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韓国大統領「韓日関係はグランドバーゲン式の解決を」

日韓諸懸案を巡り、尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領が米ニューヨークタイムズとのインタビューで、「グランドバーゲン方式で解決しなければならない」と述べたようです。この「グランドバーゲン」とは「一括妥結」のことだそうですが、なぜ韓国が日本に対し一方的に仕掛けてきている不法行為で、日本が韓国に対して譲歩しなければならないのでしょうか。そもそも日韓諸懸案は、ひとつひとつ丁寧に解いていくという韓国側の努力が不可欠です。こうしたプロセスをすっ飛ばして「一括妥結」もおかしな話です。

日韓関係論

なぜ当ウェブサイトで韓国の話題が多いのか

当ウェブサイト、もともとは「金融評論家による政治経済評論サイト」という触れ込みのウェブ評論サイトであり、いちおうは著者自身の専門である金融、エクセル、ハンバーガーの3領域を中心としつつ、外交・安全保障や経済全般などについても論じる、という建前で開始したつもりです。

ただ、韓国専門サイトというつもりではなかったはずなのに、どうしても韓国に関する話題が多くなってしまうことに気付きます。その理由として考えられる最も大きなものは、「韓国論は物事を本質から考えるうえで大変に有益なケース・スタディである」、という点ではないかと思うのです。

インターネットが出現する以前であれば、新聞、テレビなどのオールドメディアが結論を決めて報道していたフシもあります(※これについては日韓関係に限らず、ありとあらゆる面に言える話かもしれませんが…)。

たとえば日韓関係に関しても、「韓国の行動はなにかとおかしな点が多いけれども、日韓関係は大事だよね」、「だからここはひとつ、日本が『大人の対応』を取り、韓国に譲歩して丸く収めようよ」、といった世論が、人為的に誘導されていたのかもしれません。

しかし、インターネットが出現したことで、「タテの検証」(たとえば時系列での検証)や「ヨコの検証」(たとえば同じ事件を日韓政府がどう発表しているか、など)をするのが、とても簡単になりました(「タテヨコの検証」という考え方の詳細については『ネット「タテヨコの広がり」議論を深める読者コメント』などもご参照ください)。

ネット時代における「タテヨコの広がり」という論点があります。これは、インターネットの普及で人々が多くのより情報源から情報を得ることができるようになったこと、同一メディアの過去の情報発信を追いかけることができるようになったこと、という2つの特徴を意味する当ウェブサイトの造語です。これを巡って本稿ではとある読者コメントを2つほど取り上げたうえで、その議論の広がりを確認してみたいと思います。ネット時代における「タテヨコの広がり」当ウェブサイトでこれまで取り上げてきた話題のなかには、「インターネット...
ネット「タテヨコの広がり」議論を深める読者コメント - 新宿会計士の政治経済評論

つまり、たとえば日韓両国政府の言い分を同時に入手するだけでなく、韓国政府の言い分や韓国メディアの報道などを時系列で並べたてることで、果たして韓国という国が日本にとって、信頼に値する相手なのか、私たち一般の日本国民が簡単に検証できるようになってきたのです。

「日本は謝ってしまえば良い」論の間違い

じつは著者自身も、ウェブ評論の世界に身を投じる前は、日韓関係を巡っては、こんなふうに考えていました。

日本が韓国から『反省しろ』『謝罪しろ』と言われるのは正直不快だが、日本も韓国に対し、過去にはそれなりに酷いことをしてきたのだし、韓国は日本にとって連携すべき重要な相手。ここはひとつ、政府がちゃんと誠意をもって韓国に謝ることで、この問題に区切りをつけるべきだ」。

いわば、「謝って済むなら謝ってしまえば良い」、といった考え方ですが、この考え方のいったいどこがおかしいでしょうか。

結論的にいえば、この文章、丸ごと間違いだらけです。

まず、日本が折に触れ、韓国から「反省」だの、「謝罪」だの、「賠償」だのと要求されることは、「快不快」の問題ではありません。国家としての名誉と尊厳にかかわる話であるとともに、「法的に決着を付ければ蒸し返さない」という国際社会のルール自体を覆しかねないものだからです。

