G7と比べても輸出入集中度が高い韓国=韓国メディア
先月の尿素水不足騒動でも見たとおり、韓国はサプライチェーンが意外と脆弱です。こうしたなか、韓国メディアの報道によると、輸出入の集中度指数に関しては、韓国はG7各国よりも高いとの試算結果が出て来たそうです。以前から指摘して来た「産業の裾野の広がり」という議論とともに、気になる論点のひとつであることは間違いありません。
韓国「だけ」を揺るがした尿素水不足騒動
中国における電力不足による尿素生産の停滞を受け、韓国で尿素水不足が発生し、社会が大きく混乱した、という話題については、『経済安保から見た韓国の尿素不足とそれを助けない日本』などを含め、当ウェブサイトでも何度となく話題に取り上げてきたとおりです。
この話題を取り上げた理由は、なんといっても、世界的なサプライチェーンの相互依存が深まりつつあるなかで、ある国である製品の生産活動が停滞すれば、ほかの国の経済や産業に思わぬ悪影響を与える可能性が非常に高まっている、という事例でもあるからです。
ただ、ここでふと疑問に感じるのですが、産業構造が似ているはずの日本と韓国で、「中国発のサプライチェーンのショック」がさほど報じられることはありません。
いったいなぜでしょうか。
その理由を説明する要因のひとつが、以前の『韓国の輸入品目の3割で特定国への依存度が8割超える』でも取り上げた、韓国の産業構造にあります。
韓国メディアの報道によると、韓国への輸入品1万2586品目のうち、特定国家への依存度が80%以上の品目は3941品目と全体の約3割に達しており、なかでも中国が1850品目と最も多く、次いで米国(503品目)、日本(438品目)、ドイツ(121品目)と続くのだとか。
その具体的な品目が何なのか、大変気になるところでもあります。
しかし、いずれにせよ、韓国は特例品目で特定国への依存度が非常に高く、尿素水不足騒動が韓国「だけ」を揺るがした一因が、こうした脆弱な産業構造にあることは否定できないでしょう。
産業の裾野が狭い韓国
それと同時にもっと気になるのは、日本が2019年7月に韓国に対する輸出管理の厳格化(あるいは適正化)措置を講じて以来、韓国側では「日本の不当な輸出『規制』への対抗として素材・部品・装備の国産化が進んだ」、などとしきりに報じられていたこととの整合性です。
もちろん、韓国がいう日本の「輸出『規制』」とやらは、実際のところは輸出規制でも貿易報復でも何でもなく、本当に単なる輸出管理の適正化措置に過ぎません。韓国を「(旧)ホワイト国」から外し、一部品目を包括許可の対象から外しただけの、限定的な措置です。
ただ、こうした限定的な措置で大騒ぎするということは、韓国政府自身が自国の産業の「アキレス腱」がどこにあるのか、強く認識している証拠でしょう。
実際のところ、当ウェブサイトに「(元)韓国在住日本人」様という読者の方が寄せて下さった『【読者投稿】在韓日本人「韓国さん、お達者で!」』という論考によれば、韓国は産業の裾野が狭いため、基幹となる素材、部品、装備などを外国からの輸入に極端に依存している、などと指摘されています。
この点、当ウェブサイトでは「韓国がどうやってサプライチェーンの多角化を図るべきか」について議論するつもりはありません。その国のサプライチェーンの強靭性はその国が議論すれば良いことですし、また、個人的に外国の産業の安保には、まったく興味も関心もないからです。
HHIがG7諸国よりも高い韓国
こうしたなか、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)には本日、こんな記事が掲載されていました。
韓国の輸出入品目集中度、G7よりも高く「海外リスクに弱い」
―――2021-12-13 07:36付 ハンギョレ新聞日本語版より
ハンギョレ新聞によると、韓国経営者総協会が12日に公表した『韓国の輸出入集中度の国際比較と示唆点』というレポートから、韓国の輸出、輸入の「品目集中度」がG7のどの国よりも高いことが判明したのだそうです。
具体的には、韓国の2020年における「ハーフィンダール・ハーシュマン指数」(HHI)、つまり「全品目または地域シェアを二乗して求める指数」が877.3で、これは日本(785.6)やドイツ(536.8)よりも高く、また、2010年の740.8から大きく上昇している、などともしています。
この指数が高ければ高いほど、輸出や輸入が特定の国・地域に集中していることを意味するのだそうです。
