一般ユーザーに為替レート画像を要求するTVスタッフ

テレビ番組スタッフの公式ツイッター・アカウントが一般のユーザーに対し、「ルーブルの為替相場の動きの画像をくれ」とお願いしたようです。なんだかビックリする話です。テレビ局であれば、BloombergなりReuterなりといった情報ベンダーからマーケットデータを直接入手し、エクセルなどでチャチャッと加工して見栄えの良いグラフを作成するスキルがありそうなものですが…。

「マスゴミ」というネットスラング

いつのころからか、新聞、テレビを中心とするマスメディア、あるいはマスコミのことを、「マスゴミ」と称する人が増えてきた気がします。

この「マスゴミ」、著者自身の理解に基づけば、「ゴミのような情報を垂れ流すメディア」という意味を持つ、インターネット上で自然発生した、一種の「ネット・スラング」です。

とりわけ、『オールドメディアが選挙結果歪めた2009年との違い』でも議論したとおり、2009年8月の「政権交代選挙」、つまり自民党から民主党への政権交代を実現させる原動力となったのが、マスメディアによるあからさまな偏向報道だったのです。

あるいは最近だと「垂れ流す情報の内容」だけでなく、その取材手法に対しても、一般人からはさまざまな批判が出ているようです。

とくに地震、台風などの災害、事件、事故などに際しては、新聞社やテレビ局の取材手法が大変に酷いという事例は、枚挙にいとまがありません(たとえば『京アニ事件とマスコミ取材の二次被害が酷い』、『災害報道の共同通信の新人記者は被害者ではなく立派な加害者』など)。

ルーブルのチャート

さて、昨日はウクライナ侵攻を受けた西側諸国の経済・金融制裁を受けて、ロシアの通貨・ルーブルが対米ドルで急落しました(『ロシアで通貨安:一気に1ドル=100ルーブルを超過』等参照)。

この点、当ウェブサイトではWSJのマーケット欄に表示された為替レートを参考にすることが多いのですが、インターネット上にはほかにも『investing.com』のように、為替レートの動きをわかりやすく示してくれるウェブサイトはいくらでもあります。

また、情報ベンダーと契約をしていれば、ちょっとしたエクセルの知識を使い、為替レートを入手して自分自身でわかりやすいグラフに仕立てることもできるでしょう。

しかし、このロシア・ルーブルの動きに関し、大変に興味深い「動き」がありました。とあるツイッター・ユーザーが、おそらくはどこかのウェブサイトの「ロシアルーブル/円(RUB/JPY)」のチャートのキャプチャ画像をツイッターに投稿していたのです。

(※ただし、このユーザーの方が投稿した画像が著作権等に照らして適切なのかどうかについてはよくわかりません。投稿者の方、あるいはツイッター社がツイートを削除した場合は閲覧できなくなりますのでご注意ください。)

テレビ番組スタッフ「こちらの画像をお借りしたい」

このツイートに対し、在京民放局であるTBSの関係者が、「こちらの画像をお借りしたい」とリプライをしているのを発見しました。

このあたり、テレビ局関係者がツイッター上で「画像をくれ」「動画をくれ」と要求するときの書き出しは、たいていの場合、「突然の連絡で申し訳ございません」で始まることが多いように思うのですが、なにかテンプレートでもあるのでしょうか?

テレビ局であれば情報ベンダー(Bloombergやロイターなど)と契約していそうなものですし、それらのベンダーから提供された生データを使い、エクセルなどでチャチャッと加工すれば、見栄えの良いグラフなどいくらでも仕上がりそうなものですが…。

情報収集能力、大丈夫ですか?

