首相長男「秘書官」は適材適所だったのか?それとも…

例の岸田首相の長男が、「基本的に忙しいけれど、空き時間は観光できるし、普通の人が入れないところに入れるから嬉しい」と話したらしい――。これは、週刊誌が2日報じた内容です。さすがにこの発言自体は信憑性が皆無ですが、それでもこんな記事が出てくること自体、「首相長男叩き」が世間的に注目を浴びている証拠でしょう。首相長男が心機一転、緊張感をもって職務に取り組むのが先でしょうか、それとも岸田政権自体が崩壊するのが先でしょうか?

2023/02/03 15:00追記

記事URLに誤りがありましたので訂正しています。

  • (誤)https://shinjukuacc.com/20230203-01-2/
  • (正)https://shinjukuacc.com/20230203-02/

岸田首相長男巡る醜聞報道の数々

岸田文雄首相が昨年、首相秘書官に任命した自身の長男を巡っては、さまざまな「醜聞」が報じられています。やれ「官邸の情報をフジテレビの女性記者に漏洩させていた」だ、やれ「首相の外遊の際に公用車で観光をしていた」だ、といった具合に、聞いて思わず呆れるようなものが、次から次へと出てくるのです。

これについては当ウェブサイトでは何度となく指摘してきたとおり、自身の身内を秘書官という「特別職公務員」に任命すること自体、後継者育成という意味合いだけでなく、リスクも伴うものです。

とくに脇の甘い政治家の場合は、そのリスクを過小評価する傾向があります。

あらためて指摘しておくと、つまり、自身が閣僚や総理に就任した際に、身内を法令の許す範囲で身内を公職に就けること自体は、べつに問題ではありませんし、事例は多く存在します。後継者となるべき者(たとえば息子)を育成するという意味もあるからです。

たとえば、故・安倍晋三総理大臣の実弟である岸信夫衆議院議員(体調不良により3日付で議員辞職予定)は、防衛相時代に長男である信千世氏を自身の秘書官に就けていました。その信千世氏は今春に行われる補選に出馬すると見られています。

岸信千世氏はまだ30代前半と若く、岸信介の曾孫、安倍晋太郎の孫、安倍晋三の甥という血筋の良さもあり、本人の努力や活躍、運次第では、意外と早いタイミングで総理に就任する可能性もあるでしょう(※あくまでも本人の資質次第ですが)。

したがって、身内を秘書官などに就任させることを、一律に非難するのは適切ではありません。あくまでも適材適所だからです。

キーウ訪問を漏らした犯人は誰だ!?

しかし、岸田首相の長男に関しては、やはり醜聞が多過ぎます。

昨年の「官邸情報ダダ漏れ」報道の際には、報じたのが単独の雑誌だったということもあり、個人的には「飛ばし報道」の可能性もあるとは考えていたのですが、最近はその線も消えつつあると思います。「この長男が情報を漏らしているのではないか」との疑いは、政治記者らの間ではかなり有名らしいからです。

真偽は不詳ですが、『現代ビジネス』によると、読売新聞が1月22日に「岸田首相がウクライナの首都・キーウを訪問する」とのスクープを「複数の日本政府関係者が明らかにした」と報じた際も、官邸では「即座に犯人探しが始ま」り、疑いの目は「長男に向けられた」のだそうです。

また長男がやらかした? 岸田首相「キーウ訪問」をマスコミに漏らした「犯人捜し」が進行中

―――2023/02/02 07:03付 Yahoo!ニュースより【現代ビジネス配信】

このあたり、個人的には、「キーウ訪問」の件を漏洩させた犯人は長男とは限らないとは思います。現在の岸田政権の関係者には木原誠二官房副長官、磯崎仁彦官房副長官など、「脇が甘い」政治家らが多数存在するからです。

ただ、漏水と同じく情報も最もガードが弱いところからポタポタと漏洩しますので、軽率な行動を週刊誌に提供している長男が漏洩源であろうと真っ先に疑うのは自然な発想です。

その一方で、この長男が公用車を使って観光や買い物をしていた疑いについては、いちおう、「私用はなかった」とする調査結果が出ているのだそうです(『首相長男の観光疑惑で「私用はなかった」=木原副長官』等参照)。

