。

ゴールデンウィーク中の5月4日付で日経新聞が報じた次の記事によると、スリランカを訪れていた上川陽子外相が、同国の対外債務の救済案を話し合い、「債務再編に向けた二国間合意の締結への石が確認できれば、円借款事業を再開する」と述べたのだそうです。

スリランカ救済、脱中国依存へ日本が主導 外相が会談

―――2024年5月4日 11:00付 日本経済新聞電子版より

わかりやすくいえば、国際的な債務再編を進め、デフォルト状態に陥っている同国を救済・支援するための対話を日本が主導する、ということです。当然のことながら、念頭にあるのは中国でしょう。

スリランカといえば、かつて中国の支援で港湾を建設したものの、中国に対する債務弁済が滞ってしまい、港湾施設の差し押さえを喰らうなどした経緯もあります(『一帯一路で知られるスリランカが外貨建債務デフォルト』等参照)。

この点、インターネット上ではSNSなどを中心に、「どうして中国からおカネを借りて返せない国を日本国民の税金で救済するのか」、といった不平・不満の声も漏れているようですし、なかには「またしても岸田(首相)が気前よく外国にカネをばらまいた」、といった批判もあります。

ちなみに外務省ウェブサイトでいちおう原文を確認してみましたが、「日本がスリランカの中国からの借金を全額肩代わりする」、といった趣旨の記述は確認できませんでした。あくまでも上川氏は「債務再編は透明に」、「ちゃんとやれば円借款を再開する」、としか述べていません。

日・スリランカ外相会談

―――2024/05/04付 外務省HPより

このため、「国民の貴重な税金で中国からの借金を肩代わりしてあげると合意した」という一部ウェブサイト等の主張は、事実に反するものである疑いが濃厚です。

そして、スリランカが日本のシーレーンの要衝にあることを思い出しておくだけでも、今回の上川氏の発言には非常に大きな意義があることがわかります。もしも今回、日本が主導する国際的な債務再編に成功すれば、中国の「債務の罠」から脱却する良い事例となる可能性があるからです。

スリランカの対外債務額は?

ただ、ここで気になるのは、スリランカの対外債務の金額です。

CBSを使ってスリランカの対外債務を集計してみると、「所在地ベース」が図表5、「最終リスクベース」が図表6のとおりです。

図表5 スリランカ向け与信・上位5ヵ国(所在地ベース、2023年12月末時点)
債権国 債権額 構成割合
1位:英国 20億8600万ドル 49.51%
2位:米国 4億3700万ドル 10.37%
3位:フランス 2億6600万ドル 6.31%
4位:イタリア 1億1214万ドル 2.66%
5位:日本 5170万ドル 1.23%
その他 12億6003万ドル 29.91%
報告国合計 42億1287万ドル 100.00%

(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)

図表6 スリランカ向け与信・上位5ヵ国(最終リスクベース、2023年12月末時点)
ランク(債権国側) 金額 構成割合
1位:英国 19億ドル 62.33%
2位:米国 4億0800万ドル 13.74%
3位:フランス 2億4200万ドル 8.15%
4位:インド 7652.2万ドル 2.58%
5位:イタリア 2027.7万ドル 0.68%
その他 3億7166万ドル 12.52%
報告国合計 30億ドル 100.00%

(【出所】The Bank for International Settlements, Consolidated banking statistics データをもとに作成)

スリランカ政府のデータだと債務は373億ドル

どちらの図表で見ても、債務の額は30~42億ドルと、スリランカの経済規模と比べればやや多いものの、この程度であれば日本が全額肩代わりしてあげても良いのではないか、といったレベルであるようにも見受けられます(英国が最も多額の債権国ですが…)。

しかし、日経新聞の先月の記事によれば、スリランカの対外債務は合計で373億ドルだといいます。

スリランカの債務問題とは 残高373億ドル、中国が最大

―――2024年4月7日 2:00付 日本経済新聞電子版より

具体的には、「スリランカ政府提供の資料」によると、スリランカの対外債務は民間債務が147億ドル、国際機関などからのものが118億ドル、二国間債務は108億ドルで、この「二国間債務」のうち最大が中国の47億ドル、続いて日本の25億ドル、インドの14億ドル、フランスの4億ドル――だそうです。