ちなみに気になってほかにもこの「TBS『THE TIME,』スタッフ」というアカウントによるものと思われるいくつかのツイートを調べてみたのですが、基本的には一般のツイート主に対し、「画像をくれ」、「話を聞かせてくれ」といったメッセージを送っているものが中心のようです。

このあたり、インターネット上では「新聞社やテレビ局を中心とするオールドメディアの取材力が低下している」などと指摘されることも増えているのですが、たしかにTBSに限らず、さまざまなテレビ局のツイッター・アカウントが一般人に対し「画像・動画をくれ」、「話を聞かせてくれ」などと要求しているケースは散見されます。

少し酷い言い方かもしれませんが、「オールドメディアの取材力が低下している」のではなく、どちらかといえば、オールドメディア関係者にはもとから大した情報収集能力など存在せず、記者クラブ制度などの「特権」に乗っかって情報を収集する癖がついてしまっているだけではないか、という気もします。

いずれにせよ、「為替相場の動き」という、一般人でも簡単に調べられる、極めて基本的な情報に関する画像をテレビ局関係者が「下さい」とお願いしているという姿は、ある意味では新鮮でもある、と思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

    テレビ局も、ネットから動画を集めて、まとめサイト的に編集して、それを放送すれば、番組制作スタッフをリストラできるのではないでしょうか。

    1. なんちゃってギター弾き より:

      引きこもり中年様
      こんばんは。
      バラエティもニュースも、もはやおっしゃる通りの状況になっていることが本当に多いですね。「これ何日か前にネットで見たなあ」みたいな。

  2. 農家の三男坊 より:

    こうしてオールドメディアは根腐れしてゆくのでしょうね。

    こういう厳しい指摘を継続することで、オールドメディアが指摘を真摯に受け止め、再生してくれると良いのですが。

    全くの偏見と推測ですが、
    TBSの経営者は金儲けにしか興味がなく、企業価値を全く理解できない・金勘定しかできない子番頭の様なものでしょう。
    TBS『THE TIME,』スタッフも低賃金・低予算で調達された外部スタッフで、番組の中身よりもテレビ画面を求められた時間埋め、出来れば視聴率を得る事しか頭にないように見えます。

     企業価値の根幹を自前で確立することを考えられない経営者の下では、”こうなってしまう”、典型例の気がします。

  3. しきしま より:

    一般人なんかに聞かなくても、テレビ局なら、日頃から懇意にしている経済学者とか居そうなもんですが。
    そういう人には聞けなかったんでしょうか。

    下請けのそのまた下請けとかの末端の番組製作会社はそういうコネが無いのかも知れませんね。

  4. 雪だんご より:

    「とにかく安く安く仕上げろ!」と言うプレッシャーが凄いんでしょうかね?
    坂道を転がり落ちている衰退産業とは言え、テレビ局ともなればまだまだ
    それなりの金を持っているはずなのに……

    ……いや、逆か?無理して今までの濡れ手で粟基準の高給を維持しているから、
    給料以外の部分を必死で削っているのか……?

  5. 元ジェネラリスト より:

    twitterで「情報くれ」って仕事は「作業」扱いになってて、バイト仕事になってるかもですね。あるいは、ボット仕事。

    ブラウザでチャート表示するなら、trading viewが最強かもしれません。
    軽い使い方なら無料で使えるみたいです。
    https://jp.tradingview.com/chart/

  6. 埼玉サラリーマン より:

    好意的?に解釈するのであれば、このユーザーさんのコメント込みで使いたい、…という可能性もありますかねー

  7. ちょろんぼ より:

    この露通貨為替の場合、4つの事が考えられます。
    1)ブルームバーブと契約している部署にお願いできない場合があるのです。
    2)調べるスタッフがいないので、他の部署に聞いてみるという感覚が無い
    3)専属の学者様も、この頃お金を要求するようになった
    4)自分で調べるより画像を貰った方が早い―どうせ金は支払いしないし

    さぁ~皆様はどれだと思いますか?
    私は当然 No.4ですね。 楽だし、お金を支払いしなくてもよいし
    一挙両得です。

  8. Sky より:

    お金はねぇ、時間もねぇ、倫理心もねぇ、未来もねぇ、今日がしのげればそれでええ。

  9. はにわファクトリー より:

    きっとテレビ局の下請け会社のやっていることは、チャットボットで代用可能な「安い仕事」なんでしょう。当方は新聞記者は人間でなくて構わない、すなわち「記事作成プログラムで代用可能」と考えています。高い高い月給の新聞社社員、あるいはNHK職員の給料をちゃらにするために使っていいソフトウェア開発費、さあ払う側のつもりになって総額いくらだと値踏みますか。ソフトウェア開発で喰っている不肖はにわにはよだれの出るような夢想です。

  10. だんな より:

    マスコミは、知的訓練が不足しているのでわ。

  11. WLT より:

    一般ユーザーの話ではないので少し話はズレますが…
    そういえば先日、エストニア大使館の公式アカウントがTBSに苦言を呈して、ジョージア大使館の公式アカウントも引用で同意するという珍事がありましたね

  12. しおん より:

    私が掲示板などを見て回った感じでは、マスゴミの意味は、「ゴミのような情報を垂れ流すメディア」という意味ではないと思います。

    それよりもさらに辛辣な「ゴミような人間が集まっている旧メディア」と言うような意味合いに感じます。

    内部にいる人間が落ちるとこまで落ちてしまっている、、、という意味ではないでしょうか?

  13. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    よく覚えてないが
    マスコミのクレクレオラオラは昔もやっている話を聞いたような気がする

  14. がみ より:

    社風の風刺に
    朝日は小説家を目指す
    読売は政治家か企業家をめざす
    と言われた時代がありましたが、毎日・TBS系は活動家を目指してるのかな?

    為替変動のチャートが存在することを生まれて初めて知ったのではないでしょうか?

  15. G より:

    チャートとかベンダーに著作権が生じてるかもだから、もし求めに応じて提供したりすると問題になるかもしれないなぁ。

    1. G より:

      情報端末って契約すると一台あたり月数十万円。それもその場で見る料金だから放送で使うには別途使用量が発生する(と思われる)。出所不明のTwitter投稿の紹介という形式を取って情報料ケチろうとした可能性。

  16. 匿名 より:

    ローソク足の付け方を知らなかったんじゃないですか?

  17. 匿名 より:

    元々マスゴミに能力なんてありません。

    日本のマスゴミ業界(新聞やテレビ)は、大卒で入社します。基本的に学部学科問わないので、入社後には、大学の専攻分野とは無関係の配属となります。したがって例えば、経済学がわからない人間が、経済記事を書くことになります。
    この場合は、配属後に勉強しなければならないのですが、大学教授などの専門家にコメントを貰えば、それなりに記事になってしまいます。それで勉強しないことが少なくありません。自分が勉強するよりも、コメントを貰える人脈づくりに励んでしまうのです。
    また新卒の入社時点で、キー局と地方局、全国紙と地方紙、どこに属するかが決定します。ステップアップは基本的にありません。これも努力しない要因になります。

    一方で欧米では、院卒で入社します。基本的に院での専攻分野の記事を書くことになります。したがって例えば経済学をよくわかっている人間が、経済記事を書くことになります。また基本的に地方局や地方紙からスタートし、キー局や全国紙へとステップアップしていきます。
    そうするとある分野での専門性を高めて、より優れた記事を書くことが、ステップアップにつながるので、勉強するインセンティブが働きます。

    もし日本のマスゴミに唯一の例外を求めるならば、全国紙の世論調査部です。選挙予測の正確さを競う文化があるので、統計学をきちんと学んできた人間を採用することが多いです。ちなみにテレビ局には、世論調査部はありません。例えば読売テレビは、読売新聞の世論調査部のデータを使います。TBSは毎日新聞、フジテレビは産経新聞というわけです。ちなみに某大学教授が、世論調査部の選挙予測を自分の予測としてテレビで言ってしまったことがあります。その大学教授は、その世論調査部によって、そのテレビ局の番組は出禁にされました(昔の話です)。

    脱線しましたが、日本のマスゴミは、入社後に勉強しなくても良いシステムなので、一人ひとりの努力があるかどうかです。努力しない人間は、まったくしません。

  18. より:

     小銭で報道写真を仕入れるのが仕事なら、こんな楽な仕事もないでしょう。
     

  19. 通りすがり より:

    貴方の画像を使わせて欲しい、お話を聞きたい、から始まり、返答がなければ「〇時までにご返答を頂けない場合は了承と見做して拝借する」なんてこともありましたねw
    とことんふざけてます。
    使わせてもいいが、使用料について交渉したいと返すと、「放送法により定められているのでそういったものはお支払いできない」とウソをつくことも。
    要するにタダで情報を寄越せと言っているw

    これをマス「ゴミ」と呼ばすに何と呼べばいいのでしょう。

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