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韓国紙「米財務長官訪韓時にスワップ締結もあり得る」

ジャネット・イエレン米財務長官が今月中旬、韓国を訪問するのですが、一部の韓国メディアでは「米韓通貨スワップの締結で合意されるのではないか」、といった観測記事が出始めているようです。やはり1ドル=1300ウォンを挟んだ通貨防衛が続くなか、韓国が外貨不足に直面し始めているという可能性もありそうです。もっとも、正直、米国が韓国と何らかのスワップを締結する可能性は極めて低いと考えられるのですが…。

1ドル=1300ウォン前後

金融市場が混乱するなかで、隣国の通貨・ウォンが1ドル=1300ウォン前後を挟んで激しく動く展開が続いています。この水準は2009年7月以来、およそ13年ぶりに安いものです。

韓国の通貨・ウォンは典型的な「NDF通貨」であり、現物通貨については24時間取引が行われているわけではないのですが、それでも最近では韓国時間終了後にも大きく相場が動くことが増えており、それだけ市場の「ウォン売り圧力」と通貨当局とのせめぎあいが激しい、という意味なのかもしれません。

こうしたなか、『「韓国は外貨準備高を倍増し危機に備えよ」=亜洲経済』などでも取り上げたとおり、最近、韓国メディアでは「通貨スワップ待望論」、とりわけ「米韓通貨スワップ待望論」のたぐいが掲載されることが増えてきたように思えます。

韓国を金融面から見たら、ウォンの通貨としての競争力が弱すぎるという問題点があります。これについて韓国メディア『亜洲経済』に昨日、「金融面の強化を通じて韓国は国際競争力の強化を図るべき」とする趣旨のコラム記事が掲載されていました。外貨準備を現在の2倍に増やせ、といった主張ですが、これを読むと、間接的にではありますが、韓国の外貨準備のお寒い実情が見えて来る、というわけです。金融面から見た韓国経済の特徴これまでに当ウェブサイトでは韓国経済を巡り、金融面から見て、いくつかの特徴(あるいは問題点)があ...
「韓国は外貨準備高を倍増し危機に備えよ」=亜洲経済 - 新宿会計士の政治経済評論

米国が外国とスワップを結ぶケースは限られている

ただ、『完全な勘違いに立脚した米韓通貨スワップ待望論=韓国』などでも指摘しましたが、現在の米国が韓国と通貨スワップ協定を締結する可能性は、ほぼ皆無と考えておいて良いでしょう。

米韓首脳共同宣言を受け、一部の韓国メディアが再び「通貨スワップ待望論」に火を付けました。ただ、韓国政府はこの「通貨スワップ待望論」を巡って、何とか水面下に押しやろうとしているフシがあります。米国が韓国と通貨スワップ(あるいは為替スワップ)を締結する可能性は、極めて低いからです。したがって、そろそろ「韓米通貨スワップ待望論」が「韓日通貨スワップ待望論」に化ける可能性への備えをしておいても良いのかもしれません。「韓米通貨スワップ待望論」の実際中央日報「韓米共同宣言は常設通貨スワップ構築の土台か」...
完全な勘違いに立脚した米韓通貨スワップ待望論=韓国 - 新宿会計士の政治経済評論

その理由は、そもそも米国が外国と通貨スワップを締結しているという事例がほとんどない、という事実です。唯一の例外が「NAFAスワップ」、つまり「北米枠組協定」に基づくカナダ、メキシコとの3ヵ国の通貨スワップであり、現時点においてそれ以外に通貨スワップの事例は皆無です。

また、米FRBは通貨スワップではなく、「外国為替流動性スワップ」(いわゆる為替スワップ)ならば、日本、英国、カナダ、スイス、欧州の5ヵ国・地域の中央銀行と締結しています(これらは常設型であり、金額も無制限です)。

ただし、米国が締結しているこれらの為替スワップについては、米国内の銀行が外貨不足に陥った際に、円、ポンド、ユーロ、スイスフラン、加ドルの各通貨の流動性供給が受けられるという意味で、互恵的な協定です。その意味では米国にも恩恵がある、というわけです。

