外為市場が不安定な韓国で「ドルの傘」待望論が提起へ
韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された記事で、「ドルの傘」という表現が出てきました。見慣れない表現ですが、韓国ウォンの対米ドル相場(USDKRW)が不安定化するなかで、為替介入にも限界があるとの発想から、米韓通貨スワップ待望論が必至で提案されているようです。
USDKRWは本日も不安定
ここ数日、韓国ウォンの対ドル相場(USDKRW)が下落し始めているためでしょうか、隣国メディアでここ数日、ナチュラルに「米韓通貨スワップ」という表現が出てくるようになったようです。
USDKRWは2009年7月14日に日中最安値1306.00を記録して以降、本日に至るまで、(少なくとも公式には)1ドル=1300ウォンの大台を突破したことはありません。また、引け値ベースでは同日の1ドル=1293.00ウォンが最後の安値です。
コロナ禍が深刻化した2020年3月19日には、日中最安値1ドル=1296.00ウォンを更新したものの、韓国銀行による必死の為替介入のためか、引け値は1ドル=1285.70ウォンで取引を終えています。
ところが、ここ数日、韓国ウォンはこれらのラインを試す展開が続いています。
先週木曜日、USDKRWは一時、1ドル=1291.50ウォンにまで売り込まれました。これは引け値ベースで見て、約13年前の2009年7月14日時点の1ドル=1293.00ウォン(※引け値)に迫る安値水準でした。
金曜日に入って、韓国ウォンの対米ドル相場は「いつものごとく」急に買い戻されました。韓国銀行のデータによると、USDKRWは先週金曜日時点で1ドル=1284.20ウォンで取引を終えていますが、夜間セッションではさらにウォン高が進み、WSJのマーケット欄では引け値が1ドル=1278.57ウォンでした。
これなどまさに、韓国の通貨当局による為替介入(外貨売り・ウォン買い介入)の典型例でしょう。為替チャートが極めて不自然だったからです。
しかし、週あがけて本日、USDKRWは再び売られ始めました。韓国の外為市場が終了する午後3時半の時点で1284.00ウォン前後を示しており、再び「13年ぶりの安値水準」に向けて歩み始めたように見受けられます。
外貨準備枯渇のなかで通貨スワップ論が次々と出て来る
今晩、もしくは明日のどこかで再び為替介入が生じる可能性はありますが、こうした為替介入にも限界はあるでしょう。『韓国の外貨準備が急減:韓国でいま何が起きているのか』などでも触れたとおり、韓国の外貨準備が急減し始めているからです。
こうしたなか、韓国メディア『中央日報』(日本語版)を眺めていたら、本日だけで2本も「米韓通貨スワップ」に関する話題が出ていました。
【時視各角】通貨スワップは「隠密に偉大に」=韓国
―――2022.05.16 11:44付 中央日報日本語版より
韓国経済副首相「韓国経済、非常に厳しい…金融外国為替市場変動性高まる」
―――2022.05.16 14:47付 中央日報日本語版より
前者の記事では「韓米通貨スワップ締結に関連してさまざまな主張が出ている」、「21日に予定された韓米首脳会談で常時開設を議論すべきという声も出ている」などとしたうえで、「韓国は『ドルの傘』に入れば安全だ」、などと議論しています。
一方、後者の記事では、秋慶鎬(しゅ・けいこう)副首相兼企画財政部長官と韓国銀行の李昌鏞(り・しょうよう)総裁が16日、朝食会を兼ねた懇談会で初めて顔を合わせ、韓国経済の現状について、次のような「共同コメント」を発表したというものです。
「物価上昇圧力が大きく拡大するなか、金融・外国為替市場のボラティリティが高まっており、経済成長が鈍化する可能性も高まるなど、非常に厳しい局面にある。急激な物価上昇によって民生経済に困難が拡大しており、マクロ経済の負担要因として作用する可能性も高いことから、状況全般に対する綿密な点検を基に総合的な政策対応が必要だという認識で一致した」
…。
そのうえでこの記事では、ウォン安が米FRBの金融引締めと連動しているとの見方を示したうえで、「外国為替市場介入の代わりに韓米通貨スワップの締結が有効な代案」などとする韓国開発研究院(KDI)の見解を示しているのです。
(※なお、とくに後者の記事については、スワップ云々の部分以外にも韓国経済の問題点が凝縮されているようですので、もし余裕があれば、マクロ経済学の知識も使いつつ、別稿にて改めてじっくり触れてみても良いかもしれないと思っています。)
そもそもバイデン大統領にスワップ締結権限はない
「ドルの傘」だの、「韓米通貨スワップ」だの、なんだか意味がよくわかりません。
そもそも市場経済を採用する国は、為替相場に関しては市場メカニズムに委ねるのが原則であり、為替介入によって為替相場を操作するのではなく、「為替変動に強い国づくり」を進めるのが筋です。韓国ウォンの国際化を怠ったのは歴代韓国政府の怠慢でしょう。
それを「米韓通貨スワップ」によって防ごうとするのは、なおのこと意味不明ですし、米国がこれに応じる可能性は極めて低いと考えて良いでしょう。そもそも米国は、メキシコ、カナダの2ヵ国としか通貨スワップを締結していないからです。
ただ、21日に予定されている米韓首脳会談でも通貨スワップの議題が出る可能性は極めて低いです。というのも、米国では金融政策はFRBの役割であり、通貨スワップの締結権限はバイデン大統領にはないからです。
いずれにせよ、こうした「米韓通貨スワップ」論が、そのまま「日韓通貨スワップ」論にスライドするのではないかと見ていますが、こうした見方が正しいかどうかは、「こうご期待」、といったところでしょうか。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
傘を差し掛けてもらえるだけの価値をアピれるのか?
