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立憲民主党、衆院選敗北巡る総括まとめるも「大もめ」

日本を代表する3つの利権、すなわち官僚・メディア・野党議員という「鉄のトライアングル」のうち、メディア利権と野党利権が崩れ始めました。メディアの偏向報道にも関わらず、立憲民主党が議席を伸ばすどころか減らしてしまったという昨年の衆院選こそ、その証拠でしょう。ただ、その立憲民主党の衆院選に関する総括が、また強烈なようです。

鉄のトライアングル

日本を代表する3つの利権と「NHK問題」

著者自身の持論は、「日本を代表する利権とは、官僚、メディア、野党議員である」、というものです。

その理由は非常に簡単で、これらの勢力には「自由・民主主義の原則から逸脱し、不当に大きな権力・影響力を握っている」という共通点があるからです。

その代表例は、NHKでしょう。

自由主義社会では、トヨタ自動車にせよ、任天堂にせよ、影響力がある企業には、「その企業自身の経営努力によって儲かっている」、という特徴があります。トヨタ自動車や任天堂の従業員が高い給料をもらっていたとしても、それは彼ら自身の努力によるものであり、まったく正当なものです。

しかし、NHKの場合は、売上高が年間7000億円に達し、金融資産だけで年金資産を含めて1兆円を超える巨額の資産を保有していて、職員1人あたり1600万円近い人件費を計上していますが、この企業はべつに「経営努力」の結果、儲けているわけではありません。

NHKの儲けの源泉は、「放送法」という法律の規定にあります。

放送法第64条第1項本文

協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

NHKと受信契約を締結してしまえば最後、その人は、NHKの番組を、それこそたった1秒も視聴していなかったとしても、NHKに対して年間13,650円(地上波のみの契約で、口座振替やクレジットカードでの1年一括払いの場合)の受信料を支払う義務が生じるのです。

こうしたNHKの在り方自体、やはり自由主義経済の国においては異常であるとしか言いようがありません。

「記者クラブ利権」を含めたメディアの問題は深刻

ただ、新聞、テレビを中心とするオールドメディアも、あながちNHKのことを批判する資格があるとは限りません。「利権」という意味では、オールドメディア業界全体もドップリと浸かっているからです。

テレビ局の場合は、「電波」という「国民の共有財産」を極めて安い使用料で独占することができるという特権を持っていますし(※この点は民放もNHKも同様です)、また、新聞社の場合は消費税の軽減税率、新聞の再販価格維持制度などの特権を享受しています。

さらに、新聞、テレビを含めたオールドメディア全体でいえば、「記者クラブ制度」という大変に不透明な仕組みを維持していて、フリーランスの記者、外国人の記者などが情報収集の世界で差別されてしまっている、という状況にあります。

こうした不合理な仕組みは、基本的にはオールドメディア業界を生き永らえさせるのに都合がよく、その意味で、オールドメディア業界は大した経営努力をしなくても儲けているという意味では、やはり自由主義経済の原理に反している存在ではないかと思います。

官僚が政治権力を持つことは民主主義に反する

ところで、「自由民主主義の原理に反する」という意味では、官僚も同じです。

官僚は試験を合格して国家公務員に採用された人たちであり、私たち国民が選挙で選んだ政治家ではありません。したがって、本来ならば官僚は政治家が作った法律を忠実に実行しなければならない立場にあります。

それなのに、日本では官僚が政治に口を出すということが罷り通っています。

たとえば、昨年の『矢野論考というインチキ財政再建論に騙されないために』でも報告したとおり、財務省の矢野康治事務次官は市販誌に「日本は財政再建が必要だ」とする政治的な(しかも大変に稚拙な)論考を寄稿しましたが、これなど、明らかに官僚の倫理から反している行為でしょう。

