日米韓会合「韓日関係改善」への言及ゼロ=外務省発表
日本政府、日米韓会合を「北朝鮮」にカテゴライズする
「韓国が合意を守ればよし、守らなければそれでもよし」。日本の対韓外交の原則は、これに尽きると思います。現地時間の29日、日米韓3ヵ国首脳会合が開催され、その内容が本日、外務省のウェブサイトに掲載されていたのですが、肝心の内容に関しては、北朝鮮牽制や日本人拉致問題の解決など、日米が望む内容が中心であり、「日韓関係『改善』」についてはただのヒトコトも触れられていません。
目次
「韓日関係改善」と日韓二国間会談
日韓関係をめぐってはここ最近、韓国側からやたらと「韓日関係改善」に向けた動きがみられます。
といっても、ここでいう「韓日関係『改善』」という代物については、「本当の意味」でいうところの日韓諸懸案の解決を意味するものではありません。
たとえば今朝の『徴用工「300億ウォン韓日共同基金案」浮上=韓国紙』などでも述べたとおり、自称元徴用工問題の「解決策」をめぐっては、韓国側で「韓日両国の企業などが参加する基金で解決する」といった案が浮上しているようですが、これは「国際法に照らして妥当な解決法」ではありません。
なぜなら、そもそもの2018年10月、11月の韓国における大法院(※最高裁に相当)の判決が、1965年に日韓両国が取り交わした日韓請求権協定という条約に違反する法的状態を作り出しているからであり、その違法判決問題を解消しない限り、国際法に照らして妥当な解決は図られないからです。
ただ、韓国側は何としてでも「日本を騙す」ことを優先しているフシがあり、こうしたなかで、日韓二国間の首脳会談の場は、大変に危険なものでもあります。というのも、韓国と何らかの会話を行えば、たいていの場合、「言った」「言わない」の議論に持ち込まれるからです。
日韓両国の発表内容が大きく異なっている!
その「言った」、「言わない」の議論の典型例が、両首脳の立ち話でしょう。
こうしたなか、昨日の『岸田首相「10回の首脳会談」の相手に韓国は含まれず』では、「韓国大統領室の発表」として、スペインのフェリペ6世国王が主催した晩餐会で遭遇した日韓両国首脳が次のような趣旨のやり取りを行ったとする報道がありました。
- 岸田文雄首相が尹錫悦(いん・しゃくえつ)・韓国大統領に大統領就任と今月1日の統一地方選の勝利を祝った
- 尹錫悦氏は岸田首相に7月10日の参院選で「良い結果」を得らえるよう願っていると応じた
- 尹錫悦氏は「参院選後に、韓日間の懸案を速やかに解決して未来志向に進める考えを持っている」と述べた
- 岸田首相は謝意を示し、より健全な両国関係に発展させるため努力しようと呼び掛けた。
このやり取りがだいたい3~4分くらいだったというのですが、これについて日本の外務省の側は、6月28日付の『岸田総理大臣のフェリペ6世スペイン国王陛下主催晩餐会出席』というページで、次のように説明しています(原文ママ)。
「尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領との間では、ごく短時間、簡単な挨拶を交わしました。岸田総理からは、非常に厳しい日韓関係を健全な関係に戻すために尽力いただきたい旨述べました」(※なお、「ユン・ソンニョル」は「いん・しゃくえつ」の誤りですのでご注意ください)。
なんだか、ずいぶんと内容が異なります。
韓国側の発表だと両者がお互いに選挙についての会話を取り交わしたうえで、岸田首相の側から「より健全な両国関係に発展させるため(お互いに)努力しよう」と述べたかのような印象を抱きます。
しかし、日本側の発表だと、「ごく短時間」、「簡単な」挨拶を交わしたうえで、岸田首相の側から「非常に厳しい日韓関係を健全な関係を戻すために(韓国が)ご尽力いただきたい」と述べているようなものです。
日本語も韓国語も主語があいまいにされる傾向が強い言語ですが(著者私見)、文脈から判断して、韓国側の発表と日本側の発表だと、「誰が」「何をしなければならにか」に関する意味合いがまったく異なってしまっていることは明白です。
日韓断交は難しい…だからこそ「三者会談」「四者会談」を!