現在は完全に失効した時限為替スワップは「金融緩和手段」

もっとも、米国は為替スワップを、日英欧瑞加の5ヵ国・地域以外とも結んだことがあります。

為替スワップの一種である「ドル流動性スワップ」を、韓国を含めた世界9ヵ国の中央銀行・通貨当局と時限措置として提供していたことがありますが(リーマン・ショック後とコロナ禍直後)、どちらのスワップも「常設型」ではなく「時限型」であり、現在は完全に失効しています。

これらの時限的為替スワップは、米FRBから見れば「外国の銀行にドルの短期資金を貸し出す行為」であり、実質的な金融緩和を意味しています。FRBが金融引締局面にある以上、これらのスワップが廃止されるのは当然の話でしょう。

したがって、韓国が望む「米韓通貨スワップ」が締結される可能性はほぼ皆無とみておいて間違いなく、また、コロナ禍直後のような「米韓為替スワップ」が締結されるという可能性についても同様に非常に低いと考えられるのです。

勘違いに立脚した米韓通貨スワップ待望論

ただ、韓国メディアが「米韓通貨スワップの可能性がある」と勘違いしている根拠は、5月にジョー・バイデン米大統領が韓国を訪問した際、尹錫悦(いん・しゃくえつ)韓国大統領との発出した米韓共同声明に含まれていたこんな一文にもあります。

“To promote sustainable growth and financial stability, including orderly and well-functioning foreign exchange markets, the two Presidents recognize the need to consult closely on foreign exchange market developments. The two Presidents share common values and an essential interest in fair, market-based competition and commit to work together to address market distorting practices”.

これに対する著者自身の訳は、次のとおりです。

秩序ある、そして機能的な外国為替市場を含めた持続的な成長と金融の安定を促進するため、両大統領は外為市場の発展について、緊密に協議する必要性を認識した。2人の大統領は、公正な市場原理に基づく競争に共通の価値と本源的利益を共有しており、市場を歪める慣行に対処するため、協力することにコミットする」。

早い話が「韓国は為替操作をするな、マーケットメカニズムを歪めるな」、という米国からの強い牽制ですが、これがなぜか韓国メディアでは「韓米両国が為替相場の安定に向けて協力することで合意した」、という具合に、話がすり替えられてしまっているのです。

たとえば、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に5月23日付で掲載された次の記事などは、その典型例でしょう。

韓米共同宣言文に初めての登場した為替市場協力…「常設通貨スワップ」構築の土台か

―――2022.05.23 15:57付 中央日報日本語版より

「ジャネット・イエレン氏の訪韓で通貨スワップ」?まさか!

当たり前の話ですが、これらの記事自体がたんなる勘違いに立脚するものであるという事情もあってか、現時点において米韓通貨スワップという話題は、すくなくとも米国側からは一切出てきていません。

ただ、ジャネット・イエレン米財務長官が今月、G20財相・中央銀行総裁会合に参加するためにインドネシアを訪問するのですが、その際に日本と韓国に立ち寄ることから、こうした「米韓通貨スワップ構想」が再び、ごく一部のメディアで盛り上がり始めているようです。

同じく中央日報に先月28日付で掲載されたこんな記事が、それです。

U.S. Treasury Secretary Janet Yellen to visit Korea in July

―――2022/06/28付 中央日報英語版より

中央日報の英語版によると、イエレン氏がバリ島でのG20会合を終えたのち、7月15日から16日にかけて韓国を訪れる際、「2021年末で失効した米国との間の通貨スワップ協定について再び締結される可能性がある」、などと述べているのです。該当する記述は次のとおりです。

“A currency swap with the United States has been a possibility since the last swap expired at the end of 2021”.

そもそも米国が締結していたスワップは “bilateral currency swap agreement” (つまり通貨スワップ)ではなく “US dollar liquidity swap line” (つまり為替スワップ)ですが、こうやってナチュラルにウソをつくのは英語版でも日本語版でも変わりません。

この中央日報の記事でもやはり、米韓共同宣言に含まれていた、「韓国は為替介入をやめろ」とする趣旨の記述が引用されているのですが、それを通貨スワップの話題と絡める趣旨がよくわかりません。

いずれにせよ、昨日は夜間セッションで再び1ドル=1300ウォンを超える局面もあったようですが、為替チャート上、ドル円など他の通貨ペアと比べて不自然な動きが多々見られるなど、やはり為替介入が常態化しているのではないかと疑われる状況はあまり変わっていません。