財政再建の必要性を訴えた財務省の矢野康治事務次官の主張は、端的にいえばインチキであり、長年日本をデフレで苦しめてきた増税原理主義が凝縮されたトンデモ論考です。こうしたなか、明後日に日銀が最新版の資金循環統計を公表する予定ですが、そのデータを読む前に、日本の資金循環の現状を改めて確認するとともに、そもそも日本が財政再建を必要としていないという点を明らかにしておきたいと思います。日本国債のデフォルトと矢野論考以前からときどき当ウェブサイトで取り上げているとおり、日本が「財政破綻」する可能性は、こ...
矢野論考というインチキ財政再建論に騙されないために - 新宿会計士の政治経済評論

(※なお、岸田首相がインチキ論考で世の中を惑わせた矢野次官をただちに更迭しなかったこと自体、個人的には岸田首相に深く失望するゆえんでもありますが、ここでは脇に置きます。)

やはり、財務官僚の場合は、国のサイフの入口(国税庁)と出口(主計局)を同時に支配していて、政治家をも上回る権力を握ってしまっているのが大きな問題でしょう。

(※余談ついでに申し上げれば、個人的には、財務省からは国税局を分離し、日本年金機構を廃止し、国税、地方税、年金、健保、失業保険などの国の歳入をすべて管理する「歳入庁」のような機構を設けるべきだと考えているのですが、これについてはまた機会があればどこかで議論したいと思います。)

本当の問題は「鉄のトライアングル」

ただ、官僚とメディアが問題だというのはそのとおりなのですが、基本的に利権構造が温存されてきた理由は、これに野党議員が加わっていたからではないか、というのが、最近の当ウェブサイトにおける仮説です。

簡単にいえば、次のような構図です。

  • 官僚機構は記者クラブ制度などを通じてマスメディアを支配する
  • マスメディアは「報道しない自由」を行使し、野党議員の不祥事や矛盾を徹底的に隠す
  • 野党議員は国会で政府・与党の足を引っ張り、官僚機構の支配力を強める

…。

もちろん、野党議員は官僚を「野党合同ヒアリング」の場に呼び出してパワハラを働く、といったこともやるのですが、それでも国会における野党議員の揚げ足取り質問を筆頭とする非生産的な行動は、基本的には与党の閣僚らにとって大きな負担となり、政府の足を引っ張っています。

それに、野党が野党たるゆえんは、「国民が選挙で多数を与えなかったから」、という点にありますので、その野党が国会で質問時間の多くを占めるなど、不当に大きな権力を握っているという状況は、やはり民意に反しているのではないか、という気がしてなりません。

このように考えていくならば、「官僚・メディア・野党議員」という「鉄のトライアングル」こそ、日本を悪い方向に導いている主犯ではないか、という仮説が成り立つのです。

メディア利権と野党利権

鉄のトライアングルも腐敗し、ほころびが出てきた

もっとも、古今東西、ありとあらゆる利権には、基本的には3つの特徴があります。

それは、「①大変理不尽なものであり」、「②いったん確立すると、そとからそれを壊すのが難しい」、という点に加えて、「③時として利権を持っているものの怠惰や強欲で利権自体が自壊する」、という点です。

利権の3つの特徴
  • ①利権は得てして理不尽なものである。
  • ②利権はいったん確立すると、外からそれを壊すのが難しいという特徴を持つ。
  • ③ただし、利権を持っている者の怠惰や強欲で利権が自壊することもある。

(【出所】著者作成)

基本的に、利権は構造が長期化すれば腐敗しますし、腐敗すれば、ある日突然あっけなく崩壊したりします。日本の「鉄のトライアングル」も、これと同じです。具体的には、腐敗した「鉄のトライアングル」も、ある瞬間、どこかの1つの点が崩落します。

「官僚−メディア−野党議員」というトライアングルのうち、現在、最もピンチに陥っているのはメディアでしょう。

新聞は「正確・信頼性高い・中立公平」=日本新聞協会』などでも触れましたが、たとえば新聞の部数はここ数年、つるべ落としのように減っていますし、それに伴い新聞の社会的影響力についても急速に失われています。

