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「岸田首相が辞めればバラ色の未来」論の大きな間違い

「岸田文雄首相は、今すぐ辞めるべきである!」。SNSなどでは、おもに一般のユーザーによるものと思しき、そんな主張を見かけることが増えてきました。ただ、岸田首相自身が何かと「脇の甘い政治家」であることは否定しませんが、「気に入らない」という理由で全否定するのも行き過ぎです。私たち有権者には、ネット社会ならではの、政治家とのかかわり方があるのではないでしょうか?

岸田首相への不満

「岸田首相は直ちに辞任せよ!」

正直、こんな首相など、1日も早く辞めていただき、もっと優れた人物が内閣総理大臣に就任すべきである」――。

こんな書き込みを、SNSなどで見かけることが増えてきました。

それもそのはず。

自称元徴用工問題を巡って目に見えた進展が見られないにもかかわらず、日韓関係を巡って安倍晋三総理、菅義偉総理のころと比べ、明らかに後退した所信表明演説

党内・閣内の根回しもなしに唐突に出てきた「1兆円の防衛増税」構想。

急浮上した、たった2ヵ月前に首相補佐官に任命したばかりのご自身の長男が官邸の機密をテレビ局の女性記者に漏洩していたとされる疑惑。

そして官邸に贈られた食材で作った美味しそうなごちそうに舌鼓を打ち、「すごいお金持ちになった気分」と発言したとする報道。

当ウェブサイトではかなり以前から、岸田文雄氏という人物の、内閣総理大臣としての適性には、かなりの疑いがあると指摘してきましたが、こうした個人的な疑惑を確信に変えさせるようなエピソードが、最近、次々と出て来ていることは間違いありません。

岸田首相の危なっかしさと脇の甘さ

もちろん、これらのなかには首相の所信表明演説や公の場での増税発言など、「誰の目にも明らかな客観的事実」で確認できるものもありますが、その一方、一部のメディアが報じただけの、単なる「スキャンダル」に留まっているものもあります。

よって、これらすべてを「岸田首相がダメな政治家である証拠」としてそのまま採用することはできません。

ただ、こうした点に注意は必要だとしても、やはり岸田首相に対しては、ひとりの国民・有権者という視点からは、不安を感じざるを得ないのです。

とくに、本人が主張する「聴く力」とやらは、基本的には財務省や外務省などの役所に対して発揮されることはあれど、自民党内(とくに安倍派などの他派閥・無派閥の議員ら)や、私たち国民・有権者に対して発揮されているようには見受けられない、といった点は、非常に気になるところです。

こうしたなか、ふと自身のウェブサイトの過去記事を眺めていたときに、こんな記事を「再発見」しました。

韓国大統領にとって起死回生策は「日本の政権交代」?

―――2021/07/21 05:00付 新宿会計士の政治経済評論より

菅総理が降板し「脇が甘い首相」が誕生するのは大きなリスクここ2~3日、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領の「訪日スルスル詐欺」に多くのニューズサイトなどが振り回された格好ですが、落ち着いてくると、少しずつ「次」も見えてくるように思えます。こうしたなか、本稿では昨日行われた日韓外務次官協議の概要を(いちおう)簡単に紹介するとともに、現在、個人的に強く懸念していることを、簡単に紹介しておきたいと思います。文在寅氏は訪日を諦めていないここ1ヵ月ほど、日韓メディアはやたらと文在寅(ぶん・ざいいん)韓...
韓国大統領にとって起死回生策は「日本の政権交代」? - 新宿会計士の政治経済評論

このなかで、日本で最も信頼がおける韓国観察者のひとりである鈴置高史氏の2021年7月16日付の論考(下記)を引用しつつ、(当時決して日韓首脳会談に応じようとしなかった)「菅義偉総理が降板し、脇が甘い人間が次期首相に就任するリスク」を「何とも恐ろしい話だ」と結んでいます。

鈴置氏の1年半前の指摘が現実化!?

ちなみに鈴置氏の次の論考は次の通りです。

文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やはり「監獄回避説」が有力

文在寅(ムン・ジェイン)大統領がこれほど日韓首脳会談に執着するのはなぜか――。根本的な疑問を韓国観察者の鈴置高史氏が読み解く。<<…続きを読む>>

―――2021年07月16日付 デイリー新潮『鈴置高史 半島を読む』より

この論考、公表されたのは今から1年半前で、韓国大統領も尹錫悦(いん・しゃくえつ)氏の前任者である文在寅(ぶん・ざいいん)氏でしたが、今になって読むと、まるで鈴置氏が現時点の日本を予言しながら書いたようにしか見えません。

というのも、菅総理自身は実際に同年10月4日で辞職し、菅総理に代わって岸田首相が登板したわけです。

鈴置氏が「予言」した「菅総理に代わって登板する脇の甘い首相」が岸田首相その人だったのかどうかについてはわかりませんが、どうも記事を読む限り、今日の岸田首相は、当時の鈴置論考で指摘されていた「脇の甘い首相」の特徴に、ピタリと当てはまってしまうように思えてならないのです。

日韓関係だけでなく財務省にも無用な譲歩?

