Colabo問題で地方自治法違反か=川松真一朗都議

東京都における地方自治法違反がほぼ確定したのでしょうか。川松真一朗・東京都議は15日、東京都議会・財政委員会で質問に立ち、Colaboと東京都福祉保健局の随意契約を巡り、東京都財務局の前山琢也・契約調整担当部長から、契約を行ううえで必要な協議を「福祉保健局から受けていない」との答弁を引き出したのです。この「外堀を徐々に埋めていく」というスタイル、非常に素晴らしいものです。

Colabo問題巡る不誠実な東京都

いわゆる「Colabo問題」――あるいは最近だと「WBPC問題」は、ツイッター上で「暇空茜」と名乗る一般人男性の問題提起で火が付いたもので、その疑惑の中核のひとつは、ずばり「公金の不正使用」にあります。そして、この問題を巡る東京都の対応は、じつに不誠実です。

先日の『東京都は「Colabo経費不正なし」で逃げ切れるか』でも取り上げたとおり、東京都が2月28日付で公表した報告書によれば、東京都若年被害女性等支援事業の委託先のひとつであるColaboにおいて、「経費の過大計上はあった」ものの「委託料2600万円の返還は求めない」とする方針が示されました。

「是正措置」とやらも、経費の架空計上をほんの一部分認めたのみで、東京都が支出した2600万円については、「実際に支出が認められた経費の額が委託料の上限を超えていた」から問題なし、という結論自体がよくわかりません。

領収書などがない支出が200万円近くあったこと自体、通常は「内部統制の深刻な不備」ですが、それなのに「団体に対し改善を指示する」で済ませるというのもなかなかに強烈ですが、それだけではありません。

1人あたり8000円を超える高額な食事代が計上されている、エアコンとパソコンが誤記されているなど、ツッコミどころが大量にあるという代物で、通常の企業会計における監査実務を知る立場からすれば、「よくこれで監査が通ったものだな」、などと感じざるを得ないものばかりです。

川松真一朗都議の質問に財務局は「協議受けていない」

ただ、東京都が「逃げ切り」を図ろうとするなかで、15日には興味深い動きもありました。

東京都議会・財政委員会で川松真一朗都議(自民)が質問に立ち、東京都財務局の前山琢也・契約調整担当部長から、「福祉保健局から本件契約に関わる協議を受けていない」との答弁を引き出したのです。

ダイジェスト版は産経ニュースの次の記事なども参考になりますが、少し時間がある方は、川松氏が動画サイトにアップロードした質疑を視聴していただいても良いかもしれません(動画自体は10分少々です)。

契約事務手続き、規則抵触か 東京都の若年女性ら支援事業

―――2023/3/15 17:35付 産経ニュースより

川松氏と前山氏の質疑のやり取り

以下では、動画をベースに質疑を眺めておきましょう。

川松氏は質疑で、東京都・福祉保健局がColabo側と契約を締結する際に用いた「公法上の契約に類する契約」の概念を巡り、武市敬・副知事からの回答がいまだになされていない点を指摘。

地方公共団体が締結する契約の種類を尋ねたところ、前山氏は地方自治法の規定(※下記参照)をもとに、競争入札が原則であると答弁しました。

地方自治法第234条第1項

売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。

これに対し川松氏は、地方自治法上、契約形態が4つ(一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売り)しか設けられていないと改めて指摘。福祉保健局の「公法上の契約に類する契約」を「随意契約」と見たうえで、その随意契約とは何かについて再度質問すると、前山氏は次のように答弁しました。

随意契約は地方公共団体が任意に特定の相手方を選定して締結するもの。地方自治法施行令に基づけば、金額が小額のとき、緊急の必要があるとき、契約の性質・目的が競争入札に適さない場合などとなっている」。

川松氏は続いて随意契約を締結するときの東京都財務局のルールを前山氏に問うと、前山氏は次のように答えました。

財務局では特命随意契約について、慎重に取り扱うべく、合議制の委員会においてその合理性や基準適合性を吟味したうえで採用の可否を判断するよう各局に通知している。加えて特命随意契約を行った場合、契約内容のほか、当該相手を採用した理由を明らかにした見積経過調書を作成し、東京都電子調達システムなどで公表している」。

この答弁を踏まえ、川松氏は東京都の規則を持ち出し、特命随意契約にあたり、福祉保健局でこの「合議制の委員会」があったとは言い難いと指摘。見積経過調書についても添付されていないと述べたうえで、合わせて規則違反にあると述べたのです。

こうしたなか、川松氏の次の質問は業務委託契約締結にかかる権限の内容に移るのですが、これについて前山氏はこんな趣旨のことを答弁しました。

契約締結は予算執行行為。知事部局では知事権限に属する。都では契約時委任規則に基づき、知事の権限に属する契約事務のうち、予定価格が1000万円未満のものについては、業務効率性の観点から各局長に権限を委任している」。