こうしたなか、おそらく月曜日以降のどこかのタイミングで公表されるであろう韓国の6月末の外貨準備高がどうなっているのかについては、興味深く見守る価値がありそうです。個人的には、「現金預金+有価証券」の部分が、やはり数十億ドル程度は減少しているのではないかと予想しているのですが、はて、結論やいかに。

新宿会計士:

View Comments (23)

  • イエレンさんの今後を想像すると。
    おそらく、韓国に行ったあと言った言わないともめます。
    そして、スワップを約束するまで出国出来ないかも。
    そして、拒否すればリッパードされるかも。
    直前で寄らない可能性も。

    • イエレンさんは女性なのでリッパ―トされたらかわいそうです。
      無事に出国(出獄?)して欲しいです。
      その後にK国は後頭部を殴られたと騒ぎ立てるでしょう。

  • えっと、可能性が0%でもあるなら賭けてみる価値がある、ということですかね....

    • 東スポをみれば、可能性がゼロでない限り、どんな記事でも書ける、ということでしょうか。

  • なんだか、駄々こねれば、結局言うこと聞いてもらえる、
    そんな風に思い込んでるみたいですね。

    独立以来80年にして、4~5歳児並にまで育ったってことか。
    中二レベルまで行くのに、あと何年かかるんでしょうね(笑)。

    • 伊江太 さん

      まさに「泣く子は餅をひとつ余計に貰える」って言動ですね。

      自分が欲しい物をエアリプすれば、観た何処かの誰かが其れを買ってくれる、という価値観でもありそう。

      色褪せて魅力の欠片もない老婆が、若かりし頃のチヤホヤよもう一度!と必死で若作りや整形をしてるような感じ?

      周囲からすれば「年齢相応になれよ」「鏡見ろよ」ってところですね。

  • >早い話が「韓国は為替操作をするな、マーケットメカニズムを歪めるな」、という米国からの強い牽制ですが、これがなぜか韓国メディアでは「韓米両国が為替相場の安定に向けて協力することで合意した」、という具合に、話がすり替えられてしまっているのです。

    何故かもなにも、韓国が相手ならはっきり言わないと脳内の希望的観測回路をフル回転させて「韓国の為替介入は正しい介入であり、マーケットメカニズムを歪めない介入だと認めた」と受け止めるのが当然なんじゃないですかね?

    「韓国がいついつを過ぎても為替介入を続けるならば経済制裁を課す」とか言わないと駄目なレベルだと米国が理解していないのか、理解しているけど外交の場で其れを言わない自制心を働かせているのか分かりませんけど、自制心を働かせてるなら悪手だと考えます。

  • 相手の話を勝手に勘違いして国内に説明するのは自由だが、それによって結果や現実は何も変わらないのに、なぜ嘘の説明するのでしょうね。ほんのひととき夢が見れればいいのでしょうか。

    • いつもの韓国しぐさですね。
      韓国の相手国は、常に「そんなことは言っていない」を
      準備して会談すべき。

  • 同盟国を小馬鹿にしているクセに自分が困った時は超他力本願…。
    国が丸ごと頭がおかしいとしか思えない非常識な国家。
    デフォルトにでも何でもなればいい。

    • 「自己愛性人格障害」でネット検索すると、韓国の行動の一覧表が出てきます。

      • 検索しました。
        自己愛性パーソナリティ障害の方との付き合い方の一番に

        「距離を保つ」

        日本政府はこれを読んだのかも。

      • ウィキペディアで調べました。障害者の症例を述べたのではなく 韓国の振る舞いを分析した結果 これらを「自己愛性人格障害」と名付けたに違いないと確信しました。ww

  • それにしても半島メディアさんは
    寝ても醒めても明けても暮れても
    スワップクレクレニダ だとか、
    捏造ロンダリングテンコ盛りでの
    謝罪と賠償要求するニダ だとか、
    世界が称賛する韓国ニダ だとか
    そんな記事ばっかりですなあ~(笑)

    およそモロモロ韓流というものの
    ありようと息遣いが伝わってくるようで
    思わず鼻を摘んでしまいます。

  • よくわからんが、スワップってFRBと交渉するんじゃないの??
    米財務長官と交渉するんだっけ??

    前者の場合は、
    「通貨スワップの件ですが・・・」
    「その話はパウエルさんに言ってください」
    で終わりじゃないかな。

    間違えてたらゴメンナサイ。

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