日韓間の請求権に関する問題は、1965年の日韓請求権協定により、完全かつ最終的に解決済みですし、そもそも韓国が「36年の日帝植民地支配」と呼んでいるもの――正確には、「日本が国際条約に基づき朝鮮半島を併合し、35年間統治したこと」――は、当時の国際法に照らし合法的なものでもあったのです。

それに、「日本が韓国に対し、過去にそれなりに酷いことをしてきた」という部分が、そもそも歴史的事実なのかどうか、大きな疑義があります。自称元慰安婦問題や自称元徴用工問題などがその典型例ですが、韓国側の主張の多くは証拠がなく、酷い場合は虚偽、捏造、歪曲のたぐいのものもあるからです。

さらには、「韓国が日本にとって重要な相手」とする部分はどうでしょうか。

たしかに、地理的条件だけで見るならば、朝鮮半島は日本にとても近く、また、現状では産業・貿易などにおける日韓のつながりはそれなりに深いのですが、「現在そういう関係になっている」ことが果たして「必然」なのかどうかについては、大いに疑問があります。

日本の謝罪の「真摯さ」を誰がどう判断するのか

そのうえで、「日本政府がちゃんと誠意をもって謝れ」、とする部分については、その「誠意」「誠実」「真摯」を、だれがどうやって判断するのか、という問題があります。

百歩譲って「日本が韓国に酷いことをした」、「日本がその過去を反省も謝罪もしていない」、「日本にとって韓国は大切な国」、といった部分が事実だったとして、「それでは日本政府が謝罪します」となったときに、それが「真摯な謝罪」なのかどうかを、いったい誰がどうやって判断するのでしょう。

答えはおそらく、「韓国政府や韓国国民が」、です。

要するに、韓国国民が日本政府や日本企業、日本国民などの謝罪に対して納得するかどうか、という話であり、もし日本政府が公式に謝罪したとして、韓国政府や韓国国民が「それは真摯な謝罪とは言えない」などと言い出せば、日本の公式謝罪は「なかったこと」になります。

というよりも、韓国も党派争いの強い国であるとされていますので、ときの韓国の政権が日本の謝罪に納得したとしても、国会がそれを批判するかもしれませんし、遅くとも次の政権になったらまたすぐ蒸し返されることは明白でしょう。

たった3年弱で韓国国会が否定した「日韓共同宣言」

その典型例が、1998年10月8日、小渕恵三首相と金大中(きん・だいちゅう)韓国大統領が合意した「日韓共同宣言」です(※肩書は当時。なお、共同宣言の原文は外務省ウェブサイトで現在でも読むことが可能です)。

この宣言は、小渕首相が「我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた」と表明。

これに対し金大中大統領が「かかる小渕総理大臣の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である」と表明した、とするものです。

当時の日本国民としては、この小渕首相の発言に納得が行かないという人もいたかもしれませんが、ただ、当時の日本政府が「植民地支配で多大の損害と苦痛を与えた」ことを「痛切に反省し、心からお詫びする」と述べたことは、韓国側が求める「謝罪と反省」の要件に合致したものでもありました。

そして、金大中大統領がこの小渕首相の歴史認識の表明を「真摯に受け止め、これを評価」したうえで、「未来志向で関係を発展させていこう」と述べたことによって、いわゆる「反省と謝罪」の部分に関しては、完全にピリオドが打たれたのです。

ただ、この日韓共同宣言自体、次の盧武鉉(ろ・ぶげん)政権時代の2001年7月には、韓国の国会が「全会一致で」破棄を求めました。いわば、小渕首相の「痛切なお詫び」を金大中大統領が「受け止めた」というやり取りを、韓国の国会が否認したわけです。

対日関係全面見直し決議、韓国国会が採択

―――2001/07/18付 ウェブ魚拓サイトより【※朝日新聞記事】

つまり、この日韓共同宣言とそのたった3年弱で韓国の国会が全会一致でこれを否認した、というやり取りを見るだけで、日本が韓国に謝罪しても意味がないということは明らかでしょう。故人に鞭打つのは酷ですが、故・小渕首相の判断が正しかったとは思えないのです。