このため、基本的に日韓二国間での会談については、可能な限り応じない方が安全ですし、こうした状況にしてしまったのはこれまでの韓国側の不誠実な態度に起因するものであり、日本政府の側の責任は、まったくありません。
ただし、現在の日本にとって、残念ながら韓国と「今すぐ断交する」という選択肢はありません。
とくに安全保障上に関しては、「韓国が信頼に値する国であるかどうか」という点は脇に置くとして、少なくとも現在の日米同盟の枠組み上、在日米軍、在韓米軍が一体運用されているという事情に加え、北朝鮮のミサイル発射状況等については、やはり双方の情報を正確に照らし合わせる必要もあるのです。
もちろん、北朝鮮の核放棄、日本人拉致問題などの解決にあたり、韓国がなにか日本の役に立ってくれているのか、といった点においては非常に疑問でもありますが、それでも「建前」としては、日韓、日米韓3ヵ国の協力は重要です。
さらには、産業・経済面においては、日韓双方のサプライチェーン面でのつながりも深く、日韓双方が無秩序な「断交」状態となれば、両国の経済に大きな混乱が生じます(※なお、より打撃が大きいのは韓国の側ですが、日本の側も「無傷」では済ませれません)。
したがって、日本がいつまでも韓国との首脳会談に応じない、というわけにもいかないという悩みがあります。
こうしたなか、ここに大きなポイントがひとつあるとしたら、なにも「二国間で」会議を実施しなければならないとは限らない、という点でしょう。
先日の『韓国との二国間会談ではなく「多国間会談」のメリット』でも指摘したとおり、日韓両国だけでなく、ここに日韓諸懸案とは無関係の第三国(たとえば米国、豪州、ニュージーランドなど)の目が入ることで、韓国の「寝技」を封殺することができるのです。
日米韓3ヵ国会合、肝心の内容は…?
そのうえ、今朝の『韓国の密室外交封じる多国間会合:「AP4」は大成功』でも指摘したとおり、NATO首脳会合のサイドラインで行われた日豪NZ+韓国の4ヵ国による「AP4」会合は、日韓諸懸案について議題に出るのを封殺したうえで、安全保障上の対話ができたという意味で、大変な大成功でした。
岸田首相ご本人がこの会合を思いついたのだとしたら、これは素直に「素晴らしい事績」だと考えて良いでしょう(個人的には、「AP4会合」の筋書きを描いたのは岸田首相ではなく誰か別の人物ではないかと疑っているのですが、この点についてはとりあえず、判断を保留します)。
さて、現地時間の29日にはほかにももうひとつ、重要な会合が行われました。
日米韓首脳会談
現地時間6月29日午後2時33分(日本時間同日午後9時33分)から約20分間、NATO首脳会合のためスペイン・マドリードを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、ジョセフ・バイデン米国大統領(The Honorable Joseph R. Biden, Jr. President of the United States of America)及び尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領との間で日米韓首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
- 冒頭、岸田総理から、核実験を含め、北朝鮮による更なる挑発行為の可能性も排除されない中、バイデン大統領の訪日・訪韓で確認されたとおり、日米同盟・米韓同盟の抑止力を高めることを含め、日米韓の連携強化は不可欠である旨述べ、三か国の首脳は、北朝鮮への対応に関する日米韓協力を一層推進していくことで一致しました。
- 三か国の首脳は、北朝鮮の核・ミサイル活動について深刻な懸念を共有した上で、北朝鮮の完全な非核化に向けた今後の対応についてすり合わせを行いました。
- 具体的には、地域の抑止力を一層強化する重要性について認識を共有した上で、日米韓の安全保障協力を推進していくことで一致しました。また、国連安保理決議の完全な履行を確保するとともに、国連安保理での対応について引き続き連携していくことで一致しました。さらに、外交の重要性についても認識を共有し、この観点からも日米韓で一層緊密に連携していくことを確認しました。
- 岸田総理から、拉致問題について、バイデン大統領及び尹大統領の引き続きの理解と協力を求め、両首脳から支持を得ました。
―――2022/06/30付 外務省HP『北朝鮮』より
(※日米韓3ヵ国会合に関しては、なぜか今朝の時点で外務省ウェブサイトにその内容が掲載されていなかったので、今朝の『韓国の密室外交封じる多国間会合:「AP4」は大成功』ではこの会合を話題に取り上げませんでした。)
ページのカテゴリーが「韓国」ではなく「北朝鮮」
