奈良県知事選での「高市責任論」否定する読者コメント

高市早苗氏が奈良県知事選に推した平木省氏が落選しました。さっそく、一部のメディアが「高市責任論」を展開し始めています。ただ、例の「ヤフコメ」などを確認してみると、多くの読者が今回の選挙戦を「二階(俊博氏)や茂木(敏充氏)による高市潰しだ」などとしたうえで、「責任を取るべきは茂木氏ではないか」、などと認識しているようです。

奈良県知事選の結果

先週の『小西氏「サル」発言に高市氏「評論できる立場にない」』でも取り上げた、奈良県知事選挙での「保守分裂」については、すでに結果が出ているとおり、自民党の2人の候補者が票を食い合って落選し、維新の会の山下真氏が勝利を収めました。

奈良県選挙管理委員会のウェブサイトに公表されているPDFファイルによると、投票総数609,927票に対し、山下真氏が266,404票で当選を決め、平木省氏が196,729票、現職の荒井正吾氏は97,033票に留まりました(図表)。

図表 奈良県知事選の結果
候補者票数得票率
山下真266,40443.68%
平木省196,72932.25%
荒井正吾97,03315.91%
その他3名39,7016.51%
有効票合計599,86798.35%
無効票10,0601.65%
合計609,927100.00%

(【出所】奈良県選挙管理委員会データをもとに著者作成)

誰に責任があるのか――ヤフコメの場合

ちなみに平木氏と荒井氏の得票数を合計すれば293,762票であり、もしも候補者の一本化に成功していれば、自民党は今回の選挙に勝てた格好です。

そして、奈良県は高市早苗氏の地元であり、高市氏自身が自民党奈良県連の会長という立場にあるため、「高市氏の責任は重大」、などとする報道が、さっそく出てきています。たとえば昨日の投票締め切り直後に出てきた次の報道などが、その典型例でしょう。

【統一地方選】高市早苗氏の責任避けられず 保守分裂の奈良県知事選は「漁夫の利」維新が勝利

―――2023/04/09 20:01付 Yahoo!ニュースより【日刊スポーツ配信】

ただ、これに関して興味深い現象があるとしたら、読者コメント欄の指摘です。

高い評価を得ているコメントから順番に取り上げていくと、こんな趣旨です。

  • 「選挙」である以上、敗北の責任は幹事長である茂木敏充氏にある。「高市氏が平木氏を擁立したから(高市氏が責任を取らねばならない)」という前に、なぜ78歳の高齢現職の5選出馬を認めたのか、なぜ平木氏一本化ではだめだったのかをあいまいにして高市氏に責任を負わせるのでは理屈が立たない
  • 高市氏ではなく党本部、あるいは二階俊博氏の責任ではないか。奈良県のためではなく、勢力争いのせいで自民の分裂選挙になってしまった。また、高齢の現職が立候補できたのもおかしい。高市氏の責任にするマスコミのミスリードはやめてほしい
  • 茂木氏と二階氏があとから担ぎ出した荒井氏より、高市氏が推した平木氏の方が、自民党支持層から見ても圧倒的に多くの票を得ている。この結果からもわかるとおり、責任を取るべきは高市氏ではなく、茂木氏と二階氏。

もちろん、コメントの中には高市氏の責任を問うべきだ、とする意見もあるのですが、それ以上に今回の分裂劇については、自民党の「勢力争い」、「高市潰し」などとみる読者が多く、一部のメディアが「高市氏責任論」を展開しようとしても、読者によって先制された格好だという言い方もできるかもしれません。

高市氏にも原因があった

もっとも、著者自身は今回の奈良県知事選を「高市潰し」とする見方についてはおおむね同意しますが、それと同時になぜ「高市潰し」が出てきたのかについても考えておく必要があると思います。

例の「小西文書」騒動では、小西洋之・参議院議員(立憲民主党)が仕掛けた怪文書騒動により、国会質疑が1ヵ月近くにわたって潰されましたが、その際、岸田文雄首相を筆頭に、自民党側から高市氏に対する援護射撃がほとんどなかったことが、大変に気になります。

ただ、高市氏に対する擁護意見が出なかったのは、高市氏が自民党内で派閥に所属していないこととも関わっているのでしょう。

保守派の有権者を中心に、岸田文雄・現首相の次には「高市総理」が登板してほしい、という気持ちを持つ人は多いでしょうが、それと同時に、高市氏が政治家として、「新人国会議員らの面倒をよく見るのか」という点においては、やはり自民党内で不満もあるようです。

著者自身も、個人的には旧態依然とした派閥政治には辟易している気持ちもある一方、現に派閥の支援を受けなければ総理大臣に選ばれるのも難しいという事情があるのですから、政治家としての信念を実現させるためであれば、「現実」をも見なければならない、というのもまた事実でしょう。

