「プーチンが悪魔祓いは現実の記事」=虚構新聞が警告
「ロシア正教会がプーチン大統領を首席エクソシストに任命した」という記事を巡って、虚構新聞が「これは本紙の報道ではない」、「これは現実のニュースである」とする異例の注意喚起を行いました。該当する情報を確認すると、たしかに出所は『虚構新聞』ではなく『ニューズウィーク日本語版』です。これについていったいどう考えればよいのでしょうか。
虚構新聞の拠点は4箇所、1880年創刊
虚構新聞という新聞が存在します。
営業内容は「不定期刊ウェブ新聞の発行、文化賞贈呈ほか」、資本金は280円、営業収入は0円であり、発行所は滋賀、東京、ニューヨーク、ロンドンの4箇所、社員数は1名と1匹なのだそうです(出所は『データで見る虚構新聞』)。
この虚構新聞社は「ウェブ新聞の発行を柱にしながら虚構情報を幅広く発信している」などと述べているわりに、創刊は1880年4月1日(自称)なのだそうです。1880年4月1日時点で滋賀にインターネット回線がすでに存在していたという事実は、著者自身もいま初めて知りました。
虚構新聞が掲載している記事には、たとえばこんなものがあります。
「一億総衆院議員に」 識者、定数1億増0減を提言
―――2022/05/13付 虚構新聞より
記事タイトルでもわかるとおり、衆議院の定数を現行の465議席から100,000,000議席に増やすべきだ、という提言が注目されている、というもので、有権者全員を衆議院とすることで「一票の格差」問題を解消するとともに、議員歳費というかたちで国民所得の向上が図られる、といったスキームが注目されているのだとか。
フィクションに徹しきれないことがある
ただ、それ以上に重要な事実があるとしたら、同社ポータルサイトの一番下の部分に、こんな記述がある点です。
「この記事はフィクションであり実在の人物・団体とは関係ありません」。
じつは、この記述には間違いがあります。虚構新聞が報じてしまったあとで、同記事が現実化してしまうことがあるからです。こうした場合には、いちおう「お詫び」記事が発せられているようであり、その例としては、こんなものがあります。
「辛くて苦手」に新商品 「種なし柿の種」登場」についてお詫び
2016年6月8日付本紙記事「「辛くて苦手」に新商品 「種なし柿の種」登場」につきまして、「ピーナッツしかない柿の種」が近く発売されるとのご指摘が、複数の読者から寄せられました。編集部で調査した結果、亀田製菓から『亀田の柿の種 ピーナッツだけ』という類似商品が今月発売されることを確認しました。虚構をお届けする本紙におきまして、現実を報じてしまったことを、関係者と読者のみなさまに深くおわびいたします。<<…続きを読む>>
―――2022/03/02付 虚構新聞より
なかなかに深刻です。
その名の通り、虚構を報じることをなりわいとしているはずの虚構新聞にとっては、報じた記事が現実化するというのは、まさに「看板に偽りあり」、だからです。また、ポータルサイトに記載がある「フィクション」云々の記述にも反してしまうのは避けなければならない、というのが同社のポリシーだそうです。
実際、虚構新聞は次の通り、謝罪なのだか謝罪じゃないのかよくわからないような謝罪を提示しています。
「一方、過去に報じた虚構記事が、時間差を置いて相次いで現実化している近年の現状について、編集部として大きな危惧を覚えるのも事実です。日々接近しつつある虚構と現実の距離感を確かめながら、『虚構世界の真実を報道する』という本紙の原点に立ち返り、読者のみなさまの安心と信頼を取り戻したいと考える所存です」。
このあたり、同社には社名の名に恥じぬよう、しっかりと虚構報道を続けていただくことを求めたいと思う次第です。
ロシア正教会がプーチンを首席エクソシストに任命
ただ、こうしたなかで、昨今はこんな記事も注目を集めているようです。
狂ったプーチン、軍事侵攻の目的は「非ナチ化」から「悪魔祓い」に
―――2022年10月27日15時50分付 ニューズウィーク日本版より
記事によると、ロシアのウラジミル・プーチン大統領に対し、ロシア正教会がこのほど、悪魔祓いをする「首席エクソシスト」任命。ウクライナへの軍事侵攻の名目を、「特別軍事作戦」から、いつの間にか「世界の悪魔主義との戦い」へと変化させている、などと述べているものです。
虚構にしてはなかなかに強烈で面白い話題だ、などと感じた人も多かったためでしょうか、ツイッターなどのSNS上では、「虚構新聞がまた虚構を報じた」、などとする指摘が出たらしく、これに対し虚構新聞側がツイッターで「これは本紙が報じたものではない」とする警告を発しています。
【編集部】「ロシア正教会がプーチン大統領を首席エクソシストに任命した」という記事について、本紙報道とのご指摘をいただいておりますが、これは現実のニュースです。ご了承ください。https://t.co/2rIieD5fiL
— 虚構新聞速報/編集部便り (@kyoko_np) October 28, 2022
こうした指摘を受け、改めて「プーチン首席エクソシスト」の記事の出どころを見ると、たしかにこれは『虚構新聞』ではありません。『ニューズウィーク日本語版』となっています。
ニューズウィークの記事によると、ロシア政府の最高意思決定機関である安全保障会議は、ウクライナ戦争を巡って「非ナチ化」を「脱サタン化」という言葉にすり替えつつあるのだそうです。
「安全保障会議のアレクセイ・パブロフ書記補佐は、ウクライナ市民はロシア正教の価値観を捨てたと批判。ウクライナには『何百もの宗派』があると述べ、ウクライナの『脱サタン化』を呼びかけている」。
「ロシア国営のタス通信によると、パブロフは『ウクライナの脱サタン化を実行する上で、特別軍事作戦の継続がこれまで以上に差し迫って必要だと確信している』と述べた。『ウクライナ政府はインターネット上の情報操作やサイコテクノロジー(心理操作)を使って、ウクライナを主権国家から全体主義の急進宗教に変えた』」。
にわかには信じがたい報道です。
「報道統制に基づく全体主義の急進的な宗教国家」、「悪魔崇拝」などと聞くと、どうしてもウクライナではなく北朝鮮や中国とその他約1ヵ国、あるいはロシア自身を指しているように思えてなりません。
いずれにせよ、本件は虚構新聞社自身が危機意識をあらわにするほどのインパクトがあるということであり、現実は虚構よりなお奇なり、といったところなのかもしれませんね。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
ある人物や集団を悪魔に例えたり、逆に自分たちの側を神や使徒にたとえたりするのは、状況が末期的になった証拠のような気がする。例えば戦時中の日本が「鬼畜米英」のスローガンを叫んだり、天皇を現人神とし日本を神の国と称したように。
天皇を現人神とするという考えは持統帝の時代に完成した記紀を根拠とするものであって
東亜太平洋戦争とは無関係。
虚構新聞の記事で最近面白かったのが、国内外の様々な諸問題を専門的に見守る「注視庁」の創設、ですね。
首相ご用達の「なんでも加速器」を理研が開発したとの報道は、まだですか。
はにわさんナイス!