外務省のウェブサイトに掲載された情報には、ポイントがいくつかありますが、そのなかの最大のものは、この情報が外務省ウェブサイトの「北朝鮮関連情報」に分類されている、という事実です。いちおう、『韓国』のページからもリンクは貼られているのですが、外務省のページ分類上、「親ページ」はあくまでも『北朝鮮』です。
このことは、日本政府が韓国を外交上、「対北朝鮮の連携相手」としてしか見ていない、という間接的な証拠でしょう。
しかも、(外務省の公式ベースによれば)議題4項目のうち3項目はいずれも北朝鮮に関連するものであり、残り1項目は中国を名指しこそしなかったにせよ、「地域の抑止力を一層強化する重要性」などの表現から、おそらくは中国、北朝鮮などの地域の無法国家の行動を念頭に置いたものと考えて良いでしょう。
つまり、韓国側が望んでいたとされる「韓日関係『改善』」に関する議題はまったく取り上げられず、それどころか、基本的にはすべて日米両国の関心事(とくに北朝鮮の核開発・ミサイル開発・日本人拉致事件など)にのみ振り向けられていたのです。
その意味では、現時点までの岸田外交は、韓国に騙されることなく、むしろ韓国を日米同盟の側の席にあらためて着かせるという成果をもたらした格好です。韓国がAP4会合、日米韓首脳会合の2つの会合を通じ、インド太平洋の連携、対北朝鮮牽制でコミットしたからです。
そして、韓国がこれらの合意を守るならばそれはそれで良い話ですし、もし守らなかったとしたところで、そのことは「多国間が関わる会合での合意を破る」ということを意味しますので、守らなかったら守らないで、それはそれで「韓国が合意を破る国だ」という事実が西側諸国に共有されることになります。
いわば、韓国が合意を「守れば良し」、「守らなくても良し(?)」、というわけでしょう。
いずれにせよ、今回のAP4、日米韓の両会合は、日本の対韓外交において多大な成果につながったと考えておいて良いのではないかと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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韓国の「寝技」を封殺することができるのです。・・・寝技にやられる日本外交の不甲斐なさ。
キーセン外交(違う意味の言葉らしいですが)に弱い日本。
枕営業とも言いますねん。
>日本政府が韓国を外交上、「対北朝鮮の連携相手」としてしか見ていない
『日本政府が韓国を外交上、「北朝鮮の連携相手」としてしか見ていない』に変わる日も遠くないでしょうね。
韓国は北朝鮮の代弁者、あるいは、韓国は北朝鮮の二人羽織
とはっきりメディアが報道するようになるのはいつの日でしょうねw
https://japanese.joins.com/JArticle/292694?servcode=400§code=430
ビール瓶2000本が落下し散乱w
最初から荷台が開いていてわかりそうなものだがw
この後に市民が集まって片付けをしたそう。
事故も渋滞もなく「奇跡」という美談に収まったのが韓国らしいw
私も最初、通信社の記事を読んで騙されました。
「また岸田は言質を与えるような事を言いやがって!」と。
産経を読んで、ちょっとだけ(自分の中で)ゴメンナサイをしました。
しかし、ちょっと会っただけで、このリスクがあるという事は、会うこと自体がリスクだという事と、記事は裏を取らないと信用できないな、と改めて思いました。
日本を変えることが難しい事が韓国で分りだしてきたようですね。
ローソクデモが始まるかな。
日本に国を売るな~ かな
そんな事をやっている内に中国様と連携が始まったりして。
日本叩きで潤ってる団体などが動いてるとみて良いようですね。
此方としては戻ることが出来ない所まで行くのかどうか。
注意が必要かと
普通の日本人様
>此方としては戻ることが出来ない所まで行くのかどうか。
朴元大統領を吊したときに、戻ることのできないとこまで行ったような気がするのです♪
どんな人が大統領になろうと、今更、自分たちの誤りは認められないだろうし、認めたら政権が持たないと思うのです♪
韓国側の発表では「キシダから声を掛けてきた」とわざわざ発表しているのが相当気色悪いです。本当だったら岸田首相に呆れるし、嘘だったら韓国のストーカー気質がもろに現れています。
昨年のG7の席での「文大統領が先に歩み寄り菅総理に声をかけた」との報が不評だったからですね。
素朴な疑問ですけど、もし東スポ(?)が「岸田総理 次期参議院選挙で大敗すれば、辞任か」という記事を書いたら、韓国メディアは日本のメディアからの情報として、「岸田総理、辞任」、「だから日韓首脳会談をしても意味がない」と書くのではないでしょうか。
岸田さんは「周りの意見を良く聞く」つまり、取り巻きの言いなりです。