二重の不法行為とグランドバーゲン

日韓諸懸案を巡る「二重の不法行為」

いずれにせよ、日韓共同宣言の本質とは、歴史に対する日本の反省と謝罪を受け、日韓両国が未来に向けて発展して行こうとする契機であり、これを韓国がいともあっけなく反故にしたという事実は、およそ日韓間でありとあらゆる約束が守られないという証拠でもあるのです。

そして、こうした「タテの検証」を積み重ねていけば、そもそも韓国政府や韓国国会が国際法や国際条約、国際合意、さらには「法の支配」といったものを極めて軽んじる国であるという事実は明白ですし、それどころかウソをついてでも日本の名誉と尊厳を貶めてくる国ですらあるのです。

こうした点をまとめたのが、今年5月31日付で掲載した『【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任』です。

世間では少し勘違いしている人が多いようですが、日韓諸懸案とは韓国の日本に対する「二重の不法行為」の問題です。解決する全責任は、韓国側にあります。そして、日本が議論しなければならないことは、「どうやって韓国に譲歩して折り合いをつけるか」、ではありません。「約束を守らない韓国を、どうやって罰するか」、です。本稿では「総論」として、これまでに当ウェブサイトで触れてきた「韓国の対日不法行為」の数々を、大ざっぱに振り返っておきます。韓国の対日不法行為、尹錫悦政権発足後に「風化」していないか?2022年5月1...
【総論】韓国の日本に対する「二重の不法行為」と責任 - 新宿会計士の政治経済評論

日韓諸懸案における「二重の不法行為」とは、「①韓国がウソ、捏造、歪曲に基づいて日本の名誉と尊厳を貶め」、「②法的に根拠がないこと(たとえば謝罪や賠償など)を要求している」、という共通構造が存在している、ということを意味しています。

日韓諸懸案を巡る韓国の「二重の不法行為」とは:
  • ①韓国側が主張する「被害」の多くは韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである
  • ②韓国側が日本に対して要求している謝罪や賠償の多くは法的根拠がないか、何らかの国際法違反・条約違反・合意違反などを伴っている

(【出所】著者作成)

普段から紹介している「対日不法行為の一覧表」(図表)でも明らかなとおり、日韓諸懸案の多くはこの①、②の両方か、少なくともいずれかの論点を含んでいます。

図表 韓国の対日不法行為の一覧表(※引用・転載自由)

(【出所】著者作成)

「韓国に譲歩せよ」?絶対にあり得ない!

このように考えていくならば、理論上、日韓諸懸案が両国関係の破綻につながるのを防ぐためには、①韓国が国際法などを守るか、②日本が韓国に譲歩するか、のどちらかしかあり得ず、もしも①、②のいずれも達成できなければ、③日韓関係が破綻する、という未来が待っているはずです。

日韓諸懸案を巡る「3つの落としどころ」
  • ①韓国が国際法や国際約束を誠実かつ完全に履行することで、日韓関係の破綻を回避する
  • ②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することによって、日韓関係の破綻を回避する
  • ③韓国が国際法や国際約束を守らかったことの結果として、日韓関係が破綻する

(【出所】著者作成)

先ほど挙げた、「日本は謝ってしまえば良い」論に立脚する人であれば、きっと上記のうちの②を強く推し進めるのでしょう。

ただ、このように①~③の選択肢を示すと、ときどき、こんな趣旨の反論をいただきます。

上記①~③のような極論ではなく、日韓が少しずつ譲り合って、問題の解決の糸口を見つける、という可能性もあるはずではないか?