おそらくここでいう「二国間債務」は、先ほどのCBSによるものではなく、おもに政府間融資のことでしょう。CBSデータはあくまでも民間の金融機関の融資状況を示すものだからです。

ただ、中国が最大の債務国であるという点については、CBSのデータからはわからない、という点については先ほどから指摘している通りです。

このあたり、中国から世界に対するカネの流れをどう把握すれば良いのかに関しては、なかなかに悩ましい論点といえるでしょう。

カネの外交のなにが悪い

さて、最後にもうひとつ、重要な余談です。

先ほども指摘したとおり、今回のスリランカの件に関しては、一部では「日本が借金を肩代わりするのはおかしいじゃないか」、と言った趣旨の指摘があることも事実です(スリランカの「借金肩代わり」の件はおそらくは事実誤認ですが)。

しかし、日本は憲法の制約もあり、武器をもって戦うことが難しい、といった事情については、考慮する必要があります。つまり、マネーの力を使って外交をするのは、日本の安全と経済的利利益の観点からは、やむを得ない話でもありますし、また、望ましい話でもあります。

また、円借款などの支援も、多くの場合、基本的には「あいてにあげるおカネ」ではなく、あくまでも「相手に貸すおカネ」です。

日本のような「透明性の高い融資」で相手国を支援するようなパターンは、相手国からも喜ばれますし、西側諸国からも歓迎されますし、外貨準備などは利息収入により儲かりますので、まさに「良いことづくめ」だったりもします。

こうした視点については、意外と欠落しているというケースが多いのではないでしょうか。

個人的に岸田文雄首相、上川陽子外相らに対しては、不満点も多々あるのですが、少なくともこうした「カネの力」を利用した外交に関しては、まったくもって正しいと断じざるを得ないのです。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • 気になるのは、中国に差し押さえられたスリランカ南部のハンバントタ港は、差し押さえられたままっぽいですね。

    • 差し押さえられたんじゃないです。
      自由に使っていいって契約になっているんです。彼の国が、差し押さえなんて経済的利益のない意味のない契約はしないでしょ。
      自分達が自由に使えるようになっているんだから、所有権なんて名目はどうでもいい。そもそも、権利は、それを保証してくれる権力がなければ何の意味もないものです。

  •  「アメリカはNATOに近づく(ロシアから離れる)国(ウクライナ)を見捨てずに軍事支援する」と「日本は健全な円借款により(中国によりいいようにされて)困窮した国(スリランカ)を救済する」は、見かけも手段も異なりながらかなり似た性質の外交に思えます。後者はさらにコスパも良いし人的犠牲も無いですしね。
     それぞれがやれ戦争ビジネスだバラマキだといった批判を真に受け見捨てた場合、様々な弊害、損失が出ると思われます。外交に確かな方針、戦略が無ければこういった判断が鈍ることになります。

  • 中国の資金循環統計を新宿会計士先生に推定いただきたく。前からそう思ってます。とんでもなく無知なおねがいなのかもしれません。

  • 借款は現ナマを渡すわけじゃなくて、例えば案件に応じて「コマツのトラクター」とか「いすゞのトラック」とかを渡すんじゃないの?

    • それは、紐付きODAで、今はやってない。それに、いすゞは、もう日本企業ではない。日本にもうトラックメーカーはない。知識が、20年前でとまっいる。

        • お金貸す、借りるって、そういう事でしょう。
          使途が厳しく限定されているのは、住宅ローンくらいか?

      • >いすゞは、もう日本企業ではない

        この話どこから出てくるのかね?
        最新データでは資本の過半数は外国法人以外ですけどね。

  • よく分からない話です。

    1.お金を貸したとして、返すお金を作り出す産業があるのか?そんな産業があるなら、中国に返せば良い。また、その産業を起こす種銭を貸すのなら、中国だって同じ事が出来るはずで、ノコノコ日本が出張ることもないだろう。
    2.お金には色も形も無い。相手に渡せば何に使うかを干渉することは出来ない。あらで、中国への返済に回すかもしれない。
    これは、個人でもあること。新しい事業を起こすために貸してください、と言いながら、裏で怖い相手への返済に当てていて、一向に新しい事業を始める気配がない。気が付いたら、貸し倒れになった、こちらは大人しいから返す必要ないだろう、時間が経てばチャラにしてくれるさ、そもそも、彼は、俺の家の前を通らなきゃ、大事な油買えないんだから、俺には強く出れないはずだ。