しかし、国会ではスキャンダル追及が大好きな(あるいはそれくらいしか能がない)特定野党の皆さんがは水を得た魚のように、これ幸いとばかり、国会質疑を長男の観光疑惑に振り向けているようです。

日本の安全保障環境が厳しさを増すなかで、また、電力不足を解消するための原発再稼働・新増設に向けた議論を重ねなければならないなかで、こんなくだらない質疑で国会の貴重なリソースが空費されるのを見ると、野党の低レベルさもさることながら、こんなネタを提供してしまう岸田首相長男の言動にも疑念が生じます。

週刊誌が報じた長男発言自体に信憑性はないが…

こうしたなかで、雑誌『女性自身』が2日、この長男について、「飲み会で知り合った」という人物の話を報じています。

外遊先“観光”疑惑の岸田首相長男が明かしていたア然本音「普通の人が入れないところに入れるから嬉しい」

―――2023/02/02 13:10付 Yahoo!ニュースより【女性自身配信】

この「飲み会で知り合った」という人物が語ったとされる内容は、こんな具合です。

私が彼と飲んだのは昨年ですが、そのとき首相に同行する出張についても話していました。『基本的に忙しいけれど、空き時間は観光できるし、普通の人が入れないところに入れるから嬉しい』、などと話していました」。

正直、この報道記事自体、信憑性は皆無です。

「飲み会で知り合った」という人物が何者なのか、素性もわかりませんし、話している内容自体も信頼できません。ボイスレコーダーで記録を取ったわけでもないでしょうから、飲んでいる最中に長男が本当にそんなことを述べたのか、証明のしようもありません。

もっと厳しいことをいえば、『女性自身』が報じた「岸田首相の長男と飲み会で知り合った人物」が実在するのか、といった点についても疑わしく、したがって、この記述自体は完全な捏造であったとしても、検証のしようがないのです。

しかし、週刊誌が嬉々としてこんな話題を報じるという事実は、「岸田長男叩き」がページビュー(PV)につながると同誌編集部が判断した証拠でしょうし、業界からは、それだけ「叩けばいくらでも埃が出る」と認識されている証拠でもあります。

そもそも首相秘書官は、本来であればベテラン秘書や有力官僚などが就く要職です。裏を返していえば、首相秘書官に適材でない人物を就けることじたいが「政権の命取り」にもなりかねない、ということでもあります。

もっといえば、本件に限らず、昨年の「1兆円増税」構想にせよ、最近の「自称元徴用工問題」巡る韓国への融和的な姿勢にせよ、現在の岸田政権に対しては、その「脇の甘さ」を疑うような事例が多すぎるのです。

①首相長男が気を引き締め、心機一転、緊張感をもって職務に取り組むことで、秘書官人事が適材適所だったことを実証してみせるのが早いのか、②首相が秘書官更迭を決断するのが早いのか、それとも③岸田政権自体が崩壊してしまうのが早いのか――。

これも、「見守る必要がある論点」のひとつであることは間違いないでしょう。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 匿名 より:

    もういい
    まだ韓国に強硬にいける茂木や河野がマシ
    緊縮よりの思想だが、財務省のポチの岸田より遥かに良いわ
    国民がネットで殴りつければいいし

    1. Masuo より:

      中国とズブズブのシェイシェイ茂木や、身内が中国利権まみれの河野より岸田の方がマシと言えると思います。
      岸田は何だかんだ言って、ギリギリのところで踏みとどまっているように思う。

  2. Masuo より:

    ④マスコミと野党がそれほど厳しく追及するわけでもなく、のらりくらりと任期を過ごす
    に1票したいと思います。

  3. 甲茶が飲みたい より:

    身内を秘書にするのであれば公設よりも私設の方が無難じゃないかという程度しか感想がないですね。
    マスゴミは自民党を叩くネタがないのかな。

  4. めがねのおやじ より:

    女性自身という雑誌をどの程度信用できるかの問題も有りますが、独断で話を進めます。岸田総理の長男曰く「基本的に忙しいけれど、空き時間は観光できるし、普通の人が入れないところに入れるから嬉しい」と話していたそうです(^^)。

    コレって私は似たような事を話していた人(複数、10人以上)を思い出しました。誰でしょうかーー?ハイ、大相撲の横綱、大関さんです。インタビューや出世披露宴で、聞き手司会者がこう言います。
    「相撲取り、力士の魅力は何ですか?」
    横綱、大関さん
    「二十歳そこそこの若い者でも、番付が上がると日本を代表するような偉い方とサシで話が出来る」「大企業の社長さんや知事さんが祝いに来てくれる。フツーの若者では味わえない事が出来る」・・・なるほど。