残念ながら、このような「日韓が少しずつ譲り合って」、といった発想が出てくる時点で、「二重の不法行為」を理解していないと言わざるを得ません。そもそも「双方が譲り合う」かたちで問題解決を図るのは、「過失が双方にある場合」の話だからです。

もちろん、日韓諸懸案を巡って、日本政府にも悪い部分があるのならば(たとえば過去に何らかの違法行為を行っていたのならば)、日本政府としても国際法の原理原則を押し付けるのではなく、韓国に対して譲歩できる部分は譲歩すべきでしょう。

しかし、たとえば自称元徴用工問題を巡っては、残念ながら日本政府、日本企業に違法行為はほとんど見当たりません。

敢えて言えば、2015年7月のユネスコ総会で、佐藤地(さとう・くに)ユネスコ大使(当時)が、あたかも戦時中、現実に違法な強制労働がなされたかのように述べたというものがあり、これなどは政治的には重過失と断言できます(外務省はこれだけで解体に値します)。

ただ、これはあくまでも「外務省の大チョンボ」であって、何らかの「違法行為」だった、というわけではありません。

日本不在で勝手に「日本の謝罪と賠償」を勝手に議論

いずれにせよ、自称元徴用工問題の例でいえば、少なくとも2018年10月と11月の大法院判決を何らかの方法で無効にすること、「日本企業による違法な強制動員」といったウソをついて日本企業に不当な風評損害を与えたことを謝罪すること、といった措置が含まれていなければなりません。

しかし、現時点で韓国側から見えてくる「解決策」は、いずれも「解決」になっていない代物ばかりです。

たとえば、『韓国紙、首脳会談開催を前提に勝手に日本の謝罪を議論』などでも紹介しましたが、韓国国内では自称元徴用工問題を巡って、「強制徴用」というウソを前提に置いたうえで、「どうやって日本から謝罪と賠償を引き出すか」、などが勝手に議論されているのです。

さすがに驚きました。韓国紙に今朝、日韓が首脳会談を行うことが「確定した」ことを前提に置いた記事が掲載されていたからです。この話題、すでに昨日の段階で、松野官房長官が「まだ何も決まっていない」と否定していたものです。それなのに、日本側の発表を完全に無視したうえで、自称元徴用工問題を巡っても「日本が譲歩すること」を勝手に議論しているのです。これは驚く!虚報を事実であるかのごとく決めつけた記事長年、コリア・ウォッチングをしていると、たいていのことには驚かなくなります。しかし、さすがに韓国メディア『...
韓国紙、首脳会談開催を前提に勝手に日本の謝罪を議論 - 新宿会計士の政治経済評論

日本側の識者や代表者などが不在、という状況で、「日本の謝罪と賠償」を勝手に議論されても、正直困ります。いやむしろ、ここで本来議論しなければならないのは、「どうやって違法判決を無効にするか」、「どうやってウソツキたちを罰するか」ではないでしょうか。

いずれにせよ、こうした本質的な議論を無視し、勝手に日本の謝罪や賠償を議論しているのを眺めていると、韓国側が問題を妥当に解決するような提案を出してくる可能性自体、極めて低いと断じざるを得ません。

しかも、百歩譲って尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権時代に韓国から何らかの「解決策」が出てきたとしても、「次の政権」ではどうせ反故にされるに違いない、といった日本側の不信感を、どうやって払拭するのか、という問題があります。

金大中政権時代の日韓共同宣言は盧武鉉政権時代に、朴槿恵(ぼく・きんけい)政権時代の日韓慰安婦合意は文在寅(ぶん・ざいいん)政権時代に、それぞれ韓国側によって否認または破棄されたことを思い出すまでもありません。

尹錫悦氏「韓日関係はグランドバーゲン方式で解くべき」

こうした文脈に照らすなら、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日掲載されたこんな記事には、おそらく圧倒的多数の日本人が強い違和感を覚えるのではないかと思います。

尹大統領「韓日関係、グランドバーゲン方式で解かなければ」

―――2022.09.19 06:56付 中央日報日本語版より

中央日報によると、尹錫悦氏が応じた米ニューヨークタイムズとのインタビューの内容が18日に公開され、南北関係や米韓関係に加え、日韓関係などにも言及したのだそうです。ちなみに記事タイトルにある「グランドバーゲン」とは「一括妥結方式」のことなのだそうです。