もちろん、鈴置氏の議論では、「日韓関係において『脇の甘い首相』が韓国に対し、無用な譲歩をしてしまうリスク」に焦点が当たっていますが、当ウェブサイトの関心事でいえば、「増税原理主義の財務省に対し、無用な譲歩をしてしまうリスク」も、大変に気になるところです。

先日の「1兆円増税」など、正直、「無用な増税」の典型例です。

歳入において1兆円など「誤差の範囲」ですし、また、『黒田日銀のイールドカーブ目標と日本経済の真の問題点』などでも指摘したとおり、現在の日本経済の「真の問題点」は、使われていない金融資産の額が多すぎ、その国富が海外に流出していることにあるからです。

むしろ現在の日本経済は、国債をもっと増発する余力を持っていますし、日銀もイールドカーブ・コントロール政策を強化し、10年ゾーンだけでなく20年、30年あたりまで明示的な誘導目標を導入すべきではないでしょうか。

さらに、財務省も国債市場の機能強化を謳うなら、「国債60年償還ルール」など撤廃し、「超・超長期債」として、50年債や60年債、あるいは100年債などを新規発行しても良いくらいです。

もっとも、現在の岸田政権では、こうした国債改革に関する議論は、おそらくはまったく期待できません。本当に残念な話です。

政治を見る「眼」

岸田首相は正当なプロセスを通じて首相の座に就いた

ただし、こんな議論を展開していくと、冒頭のような主張をする人も出て来るのです。

正直、こんな首相など、1日も早く辞めていただき、もっと優れた人物が内閣総理大臣に就任すべきである」――。

この手の主張、最近だと「リベラル」を自称する人たちだけでなく、「保守」を自称する人たちの間でも出て来ているものです。

しかし、著者自身は岸田首相の内閣総理大臣としての適性には疑念を抱いているのですが、それと同時に、「岸田首相が一刻も早く辞めるべきである」とする主張には、同意しません。その理由は、岸田首相が曲がりなりにも、選挙を含めた現在の日本国における正当なプロセスを通じて、首相の座に就いたからです。

ここで改めて引用しておきたいのが、「寂れた食堂街理論」、「鉄道工事理論」、「池の水理論」です。

民主政治の本質
  • 「寂れた食堂街理論」とは、寂れた食堂街で食事をする際、一番マシな食堂を選ばざるを得ないことをいう。
  • 「鉄道工事理論」とは、日々大量に発着する列車を正常に捌きながら、少しずつ鉄道路線・駅などの改良工事を進めることをいう。
  • 「池の水理論」とは、濁った池を洗浄するためにバケツで少しずつ水を入れ替えることをいう。

(【出所】著者作成)

自民党は寂れた食堂街のボッタクリレストラン

まず、「寂れた食堂街理論」は、あなたが住む街にある食堂街にろくなレストランがないような場合、あなたが外食をしようと思ったときには、そのなかで「最もマシなレストラン」を選ぶしかない、とする理論です。

たとえば、自民党というのは、「寂れた食堂街におけるボッタクリレストラン」のようなものです。高くてマズく、そのうえ料理が出て来るまでに時間もかかるし、店員の愛想も悪い。頼んでもいない料理が出て来て高い値段(たとえば1兆円増税)を請求される――。

こんな酷いレストラン、潰れてしまえ、と思う人もいるかもしれません。

しかし、残念ながら、「自民党食堂」以外のほかの食堂は、もっと酷いのです。

たとえば「最大野党」を名乗る政党の場合は、入店してもメニューに料理が掲載されておらず、隣の「自民党食堂」の悪口ばかり書かれているようなレストランだと思えば良いでしょう(実際、その政党の所属議員の国会質疑を見ていると、週刊誌片手にスキャンダル追及ばかりしています)。

また、某宗教団体のように党員を洗脳する政党の場合だと、「レストラン」だと思って入ったら変な毒物を飲まされて洗脳されてしまいます(日本には、そのような政党がいくつかあります)し、なかには完全に詐欺のような公約を掲げる政党もあります。

このように考えていくと、やはり私たち有権者としては、「よりマシなレストラン」に入店し続けるよりほかに方法はありません。「最も酷いレストラン」に潰れてもらうことで、その跡地にやる気があるシェフが新規出店するかもしれないからです。

