韓国企業の第4四半期決算で「業績ショック」=韓国紙

韓国企業が最近、低収益に苦しんでいるようです。先日の『韓国の上場製造業者の39%に経営破綻の兆候=韓国紙』では、韓国企業の過剰債務問題に焦点を当てましたが、これに加えて韓国メディア『ハンギョレ新聞』が今朝、世界的な原油高などに起因し、分析対象の上場企業の過半が営業利益段階で決算予想を下回った、などと報じています。

韓国企業の債務問題

先日の『韓国の上場製造業者の39%に経営破綻の兆候=韓国紙』では、韓国メディア『朝鮮日報』(日本語版)に掲載された、こんな記事を取り上げました。

韓国上場製造業者の39%に経営破綻の兆候…リーマン時上回る

―――2022/02/18 08:06付 朝鮮日報日本語版より

(※朝鮮日報の場合、記事が公表されてから数日経過すると読めなくなってしまうようですので、原文を読む場合は早めにお願いします。)

朝鮮日報によると、国策シンクタンクの「産業研究院」が17日に公表した調査結果で、「商品販売などによる収益で利払も賄えない上場製造業者」の割合が、2021年7-9月期に39.1%と、世界的な金融危機が発生した2008年の30.4%の水準を超えていることが判明した、としています。

記事でいうところの「商品販売による収益で利払が賄えない状態」が何を意味するかについては定かではありませんが、「支払利息>営業利益」、すなわち「EBITDAは黒字だが経常損益はマイナス」という状況を指しているのだとしたら、これは非常に危機的な状況です。

いわば、本来であれば市場から退出すべき「ゾンビ企業」が、銀行からの融資条件減免や政府の補助金などの支援により、生き永らえてしまっている状態を意味しているからです。

企業財務論の立場からすれば、企業は「ヒト、モノ、カネ」などの経営資源を使って何らかの生産活動を行い、売上を得て、これらのコストを賄っていかねばなりません。「EBITDAが黒字だから問題ない」、という話ではないのです。

過剰債務状態はある意味で必然?

ただ、『不動産市場から「韓国資産バブル」を解説する鈴置論考』を含め、当ウェブサイトでもこれまで何度となく報告してきたとおり、コロナ禍を受けた米FRBによる金融緩和などの影響もあり、とくに韓国においては「おカネを借りやすい環境」が整っていました。

実際、それで家計部門がかなりの借金をしていることが、韓国国内の統計からも明らかですし、韓国の個人がこうした借金で不動産だ、株式だ、暗号資産だといったリスク資産を購入した結果、韓国で一種の資産バブル状態が生じている、という点については、これまでに当ウェブサイトでも仮説として何度か示してきました。

このように考えていくならば、「おカネを借りるのが容易」という状況が、企業に対しても影響を与えないわけもないのかもしれません。実際、韓国の資金循環統計(2021年9月まで)から確認する限り、企業の債務(短期債務、長期債務、債券)は上昇する傾向にあることが認められます(図表1)。

図表1 韓国の企業部門の債務(短期債務、長期債務、債券)

(【出所】韓国銀行データより著者作成)

ハンギョレ新聞「韓国企業に業績ショック」

こうしたなか、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)には今朝、こんな記事が掲載されていました。

韓国上場企業の第4四半期実績、半数以上が「業績ショック」水準…インフレが影響

―――2022-02-21 08:55付 ハンギョレ新聞日本語版より

ハンギョレ新聞によると、金融情報企業FnGuideが20日、第4四半期実績を発表した上場企業のうち193社について分析したところ、営業利益が予想を10%以上下回った企業が52.3%に達し、その一方で10%以上上回る「サプライズ決算」が16.6%に留まったとする調査結果を公表したそうです。

これについてハンギョレ新聞は、「世界的なインフレによる原価の上昇が韓国企業の利益に否定的な影響を与えた」、「昨年下半期から本格化したサプライチェーン問題により、原材料と物流費用が上昇した」、などと分析しているようです。

ただ、記事をよく読んでいくと、造船業、エネルギー施設・サービスだけでなく、ゲームソフトウェアについても業績が下方修正されたそうであり、韓国企業の業績悪化要因を「物価上昇」だけに求めるには、少々無理があるようにも思えます。

やはり、「物価上昇」だけでなく、FRBを含めた主要国の金融緩和の終了が、米国外、とりわけ韓国における景況感を冷やしている、といった要因は否定できないところでしょう。