尹大統領は冷え込んだ韓日関係の解決策と関連しては『グランドバーゲン(一括妥結)方式で未来志向的に解いていかなければならないと考える』とした」。

この点、「グランドバーゲン」という言葉は記事タイトルにもなっているわりに、この言葉が出てくるのはこの部分だけであり、尹錫悦氏の述べる「一括妥結」とやらが何を意味しているかについてはよくわかりません。

ただ、中央日報は尹錫悦氏が20日にニューヨークで開かれる国連総会で基調演説をするのを契機に「日本の岸田文雄首相との首脳会談も推進」している、などとも述べており、この部分でこんなくだりも出てきます。

実現すれば2年10ヵ月ぶりの韓日2国間会談で、強制徴用問題などで解決の糸口を用意できるかが関心事だ」。

自称元徴用工問題を巡っては、結局のところ、韓国が国際法や国際条約などを尊重するかどうか、という問題ですし、2019年にすでに日韓請求権協定に基づく問題解決プロセスを試した日本政府としては、もはやどうしようもありません。

しかも、この「国連総会を機にした日韓首脳会談」については、それこそ「タテの検証」「ヨコの検証」をすればすぐわかるとおり、日本政府側は基本的にノーコメントを貫いており、実現する可能性は極めて低いと考えられます(『韓国一方的発表に抗議、「正式会談」を見送りへ=産経』等参照)。

産経ニュースに昨日、「独自」と銘打って、日本政府が韓国側に抗議するとともに、ニューヨークでの日韓の正式な首脳会談を見送る方向で調整している、などとする記事が掲載されました。日韓首脳会談開催という話題の唐突さもさることながら、報じたのが産経であるという事実を踏まえるならば、産経の報道にはそれなりの確度があると見て良いでしょう。ここで問題となり得るのは、日本政府の「意図」です。「韓日首脳会談で合意」の唐突さ韓国大統領室が15日、今月20日から米ニューヨークで行われる国連総会一般討論演説会にあわせ、尹...
韓国一方的発表に抗議、「正式会談」を見送りへ=産経 - 新宿会計士の政治経済評論

いずれにせよ、日韓諸懸案というものは韓国が一方的に作り出したものである以上、解決する責任は全面的に韓国側にありますし、これらの諸懸案については「包括的にごちゃ混ぜにして解決」できるものではなく、ひとつひとつ丁寧に解きほぐしていく努力が必要です。

自称元徴用工問題のケースでいえば、もしも韓国側が国際法に反した判決を放置し続け、資産現金化などが実現しようものなら、韓国が国を挙げて国際法を破る国家だ、という事実が全世界に示されることにつながりかねません。

そのこと自体、取り繕うことができないほどの大きな打撃を韓国自身にもたらすことになるでしょう。

日韓関係はタテヨコ検証に適した題材

さて、こうやって眺めてみるとわかりますが、日韓関係は本当に「タテ検証」「ヨコ検証」がやりやすい話題のひとつでもあります。そして、韓国の話題を取り上げるわが国のメディアの報道を眺めていていつも感じるのは、日本のオールドメディアは、この「タテ検証」「ヨコ検証」に、決して強くない、という点でもあるのです。

その意味では、当ウェブサイトで韓国、あるいは日韓関係論に関する話題が多いのも、ある意味では当然といえるのかもしれません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ちなみに文在寅前大統領に関する話題といえば、同じく中央日報の昨日の記事によれば、「政権交代しても国際合意は履行すべき」、などと述べた、というものがありました。

「南北合意、政権交代しても履行すべき」…文前大統領が退任後初めて懸案メッセージ

―――2022.09.19 08:10付 中央日報日本語版より

慰安婦合意を破っておきながら、説得力の「せ」の字もない、などと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (47)

  • 都合が悪くなるとちゃぶ台返しをする、というのは韓国のお家芸でもあります。
    元自称慰安婦にしても裁判所が日本政府へ資産開示命令を出していましたが、それを取り消したようです。
    その理由が、「住所不明」だからだとか。
    私は最近、韓国はもしかしてお笑い系国家なのかと思えてきました。

  • 鳩山由紀夫が誠意をもって謝罪したと思うんですがね、膝を折って。足りませんかねぇ?

