日本の外貨準備高に含まれる米国債の額を試算してみる
本稿は、久しぶりに「数値を使った検証」です。当ウェブサイトでは昨日、円安の恩恵を受けて日本の外貨準備高が円換算で史上最高額に達したとする話題を取りあげたのですが、これに関してふと気になったのが、その具体的な資産の内訳です。これについて検証してみたところ、米ドルが7割少々で、大部分が米国債で運用されている、などとする想定を置くと、日本の外貨準備の実際の動きともだいたい整合します。
昨日の『【速報】円安の恩恵受け日本の外貨準備高は過去最大に』では、昨今のドル高を受け、日本の外貨準備高が過去最大を更新した、とする話題を取り上げました。
これに関してふと気になったのが、「日本の外貨準備高の通貨別構成はどうなっているのか」、「日本政府が保有している米国債の残高はどのくらいなのか」、といった疑問点です。
これについては正直、正確な数値はよくわかりません。一般に外貨準備の通貨別構成や、運用資産の明細・有価証券の銘柄別構成などについては、開示されていないからです(※もっとも、これは日本に限った話ではありませんが…)。
いちおう、日本の財務省が公表している元データの概要を取り上げておくと、こんな具合です(図表1)。
図表1 日本の外貨準備の内訳(※クリックで拡大)
(【出所】財務省『外貨準備等の状況(令和4年8月末現在)』)
また、このデータについては著者自身が確認したところ、少なくとも2000年4月末以降、現時点までで約22年分少々さかのぼることが可能です。
一方で、国際通貨基金(IMF)が公表している『COFER』、つまり世界中の外貨準備高の通貨別構成に関する統計を見れば、世界の平均的な外貨準備の通貨別構成を知ることができます。
以前の『IMF最新統計:世界の外貨準備は3700億ドル減少』では、このCOFERの2022年3月末時点におけるデータを取り上げていますが、これについて再掲しておきましょう(図表2)。
図表2 2022年3月末時点における世界の外貨準備の通貨別構成(前四半期からの変化)
通貨 | 金額 | 割合 |
---|---|---|
内訳判明分 | 12兆0504億ドル→11兆6797億ドル | 93.26%→93.06% |
うち米ドル | 7兆0930億ドル→6兆8776億ドル | 58.86%→58.88% |
うちユーロ | 2兆4806億ドル→2兆3429億ドル | 20.58%→20.06% |
うち日本円 | 6646億ドル→6257億ドル | 5.52%→5.36% |
うち英ポンド | 5788億ドル→5806億ドル | 4.80%→4.97% |
うち加ドル | 2869億ドル→2873億ドル | 2.38%→2.46% |
うち豪ドル | 2213億ドル→2255億ドル | 1.84%→1.93% |
うちスイスフラン | 212億ドル→263億ドル | 0.18%→0.23% |
うち人民元 | 3372億ドル→3364億ドル | 2.80%→2.88% |
うちその他通貨 | 3669億ドル→3774億ドル | 3.04%→3.23% |
内訳不明分 | 8705億ドル→8705億ドル | 6.74%→6.94% |
合計 | 12兆9210億ドル→12兆5501億ドル | 100.00% |
(【出所】International Monetary Fund, ”Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserve” より著者作成)
全世界の外貨準備高が12.9兆ドル(2022年3月末時点)で、このうち日本が1.29兆ドル(8月末時点)ですので、日本の外貨準備高は世界全体のざっくり10%前後である、という言い方ができるかもしれません。
また、著者自身、ユーロ建ての外貨準備についてはスイスが押し上げていると考えています。
その理由は、スイスが自国通貨高に苦しむあまり、2011年7月から2015年1月の期間、1ユーロ=1.20フランを上限とする為替介入を行うなど、ユーロ建ての資産をかなり購入していると想定されるからです。
ちなみにスイスの外貨準備高は2022年3月末時点で1兆0648億ドルと、日本に次いで世界3番目の規模を誇っていましたが、仮にこの8割がユーロだったとすれば、スイス要因だけでユーロは8000億ドル分押し上げられている計算でしょう。
よって、日本の外貨準備の通貨別資産構成を検証するうえで、こんな想定を置いてみます。
- 「日本の」外貨準備資産であるため、日本円は含まない