日本新聞協会の調査によると、新聞の「信頼性と正確さは全メディアのなかでトップだった」――。何かの冗談でしょうか。実際、日本新聞協会の別の調査によれば、新聞の発行部数はつるべ落としのように減少し続けています。それに、新聞社の実際の行動を見ていると、どうも徹底的に「自分に甘く他人に厳しい」組織であるようにしか見えないのです。新聞を巡るファクトチェックなんとも面妖な話題昨日の夕方、時事通信のウェブサイトにこんな記事が掲載されていました。「新聞発」信頼・正確さトップ コロナ禍で読者増も―協会調査―――2022...
新聞は「正確・信頼性高い・中立公平」=日本新聞協会 - 新宿会計士の政治経済評論

この点、『フジテレビが実施する希望退職募集は「悪手中の悪手」』でも述べたとおり、テレビ業界(とくに在京民放各局)に関しては、経営にはまだ余裕が認められますが、現在の状況が続けば、やがてジリ貧となり、新聞業界の後を追うことでしょう。

フジテレビが50歳以上の従業員を対象に希望退職を実施するそうですが、結論的にいえば、悪手中の悪手でしょう。希望退職は「辞めてほしい人が辞めず、辞めてほしくない人が辞める」というものだからです。そして、以前の『コロナ禍でのテレビ局経営:在京5局はすべて減収減益』でも述べたとおり、在京民放キー局も経営状況は悲喜こもごもですが、総じてテレビ事業は減収が続いているようです。在京キー局の親会社の売上高当ウェブサイトでは以前の『コロナ禍でのテレビ局経営:在京5局はすべて減収減益』で、在京民放5社(の持株会...
フジテレビが実施する希望退職募集は「悪手中の悪手」 - 新宿会計士の政治経済評論

つまり、鉄のトライアングルのうち、オールドメディアが現在、インターネットの台頭により、社会的影響力の喪失に直面している、というわけです。

メディア利権が潰えた場合、真っ先に影響を受けるのは野党

ところで、新聞、テレビを中心とするマスメディアの影響力が損なわれていけば、真っ先に影響を受けるのはだれでしょうか。

その答えは、第一義的には「野党議員」でしょうが、これに続き、少し時間差を置きつつ、官僚機構(たとえば財務省、文科省、外務省、総務省など)にも影響が及ぶはずです。実際、その兆候はすでに出ていますが、これについて考える前に、少し「そもそも論」を振り返っておく必要があります。

そもそも論ですが、オールドメディアはこれまで、偏向報道の末に野党を大勝させる、といったことを繰り返してきました。なかでもオールドメディアが「自民党政権はダメだ」、「政権交代が必要だ」、などと煽りまくって、政権交代が実現したという、「最も成功した事例」が、2009年の総選挙でしょう。

立憲民主党の先祖返り、今度のポスターは「変えよう」』などでも触れたとおり、この選挙、新聞、テレビを中心とするマスメディアがスクラムを組んで、政権交代を強引に実現させたものだったと考えられます。

まずは代表から「変えよう。」いまから12年前の2009年8月、麻生太郎総理大臣との党首討論会の最後に、鳩山由紀夫・民主党代表はヒトコト、「チェンジ!」と叫びました。そして、最大野党・立憲民主党は昨日、あらたなキャッチコピーを発表しました。それはなんと、「変えよう。」、です。麻生総理と鳩山代表の党首討論ちょうど12年前のいまごろでしたでしょうか。麻生太郎総理大臣が衆議院を解散し、日本は選挙に突入。21世紀臨調は2009年8月12日、自民党の総裁でもある麻生総理と、当時の野党・民主党の鳩山由紀夫代表の2名を招い...
先祖返りする立憲民主党、今度の標語は「変えよう。」 - 新宿会計士の政治経済評論

たとえば、投票の約3週間前の2009年8月12日に21世紀臨調が主催した麻生太郎総理大臣と鳩山由紀夫・民主党代表の党首討論会が行われ、公正に見て麻生太郎総理が論戦を制したにも関わらず、地上波テレビ(NHKや在京民放)が生中継をせず、翌日の主要紙もこぞってスルーしたほどです。