    なんて考えているかもしれない。キシさん、甘く見られているな、世界中から。

  • スリランカ債務問題は経済の問題でもありますが、地政学リスクの問題でもあります。このためスリランカは地政学リスクで、(経済を度外視して)他国から援助してもらうことも、介入されることもあります。

    • 地政学リスク対策なら、介入しかないでしょう。戦前の日本もそうしました。
      戦後は、援助にしたら、まあ、足下見て、あれよこせこれよこせ、と手を変え品を変え好き勝手言うは、俺の資金援助しろ、借金の保証人になれ、俺の保証人になることは、お前の為になるんだから、と、止まる所を知らず、

  • スリランカの件はたとえば、ヤマタノオロチに人身御供されるクシナダヒメを助けたような?
    あるいは親の借金のカタに妾にとられそうな町娘を助けた水戸黄門か大岡越前てところか。
    (最近だと猫猫でも似た話がありましたな)

    ポイントは、
    「中共は1の借金のカタとして10を取立て」
    ですかね。
    とりま日本から1だけ貸して中共の取立てを邪魔するだけでも意味意義はあるかと思いますよ。

    あげる訳ではなくて肩替わりなんだから、借金をこさえた両親は追い出して町娘が家計を仕切るくらいの担保は取れるでしょうし。

  • 事業計画をしっかりとたてれば大手の信用のある銀行がお金を貸してあげるから、クソヤバ消費者金融からお金を借りるのはやめようね^^
    ってことやね。

  • 日本のシーレーン内のインド洋の覇権の行方にも影響するし、太平洋で中国を第一列島線から出さないための外交に必死こいて汗をかいていることの延長ですし、金勘定だけの観点で判断することではないですわね。

    この件以前から話題に上がってましたが、別に日本政府もすぐに飛びついたわけではなく様子をうかがっていたようなんですよね。さすがに筋の悪さはわかっていると思います。
    債務整理に協力をするってことは、中国の第三世界融資の実態(酷さ加減)を明らかにするいい機会でもありますよね。
    一帯一路の方針に乗っかって各国に融資した中国の銀行は債権が塩漬け状態らしく、幹部は自分の代で不良債権化しないことだけを願っていると聞いたことがあります。気になるでしょうね。

    • 対外債務373億ドルの内訳がありました。
      はにわさんご推奨のJETROです。
      記事中のリンク先のPDFファイルに債権者名と債務残高の内訳が記されていました。

      JETRO(4/30):政府と民間債権者、債務再編について合意ならず協議を継続
      https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/04/f538a8c22d806704.html

      政府間債務にしても民間債務にしても、債権者がグループを作って交渉しているようです。まだ債務再編の合意に至っていないようですが。
      外務省の発表にも、
      「債務再編に関する覚書が署名され、二国間合意の迅速な締結に向けたスリランカ政府の意思が確認された際には」
      と条件が書かれていますので、債権者・債務者同士の債務再編方針が合意されてからの話であって、日本だけが債務を肩代わりすると言う話はなさそうです。
      今の借金の整理が付けば日本のやり方で新たに貸しますよと(円借款)。

  • 少し面白い読み物がありました。
    債務再編交渉では債権者の協調が大事で、その枠組みを立ち上げるのに日本の財務省の担当者が汗をかいたとのことで、その苦労話です。
    先進国の債権国は従来からパリクラブと呼ばれる非公式な枠組みを持っているそうですが、スリランカ債務の多くを占める非パリクラブ国の中国・インドなどとの協調は前例がなく、枠組み構築が大変だったそうです。

    財務省の広報記事みたいなもんですし、そこの登場人物に聞けばまた別の評価もあるかもしれませんが、「いい仕事してる」という感想でした。
    ProjectX・誕生秘話みたいで読みやすいです。

    スリランカの債務再編(デフォルトから債権国会合創設までの歩み)
    https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202306/202306f.pdf

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