また、「自民党食堂」にとっても、「最大野党」が「自分たちの批判ばかりし、対案をまったく出さない」という状況は、じつは都合が良いのです。のんべんだらりとしていても、政権の座が転がり込んでくるからです。「棄権」「白票」ほど、彼らにとって都合がよいものはありません。

だからこそ、私たち有権者は選挙のたびに、「必ず」、選挙権を行使し、有権者のひとりひとりが「最もマシだ」と思う候補者を選んで投票しなければなりません。

バケツで池の水を浄化する・鉄道を少しずつ改良する

このように考えていくと、「池の水理論」にもつながってきます。

数年に1回行われる大型国政選挙というものは、国民全員で国会という「大きな池」の水を入れ替える作業だと考えていただければ良いかもしれません。池の水のあまりにも腐った部分を有権者がバケツですくい取り、かわってキレイな水をバケツで注ぎ込むのです。

有権者ひとりひとりが持っているバケツは小さなものですが、有権者全員が集まれば、かなりの量の水を入れ替えることが可能です。その意味でも、「棄権」「白票」は、水を入れ替える機会を自分で放棄しているのと同じであり、社会人として極めて無責任であり、言語道断な行動だといえるのです。

そのうえで、是非とも知っておいていただきたいのが、「鉄道工事理論」です。

首都圏や京阪神など、大都会やその近郊にお住まいの方ならば、通勤や通学などで鉄道を日常的に利用するという方は多いでしょう。日本の都市部では、日々、多くの鉄道が運行されており、これらの鉄道の運行については、たとえ数日間であっても停止してしまうのは、極めて困難です。

しかも、鉄道インフラは日々、劣化・老朽化ししていきますし、鉄道の機能を維持するためには緻密な保線作業が必要です。さらには最近だと、高速化・増発に加え、踏切をなくすなどの目的での連続立体化(高架化・地下化)工事、駅舎の移転工事、複々線化工事、延伸・地下鉄直通工事なども行われています。

この点、何とかいうゲームの世界だと、プレイヤーが「神の手」で鉄道路線を一挙に破壊し、線形改良工事だろうが、複々線化工事だろうが、好きな工事を好きなタイミングで実施できますが、現実社会だと、列車の運行は1日たりとも止めることができません。

私たち一般利用客のために日々大量の鉄道便を捌きながら、これらの改良工事を同時並行で実施していくわけですから、鉄道関係者の皆さまには本当に頭が下がります。

左も右も極論は「現実性のなさ」という共通点がある

そして、こうした鉄道改良事業の手法の必要性は、私たちが暮らす社会そのものにも当てはまります。

その人の政治的主張が左であるか、右であるかを問わず、非現実的な理想論を唱える人というものは必ず存在します。

「左」の典型例でいえば、「ケンポーキュージョー教」がその典型例でしょう。日本国憲法第9条(とくに第1項の方ではなく、第2項の方)を極端に重視し、これを死守すべき、などとする主張です。

たとえば「ケンポーキュージョーを守れば相手国は攻めてこない」といった荒唐無稽なストーリーを真顔で唱えている人たちがいますが、本気でそれを信じているならば現実を無視しすぎですし、意図的にそれを唱えているのならば、国家転覆など、「何らかの意図」を感じずにはいられません。

少なくとも「非武装中立」だの、「専守防衛」だのといった「理想論」が許されるほど、現実の政治は甘いものではありません。相手国からミサイルが多数飛んでくるおそれがあるなら、それを「発射されたら叩き落す」のではなく、「発射される前に破壊する」という発想につなげることが必要であることは、いうまでもありません。

ましてや「1発だけなら誤射かもしれない」などと寝言を述べていること自体、現実を見ていないとしか言いようがないのです。

ただ、それと同時に「右」側にも、なんだか変な主張を唱える人がいます。

たとえば、「政府は現在の日本国憲法の無効と、大日本帝国憲法の復活を今すぐ宣言すべきだ」、などとする意見がその典型例でしょう。

「政府が憲法の無効を宣言する」というのも意味がよくわかりません。

もちろん、現在の日本国憲法の成立過程に、事実上のGHQの介入という大きな問題があったのではないか、といった疑いがあることについてはそのとおりですが、それと同時に、日本国憲法自体は大日本帝国憲法の改憲条項に従って適法に成立した憲法でもあります。

また、「日本国憲法はダメ」、「大日本帝国憲法は素晴らしい」などと主張する人たちにありがちなのですが、そのような人たちほど、大日本帝国憲法を読み込んでいなかったりします。

ためしに「『内閣』の規定は大日本帝国憲法の第何条から第何条に規定されていますか」?と尋ねてみたいと思いますが、答えられますか?