加速し続ける首相は、お得意の聞く力を存分に発揮して振り切ってしまい、ついに脱出速度を達成して周回軌道に。一般会計支出29兆円に。
さっそく日経が昨日午後7時付で社説を発表。英国の二の舞と論説委員は書くが、痛み止めと High Growth では目指す高みがまるで違うんじゃないの。
プーチンは、ロシア正教会から「主席エクソシスト」に任命され、政治家(大統領)と聖職者を兼務することになったようですね。
ロシアでは、プーチンのように政治家と聖職者を兼務する大統領は、彼が最後になると思います。
そうです、プーチンは「ラス・プーチン」になるのです。
銃で撃たれた後に溺死しそう
東スポですか?
学◯のムーですか?、
オカルト世代としては
妙にわくわくする記事です。
>プーチンは「ラス・プーチン」になるのです
「ラスト・プーチン」ですね。もう後継者はいない、と言う意味なのでしょう。
ラスト・プーチンがエクソシストになって侵攻してくる
B級ホラー映画にありそうな字面だわ
韓国や旧統一教会が目指しているのは戦犯国・日本の脱原罪国化なんでしょうけど、日本にとっては大きなお世話なんですよねー。
クロワッサン様
そう。
禁断の木の実だろうが何だろうが、
旨くて栄養満点なら、
自力で手に入れて、喰っちまった者勝ち。
出来もしないことに気が付いたら、
どうせあのブドウは酸っぱいと、
負け犬の遠吠えで誤魔化すより、
精神衛生上、よほど宜しい。
おっと、犬じゃなくて狐だったか(笑)。
『虚構新聞』ネタにするなら、
「ロシア最高裁 ロシア正教宗教裁判所に衣替え
500年ぶりのセイラム魔女裁判復活か」
なんてのは、どうでしょう。
虚構新聞さん
プーチンさんが「悪魔退散!」って言って自分が雲隠れするネタはたった今既出にしましたからね。
> ウラジミル・プーチン大統領に対し、ロシア正教会がこのほど、悪魔祓いをする「首席エクソシスト」任命。
プーチンが悪魔みたいなもんだろうに、と思ったのはここだけの話(笑)
余談ですが、ロシア正教会の代表たるモスクワ総主教・キリル1世はプーチンと同じく、レニングラード生まれでKGBのスパイでした。二人の関係も良好です。
そのキリル1世率いるロシア正教会の傘下にあるのが、神田駿河台のニコライ堂を本山とする日本ハリストス正教会です。独立している建前になっていますが、実際はロシア正教会の方針に従順で逆らう事はなく、ウクライナとの政治的な問題も常にロシア正教会支持イコールプーチン支持を貫いています。ロシアに従順過ぎるあまり、正教会の総本山たるコンスタンティノープル総主教庁と断行する有様です。
日本ハリストス正教会の関係者は公安にマークされてないんですかね?
そしてロシア正教会の「権威正統性」も怪しいものらしいですね。もとを正せばキーウに辿り着き、その意味では「ロシア民族」にあってはキーウは奈良の都のようなもの。現地宗教界においてモスクワ派とキーウ派が火花を散らしている仔細をどこかのWEBページで見つけてなるほどそうなのかと合点してました。霞何とか会とあったような。思い出したら URL 投稿します。
ウクライナはロシアの一部であるとあのようなヒステリックな言動を止めないロシアは、正統が自分たちの側にないからこそウクライナを地上から消して拭い去り、すべてを自分たちのものにしたいのでしょう。
これだけ「リアル」な虚構を作れる編集長は相当な現実主義者です。
でも、「ロシア正教会がプーチン大統領を首席エクソシストに任命したという記事について、これは現実のニュースです。」って、えっ? えっ??
とにかく、
日本としては
悪魔払い
エクソシストの魔の手から
日本を代表する悪魔で有られる
デーモン閣下を
早急に保護、
もしくは魔界に避難させることが急がれます。
ロシア正教会の主張は『頭がおかしい』と受け止めてますが、仮にそんなロシア正教会がウクライナ国内でそんな宗教活動をした場合、其れは宗教活動としてウクライナ政府が公認し、保護すべきなのですかね?