そして、選挙の結果、全480議席中、民主党が308議席(つまり64%)を獲得して地滑り的な勝利をおさめ、自民党が119議席にとどまるという政権交代劇が生じました。

思うに、この「成功体験」に、オールドメディアも野党も慣れ過ぎていたのではないでしょうか。

メディア利権の終わりは野党利権の終わり

ただ、こうした構図の再来を野党とメディアが狙い、見事に失敗したのが、昨年10月の衆院選です。

昨年の総選挙でも、やはりメディアが自民党や菅義偉総理に対するネガティブキャンペーンを大々的に展開していました。基本的には「コロナ禍の最中に東京五輪を強行し、感染拡大を招いた」、といった批判でしょう。

実際、テレビばかり見ていると思しき某ブロガーの方のブログなどを拝読していても、「ガースー(※菅総理のこと)はコロナ対策をなんにもしなかった」、「ガースーこそコロナ戦犯だ」、などと、まったくテレビの受け売りのようなことが書かれていて、思わずのけぞった記憶もあります。

現実には、菅総理はたった384日間で、デジタル庁創設、携帯電話料金引き下げ、東京五輪敢行、1日100万回以上のペースでのワクチン接種、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」推進など、本当にさまざまな功績を残しました(『菅総理辞職:日本にとって価値ある384日が終わった』等参照)。

菅義偉内閣が本日、総辞職しました。在職日数は384日で、今世紀に関していえば、小泉元首相、安倍総理の2名を例外とすれば、菅総理を含めてすべての首相が1年前後で退陣した格好です。ただ、菅政権の384日は、日本にとって非常に価値があるものだったことは間違いありません。菅義偉内閣は384日で総辞職菅義偉内閣が本日、総辞職しました。菅内閣が総辞職 首相在職384日で幕―――2021年10月04日09時27分付 時事通信より昨年9月16日に就任して以来、菅義偉総理大臣の在任期間は本日までで384日であり、これは森義朗元首相(2000年...
菅総理辞職:日本にとって価値ある384日が終わった - 新宿会計士の政治経済評論

ただ、メディアの偏向報道のためでしょうか、メディアが実施する内閣支持率調査では、菅政権の末期は軒並み不支持率が支持率を上回り、結局、菅総理自身が昨年9月、自民党総裁選に出馬しないという選択をしたことで、菅政権は終わってしまいました。

もっとも、こうした「捨て身の戦略」が奏功したためでしょうか、昨年10月の総選挙では、自民党は276議席だった公示前勢力を15議席減らしたものの、261議席という絶対安定多数の水準を維持しました。これは、自民党の勝利と考えて良いでしょう。

一部の世論調査だと、「立憲民主党が公示前勢力から30議席ほど積み増す」などと報じられていたほどです(『選挙前の情勢世論調査、選挙の公正を歪めていないか?』等参照)が、こうしたメディアの「神通力」が、昨年10月の総選挙では通じなかったのです。

選挙前の情勢分析に関するメディア記事がひっきりなしに出て来ます。そして、著者自身、どうもメディア各社から目を付けられたらしく、平日の真昼間から、読売新聞、共同通信、フジテレビなどからジャンジャン電話が掛かって来ます。端的に言って迷惑です。そして、驚くことに、メディア各社は選挙直前であるにも関わらず、平気で選挙情勢を記事にしているようですよ。平日の世論調査の迷惑電話、規制できませんかね?当ウェブサイトでは現在進行中の選挙についての話題にはできるだけ触れないという方針を取っているのですが、ただ、...
選挙前の情勢世論調査、選挙の公正を歪めていないか? - 新宿会計士の政治経済評論

したがって、当ウェブサイトでは、「衆院選での本当の敗者は日本共産党と選挙協力をして盛大に失敗した立憲共産党と、新聞・テレビを中心とするオールドメディアだ」、と申し上げてきた次第です(『衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ』等参照)。