正解は、「『内閣』に関する規定は大日本帝国憲法には存在しない」、です。意外と知られていませんが、大日本帝国憲法には国務大臣に関する規定は存在しますが、「内閣総理大臣」を含め、内閣そのものに関する規定がごっそり欠落しているのです。

じっさい、大日本帝国憲法自体は、成立した当時は世界的なレベルと比較して遜色のないものだったと思いますが(※著者私見)、いかんせん、1889年2月11日に発布されて以降、すでに133年が経過しています。

この点、今から75年前の1947年5月3日に施行された日本国憲法には、時代にそぐわない規定が多々ある、という点についてはそのとおりですが、「日本国憲法を無効にし、大日本帝国憲法を復活する」という場合は、現代社会にそぐわない規定が、もっとたくさん出てきます。

だいたい「貴族院」など、どうやって再建するつもりでしょうか?

本当に謎と言わざるを得ません。

政治はデジタルではない!

いずれにせよ、右も左も極端に振れると、究極的には「実現可能性がゼロ」という意味において、主張がだいたい同じになるのかもしれません。事実、故・安倍晋三総理大臣らを舌鋒鋭く(というか口汚く)罵っている人は、「リベラル」を自称する人たちだけでなく、「保守」を自称する人たちにも存在するからです。

くどいようですが、現実社会は「1かゼロ」の「デジタル」ではありません。

たとえば、安倍総理が日本の外交を、間違いなく良い方向に変えたことは間違いありませんが、その安倍総理にしたって、「得意分野」だったはずの外交で大失態をしでかしています。

2015年12月には「日韓慰安婦合意」という合意を韓国と取り交わしたものの、韓国の次期政権にあっけなく破られた、という事例があります(※もっとも、「韓国による国際合意破りの実例を示すことができた」という意味においては、必ずしも「失態」とは言い切れないかもしれませんが…)。

さらに、経済という面では、安倍政権には「よくやった」という面と、「不十分だった」という面が混在しています。

アベノミクスの「第1の矢」である「積極的な金融政策」については間違いなく大成功でしたが(有効求人倍率が軒並み1倍を超えているのがその証拠でしょう)、「第2の矢」である「機動的な財政政策」は失敗でしょう。安倍内閣で副首相兼財相として入閣した麻生太郎総理がブレーキを掛けたからです。

その安倍総理の最大の失態は、なんといっても消費税等の合計税率を5%から10%へと倍増させたことにあります。

もちろん、消費税等の増税は、前任の野田佳彦元首相に大きな責任があることは間違いありませんが、それと同時に増税法案自体は当時の民主党・自民党・公明党の「三党合意」により導入されたものでもあるため、自民党にも大きな責任があります。

ちなみに安倍総理が麻生総理を「切る」という決断ができなかったのも、派閥の理論に加え、一部の噂によれば、麻生総理が安倍総理にとっての「精神安定剤」のようなものだったからだそうです(※これに関する情報源は著者の知り合いです)。

さらに安倍総理の後継者である菅義偉総理の場合、たった384日で価値のある仕事をしたことは間違いありませんが(『菅義偉総理大臣の事績集:「日本を変えた384日間」』等参照)、再生可能エネ推進を筆頭に、とくにエネルギー政策に関して言えばおかしなものが多く含まれていました。

たかが384日、されど384日。この384日には、日本の歴史を変えるほどのインパクトをもたらしました。今月4日で辞任(内閣総辞職)した菅義偉総理大臣の個人ブログサイトが更新されていたのですが、菅内閣の1年間の「功績」が24個ほど列挙されており、これが圧巻というほかありません。そんな有能な宰相を辞めさせた私たち日本国民に、反省点はないのでしょうか。東京オリパラを強行したスガは辞めろ!今年7~8月頃がピークでしたでしょうか、世間では、菅義偉内閣に対する批判が殺到し、各メディアの調査による内閣支持率も、昨年9...
菅義偉総理大臣の事績集:「日本を変えた384日間」 - 新宿会計士の政治経済評論

つまり、多くの場合、どの政権にも良い面と悪い面があるのです。

IFRS強制適用を止めた菅「直人」政権

余談ですが、「IFRS」についても触れておきましょう(※日本ではなぜか「IFRS」を「いふぁーす」などとマヌケな読み方をする人が、監査業界を中心に大変に多いのですが、個人的には「恥ずかしいのでやめてほしい」と思っているのはここだけの話です。)

ちなみに菅(「すが」ではなく「かん」)直人元首相に対しても、著者自身は部分的に評価している面があります。それは、菅内閣に金融担当大臣として入閣していた自見庄三郎氏(※当時の国民新党所属)が日本企業に対する国際財務報告基準(IFRS)の強制適用にブレーキを掛けたことです。

自見氏が2011年6月21日付で公表した『IFRS適用に関する検討について』と称するペーパーがそれで、わかりやすくいえば、「やりたい企業だけIFRSを適用し、すべての上場企業にIFRSを強制適用することはしない」という方向性を示したのです。