  • 「韓日関係はグランドバーゲン式の解決を」という発言自体が、ユンソンニョル政権の現実直視能力の低さ(=希望的観測への誘惑に囚われやすさ)を、表していると思います。
     相手国の日本が、徴用工問題の目処がつかない限り首脳会談にも応じないとしているのに、しかもそれすら暗礁に乗り上げているのに、グランドバーゲンとは”お花畑”もいいとこ。
    「為替対応、韓米通貨スワップで突破口を開くべき」という東亜日報の主張と、レベルは同一。
     交渉とは、相手のメリットと課題を良く整理して、自分のそれと対比しながら、着地点を探る地道な努力です。一方的に自分の希望をぶちあげても、何も得られません。
     発足してもう4ケ月経つのに、やはり保守政権もダメなんですかね。

    • グランドバーゲンなんて、お店が損をしてもお客様に喜んで頂けるよう「出血サービス」する事じゃないんですか?
      実際は在庫処分で損切りが出来るとか、来店していただいた際に別の商品を買って頂くことでベタベタにするとか、お店にもメリットはあるんですけどね。
      いったい、ユン君は何を出血して見せるんでしょうww

    • 事実を正確に認識する、事実に基づいて考えるということができなければ、出てくる結論は必ずおかしなものになります。大統領を含む韓国政府高官の発言、韓国メディアの報道を見てもこの基礎的な能力が致命的なほどに欠如しているのを感じざるを得ません。
      それが庶民だけでなくエリートもこれだと、もはや保守政権とか関係なく、いつまでたっても出てくる話はお花畑なものにしかならないように思います。
      グランドバーゲンとか言ってますけど、求めているのは日本の努力だけで韓国側がこれまでの態度を改そうなものが何一つ見えてこないですね。

    • taku様

      フリマ。出品者募集中!
      グランド大バーゲン!(予定)

      まあ、一応主催者のつもりなのね www

    • >「韓日関係はグランドバーゲン式の解決を」という発言自体が、ユンソンニョル政権の現実直視能力の低さ(=希望的観測への誘惑に囚われやすさ)を、表していると思います。

       まったく逆の見方もできますよね
      現実直視能力が高い故(現実が無理と思われる)グランドバーゲン式を(拒否を承知で)提案した

      >発足してもう4ケ月経つのに、やはり保守政権もダメなんですかね。

       発足当所から与野党の議席数逆転があるので「任期の半分程度」は実績をあげることは難しいと言われてました
      前任者が「めちゃくちゃ」なことを考えれば健闘してると思う

  • 尹大統領、、文在寅よりは、マシかと期待したが、やっぱり韓国人だった。元検察総長ならば、情報分析をキチンとやり正しい歴史と現状分析ができるハズで、自国の経済崩壊に伴う様々な問題を考えれば、日米からの協力、もとい支援は必須だろうに、無駄なプライドなのか、対等な物言いが多い。
    まぁすり寄られても困る。韓国には自ら信じた道を邁進して貰おう。間違っても我が国を横目にみて、足を運ぼうとは、思わない事だ。

    • >>元検察総長ならば、情報分析をキチンとやり正しい歴史と現状分析ができるハズで

      情痴国家の検事は時の政権の都合が優先だと思うので、必要なのは政権意向に沿った世論調査くらいだと思います。

  • グランドバーゲンって、日本がホワイト国に復帰させる代わりに韓国が請求権協定にしたがって国民に補償し、自衛隊機に対するFC照射を止めるとか?

    • 其れでは全くバーゲンになっていませんね。

      元検事と言うから『自称元徴用工裁判は事実認定に重大な過誤があり再審する』くらいはやると期待していたのだが。

      バーゲンと呼ぶには上記と

      ”大日本帝国の大韓帝国併合は合法であった。非合法と言う輩は韓国を自由民主主義諸国とりわけ日米から切り離し転覆させようとする金一味の手先である。竹島は日本領土であり独島領有主張は全く根拠のない妄言。世界の孤児から脱却するため、竹島及び盗んできた対馬の仏像は直ちに返還する。”を大統領談話で発表し、実行すること。