今回の総選挙、最大の勝者は、おそらくは議席を4倍近くに伸ばした日本維新の会であり、また、事前に惨敗を予想する意見も見られた自民党も、議席数は15議席減で済んだという意味では、「勝者」といえるかもしれません。一方の敗者はいったい誰なのか。「立憲共産党」と揶揄された野党共闘にも関わらず13議席減らした立憲民主党もさることながら、やはり最大の敗者は、新聞、テレビを中心とするオールドメディアではないかと思うのです。2021/11/01 10:15追記図表に注記を追加しています。オールドメディアさん、予測はどうでしたか?...
衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ - 新宿会計士の政治経済評論

すなわち、「本当の敗者」とは、まさに立憲民主党や日本共産党といった野党だけでなく、新聞、テレビを中心とするオールドメディアでもあったのではないでしょうか。

立憲民主党さん、大丈夫ですか?

ただ、昨年の選挙は、基本的には利権の「終わりの始まり」に過ぎません。

立憲民主党といえば、一応は現在でも衆議院における「最大野党」ではありますが、最近、各種世論調査による政党支持率では、野党第2党である日本維新の会との「逆転現象」が生じています。

さらには、『比例投票先でも「維新>立憲」の逆転=各種世論調査で』でも指摘したとおり、一部の調査によると、今夏の参院選では、「比例で投票する政党」として、日本維新の会が立憲民主党を大きく上回る、といった事態も生じ始めました。

世論調査によれば、有権者の立憲民主党への支持が揺らいでいます。政党支持率では複数の調査で「維新>立憲」となっているほか、次期参院選での投票先として、日本維新の会が立憲民主党を大きく上回っていることも示されたからです。もちろん、世論調査に全幅の信頼を置くべきではありませんが、今後の動向として見るならば、これはこれで興味深い話です。世論調査を定点観測当ウェブサイトで「定点観測」しているデータのひとつが、各メディアが実施する世論調査(内閣支持率、政党支持率)です。ただし、普段から申し上げているとお...
比例投票先でも「維新>立憲」の逆転=各種世論調査で - 新宿会計士の政治経済評論

もちろん、これらの調査を鵜呑みに信じるべきではありませんし、また、選挙まであと半年弱の期間が残っているため、まだまだ選挙情勢はどうなるかわかりません。

ただ、最近に限定しても、立憲民主党を巡っては、なかなか「興味深い」(?)話題がどんどんと出てきています。

たとえば、立憲民主党が『Choose Life Project(CLP)』というメディアに対し、総額で約1500万円の資金を渡していたとされる問題が発覚しましたが、同党はこれに関する疑念をシャットアウトし、逃げ切りを図っています(『ブーメランの名手?立憲民主党巡る広報業務委託費疑惑』等参照)。

CLPというウェブサイトが立憲民主党から総額約1500万円を受領していたとして、ネット上で大きな話題となっています。CLPは共同代表が辞任するという対応を取るそうですが、そうなってくると、疑惑は立憲民主党にも飛び火したようです。どうもあまり耳慣れない会社に対し、巨額の広報業務委託費が計上されている事実が確認できるからです。CLPというウェブサイトを巡る疑惑当ウェブサイトではこれまで、NHK問題というものをしばしば取り上げて来ました。これは、NHKが「公共性」を騙りながら、受信料利権をかたくなに守...
ブーメランの名手?立憲民主党巡る広報業務委託費疑惑 - 新宿会計士の政治経済評論

また、前職・現職の議員らのインタビューを読んでいる限り、立憲民主党が「批判ばかりで提案がない」という有権者からの批判に対し、真摯に対応しようとしているフシも見られません(『立憲民主党の前衆院議員のインタビューがなかなか凄い』、『立憲民主議員「理想は国民がほれぼれするような批判」』等参照)。

