薄氷上を歩む日韓:早速出てきた「汚染水視察団」論争
「汚染水視察団」は「検証」をするのか、それとも文字通り「視察」するだけなのか――。こんな論争が、韓国国内で始まったようです。論争に火をつけたのは西村康稔経産相が、韓国から受け入れる処理水の「視察団」を巡り、「処理水の安全性について評価や確認を行うものではない」と報じられたことにあります。韓国の「我々を特別扱いせよ」との要求に日本が応じなければどうなるか。「薄氷」は案外すぐに割れるのかもしれません。
薄氷の上を歩く両国首脳
今朝の『鈴置氏「岸田首相が韓国に謝罪も…ガラスの関係改善」』では、日本を代表する韓国観察者のひとりである鈴置高史氏がウェブ評論サイト『デイリー新潮』に9日付で寄稿した論考をもとに、岸田文雄首相の訪韓の「成果」について考えてみました。
該当する論考は次のリンクの通りです(デイリー新潮には読者コメントの機能も実装されていますので、感想があれば入力してみても良いのではないかと思います)。
寝た子を起こす謝罪、第3者弁済のまやかし…岸田外交は日韓に時限爆弾を残した
―――2023/05/09付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より
それはさておき、鈴置氏は論考の末尾で、こう指摘しています。
「メディアが謳う日韓の関係改善はガラス――というか薄い氷です。両首脳は薄氷の上を歩いています。下駄を踏み鳴らしながら。いつ氷が割れて冷たい水に沈むか分かりません」。
なぜ日韓関係の改善が「ガラス」、あるいは「薄い氷」なのかといえば、今年3月以降の自称元徴用工問題の「解決策」に始まった日韓関係「改善」自体が、極めて危ういものだからです。
そもそも第三者弁済自体、自称元徴用工問題の解決策になっていませんし、どこかで綻(ほころ)びが出てくれば、日韓関係はまたあっという間に険悪なものになりかねません。
岸田首相は現在、輸出管理上の韓国の取り扱いを、「(旧)ホワイト国」――、すなわち現在の「グループA」に再追加すべく動いていますが、日韓関係が険悪化し、再び韓国の輸出管理に問題が出てきた場合には、この措置は韓国による「食い逃げ」となる可能性が濃厚です。
怪しげな某自称会計士の感想
こうした視点から、個人的には、こんなことを考えている次第です。
「氷が割れる」なら、いっそのこと早い方が良い。
2018年10月・11月の大法院が下した違法判決を放置したまま、根本的な解決にもなっていない第三者弁済を「解決策」と騙る尹錫悦(いん・しゃくえつ)大統領と、インテリジェンスが致命的に欠如した岸田文雄首相。
このまま関係改善を粛々と進めてもいずれ破綻するし、そうなれば日韓関係は今度こそ取り返しがつかない状態に陥りかねない。そうであるならば、どうせいつか破綻するならば、早めに破綻した方が、却ってダメージは少なくて済む。
ちなみにこの趣旨の文章は、鈴置氏の記事の読者コメント欄に、山手線の駅名を冠した怪しげな自称会計士が入力したものでもあります。
韓国自身がもし法治国家になろうとするのならば、小手先の策を弄するのではなく、また、日本に謝罪を要求するのではなく、まずは自国の違法判決問題を解決する必要がありますし、それをしないのであれば、韓国は名実ともにロシアや中国と同類の無法国家となりかねません。
また、日本政府(あるいは猿芝居を繰り広げる岸田首相や外務省)も、日本の外交を故・安倍晋三総理以前に戻そうとしているようですが、残念ながらオールドメディアが情報を完全に支配していた時代はすでに終わってしまっています。