    岸田ご長男も似たような気分でしょうか?でも大相撲は結果を残したから、夢が実現出来た(ま、頭ん中まで知りませんが)。岸田総理ご長男、貴方は親の七光りだけ。先ずは政務をキッチリこなして下さいな。忙し過ぎるハズやけど。

  5. taku より:

     岸田首相は、国民の俗悪な大衆的嗜好といったものを、甘く考えない方が良い、と思います。
    「首相が身内贔屓で登用した長男が、出来が悪いにもかかわらず、親馬鹿で更迭できない」というストーリーは、大衆の好物そのものですよ。こうなると、あることないこと、噂の類が週刊誌とやらに掲載され(本件記事もその類)、そのうちに「火のないところに煙は立たないだろう」と大衆は確信を深めていきます(”真子さん騒動”における小室親子の事例に学ぶべき)。もはや事実がどうか、ではなくなるのです。
     こうなると時間(10年といった単位)しか対策はないと思われます。「本人に傷が付かないように、任命から1年経ったところで交代させよう」なんて考えていると、ますます墓穴を掘りますよ。地元に戻り、雑巾がけに専念させるべきです。そこで襤褸がでなければ、総理はともかく、国会議員の世襲は可能でしょう。
     身内が絡む話に、側近といえども、諫言はできません。首相自身が「泣いて馬謖を切る」しかありません。そうしないと、それでなくても低迷する内閣支持率への影響が大きくなります。

  6. 農民 より:

     記事が事実だとして。「普通の人が入れないところに入れるのが嬉しい」のは極自然なことでは……?嬉しいと思ってはならない合理的な理由が思いつきませんし、精神の自由は日本国憲法でも国際法でも保証されていたと思いますが。言うのがダメというのであっても、飲みの席の本音話を勝手に漏らしておいて、というのもちょっと。個人的な判断基準では、別に公のインタビューで 答えたとしても問題とは思えません。そうでしょうねとしか。
     叩かれるような行いが元凶とはいえ、なんでもかんでも叩かれている感はあります。

    1. クロワッサン より:

      農民 さん

      「普通の人が入れないところに入れるのが嬉しい」という本音「しか」聞こえてこないところが、公人・準公人としてアウトなのでは?と。

      「自分はまだ未熟で、父の仕事に貢献出来ないのが口惜しい」などの本音もあれば、プラマイゼロかプラスになったかと。

      意欲知識技能という要素で考えた時、キシダフミオ長男は知識の技能がほぼゼロでも叩かれないし、叩く方が駄目でしょうけど、意欲がほぼゼロってのは叩かれて当然じゃないですかね?

      まとめると、キシダフミオ長男はボンボンのボンボンでタダのバカですね。

      10代前半なら兎も角、大人になってもこれでは価値ゼロです。

  7. 匿名 より:

    岸田さん、隙を見せていいのは可愛い女の子だけですよ

  8. んん より:

    田吾作
    「税不足アピールのため
    各部署に大いに無駄遣いするよう
    通達しております」

  9. ジン より:

     親バカ 子バカ バカ親子
    といったところでしょうか。
     一般人ならそれで良いのかも
    しれませんが、一国の総理と
    政務秘書官ですからねぇ。

    1. あつ より:

      一般人
      チンパンジー
      似てる。

      1. ジン より:

        www
        まあ、チンパンジーであれ
        総理大臣であれ政務秘書官であれ
        仕事と役割をキッチリ果たして
        いただけるのであれば。

  10. DEEPBLUE より:

    そもそも「総理」が適材適所では無かったでしょう。同じ欠点があるにしても、まだ河野氏の方がマシに思えてきました。
    失策があっても「日本国民」を見て修正する程度に空気読めたでしょう。高市さんは当分目がなくなりましたし

  11. クロワッサン より:

    岸田翔太郎は32歳児なんですねぇ。

    10代前半でコレならまだなんとかなりそうですけど、32歳児でコレなら文雄は諦めて、文雄の稼ぎでひきこもり生活させといた方がまだ世の為人の為じゃないですかね?

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