「理想は国民がほれぼれするような批判」。これは、「立憲民主党は批判ばかり」と批判されていることに対する、立憲民主党議員からの回答だそうです。そもそも論ですが、多くの国民が求めているのは「ほれぼれするような批判」ではなく、「ほれぼれするような提案」ではないか、などと思う次第ですが、もっと大きな問題点は、こうした点を当事者の皆さんが理解していない可能性がある、ということではないでしょうか。話題に事欠かない立憲民主党選挙を食堂に例えてみた当ウェブサイトでは常々、民主主義社会では「選挙は理想の候補者...
立憲民主議員「理想は国民がほれぼれするような批判」 - 新宿会計士の政治経済評論

まさに、「立憲民主党さん、大丈夫ですか?」と言いたくなってしまう、というわけです。

表裏一体の野党とメディア

立憲民主党の総括案がすごい

こうしたなか、立憲民主党自身が選挙結果をどう総括するのか、個人的には注意深く見守ってきたのですが、一昨日までに一部メディアが報じた内容が、さらに強烈なのです。

「誤解で世の中を染められた」共産との衆院選協力 立憲が総括案

―――2022年1月24日 19時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より

朝日新聞などが報じた内容によれば、立憲民主党がまとめた昨年の衆院選の総括案では、枝野幸男前代表が日本共産党と結んだ選挙協力の合意について、「誤解で世の中を染められた」、などとしている、というものです。

「誤解で世の中を染められた」とは、何とも凄い表現です。

この朝日新聞の報道が正しければ、立憲民主党という政党は、とことん他人に厳しく自分に甘いと言わざるを得ません。選挙協力は自分たちが取った戦略であり、「誤解」もなにもありません。

もっとも、毎日新聞が昨日の夜報じた記事によれば、この総括案自体、結局は25日の常任幹事会では了承されなかったようです。

「共産と連携が敗北の一因」に反発続々 立憲、衆院選総括大もめ

―――2022/01/25 19:47付 Yahoo!ニュースより【※毎日新聞配信】

この総括を巡り、毎日新聞は「25日の常任幹事会で<中略>共産党との連携が敗北の一因になったとする内容に『野党間の候補者一本化が否定されているように見える』などと反発が相次ぎ、了承は見送りになった」と伝えています。

なお、先ほどの朝日新聞の記事にあった「誤解で世の中を染められた」とする記述は、こちらの毎日新聞の方の記事にはありません。

具体的には、総括原案では、「党独自調査に基づき、立憲民主党の候補が1万票以内の差で負けた31の小選挙区で投票全体の3%超が日本共産党との連携を理由に他候補に投票先を変更したと指摘」している、というものであり、これが接戦区の勝敗に影響を与えた、などとしているのだそうです。

つまり、日本共産党との選挙協力により、却って離れる票がある、ということの「科学的根拠を示した」ということだそうですが、それと同時のこの総括自体、「枝野路線の否定」でもあります。

結局、立憲民主党は選挙総括ひとつ満足にできないという組織である、という印象を、有権者に強く与えただけなのかもしれません。あるいは、「総括」するならば、CLP問題を含めた立憲民主党の在り方そのものではないか、といった気もします。

崩壊するときも同時?

いずれにせよ、新聞・テレビなどの「オールドメディア」が守ってきた「メディア利権」とともに、立憲民主党を中心とする「野党利権」が、現在進行形で崩壊しつつあるのではないでしょうか。

オールドメディアが「報道しない自由」を駆使し、立憲民主党の「悪行」を報じないようにしているにも関わらず、そのオールドメディア自身の社会的影響力が急減し、その結果、立憲民主党への支持が減っている、という仮説です。

実際、社会全体で紙媒体の新聞を読む人は急速に減っており、若年層では紙媒体の新聞を読んでいる人は、ほぼ10人に1人いるかいないか、といった状況でしょう(『紙媒体の新聞から10代が離れた』等参照)。

「テレビ利権」はいまだに根強いが、果たしてその将来は?以前の『新聞を「情報源」とする割合は10代以下でヒトケタ台』では、総務省の調査結果を速報的に紹介したものの、記事のなかに盛大な事実誤認が含まれており、その訂正に追われるあまり、続きについて紹介しそびれてしまいました。ただ、ネット上でちょっと興味深い記事を発見したという事情もあるため、あらためて「メディア利権」についての先行きについて、考えてみたいと思います。総務省の調査当ウェブサイトにおける盛大な事実誤認のお詫び以前の『新聞を「情報源」とす...
紙媒体の新聞から10代が離れた - 新宿会計士の政治経済評論