そもそんな価値があるのか?
自己評価と客観的評価の誤差や如何に?
韓国側は、訪韓する米国のバイデン大統領に対して
①クアッドとIPEF(インド太平洋経済枠組み)に参加してやるかわりに、米国は韓国と
永久通貨スワップを締結して、韓国の経済安保を保証するニダ!
②クアッドに協力してやるのだから、日韓問題に対して日本が韓国に全面的に譲歩
するよう、バイデン大統領から日本にきつく圧力をかけてほしいニダ!
という、韓国側に都合の良い、一方的な要求をするということなのでしょう。
まず韓国に必要なのは通貨スワップより「デ・レバレッジ」
韓国は政府・企業・家計の負債が膨張を続けている。
それ自体がウォン安要因であり利上げへの耐性をなくしていく。
李明博、朴槿恵と政府の財政規律を守っていたが文在寅がブチ破る。
資源開発公社、電力公社などの政府系団体も大きな負債を抱えている。
持続可能性のある負債水準を維持しなければならない。
営業利益で負債の利子も支払えない状態が数年続くゾンビ企業。
韓国ではこのゾンビ企業が意図的に多数温存されている。
痛みは伴うが先がないゾンビ(例・双竜自動車)は退治していくべきだ。
ここ数年、家計負債の増大は韓国経済の「雷管」と言われ続けていた。
韓国の家計は借金をして不動産、株式、暗号通貨を購入しているとされる。
これも銀行、ノンバンクによる総量規制や伝統の「徳政令」などの措置が必要。
まずスワップうんぬんよりこれらのデ・レバレッジが必要。
当然、これらの措置は韓国経済の腰を曲げることになる。
だが、高いレバレッジによる見せかけの繁栄など砂上の楼閣でしかない。
ここ数年、韓国は日本を追い抜いたとはしゃいでいた(最近はめっきり聞かれなくなった)
これは一時的な幻影であり実態で見ると台湾に抜かれてしまう状態だ。
「波が引いたとき誰が裸で泳いでいたかわかる」
バフェットの箴言は高いレバレッジ経済とそれが崩壊した韓国の姿を的確に言い表す。
日本にスワップをせがむ際に首相=政府に向けて行うのは意味があります。日本が外貨であるドルを融通するスワップは日銀では決められず、外貨準備を管轄する政府が主体になるからです。
一方アメリカがスワップをやる、日本にしても円を出すスワップをやる、そんな場合には中央銀行が最終的な権限を持ちます。それぞれの通貨を発行する権限を持ちますから。政府は表向きは「その話は中央銀行にしてください」言っておしまいです。
そもそもアメリカは他国通貨の安定なんて興味ありません。そんなことやってたら助けなきゃいけない国が無数に現れます。全てに責任持つなんてできません。そこは市場原理に任せるべき。
今回のウォン安はリーマンショックでもコロナでもない、単なるアメリカの金融引き締めに起因するものです。アメリカが責任持って収拾させるべき「危機」ではありません。
ウォン安が嫌なら利上げすれば良いじゃないですか。以上!ですよね
もしかして日銀の子会社論を一蹴したのは「米国では金融政策はFRBの役割であり、通貨スワップの締結権限はバイデン大統領にはないからです」これの伏線だったりする?
そう言えばこんな記事が
「スワップを韓国だけが言い出しているように見えるのは良くない」
と韓国政府関係者が言ったとか
ここに及んでお互いの利益が~
としたいのはどうなんでしょう。
ウクライナ戦争も情報は筒抜けなのに、それも一般人にまで
通貨スワップがどこをに利益があるかなんて先刻承知ですよねえ
はは。どうでしょうねえ?
ドル の 「カサ」で
ウォン の カス を
守ってあげるほど
米国は甘くないと思いますが。