      が最低入っている必要がある。

      ”条約・合意を守らない、嘘つき、コソ泥推奨” 国 の言葉は ”気にするな、どうせ大したことは言っていない。” と、肝に銘じるしかありませんね。

  • だいたいバーゲンとは売り手が行うもの。
    店先で客が定価のものを「これグランドバーゲンで買いましょう」と言ったら、店は買う気がないなら帰れと言うでしょう。
    客は韓国だけじゃない、FOIPもある。で終わりです。
    いや、もしかしたら韓国は他人の店先でそこの店主に「これグランドバーゲンですよ」と言ってる、頭のオカシナ人なのかも知れません。
    やはり、あの地獄のような半島では現実をみる能力があると生きてはいけないのかも知れません。

    •  なんだよグランドバーゲンって何かおかしくないか…というモヤモヤが解決しました、ありがとうございます。韓国は「ボールは韓国側にある」=売ってやるか決めるのは日本側、というのをやはり理解していないようですね。
       まして「購入担当者がこのたび交代しました。前の人と正反対の人なので、グランドバーゲンでいいですよね?」と言われても「なんで?」としかなりませんよねぇ。ならないのか……

  • 一括的解決とは「日本も悪いことがあった」を前提とした考え方です。韓国も問題があったが日本だって悪いことがあったじゃないか。

    事実は日本は一切悪いことはしていない。です。その時その時で妥当な行動を取っていて、その結果生じる不都合も都度解決して積み残しはありません。後世に禍根を残さないよう常に努力しています。

    その努力と解決の結果を無視して、一部だけを恣意的に取り出して韓国は取引の材料にしているのです。

    まあ、それでも、もし日本に何か困ったことがあるなら解決の工夫をするのもありでしょう。韓国はその状態です。でも、日本はいま困り事はありません。むしろ韓国にまとわりつかれてるのが困り事。無視が最良の解決。

  • 林外務大臣は韓国の朴振外相と会談し、韓国の尹大統領の最近の日韓関係に関する発言について、「関係改善に向けた強い意志を示したものと前向きに受け止め、歓迎している」と伝えたそうです。国連総会期間中の日韓首脳会談については「何ら決まったものはない」、そうです。
    https://news.yahoo.co.jp/articles/30c5e9a2686e6eabb8a19944c8d5ddf086306bea
    日本国内の反応を見るためのものかもしれませんが、心配です。

      • それは良くない傾向ですね。
        この(勝手に起こした)問題を「協議」できるということはこの問題が日韓請求権協定の外にあることを認めたと曲解するだろう。
        そうでなくても賠償問題を起こして協定外の協議、ルールの無い協議、終わりの無い協議に持ち込めることができるという悪い前例になった。
        解決せず放っておける覚悟があるならいいが、そうではあるまい(それなら「協議は時間切れ」と言うから)。
        誤報を期待して外務省HPを見たけど
        「旧朝鮮半島出身労働者問題…問題の早期解決に向けて両国間の協議を継続していくこととしました」
        マジだった。
        さすがは産経、ヤバさがわかってますね。

      • 平行線であろうと結論が見通せない状況であろうと、こちらから「協議なんてやってらんないわっ!」と言って、席を蹴って変える訳にも行かないでしょう。
        松岡洋右じゃないんですから。
        要するに、一歩も進まないから「協議を続ける」しか無い訳でで、それ以上の意味も以下の意味も無いと思います。

        とは言え、岸田・林コンビのことですから、一抹(百抹?)の不安は残りますけどね・・・

        • いや、協議と言う言葉を安易に使うのが誤り。

          ”では、歩み寄りましょう。”と、なりやすい。

          現状ゴールを共有できていないのだから、検討とか討議、議論を続けるレベル。

          • 「では歩み寄りましょう」
            「歩み寄って下さい」
            「お互いに」
            「ムリ」
            「じゃ、協議継続ってことで」
            「そゆことで」

            これでも、協議継続だと思うんです。

          • 門外漢 様コメント(2022/09/21 05:19)への返信です。

            仰る流れの協議継続は、0:100論のフレームワークに乗せられた状態の継続です。

            表はこれで(相手の術中に嵌ったように見せかけて)やりながら、
            裏でしっかり首を絞めて居ればよいですが、出てくる反応を見ると全く何もやっていないように見えます。