岸田首相がいつ解散総選挙に踏み切るのか(あるいは踏み切らないのか)はわかりませんが、少なくともオールドメディアが誘導しているわりに、ネット上で「日韓関係改善ムード」が盛り上がっているわけではありません。現在のような国民を舐めた態度を取っていると、どこかで手痛いしっぺ返しを喰らうのではないでしょうか。
さっそくの「汚染水視察団」論争:きっかけを作ったのは西村氏
さて、こうしたなかで、「薄氷」に亀裂を入れるかのごとき話題も出てきました。岸田首相の訪韓では、福島原発のALPS処理水の海洋放出を巡って、韓国からの「視察団」の受入で合意しましたが、その「視察団」の位置づけを巡って、さっそく日韓双方の発表に齟齬が出ているようなのです。
ここで紹介しておきたいのが、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された、こんな記事です。
「文字通り視察」という日本…韓国政府の「汚染水実際の検証」に釘刺す
―――2023.05.10 09:13付 中央日報日本語版より
記事タイトルに「汚染水」とありますが、これはもちろん誤りで、正しくは「ALPS処理水」または「処理水」です。
(※余談ですが、韓国メディアは対韓輸出管理適正化措置を「輸出『規制』」、処理水を「汚染水」、自称元徴用工を「強制徴用被害者」などと誤った用語で呼び続けていますが、こうした報道記事を目にするたびに、日韓関係「改善」があり得ない話だと断じざるを得ません。)
それはともかく、中央日報によると、韓国外交部の当局者は9日、記者らに対し、「『汚染水』視察団」の役割が「汚染水処分の安全性を評価すること」にある、などと述べたのだそうです。いわば、「視察団が独自に汚染水放流の適正性と関連した独自の検証と評価の役割をすることになる」、という意味なのだとか。
そして、どうもこの論争に火をつけたのは、西村康稔経産相らしいのです。
西村経産相は同日の会見で、韓国から受け入れる処理水の「視察団」については、「処理水の安全性について評価や確認を行うものではない」と述べたそうです。これを字義通りに解釈すれば、「視察団の役割は単純な視察にだけ限定される」、という意味でしょう。
こうした発信が適時に出て来るあたり、西村氏も官邸主導の輸出管理緩和などを巡って、相当に腹に据えかねていることがあるのかもしれません。
「心が痛む」発言の不用意さ
それはともかくとして、おそらく韓国の世論が日本政府に対して求めているのは、「我々を被害者として特別扱いしろ」、ということに尽きるのだと思います。その典型的な事例が、岸田首相訪韓時の「心が痛む」云々の発言でしょう。
これが謝罪なのか、謝罪ではないのかについてはさまざまな考え方があるとは思います(たとえば『岸田首相訪韓は日本の安全保障環境をむしろ悪化させた』でも説明したとおり、当ウェブサイトではこの発言を「謝罪とは言えない」と位置付けていますが、鈴置氏はこれを鈴置氏は「謝罪だ」と断言しています)。
ただ、この発言を巡ってひとつだけ間違いない点があるとしたら、韓国側ではこの「心が痛む」云々の発言にまったく満足していない、ということでしょう。
『岸田首相の歴史発言巡り「不十分」一色=韓国メディア』でも指摘したとおり、岸田首相の「心が痛む」云々の発言は、自民党支持層である日本の保守勢力を落胆または激怒させるだけでなく、韓国国民に対しても同様に、強い不満をもたらしているのです。
いずれにせよ、今月は韓国から処理水の「視察団」がやってきますが、日本側のその処遇いかんでは、韓国の世論がまた激高する局面がみられるかもしれません。
なにより、例の韓国を輸出管理上の「(旧)ホワイト国」に復帰させる政令改悪案を巡るパブコメが今月末で締め切られますが、これに応募が何件あったのか、うち反対意見が何件あったのかについては、非常に興味深いところです。
【重要なお知らせ】パブコメ大募集中!