高市氏らには再起を期待する

もっとも、裏を返していえば、高市氏には「将来」がある、ということでもあります。

もちろん、高市「総理」という可能性が現状で高いとは思いませんが、今回の平木氏の落選でその可能性が完全に潰えたわけではない、という点についても間違いありません。高市氏が党内で政治基盤を固めれば、今後の浮上の可能性は十分にあるからです。

また、今回落選した平木氏も48歳とまだ若い人物であり、今回の落選により政治家としてのキャリアが完全に断たれたわけではありません(ちなみに同年齢には小林鷹之・前経済安保担当相、山本太郎・れいわ新選組代表、泉健太・立憲民主党代表らがいます)。

そういえば、安倍晋三総理大臣にしたって、2006年9月に総理に就任し、たった1年で辞任に追い込まれましたが、2012年9月には自民党総裁に再選し、同12月には内閣総理大臣として再登板し、憲政史上最長の在任期間を記録しました。

政治家というものは、挫折した方が、却ってその挫折経験が生きていくのかもしれません。

その意味では、個人的には高市氏や平木氏については十分に期待できると思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    人間万事塞翁が馬ですね。
    自民党の中に昭和の遺物のような部分がある以上、もし一昨年の総裁選で高市氏が総理総裁になっていても、政権運営がうまくいかなくて、かえって保守派を落胆させたかもしれませんし。

  2. 世相マンボウ* より:

    私も高市氏に関しては、
    自民党内の空気が気になります。
    厳しい誹謗を浴びせる少数特定野党支持者は
    所詮単にどぶサヨ立ち位置からのものに過ぎません。
    北の赤い弁護士猪野先生も
    「高市早苗氏はやっぱりトップに立つ器ではなかった」
    と記事にしてましたが、私は別の意味で
    あんな 雑魚 相手に言葉の餌を与えるとは
    トップに立つ器としてはどうかなあ?
    とは最初思っていました。
    ただ、
    その後THE小西議員(以下、略称:ザコニシ)が
    思い上がって自爆墓穴撃沈されたので
    まあ、結果オーライだったかなと感じています。

    今回の維新勝利の他の要因は
    アンチ自民票を取り合う立民党が
    ザコ ニシ問題で自滅したのが大きくて、
    維新勝利に貢献のMVPはザコニシさんと言えるでしょう。

    #ザコニシさんありがとう! by 維新 (^^)/

  3. 匿名 より:

    この件には無関係ですが「~にも責任があった」ってフレーズ見るとつい構えてしまうwww

  4. クロワッサン より:

    自民党総裁として候補の一本化を指示しなかった、徹底させなかったという点で、チワワ文雄が責任をとって辞職すれば丸く収まると考えるのですが。

    韓国に騙され中国に媚を売るくらいしか能が無いんだし。

    「韓国に騙される為に産まれ、韓国に騙される為に生き、韓国に騙される為に政治家となり、韓国に騙されて死んだ間抜け、此処に眠る」と刻まれた石が必要となるまであとどれ位ですかねー。

    1. クロワッサン より:

      >政治家というものは、挫折した方が、却ってその挫折経験が生きていくのかもしれません。

      チワワ文雄にとって、韓国に騙されたのは挫折なんですかね?

      「やっべー、また騙されちまったよー(てへぺろ)」くらいな軽さに見えるのですが。

      1. ねこ大好き より:

        本人は騙されたなんて微塵も思っていないでしょう。むしろ安倍総理の慰安婦合意と並ぶ、歴史に残る快挙だと思ってますよ。今は批判されてるが、やがて歴史が評価する、なんて。典型的な自虐史観者だと思います。

        1. クロワッサン より:

          ねこ大好き さん

          言われてみれば、確かに。

          中国にオールインした韓国のように、韓国にオールインしたようなものですし。

  5. 匿名 より:

    得票数だけを素直に眺めると、荒井さんが平木さんの足を引っ張って自民候補が共倒れしたように見えるんですよね。

    荒井さんは「茂木氏と二階氏があとから担ぎ出した」ということだとすればなおのこと、外形的には、「荒井さんが平木さんの邪魔をした」という構図になるのではないでしょうか。

    このような状況の中では、「高市責任論」を声高に主張すればするほど、逆に嘘臭さが増して、  説得力を失うような気がします。

  6. CRUSH より:

    若い人たちに向けて、ガンダムに例えておきますね。

    「ランバラルが負けたのは、無能だったから。」
    「それはちゃうやろ。まず補給のドムを横領したマクベの責任でしょ。」

  7. Masuo より:

    この件も怒りしかないですが、結局のところ、会計士様がいつも仰っている既得権益の崩壊の図のように少なからず思います。
    自民党内の内ゲバで力を失い、党自体が崩壊する。自民党以外に選択権が無いという傲慢から抜け出せてない。2010年の民主党政権の反省が何もない。
    いずれ真の保守党が出来たときに、自民党は崩壊するんじゃないかと思うし、そうなって欲しいとも思う。

  8. taku より:

     多選した知事をすんなり引退させることは容易ではありません。彼にもプライドがあるでしょうし、まだまだやれるとおだてる人だっています。その方を誉めそやし、場合によっては花道を用意し、気持ちよく、退場させることこそが、政治家に必要な「政治力」です。
     「あなたでは維新に勝てない」と言い切り、自分の総務相時代の秘書官を担ぎ出す、それでは、「俺にも意地がある」となるのが、人間ではないでしょうか。
     世の中は、所詮人間関係で成り立っているのですから、そういう機微が判らない方は、どれほど能力があろうと、人の上に立つことは出来ません。
     放送法をめぐる一連の騒動で、安倍派幹部の一人である世耕参院幹事長ですら、「彼女には愛想が尽きた」と発言したそうではないですか(田崎史郎氏による)。
     高市氏は、次の人事異動では、無役になることは確実でしょう。

    1. クロワッサン より:

      自民党奈良県連が高市早苗氏に頼んで平木氏を連れて来てもらったのか、高市早苗氏が奈良県連に平木氏を支持するよう県連会長として指示したのか。

      前者との事なので、荒井氏に意地を張り通させて自民党に損害を与えた責任を負うとしたら、高市氏ではない気がしますね。

    2. 美術好きのおばさん より:

      新井氏は昨年の時点で引退を表明しており、それを踏まえて平木氏が年末に立候補していた。ところが今年1月に新井氏は前言を翻して再度知事に挑戦すると表明。新井氏は選挙期間中に、この立候補は党中央から勧められたからと漏らしている。

      新井+平木vs山下(維新)の陣容では自民が負けるのははなからわかっていた。それでもなお新井氏に立候補を要請したのは、自民落選の責任を高市氏に負わせるため……このような解説をあちらこちらから聞く。

      セキュリティ・クリアランスの法案を推し進める高市氏を煙たく思う勢力・国、次期総裁選の候補者を潰しておきたい党幹部等が暗躍した結果の奈良県の自民敗退が事実とするならば、酷すぎる。日本国民は「奴隷の平和」など望んでいない!

  9. より:

    水面下でどんな動きがあったのかはとりあえず置いておいて、確認できる事実はだいたい以下のような感じかと思います。

    ・現職知事荒井氏の引退示唆を受け、県連会長である高市氏が主導して平木氏を擁立
    ・荒井氏、前言を翻し、再度立候補を表明
    ・一部県議が「造反」し、荒井氏支援に回る
    ・漁夫の利を得た維新が県知事選勝利

    水面下で何があったのかは不明ですが、県連をまとめきれず、結果的に分裂選挙にしてしまった県連会長である高市氏に全く責任がないというのは無理があるでしょう。「高市潰し」にハマったのだという説にも一定の妥当性があると思いますが、政党内での勢力争い、政敵潰しなどは何ら珍しいものではなく、おそらくどこの国にでも存在します。そして多くの場合、そういった権力闘争は、およそ綺麗事とはかけ離れています。
    個人的には、高市氏が責任を取らされるかどうかにあまり興味はありません。しかしながら、先の小西氏騒動の下りを見ても、派閥を問わず自民党幹部で高市氏を支持し、擁護する人がほとんどいないらしいとは言えるでしょう。

    1. CRUSH より:

      高市早苗はすきですが、自民党にはなんの義理も愛着もないので、こういったパヨクのお家芸的な内部分裂を見せつけられたら、尽きてる愛想がさらに絞り尽くされるような気分になりますね。

      アホかと。

      まあでも、好き嫌いの次元を一旦脇においてザックリ言えば、
      「与党vs健全な保守野党での、政権交代があり得る緊張感ある二大政党制」
      に向けての消費者の選択なのだと言えるかと。

      自民党が安倍&菅の下で圧勝を続けられてきたのは、自民党が信任されてた訳では無くて、野党第一党が底なしにマヌケだったから。

      手堅い中道の対抗勢力があれば、批判票はすぐにそっちへ流れることでしょう。

      志位を笑ってるヒマがあるなら、自民党も
      「責任者の、信賞必罰」
      をしっかりやらないと、下野の悪夢がまたきそうですね。

      1. より:

        > 「与党vs健全な保守野党での、政権交代があり得る緊張感ある二大政党制」

        私もこのような状況が望ましいとは思っていますが、自民党が真っ二つに割れるなどということでも起こらない限り、まず実現しないだろうと諦観しています。現状は、ただ「自民 vs 非自民」というだけのことであり、政党支持率などから見ても、立憲民主党以下の野党は、すべて「政党」を名乗るのも烏滸がましいような泡沫政党、あるいはただの選挙互助会に過ぎません。
        まあ、そもそも自民党が「政党」と呼べるのかどうかという問題はあるにしても、このような状況では、自民党に驕りや緩みが現れるのも無理からぬことではあるのかもしれません。ならば、せめて信賞必罰くらいは明確にすべきでしょうね。そして、今回の奈良知事選で一義的に責任を問われる可能性があるのは、当然県連会長ということになります。まあ、強いて責任を問うのであれば、ですが。

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