そして、現実に日本の会計は、この自見氏の示したとおりになっています。

(※余談ですが、日本企業にもIFRSを採用する企業は増えています。しかし、IFRSには「のれんの非償却」という致命的な欠陥、というか詐欺的な規定を抱えており、これについてはいずれ大問題になると著者自身は考えているのですが、これについては機会があれば別稿で詳しく議論したいと思います。)

いずれにせよ、どんな政党、あるいはどんな政権であったとしても、「100%の絶対悪」、「100%の絶対善」というものはあり得ず、結局のところ、「その政党・政権によって、結果的に国が少しでも良くなったかどうか」によって判断せざるを得ない、というのが著者自身の結論なのです。

岸田首相と「ポスト岸田」

やることをやっている岸田政権

これを岸田政権にも当てはめるならば、「岸田文雄氏を首班とする内閣のおかげで、日本社会が少しでも豊かで安全になるかどうか」という基準で、岸田政権を評価・判断すべきです。

冒頭でも挙げたとおり、岸田首相にはどうも脇の甘さ、判断の甘さが目立ちますし、党内・閣内コンセンサス形成といった政治家として必要な最低限の能力すら持ち合わせているかどうかが怪しいところでもあります。

ただ、岸田「首相」というよりも、岸田「政権」に関していえば、さほど悪いとも思えません。安保3文書の制定原発再稼働・新増設方針の決定など、とくに安保・経済分野において、「やるべきこと」については着実にこなしているからです。

このあたり、岸田首相自身が宏池会という自民党内で5番目の派閥の出身であり、どうしても「ステルス安倍政権」とならざるを得ない、という事情もあるのかもしれません。

安倍総理が7月に暗殺されたことで、岸田首相も一時期、糸が切れた凧のように漂流しているような印象がありました。しかし、「GX実行会議」を構成する大臣6名のうち、安倍派が3人を占めているなど、要所要所では安倍総理、あるいは安倍派の意向が反映される仕組みとなっていることも否定できません。

そういえば、著者自身の印象ではありますが、岸田首相は最近、「新しい資本主義」とやらを、あまり唱えなくなりました。

以前の『岸田首相「株主資本主義からの転換は重要」発言の衝撃』などでも取り上げたとおり、岸田首相の口からは、基本的な企業ファイナンス理論を知らないのではないか、といった疑問を感じるような発言が相次いでいたことは事実です。

岸田首相が「株主資本主義からの転換は重要な考え」として、株主配当よりも従業員への賃金分配などを重視する考えを示したようです。株主配当と賃金というまったく次元が異なる概念をいっしょくたに議論している時点で恐ろしいところがありますが、岸田首相のいう「新しい資本主義」とは、もしかしたら資本主義そのものの否定なのかもしれません。岸田首相のちょっと驚く認識以前の『不勉強すぎる岸田首相「株主は賃上げ必要性理解せよ」』では、岸田文雄首相が「賃上げの必要性は株主も理解すべき」などと述べた、とする話題を取り上...
岸田首相「株主資本主義からの転換は重要」発言の衝撃 - 新宿会計士の政治経済評論

このあたり、岸田首相自身が「企業ファイナンス理論はあまり得意分野ではない」という点を自覚して発言を控えるようになったのか、それとも偶然そのような発言がなされていないだけなのかについては、なかなか見極めが困難な部分ではあります。

しかし、「新しい資本主義」(という名の、事実上の社会主義?)の考え方自体は気になりますが、それよりも、まずは喫緊の課題である国防力の抜本的強化とエネルギー供給の安定という部分で岸田政権が顕著な成果を上げ始めていることについては、高く評価して良いでしょう。

当面の課題は長男をどうするか

もっとも、その岸田政権を巡っての不安材料があるとしたら、そのひとつは、岸田首相自身のご長男の件でしょう。

現在のところ、「岸田首相の長男が官邸の機密を一部メディアに漏洩していた」とする疑惑については、他社からはその続報は見当たりません。したがって、単なる「飛ばし報道」という可能性については、依然として排除することはできません。

ただ、万が一、その報道が事実だったとすれば、やはりこれも岸田首相自身にとっては大きな打撃でしょう。

自身の政権支持率に影響が生じるだけでなく、党内での支持基盤に傷がつきますし、なにより大きいのは、自身の後継者に据えるつもりだった長男の政治生命が絶たれる可能性が出て来ていることです。

スキャンダルが事実だったとして、岸田首相が自身の長男を守ろうとすれば、政権が制御不能なダッチロール状態に陥るおそれもありますし、かといって政権を守るために長男を更迭すれば、「岸田家」や「宮沢家」にも影響が及ぶ可能性が出てきます。