なお、当ウェブサイトではこの政令改悪案を巡って、パブコメの入力方法等に関する解説記事を、サイト冒頭に5月末まで掲載し続ける予定です(『パブリック・コメント大募集!入力方法を解説します!』等参照)。
もし対韓輸出管理の緩和に意見があるという方は、是非とも政府に対し、直接意見をぶつける機会としてください。その際、差し支えなければ、当ウェブサイトの上記記事の読者コメント欄に、そのパブコメの内容と案件番号「595123034」で始まる「受付番号」についても併記してくださると幸いです。
(なお、本日の午前7時31分の報告だと、6122件目だったそうです。)
ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。
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岸田首相は、先人からの知恵である「助けず、教えず、関わらず」の「非韓三原則」を
守るべき。
日本が、「非韓三原則」を貫けさえすれば、韓国はそのうち衰退する。
韓国が国力を増強することは、日本にとってよいことは何もない!!
外交は、日本の国益を第一としてなすべき。
岸田首相が韓国の国益を重視するのであれば、韓国に帰化すればよい。
汚染水を視察したいのなら文字通り処理前の汚染水を見せてやればよい。
もちろん防護服無しで。
「汚染水ならわざわざ日本までご足労頂かなくとも月城原発等でご覧になれますよ」と視察団に教えてあげないと。
日本政府は処理水放出にあたって、そのモニタリングやレビューに関してIAEAの協力を仰いで、科学的または客観的に安全性を担保していく方針ですから、韓国が政治的に送り出してくる視察団とやらの出る幕などないわけで、日本のことより自国の原発について気にしなさいと言いたくなりますねw
岸田首相の対韓譲歩策は、日韓関係の正常化ではなく、より一層険悪な関係になることを促しているように見えます。岸田首相とバイデン大統領の意図とは反対に。
韓国は譲歩が足りない、心がこもっていない、韓国に対する配慮が無いなどと益々図に乗り騒ぎ始めています。
我慢を重ねてきた日本人は、最後に逆切れするという伝家の宝刀を抜く事になる可能性が高いと思います。
傍若無人な隣国とはいつかはそうなる運命だという事でしょう。
×逆切れ
〇ブチ切れ
逆切れという表現は間違っていますので訂正させて頂きます。
毎日の更新お疲れ様です。かの国は日本もIAEAも信用出来ないと公言している以上、IAEAも日本も協議する気がない。拒否されている以上なんら答える義務はないと考える。
こういうのを見ると、「岸田さんは意外と策士かも」と期待してしまいますが、たぶん違うでしょう。西村経産相が「輸出管理の運用見直し」でも見せたように、意外と「したたか」なのではないか、と推測しています(清和会の後継者はやっぱ西村さんかも)。
日韓の交渉はこの手のくだらないストレスのたまる話ばかりでうんざりです。とはいえ米国が対中国という戦略に沿って「日韓宥和」を望む以上、日本から手切れするわけにはいきません。岸田首相が韓国に対しては、段階的縮小がベストとの大局観に基づいて行動して欲しいのですが、「状況追従主義者」の岸田首相には望むべくもない。
韓国に左派政権が出来るまでは、じっと我慢ですかね。
> 日韓の交渉はこの手のくだらないストレスのたまる話ばかりでうんざりです。
前にだれか言っていましたが、岸田総理の愛称は”キシダル”がピッタリのようです。
遣ることなすこと、聞けば聞くほど胸糞悪く…ダルくなってきます。
また、米国の圧力を言う人もいますが、本当かやや疑問です。バイデン及びその取り巻きダメもとで言っているのでは?そうでなければ、キシダル様同様何度騙されても懲りない人たちとしか思えませんです。
韓国人にとって必要なのは「科学的根拠」ではなく「自分が見たいもの」なのですから、呼んだ段階でワーキャー騒ぐのは確定なのです。
岸田さんは風評被害で苦しんだ東日本の方々には「心が痛まない」人なので、とっとと降りて頂くのが賢明です。