            その内に状況が変わり、有耶無耶にせざる得ない危険があります。
            交渉下手は己の優位を過信して時を失するものです。

  • 1965年の日韓請求権協定こそ、日韓におけるグランドバーゲン式解決ですよね。その協定を韓国が一方的に反故にして、いわゆる従軍慰安婦や徴用工などで日本の名誉を貶め、韓国は大きな利益を得て、こじれたところで、謝罪もせずまたグランドバーゲン式に解決しよう、と。今回、そのような解決をしても、近い将来、またまたグランドバーゲン式で解決しようと言い出す事は、すでに歴史が証明しています。テーパリングが正解ですね。

  • 韓国、日本が属しているOECDは加盟国のいろいろな統計を作成している。
    韓国が日本を抜いたと言っているようだが、この統計で韓国と日本の位置関係をみてみると面白い。
    韓国の出生率が低いことは有名だが、女性が一生に産む子供の数はOECD加盟国中唯一1を切り0.81。断トツだ。(断ビリ?)
    また自殺率も10万人当たり25.4人で断トツだ。
    女性が子供を産むのを嫌がり、自殺が多い国とはどんな国なのだろう。

    OECDには「貧困率」という統計もある。貧困ラインを下回る人の割合のこと。老人貧困率で韓国はOECD中トップだ。
    どの国でも老後は働けなくなり年金にたよって生活するようになるが、韓国のGDP比の年金支出は3%で下から3番目。社会保障費全体でもGDP比12.2%で下から4番目。低負担低福祉路線なのだろう。
    それでも韓国は儒教の国だから家族その他が老人を支えているのかと考えるとOECDはLack of social support という統計も用意している。何かあった時親戚や友人に頼る人のいない老人の割合は韓国がトップだ。
    上記の自殺者の年齢別は出ていないが、貧困で、頼る人が少なく、もらえる年金も少ないということであれば、おそらく自殺者の多くは老人だろうと推測できる。
    OECDのテンポラリーワーカーの定義は働くにあたって前もって雇用期限を決められた労働者だが、その比率も28.3%でOECD2位。
    労働時間は年間1915時間でOECD5位。ちなみに日本人は働きすぎなどと言われていたが現在は1607時間でOECDの平均以下だ。
    韓国には自営業者が多く24.6% でOECD7位。韓国より上位は南米の国ばかり。
    このような状況の結果なのか家計の負債が多く可処分所得比201%でOECD中7位。

    コロナ発生時K防疫を自慢していたがコロナ感染者の累計数で英国を抜いて世界6位に躍り出た。人口比では世界2位。(なんと人口の47%が感染)
    つい最近日本が長年の対策で結核低蔓延国(10万人当たりの新規感染者が10人未満の国)になったというニュースがあり、韓国はどうかと調べてみると66人でOECDの中では断トツも断トツ。2位の倍以上だ。ちなみにこのレベルは日本の1950-60年代の数字。
    似たような数字の国は中国61, カザフスタン68 ルワンダ59 イラク42。
    対結核の医療政策は国の粘り強い支援がなければできない。日本を追い抜くために徹底的にこの手の金をケチってきたのだろう。

    • 面白いデータありがとうございます。
      最低賃金は日本を超えた、一人当たりGDPも日本を超えるというニュースを見るたびに、韓国ってそんな生活水準高かったっけと違和感ありまくりでしたが、データで見ると実態がよく分かりますね。

    • 日本の国家構想というのは、1930年代に当時のいわゆる新官僚と軍部内の社会改革派、そして一部労働界たちによって決まったと解説する図書に出会ったことがあります。著者は放送大学の教授です。戦争の惨禍と軍部徹底排除を通じてその構想が実現し最終段階に入ったのは 1980 年代、ちょうどプラザ合意がなされたころと当方は考えています。この手の計画は半世紀掛かる。半世紀に実現する未来を構想する姿勢を忘れたくないものです。

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