個人的には、岸田家や宮沢家の先行きにはまったく興味がありませんし、無能な政治家がまとめて政界からいなくなるなら、むしろ日本にとっては歓迎すべきことだと思っているクチですが、ここで議論しなければならないのはその点ではありません。

「岸田首相が」、どういう決断をするか、という論点です。

ポスト岸田はバラ色ならず

そのうえ、もっと重要なのは、万が一岸田首相が退陣することになったとして、その後継者が岸田首相より優れているという保証はどこにもない、という点にあります。

最近だとツイッターなどで、「岸田首相は来年のサミットが花道」、「サミット後に電撃辞任」などとつぶやく人もいるのですが、著者自身もその可能性は十分にあると見ています。自民党にも人材が無限に存在するわけではありませんので、必然的に、いまこの状況で岸田氏に代替し得る政治家の候補は数名に限られるでしょう。

一部保守層から人気が高い高市早苗氏の場合、党内の基盤が非常に弱い(※著者私見)ため、万が一運良く自民党総裁に選ばれ、日本初の女性総理に就任したとしても、「高市総理」自身が提唱する政策についてはほとんど実現しない、という可能性が十分にあります。

イメージ的には、たった1年で退陣に追い込まれた第一次安倍政権のような末路を辿るかもしれない、ということです。また、それ以外の政治家にしたって、アベノミクスを覆そうとするかもしれない人物や、特定国と密接な関係が疑われる人物などもおり、正直、非常に心もとない状況でもあります。

このように考えていくと、岸田政権が、すくなくとも岸田氏の自民党総裁としての任期が満了する2024年9月まで何とか瓦解せずに続き、その間に後継者が育つというのが、著者自身にとっては「最もマシなシナリオ」のひとつではないかと思うのです。

高市氏が党内基盤を大幅に強化するのでしょうか、それとも安倍派あたりから総理大臣に就任するにふさわしい人物(萩生田光一氏、世耕弘成氏、西村康稔氏あたり)が力をつけるのでしょうか?(※もっとも、世耕氏は参議院議員でもあるため、総理就任にはハードルがありますが…。)

ネット社会、我々にできることはもっとある!

もっとも、著者自身は日本の将来について、基本的には悲観していません。

【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」』などでも指摘したとおり、社会のインターネット化が急速に進んでおり、自由・民主主義の原理から逸脱した組織ないし勢力(とくに官僚、オールドメディア、特定野党)は、このネット社会において、その力を急速に失っていっているからです。

社会のネット化が進展して、一番困る人たちは新聞・テレビを中心とするオールドメディア産業関係者であることは間違いありませんが、それだけではありません。官僚・役人や野党議員なども、かなりの割を食うことが予想されます。いったいどういうロジックでしょうか。ここで考えておきたいのが「腐敗トライアングル」という重要な論点です。腐敗トライアングル昨日の『騙せなくなる日本:「自称徴用工」年内妥結は困難に?』では、自称元徴用工問題に見せかけて、当ウェブサイトなりのちょっとした「問題意識」を展開しました。それが...
【総論】崩壊始まる官僚・メディア・野党「腐敗利権」 - 新宿会計士の政治経済評論

当たり前の話ですが、日本は民主主義国家であり、私たち日本国民には「考える力」があります。

当然、より多くの有権者が「考えて投票する」ようになれば、政治が良くなりますし、政治家が力を得るようになります。民意を得た政治家に勝るものはありません。

だからこそ、岸田政権を見守るだけでなく、私たちは積極的に、政治家に対して意見を発信していくべきなのです。幸いながら現代社会には、SNSやブログなどのプラットフォームが充実していますし、当ウェブサイトも弱小サイトながら、一部の政治家の方のなかにはご愛読いただいているケースもあるようです。

当ウェブサイトの読者コメント欄に意見を書き込んでいただいても構いませんし、ツイッターやフェイスブックなどのアカウントをお持ちの方は、政治家に対し、直接、メッセージを送ってみても良いかもしれません。

何なら当ウェブサイトは「読者投稿」を受け付けていますので、『読者投稿要領』などをご参照いただき、思いのたけを当ウェブサイトに投稿していただいても良いかもしれません(※ただし当ウェブサイトで採用するかどうかについては保証できません)。

いずれにせよ、社会のネット化が進めば、私たち一般人であっても、ネットへの書き込みという形態を通じ、政治に参加することができるようになるのです。面白い時代になったと思いませんか?