鈴置さんが、仰っている内容についてはその通りかと思います。
しかしながら、岸田総理の善意で人を傷つける才能?はあるかと思います。
それは、意図せず韓国国内の世論を分断して、尹大統領を窮地に追い込む事をしていると小生は思っています。
ある種の才能かと思う次第です。
>それはともかくとして、おそらく韓国の世論が日本政府に対して求めているのは、「我々を被害者として特別扱いしろ」、ということに尽きるのだと思います。
「関白宣言」改め「韓国宣言」のアレですね。
私なら「日本は永世加害者だから、甲乙関係の乙として分をわきまえ、韓国に謝罪と賠償をし続けろ」って書きますが笑
岸田は韓国に対して土下座外交展開中ですか?福田康夫元首相「お友達の嫌がる事はしない」土下座外交に匹敵するレベル。岸田は更に「韓国さんがお満足されるまで何でもさせて頂きます」何ですか?外相時代二回も騙された岸田は長期政権を狙っている様ですが、ずっと騙されて行くのでしょうね?岸田政権が在任中、日本の保守派はこのバカバカをただ黙っているだけですか?尹大統領は日韓スワップ締結させて韓国経済を復活させたら必ず掌返しします‼️取り返しつきませんよ‼️鳩山を上回る大バカかも知れません。此が日本の現在位置ですか?随分と安く成りましたね‼️情けない。
>こうした発信が “適時” に出て来る
この ”適時の発信” こそが肝心なのだと思うんですよね。
可能な限り曖昧さを排除して、勘違いさせないことです。
>中央日報によると、韓国外交部の当局者は9日、記者らに対し、「『汚染水』視察団」の役割が「汚染水処分の安全性を評価すること」にある、などと述べたのだそうです。
何故に、日本はIAEAとともに行っている事柄に対して、「韓国の安全性評価」を得なければいけないのですか?日本は韓国の許可を頂戴しなければいけな「国」なのですか? 韓国外交部の態度は非常に不遜で、西村大臣の「視察に限られる」との発言は至極真っ当なものと思います。
ただ残念なのは、朝鮮半島沿岸海域の汚染調査の話が一言も上がらないことです。そもそも韓国が視察を言い出したのは、処理水放出による影響(放射能汚染)を懸念してのことです。ならば、放出が朝鮮半島にどれほどの影響を与えるのか、実際にモニタリング調査が必要となってきましょう。そのためには、まず放出前の朝鮮半島沿岸海域の実情調査をしなければいけません。
今からでも遅くありません。日本政府は、韓国の不安を払拭する為に、韓国側の視察受け入れと同時に朝鮮半島沿岸海域の調査を実施すべく行動を起こしてほしいです。事前調査無く放水後の半島沿岸海域の数値を持ち出しても、何ら放出の影響を科学的に証明するものにはなりません。韓国のゴネ得のネタをまたひとつ増やすだけです。
さてこの視察団の目的は
自国民に問題なしと説得するためのものであるか
自国海域に既にある汚染を日本の責任に擦り付けようとするものであるか
一つの分水嶺ですね
視察後になんらかのイチャモン付けてきた場合は
直ちに韓国海域の汚染度を正確に記録しておく必要があります
ユン政権下で抑えられていたとしても
政権交代後に難癖付けてくる可能性が大です
自分たちのしたことを他人のせいにすることに非常に長けていますので
先を見越した備えが不可欠です
仮に第三者弁済スキームが破綻した場合、日本は
応募工と財団の二者にお金払わないといけなくなります。
存命の応募工の数は減るいっぽうなのに、賠償額は膨らむ一方ですね。
国と国との付き合いとは、外交関係とも言いますが、発言をする方々は断交せよとか過激なことを記入しますが、商取引を現在進行形で日々なさっている方々はそれで結講な額の利益を得ています、貸借対照表、貿易収支をご覧なさい誰かの利益は誰かの損失、確かにウザイです、訪韓でも今のところ、かねよこせの大合唱はおきていないようです、つぎは汚染水、スワップ次から次へと大変です、でもアメリカはもう出来るだけ利用しつくして、ある時点でポイするでしょう、おそらくですが中国がロシアに侵略者認定された時(経済、領土)最悪の事態で最悪の選択をしたときですか。