テレビはまだそこまで至っていませんが、それでもとくに若年層の視聴者離れは時間の問題でしょう。

その意味では、メディア利権と野党利権は表裏一体の関係にあり、野党利権が崩れ始めたのはメディア利権が崩れ始めたことと軌を一にしていると見るのが正しいと思う次第ですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (18)

  • >崩壊するときも同時?
    政党は選挙に負けて、政党要件を満足しなく無くなったら崩壊のように思います。定期的に選挙という国民の審判を受けているという事です。
    マスゴミは、国民の審判は受けて居ませんが、必要度に応じて淘汰されるでしょう。寄生する政党や主義主張を変える事も出来ますので、それなりにしぶといと思います。

    • しぶといという意見には同意します。
      戦前にも散々戦争を煽り立てて、敗戦後俺シラネを決め込んだというか被害者ヅラしたアカヒ新聞なんてのもありますしね。

  • そううすると、NHKと言う化け物は、メディア、野党と官僚で築き上げた利権の野合のグラウンド・ゼロではないでしょうかね?

  • たとえば、立憲民主党が『Choose Life Project(CLP)』というメディアに対し、総額で約1500万円の資金を渡していたとされる問題が発覚しましたが、同党はこれに関する疑念をシャットアウトし、逃げ切りを図っています(『ブーメランの名手?立憲民主党巡る広報業務委託費疑惑』等参照)。

    この問題については「理論的・潜在的な問題は理解出来るが、実際問題としてNHKの平均的職員一人の年俸位の金額を巡って国家的な論点とするのは大げさでは?」というのhが私の正直な視点です。

    まあ政党員の倫理観・モティベーションや判断力を云々するのは勿論アリですが。

    • このCLPが倫理的問題で額は大したこと無い、というのも理解できますが、この問題の芋づるで出てきたブルージャパンの9億円の方は見逃してはいけないとおもいます。なぜこの団体を選んだのか?9億円の対価物は何だったのか?政党資金は国税から出ているんだから、立憲共産党は説明責任があると考えます。マスゴミが問題にしないことこそ、ブルージャパンの質の悪さを証明していると思う。

    • 一般的には野宿さんのお考えは
      公正で理にかなうものです。
      ただ、今回の立憲共産党の
      内ゲバで露見したものは、
      偏向メディアが報じない根の深さから
      氷山の一角と見過ごすわけにはいきません。

      『既存政党に~よらない~若者自身のお~』
      と偽ってた隣県共産党コラボのSEALSメンバーが
      同じ手口で仕組んだのが、
      CLPとブルージャパン問題と
      晒されてしまっているのですから。

      商品販売の世界では
      消費者保護の観点で規制があるのに
      偽ダイヤを売りつけるのに
      中立の立派な鑑定機関だと触れ込みで
      偽ダイヤの鑑定書の発行目論んでいたようなもので
      最低です。

  • 最近、若いサラリーマン、それも共働きの人達は、ほとんどTVを見ないらしいことを聞いた。まず、ニュースを見ない。「WEBで見るから。」ドラマを見ない。「U-NEXT Hulu Netflix プライムビデオ で見るから。」だそう。そうか、と思って愚息たちにも聞いてみたら、そもそもTVの録画装置も(要らないから)持ってないんだそうです。忙しくてTVのやっている時間に家に居なかった我々の世代と違い、ほとんど残業がない、あるいは在宅業務ができる環境でも、地上波TVなんかほとんど見ないんですね。

    確かに、彼らは帰省して来ても誰もTVの前に座らない。

  • 独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
    昨日の国会討論で、立憲民主党の国会議員が総理に対して、(メリット、デメリットの双方があり、賛否が分かれることを承知の上で)日本社会を回すために、新型コロナの隔離期間の短縮の決断をするように迫ってました。これは、もし新型コロナが拡大した時には総理と共に批判されることを覚悟のうえで、「肉を切らして、骨を断つ」戦法に出た、と考えるのは考えすぎでしょうか。
    駄文にて失礼しました。

