プーチン「ドンバス悲劇はウクライナのネオナチに罪」

ロシアのウラジミル・プーチン大統領は昨日、「ドンバスで現在起きている悲劇は、2014年に力によって権力を掌握し、同地域で軍事行動を開始したネオナチ政権によって引き起こされた」、などとしたうえで。ロシアの「特殊軍事作戦」がウクライナのナチス勢力からドンバス地域を守るためのものだと改めて強調したそうです。ロシアの「軍事作戦」とやらがドンバス地域以外の地域においても展開されているという事実を無視した強弁そのものでしょう。

ロシアは絶賛苦戦中

少し前から、ロシアがかなり苦戦しているのではないか、とする話題については、『ウクライナ反転攻勢がもたらすロシアの「余裕のなさ」』なども含め、これまでも当ウェブサイトで何度となく触れてきました。

このあたり、私たち日本人にとって、ウクライナが地理的に遠く離れた地域であること、土地勘もなく言葉もわからないことなどを踏まえると、残念ながら「こうに違いない!」という確定情報を、たとえば当ウェブサイトなどで取り上げることはできません。

これに加えて著者自身などが「戦場ジャーナリスト」などとして現地に入り込んでいる、といった事情があるわけでもない以上、「現地はこういう状況です!」などとレポーティングすることもできません。

また、当ウェブサイトにもごくまれに、「英国やウクライナの情報を盲信するな」、「正しい情報はXXというブログサイトを読め」、といった趣旨の書き込みが来ることもあるのですが、正直、「英国やウクライナの情報が間違っていて、XXというブログの情報が正しい」という証拠が提示されることはありません。

このあたり、『陰謀論者の共通点とは「根拠もないのに自信たっぷり」』、なのでしょう。

ロシアの苦境はロシアメディアの報道から間接的にうかがい知ることができる

ただ、ウェブ評論をしていると面白いもので、メディアの報道内容をもとに、現時点の状況を間接的に把握することができることもあります。その典型例が、『タス通信、大規模な戦闘の事実をうっかり報じてしまう』などでも取り上げた、ほかならぬロシア自身の報道です。

ロシアのメディアを丹念に追いかけていくと、いまだに「ロシアが行っているのはウクライナの非ナチ化などを目的としたる限定的な特殊軍事作戦」であり、「作戦は順調に遂行されている」、などとぬかしているわりには、ウクライナで激戦が行われているという事実を、間接的に報じてしまっているのです。

ということは、ロシアのメディアの報道を読んでいくと、「特殊軍事作戦は順調に進行中」というプロパガンダを、肝心のロシア自身が間接的に認めてしまっている、という意味でもあります。

プーチン「ネオナチ政権に罪がある」

こうしたなか、日本時間の昨日、ロシアの『タス通信』(英語版)に掲載されたこんな記事を読むと、ロシアの苦境を間接的に知ることができるかもしれません。

Neo-Nazi regime in Kiev guilty for Donbass tragedy, Putin says

―――2022/09/05 21:44付 タス通信英語版より

タス通信はロシアのウラジミル・プーチン大統領が月曜日、ロシア極東のカムチャツカで開かれた環境フォーラムに参加し、「ドンバスで現在起きている悲劇は、2014年に力によって権力を掌握し、同地域で軍事行動を開始したネオナチ政権によって引き起こされた」、などと述べたというのです。

ちなみにプーチン氏はこうも述べたのだそうです。

彼らは強火力兵器や航空機、重武力などを用いた大規模な軍事作戦を2回にわたって実施しており、そして、これらはすべて今日まで続いている。我々の義務はこれらの人々を助けることであり、ロシアは現在、それを行っている」。

そのうえで、「平和的手段で紛争を解決しようとしたロシア政府の試みは、ウクライナ側の強硬な態度によって失敗に終わった」、「我々は間違いなく支援しなければならず、現在ドンバスに住む人々を支援している」、などとも述べたのだそうです。

そのわりには、ドンバス(自称ドネツク人民共和国、自称ルガンスク人民共和国)以外の地点においても戦闘行為が行われているという事実は、いったいどう考えれば良いのでしょうか。

あるいは、ザポロジエ原発をロシア軍が占領し、原発事故を発生させようとするなどの「瀬戸際戦術」を繰り返していることをどう考えれば良いのでしょうか。

疑問は尽きません。

相手国の不法行為を相手国メディアから読む

さて、相手国の不法行為は、意外と「相手国のメディア」から間接的に読むことができるものです。ロシアというのは面白い国で、自分たちが苦境にあるときには、ことさらに相手を非難したり、強がったりするものなのでしょう(まるでどこかの国とそっくりですね)。

当ウェブサイトにもごくまれに、ロシアの軍事作戦が正当なものであるかのごとく主張する人が出没するのですが、こうしたロシアのメディア自身が報じているロシアの不法行為についてはかたくなに触れようとしないのは、不思議というほかありません。

ただ、言い換えれば、「ロシアは圧勝している」、「正義はロシアにある」などと主張する人たちほど、じつはロシアのメディアを読んでいる形跡がないというのも興味深い点ではないかと思う次第です。

読者コメント一覧

  1. 犬HK より:

    >ロシアの「特殊軍事作戦」がウクライナのナチス勢力からドンバス地域を守るためのもの

    えらく時間がかかり、かつ広範に及ぶ軍事作戦なのですね。

    >ロシアの軍事作戦が正当なものであるかのごとく主張する人が出没する

    是非主張していただきましょう。

  2. 元ジェネラリスト より:

    ナショジオ:廣瀬陽子氏インタビュー
    旧ソ連諸国から軽視され始めたロシアとウクライナ侵攻のこれから
    https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/19/081900025/083100008
    >わたしは、これまであまり政治家個人にフォーカスしてこなかったんです。でも、とりわけ独裁国家、権威主義国家においては、特にそれが重要なんだと気づかされました。

    この分野の専門家にしても、今回のことで始めて気づかされた、と言う点が興味深いと思いました。
    前半は現時点での状況整理ですね。

    1. 元ジェネラリスト より:

      目を引く一文も引用しておきます。(笑)

      >旧ソ連諸国から、ロシアは完全に馬鹿にされてしまっているんです。ウクライナごときにあんなに苦戦するのかと。これまで『長兄』としてロシアを恐れてきたから従順な態度をとってきた国も少なくないわけですが、もう、あんなの怖くないじゃないかという意識が蔓延していて、今までの脅しがきかなくなっています。

      1. 犬HK より:

        ラオウかと思っていたら

        ジャギ、あるいはキムだったという訳ですね。

        1. 元ジェネラリスト より:

          少なくとも人格者トキではないと思います。

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