- COFERのデータからスイスが保有している(かもしれない)ユーロを8000億ドル分除外する
- 人民元建ての資産は保有していないものと仮定する
このように想定すると、2022年3月末時点の通貨別構成は、だいたいこんな具合です。
- 米ドル…73%
- ユーロ…16%
- ポンド…6%
- 加ドル…3%
- 豪ドル…2%
次に、外貨準備資産については金と有価証券については時価評価が行われていますが、金については全体に占める割合が僅少ですし、また、有価証券についてもその詳細な内訳をこと細かに仮定して時価評価しなおすというは現実的ではありません。
そこで、本稿における検証では、便宜上、「ドル建て資産の9割が残存5年(※コンスタント・マチュリティ・ベース)の米国債」であると想定し、それ以外の資産については敢えて時価評価を行わないことにしてみます。
そのうえで、日本は民主党政権時代の2011年11月4日に米ドル買い・日本円売りの為替介入を3062億円分実施したのを最後に、基本的には現在に至るまで為替介入をしていません。
このように考えると、2011年11月4日以降の日本の外貨準備高の変動は、(ODAなどの支援目的で使用される例などを除けば)基本的にはその時点の外貨準備の運用利回りと有価証券の時価評価、為替換算差額などによってもたらされると考えて良いでしょう。
そこで、2011年12月時点で次のようなポートフォリオだったと仮定しましょう。
- 外貨準備高…1兆2958億ドル(1ドル=77.44で換算して約100兆3468億円)
- うち米ドルが73%、ユーロが16%、ポンドが6%、加ドルが3%、豪ドルが2%
- 米ドル建ての資産については90%が5年物米国債、それ以外はすべて現金預金など
このような想定を置き、①ドル建て資産の運用利回りと評価損益、②ドル以外の資産の為替変動を織り込んで、2011年12月のポートフォリオが度動いたかを検証し、実際の財務省の統計データと突合したものが、次の図表3です。
図表3 外貨準備の理論値と実際の値(縦軸は百万ドル)
(【出所】BIS為替レートデータ、米国財務省トレジャリー・イールドデータ、財務省外貨準備データ等を参考に著者作成)
このように比較してみると、理論値と実際の外貨準備高には細かい違いは生じているものの、だいたい大きな齟齬はないことがわかります。
もちろん、現実の外貨準備高は、ポートフォリオの細かい入れ替えも行われていると想定されるほか、一般に「高金利通貨」とされる豪ドルなどの運用利回りも勘案すべきですし、さらには政府間の有償資金協力(貸出金など)、国際開発銀行などへの出資を含めたさまざまな運用がなされています。
このため、本稿の試算はかなり粗いところはあるのですが、いずれにせよ、やはり日本の外貨準備高には米国債が少なくとも5000~7000億ドル、もしかするとそれ以上は含まれている可能性があると見ておいて良いのでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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ソコハカトナク橋龍思い出すですなあ
米国債を沢山持っていることの意味は何でしょう?
門外漢は、意味付け・意義付けまでしてもらわないと、全く記事の意味も、又何故、新宿会計士様がわざわざ、米国債の計算をされたのかの意義も分かりません。
つまり、猫に小判で、有り難みがわかりません。
横レスですが,日本国はアメリカ合衆国の属国だからですよ.
しかもその属国は宗主国様から多額の貿易黒字を稼がせて頂き
何とか貿易収支をほぼ帳尻が合った数字にして来れたし
円安の現在でも経常収支は黒字を維持して居られるのです.
であればこそ,属国の日本は宗主国の合衆国様の国債=借金を
大量に引き受け続けるのが当然の務めなのです.
この当然のことを当然のことと弁えず,ドル安が進んだ時代に
「ドル安が進むほどに米国債の(日本円換算の)価値が目減りし続けている.
このままドル安を放置するのであれば,米国債を売却しようという誘惑に駆られる」
などという不遜極まりない発言をした愚かな総理大臣が,
米国の意を受けた財務省が仕掛けた消費税アップに乗せられて
バブルの傷から漸く回復しつつあった日本経済を完全に失速させ,
参院選惨敗で失脚したこともありました.
属国ならば属国としての分を弁えなさいということです.
大量の米国債の保有は日本が属国としての分を弁えていることの
証拠(アリバイ)と考えれば良いのです.