契約締結は知事権限に属しているが、1000万円未満なら各局にて直接契約を行う――。

川松氏は今回のColaboの件について、令和3年度の事業における契約金額が2600万円だったにも関わらず福祉保健局が直接に契約をしていると指摘。別の都議の質疑で福祉保健局が「個別的委任」と答弁したことに関連し、前山氏は次のように答弁しました。

個別的委任は東京都規則に基づき、予定価格が委任限度額を超えているものにつき、知事への申請、承認を経て個別に権限の委任を受けることとされている。具体的には知事権限に属する権限のうち、各局の事業に密接に関連し、その専門性から契約事務の適正・円滑な処理のため各局で行うことが適当な契約について、各局からの申請により、財務局において委任の手続を行っている」。

すなわち、各局が独自に契約をすることができるのは、基本的に、契約金額が1000万円未満の場合か、各局の申請に基づき個別的委任があった場合に限定される、ということです。

最大のポイントは「本契約の個別協議は受けていない」!

では、この事業において、福祉保健局と財務局との間で、果たして「個別の協議」はあったのか――。

動画の9:55~以降が最大のポイントです。前山氏は次のように答えたのです。

福祉保健局からは、本契約の個別委任に関わる協議は受けていないところであります」。

この答弁をもって、東京都・福祉保健局のColaboとの契約における地方自治法違反が確定した可能性が濃厚です。地方自治法違反というよりも「東京都における汚職」とでもいうべきでしょうか。

いずれにせよ、逃げる東京都に対し、川松都議の「外堀を徐々に埋めていく」というスタイルの質疑、大変に良いものです。ムービング・ゴールポストで次々と論点をズラしていく某立憲民主党の質疑とは大違いですね。

おりしも川崎市の浅野文直市議はColaboの刑事告発を表明していますが(『浅野文直川崎市議、Colaboを刑事告発すると表明』等参照)、こうした団体の不正行為が徐々に明らかになりつつあるのは興味深い点でしょう。

いずれにせよ、本件については「公金不正利用」の典型例であり、おそらくは氷山の一角です。

暇空茜氏、浜田聡・参議院議員、川松都議、浅野市議らの活躍には今後も期待したいところです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. namuny より:

    担当部長は知らないようですが、現財務局長は、このColaboとの契約締結時の福祉保険局長でしたからよくご存じのはず。

    https://twitter.com/MasaInvestor/status/1635970743807938560/photo/1

    なお、当時の財務局長は、現副都知事だそうです。
    https://twitter.com/yaji_umataro/status/1635978254455816192/photo/1

    逃げ切り失敗ですね。

  2. WindKnight.jp より:

    議会が機能していれば、百条委員会の出番が来そうですが。
    さて、小池知事の次の手は如何に?

  3. 陰謀論者 より:

    この答弁により、本来知事の認可が必要だったことがはっきりしました。
     知事の認可をとらず現場が不法なことをしたのか(監督できなかった責任が生じる)、それとも知事周辺もまきこんだ組織的な不正だったのか、さてどちらなんでしょうね。

  4. Sky より:

    川松真一朗都議。
    経歴を見ると、元テレ朝アナと出てきて、え〜っ!って思ってしまいました。
    中の様子を見て、このままここにいたら俺はダメになる、と思って転身したものと思いたい。

    1. ゴー より:

      その通りでいいと思います。最初の内はジャーナリズムという理想を胸に抱いて入社するんでしょうが、見ればわかるように長く業界にいればいるほど腐っていっているのはテレビを見ればよくわかると思います。

  5. クロワッサン より:

    うーん、ゆりこクセェ、じゃなく百合子不正に一票。

    なんだか小池百合子イコール李在明を連想してしまうのは気にし過ぎですかね?

  6. 普通の一般市民 より:

    先日、確定申告をして税金を納付してきました。微々たる額ですがこんなことに税金が使われると思うと情けなくなってきます。
    不正があるなら正したいと思いますが、普通の一般市民が事業計画書や決算書を読み込んで住民監査請求や訴訟を起こすなど到底無理です。暇空茜さんがカンパを集め(そのつもりはなくても)代わりに追及してくれているので陰ながら応援しています。
    インターネット時代の水戸黄門か遠山の金さんといった感じで見ています。

    1. 匿名市民 より:

      申し訳ありません。このHNの方がいました。
      送信してから気づきました。なりすましではないです。
      HNを訂正したいのですが変えられないようですのでこちらからお詫び申します。
      普通の一般市民あらため匿名市民とさせていただきます。

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