新宿会計士:

View Comments (35)

  • 私見ですが、安倍晋三暗殺により
    「アベガー」
    をできなくなった人たちが、今度は
    「キシダガー」
    を始めたように見えますね。

    あの人たちに理想や対案はありません。
    只ひたすら現状に不平を言い続けるだけ。
    他人が悪い。私は被害者。
    だから求心力として
    「悪のヒーロー(外敵)」
    を設定しないと組織活動が成立しない。

    飲み続けても食べ続けても癒されることのない飢餓感はココロのビョーキだし、仏教で云うところの餓鬼道かと。

    • CRUSH様

      >「悪のヒーロー(外敵)」
      を設定しないと組織活動が成立しない。

      着眼点に同意します。
      実はこの論議アメリカ合衆国にも、ぜひともお話して頂きたいと思います(笑)。

      往々にしてアメリカの外交は「悪の親玉と子分退治しか眼がいかない」からです(笑)。

      • 追加で、(米外交は)往々にして敵と味方を致命的に間違える。とも言われていますね。まぁ、敵と味方は間違えないが、タイミングは致命的に間違える わーくにも人のこと言えませんが。

  • 池の水理論で言うと一応、立憲や共産党も毎回の選挙で国民に信任され議席を獲得しているので継ぎ足しのある秘伝のタレと考えて良いのでしょうか。ワタシには濁度の高いトンスルにしか見えませんが。

    ロシアの会の橋下徹さんの政治家には賞味期限があるという言葉は有名ですが、きっと賞味期限切れのトンスルなのでしょうね。

    • 人の糞便を使って患者の腸内細菌叢を整えるという治療法が流行ってるような・・・

      • エコでSDGS、永久機関で循環社会ですね。
        ところで江戸時代、刀傷の治療止血の際に雑兵が馬の糞を水で溶かして飲む。傷口を尿や塩で洗うなどの荒治療を行っていたと聞いたことがありますのでその類でしょうか。
        ちなみに自分は賞味期限切れの糞便とそうでない糞便の二択だとどちらも苦手です。

    • 「池の水理論」は、
      「濁った池を洗浄するために
       バケツで少しずつ水を入れ替えることをいう。」
      のですが、
      せっかくきれいな水に入れ替えている一方で
      池の反対側から、汚れた下水が流れ込んでは
      むしろ水質が悪化してしまいます(^^);

      メディアでは
      「汚染水」とは隣国が処理水への
      醜いレッテル貼りで騒いでいますが
      それなら隣国原発は処理水以上の濃度の
      「重汚染水」を平時に垂れ流していると言え
      日本の特定野党と支持層かぶる
      原発風評被害拡散活動家などの
      脈絡のない行動主張には、
      そんなこんなのありようの
      人たちとは言え呆れます。

      韓流汚染はまさに今社会を蝕む
      韓流カルト宗教統一教会問題など
      多くの領域で対処しなければ
      いけない課題と考えます。

      • 本文の読み込みは足りなかったのですが池の主体、バケツで水を入れ替える主体は党ではなく国会だったみたいですね。継ぎ足す循環という行為は重要みたいですね。

        私、ディスカバリーチャンネルでエドというイギリスの元特殊部隊の男がサバイバルする人気番組が好きなのですが、彼も池や川を見つけると循環さえ確認するといつも煮沸消毒せずゴクゴクと水を飲み始めます。

        ちなみに下水処理場では雨水などの綺麗な水が流入しすぎても処理能力が低下し生物処理に影響がでるので、常に一定の有機物、糞便等エネルギー源の流入は必要だと聞いたことがあります。

        江戸時代の寛政の改革では白川の清き流れに棲みかねて もとの濁りの田沼恋しきという歌も歌われたそうですのでアベガーという存在も多少の流入は国会を活性化させるエネルギー源になるのでは。っとそんな訳ないか…

      • >せっかくきれいな水に入れ替えている一方で
        池の反対側から、汚れた下水が流れ込んでは
        むしろ水質が悪化してしまいます

         現状維持以上のことができなくともバケツで
        水を入替え、水質汚染を少しでも遅らせることは
        無意味ではないと思います。
         時間稼ぎができるならば、その間に新しい技術
        や装置ができる可能性があるからです。
         そのうち池の水も国会議員も総取っ換えできる
        ようになるかも。

  • 弱い首相は外国になめられ、付け込まれますから、このまま「飼っておく」のは国益にかなわないという見方も正当と考えます。おかしな挽回を図るほどにピンボケ度が高まる。それが「岸田リスク」です。これをどうコントロールするかエネルギーが浪費されるかを想起すると、自民党しっかりしろの声を高めるほかないでしょう。