    • 野党の政策を採用あるいは丸呑みしても、結果に責任を負うのは政府であり総理ですので、野党はべつだん肉も切らせておらず、新型コロナが拡大すればシレっと骨を断とうとすると思います。
      もっとも、仮に政策の誤りで野党が批判された場合には、後頭部に刺さっているブーメランが一本増える程度には打撃を受けるかも知れませんが....

      • 裏縦貫線さま
        立憲としては、「自分が無傷で、相手に手傷を負わすことはできない」ということに、気が付いたのではないでしょうか。つまり、「俺に新型コロナを感染させる気か」という批判を覚悟して、「その批判はもっともだが、規制を緩和しないと生活できない国民が大勢いる」、「どちらにするにしても、総理が早く決断しろ」ということです。

  • 総括案そのものはみてないかど、報道を読んで感じたのは、事実と意見を分けられてないんだろうなってことなのです♪

    選挙結果そのものは、勝ったところもあれば負けたところもあるんだろうだから、淡々と事実を積み上げれば良いと思うのです♪
    共闘が成功だったのか失敗だったのかは、その事実を踏まえて、意見として書けば良いのです♪

    なんとなくだけど、共闘失敗の結論が先にあって、それに都合の良いデータだけ集めたんじゃないかな?って気がするのです♪

    で反発した方も、
    >「野党間の候補者一本化が否定されているように見える」などと反発
    ってのを見るのも、「候補者一本化は正しい」って前提があって、それに反する結論だったから反発したんだろうなって思うのです♪

    そんなこんなを考えてると、データをちゃんと集めてるのかとか、データをどう見るのかという議論にはなってなくて、枝野さんの路線と泉さんの路線の正当性を巡る争いしかやってないんだろうなって思うのです♪

    • 昔からサヨクの論法は変わりません。まず結論ありきで、様々なデータや小理屈などは結論を修飾するためのものでしかありません。そこには分析も考察も介在しないので、そもそも議論にはならず、結局声の大きなものが勝つのです。

  • ザ・スパイダース「さらば恋人」のサビに乗せて

    いつも呆られすぎたのに 気づかない立件だった
    選挙区(ふるさと)への言い訳は 枝野のせいにして行こう
    悪いのは国民のほうさ 僕じゃない〜♫

  • あらあら?「大もめ」なんですか(笑)

    私は立憲民主党は先の選挙結果で
    別に、敗北だ! 負けた! と
    しょげて悲壮感を漂わせたり
    大もめで内ゲバ始めなくても
    いいのになあと同情をしてあげてます。

    なんせ、自分たちが
    天下二分の「関ヶ原」と
    ハードルあげていただけで、もともと
    三流韓流政党である
    立憲民主党の支持者さんなんて
    専従でおまんまのお方さんと
    海の外ゆかりの団体さんぐらいの少数で、
    それに公安指定のこれまた少数の共産党足しても
    たかがしれたものなのです。

    それを、本音隠して正義だ政治だと騙り
    日本の無党派層をだますのに失敗しちゃった!
    という構図なだけで もともと
    天下二分の関ヶ原などとは
    ご自分たちの思い上がりの産物にすぎないのです。

    まあ、江戸時代でもどの時代でも
    社会やお上に不満がない時代などないのですが
    だからといって、じゃあ、山賊追い剥ぎにまかせて見よう
    などとはならなかったのとよく似た光景だと
    感じます。

  • >腐敗した「鉄のトライアングル」

    立民の敗因は、メッキが剥げた状態で赤サビ(共産?)触れたからなのかと・・。

  •  立憲民主党は夏の参院選で掲げる政策や公約を一般公募するらしいですよ。
    立憲の議員は政治家としての信念とかないんか、本当にコイツらダメだなぁ。