今偶然取り巻きが日韓関係改善に慎重なだけだと思っています。今後取り巻きの勢力争いで立場が変わらないとも限らない。
非常に不安定な政権だと思います。
>基本的に日韓二国間での会談については、可能な限り応じない方が安全ですし、
韓国の発表に対して「そんなこと言ってない」ってのはよく見る光景だと思うのです♪
なんかで、韓国人は自分勝手に発表しておいて、「発表したから、そのとおりにしてくれないと困る。」みたいなことを平気で言うって聞いたことがあるのです♪
だから、韓国との二国間会談は、「可能な限る応じない」じゃなくて、「応じてはいけない」という類のものだと思うのです♪
あと、細かいとこだけど、↓のとこはちょっとだけ異論があるのです♪
>北朝鮮のミサイル発射状況等については、やはり双方の情報を正確に照らし合わせる必要もある
「照らし合わせる」って言葉にちょっとだけ引っかかったのです♪
分析するのに情報が多い方が良いので情報交換自体は必要だと思うのです♪
日本の情報と韓国の情報が矛盾することもあるだろうけど、その時にどっちを選択するのかは、日本での分析の範囲内だと思うのです♪
そんで、おんなじ情報を元にして違う結論が出ることはあるだろうから、韓国と同じ分析結果になるように調整することまでは必要ないと思うのです♪
「照らし合わせる」って言葉が入手した情報を日本が単独でチェックするってなら必要だとは思うけど、日韓が協力してどっちの情報が正しいのか意見をすり合わせるってのなら、要らないと思うのです♪
レーダーの探知範囲というものがあるのですよ。
レーダーは水平線の下は探知できないので、北朝鮮がミサイルを発射した際、発射地点とか数などを探知するには限界があります。同様に、韓国側のレーダーも、着弾点などに関しては探知に限界があります。ゆえに、北朝鮮が発射したミサイルに関して、日韓両国のレーダーで捉えた情報を突き合せないと、なかなか正確に把握できません。
現状、おそらく日韓両当局の情報交換がスムーズにいってないために、自衛隊の発表と韓国国防省の発表に多少の齟齬が発生したりしています。軍事的にはあまり都合の良いことではありません。
まあ、「偵察衛星」の数を増やし、北朝鮮全土を365日24時間監視できるようになれば、韓国から情報を貰う必要もなくなるのですが。
龍様
軍事関係の情報交換って、よくわかってないけど、互いに持ってる一次情報を交換するんじゃなくて、分析結果を交換するってことなのかな?
そうだとすると、仰るとおり分析結果が違うと、その違いの要因を探るために、どんな情報をどう加工したのかってこともやり取りが必要になりますね♪
d(´l∀l`)ナットク
日韓の発表がズレると何がまずいのでしょうか?
一緒に軍事行動するときに、元の情報が違うと双方の動きに齟齬が生じるってことなのかな?
発射地点と着弾点、そして軌道がわからないと、ミサイルの性能が正確に把握できません。ミサイルの性能が正確にわかってないと、迎撃に支障をきたす可能性があります。韓国のことなどどうでも良いのですが、日本の防衛体制にとって、けしてプラスではありません。
ただし、韓国側からの情報がないと、ミサイルの性能が全く分からないということではありません。着弾点と軌道がわかれば、かなりの精度でわかるのですが、より正確を期すには韓国側からの情報があったほうが都合が良いという程度でしょう。
その意味では、日韓の発表がずれる(=日韓の情報共有が機能してない)ことで一番困るのはアメリカです。そのためにGSOMIAを結ばせたのですから。
韓国が口を開けば「そんなことはない!」とのツッコミが標準化されそうですね。
(我国の外交状況)
対米:NO!とは言いにくい日本。
対韓:NO!としか言えない日本。
> 韓国が口を開けば「そんなことはない!」とのツッコミ
すでに国際標準ですよ。日本相手だけでなく、他国相手でもさんざんやらかしてきてますから。韓国大統領府/外交部が華々しく発表する→相手国から公式に「そんなことは言ってない」と返されるのは、すでに様式美として確立されています。文在寅政権どころか、もっと昔から、多分、金泳三政権の頃から脈々と受け継がれている伝統芸です。
最近、ようやく日本も「そんなことは言ってない」と返せるようになりましたので、その意味では、日韓関係も正常化に向けて前進しつつあると言えますね。
龍様
返信ありがとうございます。
”束の間のホルホル”が彼らの存在意義だったのですね。
そして国内世論もそんな事態を織り込んでるのですね。
ナントイウコトデショウ・・。
早速日本の某テレビが「日韓関係改善で人的交流が復活する。旅行者が増える」とはしゃいだ放送をしています。
オレはこれ以上日本国内に韓国人だの朝鮮人だのは増えて欲しくないがね。
日本政府のそんな事は言っていない
というのを受けてウォンドルが1300ウォンに戻っていますね