  • >しかし、「新しい資本主義」(という名の、事実上の社会主義?)の考え方自体は気になります

    その通り。「新しい資本主義」の末路は「”あったらしい”資本主義」なんですよね。

    >IFRSには「のれんの非償却」という致命的な欠陥

    せめて資本金を超えるのれん計上は解消する方向であるべきなのかと。
    身近な企業では、コメダとかすかいらーくなんかが気になります。

    ソフトバンクの「法人税逃れ(のれん減損スキーム?)」に見えなくもないかのような「”例年の”子会社評価損発生」の状況も気になっています。

  • 自民党総裁の椅子の過去の争奪戦を見れば,派閥力学以外に,年功要素も無視できないのがわかります。新宿会計士様推しの方の順番は,岸田総理の後に,もう1~2名の短期政権の総理が必用な気がします。簡単に言えば,順番待ち。
    総理になってもやりたいようにやるのは難しくて,党内の諸勢力や官僚組織や圧力団体の影響を排除するのは難しいでしょう。
    欧米の政権も,それくらいは知っていて,たぬきの化かし合いのような対応をされるでしょう。

  • 新宿会計士さんの言う通りだと思います
    マスコミが明らかに弱くなってるのと、増税に大反発する国民達を見ると未来はそんなに暗くないと26歳の若輩者ながら思っております
    去年の財務省のわけわかめなワニの口理論も国民が大反発してたあたりから、国民のリテラシーの転換点を見出しました

  • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

    現在の日本の保守政治家における問題点は安倍晋三が持っていた危機意識が無くなって現実の真剣な分析を伴なわない「惰性の政治」を行っている事です。

    この病巣にメスが入らないと「誰が自民党総裁をやっても一緒」です。

    その上で当方が気になることをいくつか。

    >安倍総理にしたって、「得意分野」だったはずの外交で大失態

    あの日韓合意は線で見ると明らかに失態ではありません。安倍晋三は以前よりムービングゴールポストの語句を使っていたと思うので管理人様も書かれてますが、「アメリカに裏書」させて合意した事は「あらかじめ失敗を織り込んだ上での捨て石」です。

    アレが出来たからこそトランプ政権での大統領補佐官(安全保障担当)に実質就任出来たのです(笑)。

    >喫緊の課題である国防力の抜本的強化

    どうでしょうかね?少なくてもロシアとウクライナの戦争を真剣に分析して現在世界中の軍事学部でおそらく行っている

    「もしプーチンがウクライナに確実に勝つにはどうすれば良かったか」「それを自国に行われると自国はどうすれば防衛できるか」の分析無しで「惰性の政治」でいいかげんに囀っているのは間違いないところです。

    以上です。駄文失礼しました。

  • 歳の瀬ですね、バタバタします。

    外交安保を致命的に間違う首相だと早期の交代もと思うこともあります。国の基盤の話ですし、内政より失敗の修正がしにくいと思うので。
    岸田氏は致命的に間違わなかったと思います。防衛費の財務省絡みで「どうかな?」と思ったことはありますが。
    代わりの人はいるにはいるんでしょうが、総裁選に出る時点でフィルターされるんですよね。その意味じゃ代わりがいない。

    >ツイッターやフェイスブックなどのアカウントをお持ちの方は、政治家に対し、直接、メッセージを送ってみても良いかもしれません。

    情報発信にtwitterを使っている政治家は多いんですが、ネットから得ている情報には濃度差が結構ありそうに思います。
    佐藤隊長など飯テロなどもツイートするくらいなんですが、誰かに返信を送ったのを見たことがないんですよね。
    「言いっ放し批判」を知らないんじゃないかと思っています。(笑)
    ちなみに首相候補として名を挙げたわけでは無いです。

  • そもそも論ですが、具体的な名前が出てくるまでは、次期総理に理想的な人物がなる、と希望を抱くものではないでしょうか。
    蛇足ですが、もしかしたら、日本人は、次期総理にドラえもん(?)が就任することを望んでいるのではないでしょうか。もっとも、例えドラえもんが総理になっても、不平不満は出てきますが。(なんだか、田中芳樹(著)の「銀河英雄伝説」の世界を思いださせます)

  •  民主主義の宿命というか、政治家は成果で評価するしかないが、成果では政治家の能力は図りきれない、という矛盾があるという気はします。
     短命に終わった第一次政権時点で評価すれば安倍晋三の評価は地に落ちますし、「誰がやっても不景気から脱せないような世界情勢ながらなんとかもちこたえた」宰相が居ても(これを第二次安倍政権としても良いか)、おそらくは「なぜとっとと好景気にしないのだ」「交代させれば薔薇色だ」と考える者、あるいは嘯く者がどうしても出てくるでしょう。実際に居るか。
     政治に興味もないのに文句をつけたがる人間は多いですし、それなりに知識があっても後世においては評価を間違えていたということもありますし、ましてやマスコミ偏向フィルタがあった民主党政権以前の日本では、もはや政治家の正確な評価など不可能に近かったかもしれません。現在では多様な情報源から情報が取得できるようになり、なんぼか政治家の評価がしやすくなり、古代ギリシアから始まってやっとマシな民主主義が始まる時代……なのかもしれません。democracyが「衆愚政治」を指していた"時代があった"と聞いたことがありますが、今とどれほど違うやら。

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