もっとも、これまでに韓国銀行が発表してきている、いくつかの金融・経済統計を読む限り、まだ「バブル」の兆候は沈静化しているようには見えません。たとえば、マネタリーベース(月中平均残高)についても2021年12月時点で252.9兆ウォンと、前年同月比で33兆ウォンも膨らんでいる状況です(図表2)。

図表2 韓国のマネタリーベース(月中平均残高)の推移

(【出所】韓国銀行データより著者作成)

このように考えていくと、韓国の資産バブル、債務バブルなどに関する調整は、これから本格化するという可能性が濃厚であり、その過程でいったいどういう事象が生じるかについても、その推移を見守る価値はあるのかもしれません。

読者コメント一覧

  1. だんな より:

    企業の利益はともかく
    「インフレの懸念が峠を越えるとみられる第1四半期末以降、利益率は改善されるだろう」と予想した。
    韓国のインフレ懸念は、いつまで続くか分からないと思います。
    便乗値上げで儲ける企業も有れば、大企業の利益のために中小企業の利益は圧迫されるでしょう。

  2. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    韓国の中小企業が何個潰れるのだろうか

  3. sqsq より:

    韓国ではコロナの特例で債務と利息の支払いが猶予されているらしいが、それが3月末に期限をむえるという。どうなるのかな。

  4. 新宿会計士 より:

    1. 迷王星 より:

      鈴置氏の新しい論考の紹介,有難うございます.
      そうですか,今回は現代韓国社会の動きをレミングの集団自殺に喩えるのですか.
      流石,鈴置氏は良い比喩をなさりますね.

      私は現在の韓国民が後先考えずに反日に飛びつく行動原理はいずれ集団自殺のような韓国の崩壊を引き起こすと考えており,以前から何度か書いている通り,韓国と絶縁して日本の国益を守るには韓国民のこの反射的な反日行動を積極的に(つまり日本側から誘導する形で)利用し,日本と絶縁させるだけでなく韓国自身にアメリカから見捨てられるような国民行動へと誘導することだと考えています.

      そして,先日も書きましたがその韓国民のためのハーメルンの笛を吹く労は安倍元総理が最適任だと思っております.

      従北左翼大統領という奈落へと韓国民を導く「法律の専門家が大統領になってくれれば,韓国大法院の判決やが日韓請求権協定に違反しており文大統領が慰安婦合意で設立した財団を解散させたことも慰安婦合意に法的に反していると正しく理解し,韓国側で対処して日韓関係の正常化を果たしてくれると期待しています」というメロディの笛を吹く役は.

      もともと韓国民から反感を買っている安倍元総理が「尹候補が大統領になることは韓国側日本にとって都合が良い」とも受け取れる発言をなされば,確実に韓国民の殆どはその発言を真っ向から否定する投票行動に勤しんでくれることでしょう.

      そして文大統領以上に過激な従北左派大統領が誕生すれば,韓国民の国民性や極東情勢への理解力が恐ろしく乏しく鈍感極まりないバイデン政権や米国務省も,今度こそ流石に韓国を自陣側の戦力としてプラス評価することは諦める(以前の鈴置氏の予想にありましたね)と私は考え期待しているのです.

      アメリカが韓国を見捨てる日,それが我々の御先祖様の愚かで間違った判断が原因で1世紀余前に背負ってしまった朝鮮という重荷を日本が降ろして投げ捨てることが許される日ですから.

      我々の子供や孫にまで韓国という我が国にとって価値が全く無い重荷を背負わせ続けて生き血を吸われ続けることを許してはなりません.韓国民が従北左派による洗脳によって反日一色に染まり対日に関して理性的な判断が不可能になっている今こそ日本が韓国を切り捨てる千載一遇のチャンスなのです.

  5. 通りすがり より:

    とうとう徳政令が出てきましたね。他人事ながら楽しみ~w

  6. カズ より:

    貿易立国が、自国通貨安もしくは原料高の局面で利益を確保できないのは当然のことなのかと。
    統計は自国通貨建てで算出されているために換算差益は発生せず、製品の輸出(収入)のためには原材料の輸入(支払い)が不可欠なんですものね。→輸入が先。

    時期が時期だけに、4月ショック(配当?)を乗り切れるのでしょうか??

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