韓国は輸出の40%以上が中国(25.9%)と米国(14.5%)に集中しており、また、輸入についても中国23.3%、米国12.4%、日本9.8%などに集中している、などとしています。
正直、輸出入に関するHHIだけで集中度が測れるというものではありませんし、ドイツのように輸出先がユーロ圏内に偏重していても、指数の計算上は「各国にバランス良く輸出している」ことになり、HHIは低く出てくる傾向があるからです。
ただ、それと同時に隣り合う日韓両国で、韓国の方が日本よりもHHIが高いこと自体、韓国がサプライチェーンを外国に依存していることに関する手掛かりとしては、大変に興味深いものであることは間違いありません。
対照的ではない日韓関係
もっとも、韓国が日本にサプライチェーンを依存しているのは事実ですが、韓国にとって日本が重要であるのと同じくらい、日本にとって韓国が重要なのかといえば、そこは微妙です。『日本はモノづくり相手を韓国から台湾に切り替えるのか』でも議論したとおり、日本にとって韓国だけでなく、台湾も重要な輸出相手国だからです。
このあたり、日韓関係は決して「対照的」ではありません。
おりしも、日本では岸田文雄首相が政権の「目玉」として、経済安全保障を掲げています。
これについては『「自民党が韓国に金融制裁検討」:外為法改正の実現を』などでも述べたとおり、外為法など、既存の法律を改正するだけでも、日本にとって経済制裁の使い勝手はかなり良くなります。
こうした点も含め、自民党が今後どこまで法改正に踏み込めるか(あるいは踏み込めないか)については、経済安全保障と日韓関係などの観点からも、興味深いと思う次第です。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
韓国と密接なサプライチェーンを持ちし、維持しようとすると、とばっちりを受けしりぬぐいをさせられる恐れが大きい。
こう理解してよろしいでしょうか。
イーシャさま
紅組の窓口と取引するのは、安全保障上のリスクニダ。
>産業の裾野が狭い韓国
やはり世界を相手に戦争をした国と、その旧植民地だった国の差でしょうね。
素材や部品を輸入して組み立てて輸出して儲ける。
他国に容易に模倣されるビジネスモデル。
液晶パネル、太陽光発電パネルはすでに中国が最大のシェア。
次はメモリー半導体かもしれない。
HHIなんて指数があるのですね♪
日頃の態度を見てれば結論は決まりきっていても、こういう指数を使えば、
・サプライチェーンの安定性を確保するため特定国への依存度が高い国との貿易を減少させる。そのために、HHI800以上の国との貿易には関税を高く設定する。
みたいに、特定国を名指しせずに政策を作り込めますね♪
海外リスクに弱いのでは無く、リスクを計算しないで利益を最大化する社会だから、全般的に弱い。
今回のコロナ感染拡大後の医療崩壊は、その一例だと思います。
CPTPPの話は、スレが出来てからにするニダ。
だんな様
その通りだと思います。
今尿素不足で、韓国に作る技術があるのに投資しないのは、中国が安く作るようになれば、韓国産を絶対に買わない事がわかってるので、投資出来ないというか、しないんだと思います。
今回の苦労は未来に役立てるなど、絶対しないと韓国人は信じてるので投資しないのでしょうね。
そもそも輸出入集中度が極端に高い国がG7みたいな大国になれるとは思えないが
尿素水不足は韓国だけの問題ではありませんん。
日本でも不足が問題となりつつあります。他人を笑っている余裕はなさそうです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotoaiki/20211207-00271300
モノタロウでも取り扱い停止中。
https://www.monotaro.com/g/01268832/
余談ですが、現在韓国はギリギリの尿素水を(在庫を持てないように)中国から供給されているようです。もし中国様に歯向かったら、次の週には多くのバスや工業機械等々が停止するでしょう。
外交的ボイコットに参加できるわけもありません。
岸田総理がボイコットの明言を避けているのも、こちらの供給不安への対策待ちかもしれません。
なお、日本が100%輸入している肥料関係も中国のせいでひっ迫中のようです。
こんな風に国の弱味を公開してしまうからChinaにいいようにやられるのてすよ、パクりしかない後進国が!