この外貨準備も対外債権と同様に米国の軍事力によって裏打ちされているという事ですね。
今のところは持ちつ持たれつですが、横暴な米国が勝手な事をした場合のリスクヘッジ(これ等や金保管の対米依存比率を少しづつ下げる等)を考えておく必要がありますね。
併せて米国が勝手なことが出来ない様に、日本国の国力(不可欠性、自立性)を高める必要がある。
その根本は少子化対策と教育改革(小学校での英語教育廃止、無用な大学補助の廃止と学位試験等)と思う。
グラフ見るとドル建て資産は推定値より多いってことなんですかね。ドル円の為替レートも表示されていたらもっと良かったかも。
ジェトロや日本の財務省のHPなどを調べて見ました。
(あくまで、素人が考えを巡らせて見たことです。ご了承ください。)
数値は、月毎に微変動がありますので、以下に書く数値は、概略値、目安値とします。(数値は、2022年5月頃の値)
つまり、「全体の傾向を掴むために、ざっくりとした数値を使う」ということです。
(数値は、2022年5月頃の値)
米国債の保有高1位の国は、日本で、約1兆1000億~1兆3000億ドル(よく微変動する)
2位は、中国、1兆ドル弱
「米国債」の世界の保有残高は、7兆4000億ドルらしいので、日本は、その約16%を保有していることになります。
日本の外貨準備高(約1兆4000億ドル)に占める、米国債の割合は、80%強。
日本は、外貨準備では、金は保有しないという方針があるようなので、
金の次に資産価値の安定している米国債を買う、という選択になるらしいです。(ドル預金よりも、金利が付くから?)
これを、Ⅽ国の国債で持っていると言われると、国民としては、おいおい何してるのよ、と一言言いたくなるのではと思いますが、米国債ならば、
米国の属国だから、ということを言っている程度で、安心していられます。
日本国民でも、資産の殆どを「安全安心?で金利の良い」日本国債で持っていると言う人は、多いのでは?(資産家の話らしい)
ですから、国債の消化率はほぼ100%なのでは?
国債も銀行も安心できないという人は、タンス預金をするらしいですが、
その預金は、日本銀行券ですから、国債が安心できないのに、何故、日銀券なら安心できるのか?
これは、かなりの謎です。
国債を発行している日本政府は潰れても、日本銀行は潰れない、とでも思って自分なりのリスクヘッジをしているつもりなのか?
日本政府がダメな時は、日銀券の価値も超デノミ並みに下がるのではないのか?或いは、国家が潰れても、その中央銀行は、生き残ると?
ところで、わたしが、米国財務省証券(米国債)を買って持っていたら、米国の属民になるのか?
いや、米国債を幾ら以上買ってくれたら、米国籍をあげますよ(但し、元の国籍は離れること)、なんて言ったら、世界中が、米国民になって、勿論Ⅽ国の高官もR国の高官も直ぐに米国債を買うでしょう。これで、即、世界が平和になるのでは?という妄想も生まれてきます。世界が全員、米国籍になるのですから。
これ以上、米国のことを良い方に書くと、(AとかMとかTとかから始まる)どこかから攻撃されそうですので、以下の事を書きます。
米国籍が欲しくて、わざわざ、米国で出産するという富裕層が、特にⅭ国・K国に多いというニュースがありました。何でも、子供が米国籍なら、親も死ぬまで米国籍が持てるらしいと聞きました。
(過去に見た記事なので、ここで出典を示すことは出来ません。ご興味のある方は、ネット等でお調べください。)
出産間近になると、カリフォルニアなどに滞在するらしいです。そこで、出産を迎えると、生まれた子供は無条件で米国籍となる、ということのようです。
これは、皆さん、アメリカが今世界で一番安全で安心であり、なんだかんだ言っても基本的人権は守ってくれそうだし、と分かっているからでしょう?金が出来たら、自分の国から逃げ出したいと思われる国ではない、ということでしょう?
米国を非難するのに忙しい国である国の富裕層が、米国籍が欲しくて米国で出産するというのもどういうことなのか?
以上、米国債が保有される理由を、考えてみるために、米国籍の話まで来てしまいました。
米国債は、極めて流動性が高い。流動性が高いとはどういうことでしょうか?考えてみたことがありますでしょうか?
それは、次の買い手が直ぐに見つかる、ということです。ですから、売買できるのです。隣の国が為替操作をすると言うのは、不思議だなと思います。つまり、買い手がいるの?と。為替の事は全く分かりませんので、これは素人の素朴な疑問です。
このような米国債を大量に保有している日本政府は、どこかから責められるような特段の間違いを犯しているでしょうか?
世界で、一番の安全性と流動性を持っているものは、金か米国債かドルか?と言う中での選択ではないのでしょうか?
米国債の金利はドル預金より高い。しかし、売買で相場が生まれる…。
以上、素人が、考えてみました、米国債のことです。
間違いがあると思いますが、それを教えてやろうかと思われました時は、優しくご指摘・ご教授いただければ幸いです。