日本の貴重な友人である台湾からの果物輸入額が急増中

台湾の果物輸出、たった2年で日本向けが9%→50%に急増

日本にとっての貿易相手国として、密かに重要性が高まっているのが台湾です。じつは、2022年10月までのデータで見て、台湾は日本にとって4番目の貿易相手国です。その台湾で生鮮や冷蔵の果物の対日輸出が今年1~11月で50%に達し最多を占め、中国は1.7%にまで減少したとする報道が出てきました。食を通じた日台交流の進化は小さな一歩ですが、4つの無法国家に囲まれた日本にとって、大切な友人でありパートナーである台湾との関係強化は良い話題であることに間違いはありません。

最新・貿易高ランキング

資源価格の急騰のせいでしょうか、日本の貿易相手国のランキングに大きな変動が生じています。

財務省税関が作成・公表している『普通貿易統計』に基づけば、2022年1月から10月までの累計の貿易額は177.6兆円であり、前年同期の135.9兆円からは41.7兆円も増えた計算です(図表1)。

図表1 貿易高(2022年1~10月)
相手国金額・割合前年同期
1位:中国36兆2463億円(20.41%)31兆1853億円(22.95%)
2位:米国24兆4023億円(13.74%)19兆2858億円(14.19%)
3位:豪州11兆2564億円(6.34%)5兆7406億円(4.22%)
4位:台湾9兆7953億円(5.52%)7兆8253億円(5.76%)
5位:韓国9兆5449億円(5.37%)7兆5288億円(5.54%)
6位:タイ6兆4283億円(3.62%)5兆3833億円(3.96%)
7位:UAE5兆8576億円(3.30%)2兆8922億円(2.13%)
8位:サウジアラビア5兆0141億円(2.82%)2兆6871億円(1.98%)
9位:ベトナム4兆8559億円(2.73%)3兆7370億円(2.75%)
10位:インドネシア4兆6885億円(2.64%)2兆8988億円(2.13%)
その他59兆5188億円(33.51%)46兆7293億円(34.39%)
合計177兆6084億円(100.00%)135兆8934億円(100.00%)

(【出所】財務省『普通貿易統計』データより著者作成)

輸出入の内訳とその変動

これについて、輸出、輸入の別に分解したものを、それぞれ図表2図表3に示しておきます。

図表2 輸出(2022年1~10月累計)
相手国金額・割合前年同期
1位:中国15兆7567億円(19.56%)14兆6824億円(21.64%)
2位:米国14兆8053億円(18.38%)12兆0512億円(17.76%)
3位:韓国5兆8731億円(7.29%)4兆6825億円(6.90%)
4位:台湾5兆6455億円(7.01%)4兆8709億円(7.18%)
5位:香港3兆6282億円(4.50%)3兆2089億円(4.73%)
6位:タイ3兆5248億円(4.38%)3兆0075億円(4.43%)
7位:シンガポール2兆4555億円(3.05%)1兆8080億円(2.66%)
8位:ドイツ2兆1413億円(2.66%)1兆8924億円(2.79%)
9位:ベトナム2兆0181億円(2.51%)1兆6860億円(2.49%)
10位:マレーシア1兆8070億円(2.24%)1兆3892億円(2.05%)
その他22兆9060億円(28.43%)18兆5645億円(27.36%)
合計80兆5617億円(100.00%)67兆8434億円(100.00%)

(【出所】財務省『普通貿易統計』データより著者作成)

図表3 輸入(2022年1~10月累計)
相手国金額・割合前年同期
1位:中国20兆4896億円(21.11%)16兆5030億円(24.25%)
2位:米国9兆5970億円(9.89%)7兆2346億円(10.63%)
3位:豪州9兆4528億円(9.74%)4兆4103億円(6.48%)
4位:UAE4兆9849億円(5.14%)2兆2776億円(3.35%)
5位:サウジアラビア4兆4920億円(4.63%)2兆2846億円(3.36%)
6位:台湾4兆1498億円(4.28%)2兆9544億円(4.34%)
7位:韓国3兆6717億円(3.78%)2兆8463億円(4.18%)
8位:インドネシア3兆0788億円(3.17%)1兆7275億円(2.54%)
9位:タイ2兆9034億円(2.99%)2兆3758億円(3.49%)
10位:ベトナム2兆8378億円(2.92%)2兆0510億円(3.01%)
その他31兆3888億円(32.34%)23兆3851億円(34.36%)
合計97兆0467億円(100.00%)68兆0500億円(100.00%)

(【出所】財務省『普通貿易統計』データより著者作成)

ここで注目すべきは、やはりなんといっても図表3でしょう。

円安のせいでしょうか、それとも資源高のせいでしょうか、日本は輸入が急増しており、この10ヵ月間だけで見ても約29兆円ほど輸入額が押し上げられました。その結果、輸入分野では米豪両国の順序が逆転しそうになっていますし、輸出相手国として第3位の韓国は、輸入相手国としては第7位にまで低下してしまいました。

かつてと比べて高まる台湾の重要性

ただ、こうしたなかで、もうひとつ注目しておきたいのが、貿易相手国としての台湾の重要性が、かつてと比べて高まっているという点でもあります。

台湾は日本にとり、輸出相手国としては韓国に迫る第4位(5兆6455億円)、輸入相手国としてはサウジに迫る第6位(4兆1498億円)で、貿易相手国としては韓国を抜いて第4位(9兆7953億円)の重要性を持つに至りました。

昨年、つまり2021年を通じては、輸出でも「台韓逆転」が生じていましたが、輸出高では今年、再び韓国に抜かれたものの、輸入高では「台韓逆転」状況が続いているのです。