韓国は結局の所、日本に攻め込んで来る(そして敗退する)まで対応を変えれないのじゃないですかね。
彼らの妄想する世界と現実のギャップはますます広がる一方で、目を覚ますにはもはや戦争以外ありえない気がします。
なんでも韓国国会で
「CPTPP加盟申請」を決議したんだと!
加盟国には農業輸出国が多く、農業団体が反対してたんだと!
CPTPPに加盟すると日本とFPOを結ぶのと同意義になり、関税障壁が決壊するから嫌だったんだと!
中華人民共和国が申請したから慌てて後追っただけの癖に屁理屈言う言う…
だれが歓迎して加盟して下さいって頼んだよ?
太平洋に微塵も面してないくせに…
つい先だっての世界の重要な会議COP26でも、2030年迄に石炭火力発電を全廃するって署名して…
翌日には
「努力目標であって達成するとは言っていないし、罰則もない!」
とか公言して、国内7箇所も新築石炭発電所建設中だし…
署名した他の批准国が、石炭火力発電に依存するのは一桁%なのに、韓国は今現在も40%が石炭火力発電依存で日本すら抜いて世界トップレベルの石炭依存国なのに。
(それでなんで尿素水やアンモニアや酸素が不足するんだ?)
大好きなユネスコで世界遺産にしてもらった干潟を巨大な風力発電基地にするらしいし…
それ即遺産認定剥奪だし生態系ぶち壊しますよ?
我々人類が共有している思考・知性・信頼等々の概念がまったく存在していない地域が世界にまだある不思議。
アシアナ航空と大韓航空の合併も日米EUからダメ出しされてるし、造船の現代重工業と大宇重工業の合併についてさえEUに明確に否定されているのに皮算用だけは達者。
(造船合併するなら両社共市場シェア下げなきゃいけないのに、LPG運搬船とか大赤字受注でホルホルしてたらEU激オコ中。ポスコはじめ製鉄業も勝手に鋼鈑価格安く見積もられてムカつき、販売価格倍増の報復中なんで造船・自動車産業存続の危機中。)
全く信頼の欠片も無い地域。
英国入れると、こういう面倒な国が火照りかえるから、CPTPPは当面、発足国各国が批准するの待ちで英国も含め新参加希望国は全部お断りするのが平等で最善だと思う。
HHIという指数のことは全く知らなかったので,とても勉強になりました.どうも有難うございました.このHHIという指数は公正取引委員会が企業合併を認めるか否かの判断材料に使ったりするということも,今回の記事を切っ掛けとして知ることができました.
>正直、輸出入に関するHHIだけで集中度が測れるというものではありませんし、ドイツのように輸出先がユーロ圏内に偏重していても、指数の計算上は「各国にバランス良く輸出している」ことになり、HHIは低く出てくる傾向があるからです。
ユーロ圏の国々は個別に扱わずに「ユーロ圏」として単一貿易相手領域として扱うルールによって,ドイツだけでなく日本やその他の国々も含めて各国のHHIを計算し直したら,どのような値になるのか大いに興味をそそられます.
後のルールで求めたHHI値のほうが貿易の集中度の実態に即しているようにこの分野の素人としては思うのですが,現状でそのような扱いをしないルールで計算しているということは,ユーロ圏を単一に扱うと求まったHHIと実態との間で何か大きな齟齬が生じる,といった理由があるからなのでしょうか? 何故,現状の計算ルールにしているのかの理由が気になります.
「輸出入集中度」・・・面白い指標ですね。
昔から「中小企業」が育たないことを(韓国自身も)気にしていましたが、儲かる・結果がすぐ出るものにはすぐ飛びついて、成果が出にくい分野はすぐに切り捨てる文化が関係してそうですね。
韓国の産業層の厚みも、戦前の日本にすら追いついてないそうです。「外華内貧」というか、何もかもが薄っぺらいのが韓国の特徴ですね。
>このあたり、日韓関係は決して「対照的」ではありません。
文意に即して使うなら、ここは「対称的」が正しいのでは。対照的のままにするなら、否定ではなく、肯定的表現にしなければならないと思うのですが。