果物の対日輸出が2年間で50%にまで急上昇した台湾

こうしたなかで、台湾メディア『中央通訊』(日本語版)に先週、こんな記事が出ていました。

果物、対日輸出が50%で最多に 中国は1.7% 依存脱却加速/台湾

―――2022/12/15 14:07:34付 中央通訊日本語版より

中央通訊によると、台湾の内閣に相当する「行政院」の農業委員会の陳吉仲(ちんきちちゅう)主任委員(※閣僚に相当)は14日の記者会見で、「中国市場への依存脱却に向けた取り組みを進めている」と報告したのだそうです。

具体的には、生鮮や冷蔵の果物については対日輸出が今年1~11月で50%に達し最多を占める一方、中国向けは1.7%にまで減少したのだとか。

背景には、中国による台湾の農水産物の禁輸措置が相次いでいるなかで、「中国が国際貿易ルールを守らないことから非友好的な市場への過剰な依存はリスクが高い」(陳吉仲氏)という認識が台湾政府内で高まっていることがあるのだそうです。

そして、中央通訊の記事でとくに興味深いのは、こんな記述でしょう。

果物の対中輸出は2020年には72%を占め、日本は9%にとどまっていたが、21年には中国が47%に減り、日本は23%に増加。対香港輸出も成長しており、20年の10%から今年は1~11月で32%となった」。

正直、台湾からの食料品の輸入高が日台貿易に占める金額割合はさほど高くありません。

ただ、たった2年で日本向けが9%から50%に急増する一方、中国向けが72%から1.7%に激減したというのは、なかなかに大胆な変動です。

このあたり、『【緊急速報】「酢豚パイン問題」が台湾パインで深刻化』などでも議論したとおり、春先に台湾パイナップルをスーパーなどで見かける機会が増えていることも間違いありません。

とくに台湾パイナップルの成功例は、台湾にとっては中国への依存度を減らすことで地政学的リスクをコントロールすることができる一方、日本にとっては柔らかくて美味しいパイナップルが口に入る機会が増加するという意味においては、まさに「ウィン・ウィン」の関係そのものでしょう。

また、台湾は今年2月21日付で、福島県など5県からの日本産食品の輸入規制を緩和しています(2022年4月1日付・福島県ホームページ『台湾向けに輸出される県産食品に関する産地証明書の交付について』等参照)。

無法国家に囲まれた日本にとって数少ない近所の友人

その日本にとって台湾は、基本的価値を共有するとともに、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人です。

台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である」(令和4年版外交青書・P43)。

国際的な約束や条約、国際法を守らない中国、ロシア、北朝鮮など無法国家4ヵ国に囲まれている日本にとって、日本のすぐ近所に台湾のような貴重な友人がいるという事実は重要です。

食を通じた日台交流の強化は小さな一歩かもしれませんが、足元で生じているこうした変化にささやかな希望を感じても良いのではないでしょうか。

読者コメント一覧

  1. よし より:

    「4つの無法国家に囲まれ」ww
    議員さんにもこの脅威を認識して貰いたいです!

  2. 駝鳥 より:

    皆様、お早う御座います。新宿会計士殿の貿易ランキングでのご説明通り、台湾と韓国の順位が逆転したのは誠に喜ばしい限りです。今後、もっと差がつくのを期待しています。

    ところでパイナップルを食べると飛蚊症に効果があると聞きました。ちなみに缶詰だと製造過程に加熱され、飛蚊症に効果があるパイナップルの成分が破壊されるので、生のパイナップルを食べなければなりません。

    Webで調べるとYou Tubeに幾つか説明動画が掲げられていました。またこちらの頁だと、2019年「Journal of American Science」に掲載された論文は、台湾の研究者が発表したとありました。むむむ!?
    https://ameblo.jp/kenkounokoto-midi/entry-12764933780.html

  3. マスオ より:

    最近台湾バナナにハマってます。
    ホクホクでとてもおいしいです。(個人の感想)

  4. 農民 より:

     良いものが不当に売れなくなった後に正当に売れるようになったというのは、自由経済・民主主義圏を象徴する出来事に思えます。「正義が成された」などといった一方的な視点のものではなく、「原理が捻じ曲げられなくなった」といえる事象なのが健全で喜ばしい。
     そして美味しいパイナップルを「買えなくなった」中国庶民(といっても沿岸富裕層でしょうが)がこれをどう感じているか知りたいです。中国ズブズブなメディアの皆さんはそのパイプを生かして取材してきてくださいな。え、共産党の許可が出ない?使えね。
     半導体に関しても台湾(日本も)へ重心を移されています。こちらも同様に逃げられたのが韓国中国。台韓逆転はこれにより更に加速すると考えられ、しかも原因が一過性ではなく根本的な性質のため、未来においても復旧は考えづらい。
     でもまぁ韓国は世界中でモテモテだそうなので。日台とは別の友人とがんばっていくのでしょう。

  5. 古いほうの愛読者 より:

    台湾の果物といえば,レンブやナツメもありますね。売っているスーパーが少ないかもしれませんが。
    本題から離れますが,ドリアンを売ってた店があったので買ってみました。タイで食べたのより,かなり臭いがマイルドになっている気がしました。屋外で食べたほうがいいので,マンションの人は厳しいかも。

  6. 匿名 より:

    フィリピンも勇気づけられるといいんだけど

  7. だいごろう より:

    民進党の敗北が日台間系・中台関係に与える影響についての論説に期待しています。

    シンプルに考えると台湾は親中路線に舵を切ると思うのですが、そんなに単純な話ではないのでしょうか。

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