フォーラムで韓国側が望む解決策が出なかったのも当然

日韓関係「改善」を模索する「韓日フォーラム」というものが3日、非公開で行われたそうですが、これに関して韓国メディア『ハンギョレ新聞』に昨日、同紙国際部長のキル・ユンヒョン氏による興味深いレポートが掲載されていました。結局、フォーラムでは韓国が望む解決策は出なかったようだ、というのです。当然と言えば当然ですが…。

「非公開の韓日フォーラム」を実施

先週の『関係を破壊している側が「関係改善」を模索する不思議』で、韓国メディアの報道などをもとに、「日韓関係改善を模索する『韓日フォーラム』が3日、非公開で行われる」、という話題を取り上げました。

該当する報道は、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に1日付で掲載された、こんな記事です。

「韓日フォーラム」 3日にオンライン開催=関係改善模索へ

―――2021.12.01 11:21付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースによると、このフォーラムは日韓の政界・学会・財界の「有識者」約40人が参加し、両国関係「改善」を模索するためにオンラインで開催される、ということでした。

正直、竹島不法占拠問題にせよ、自称元慰安婦問題にせよ、自称元徴用工問題にせよ、日韓関係を壊している側は韓国ですので、その大きな前提条件を無視した状態で、「韓日関係改善を!」などと韓国側から主張されても、私たち日本人としては困惑するしかありません。

このあたりは、公開ベースで、かつ、日本側からは韓国観察の第一人者である鈴置高史氏、愛知淑徳大学の真田幸光氏といった一流の論客を揃えるならば、まだ理解できます(というよりも、BSフジのプライムニュースでのお二人の出演回がそれに該当しているのかもしれませんが…)。

しかし、聯合ニュースによると、会合自体は「非公開で」行われ、かつ、日本側の出席者は政界からは国民民主党の前原政治代表代行、立憲民主党の福山哲郎参議院議員らだ、などと記載されているのですが、これだと「やる前から結論が見えているじゃないか」というツッコミをしたくなる人も多いと思うゆえんです。

「非公開で」実施するということは、公開されて困る事情でもあるのではないか、と疑いたくもなります。

キル・ユンヒョン氏のレポート

ただ、このフォーラムを巡っては、「どうなったのかな?」と気にはなっていたのですが、韓国メディアの日本語版ウェブサイトなどに続報が見当たらなかったので、とりあえずは流していたのですが、これに「続報」がありました。

韓国の「左派メディア」とされる『ハンギョレ新聞』(日本語版)で、執筆したのは「あの」キル・ユンヒョン国際部長です。

[コラム] 韓日葛藤解決のための“提言”

―――2021-12-06 21:13付 ハンギョレ新聞日本語版より

キル・ユンヒョン氏といえば、当ウェブサイトではときどき紹介するとおり、事実関係をかなり詳細に調べ上げるという意味で、韓国メディアには稀有な人物です。

もちろん、韓国メディアですので、肝心な部分で「書きたくても書けない」というもどかしさが透けて見えることもあるのですが、個人的にはキル・ユンヒョン氏について、一目置くに値する論客のひとりではないかと考えています。

リンク先記事は、キル・ユンヒョン氏自身が「韓日フォーラム」に参加した、というものであり、細かい部分まで事実関係を調べ上げたうえで記事を執筆するという力量は、相変わらずです。

実際、この「韓日フォーラム」自体が今年で29回目に達すること、このフォーラムの提言で実現した内容に大衆文化の開放や2002年W杯共催などがある、といったことは、不肖ながら、初めて知った次第です。

客観的でざっくばらんな記述

さて、韓国メディアのこの手のレポートを読むと、「大盛況だった」だの、「韓日の関係改善で合意した」だのといった謎の表現で自画自賛するケースも多いのですが、キル・ユンヒョン氏の記事は一味違います。ざっくばらんに、こんなことを述べてしまうからです。

  • だが、新型コロナのためにオンラインで行事が開かれたためなのか、あるいは悪化した韓日関係のためなのか、実際の行事のムードは寒々としていた」。
  • 特に2019年7月の日本による韓国に対する輸出管理厳格化措置で、韓国政府が素材・部品・装備産業の『脱日本化』を推進したが、それが『脱日本企業化』につながっていないというキム・ヤンヒ国立外交院経済通商開発研究部長の指摘」…
  • ガチガチに凍りついた両国関係を、どうすれば改善方向に導けるだろうか。いかんともしがたい話が出るので皆が押し黙ってしまった」。

やはり、大変にバランスの取れた、信頼に値する記者だと思うゆえんです。

とくに、日本の韓国に対する輸出管理厳格化(または適正化)措置を巡っては、韓国メディアは「輸出『規制』」などと平気で誤記しますが、本稿では少なくとも「輸出管理厳格化」という適切な用語を使っているなど、記述は客観的だからです。

いずれにせよ、記事からもわかるとおり、結局、フォーラムでは日韓関係「改善」(?)の方法は見つからなかった、ということなのでしょう。

当然といえば当然ですが…。

まったく賛同できない部分もある

ただし、個人的にはリンク先記事で、まったく賛同できない部分もあります。たとえば、こんな記述です。

米中のすさまじい戦略競争が、安保の領域を越えて半導体など先端産業の“供給網再編”にまで進む尋常ならざる国際情勢を考える時、韓日協力は『もはや選択の問題ではない』ということで参席者の意見が一致した」。

これは、キル・ユンヒョン氏の意見ではなく、フォーラムのレポートと見るべきかもしれませんが、正直、米中戦略競争が激化するなかで、米中双方に良い顔をしてあいまいな戦略を取る韓国と、明確に米国の側に着く日本が「協力関係」に立つというのは基本認識自体が間違っていると思ってしまうのです。

また、こんな記述についても、とうてい承服できません。

これまで色々な席で“何度も”強調してきたことだが、複雑に絡まりあった強制動員被害者の賠償問題を解こうとするなら、まず日本の“被告企業”が高齢の“原告”たちと向かい合って座り、不幸な歴史に対して率直に謝る姿を見せるべきだ」。

そもそも論ですが、自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題は、その多くが韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものですし、百歩譲って何らかの労働がなされていたとしても、それについては1965年の日韓請求権協定により最終的かつ完全に解決済みだからです。

前提条件が誤っている以上、キル・ユンヒョン氏が提示している「解決策」についても、当然、まったく賛同できるものではありません。

ただ、正直に申し上げるなら、ファクトを重視するキル・ユンヒョン氏ほどの人物であるならば、韓国側の自称元徴用工、自称元慰安婦らの証言に深刻な矛盾が生じていることに、じつは気付いているのではないか、という気がしてなりません。

もしも個人的にお会いする機会があれば、このあたりについてご見解をお伺いしてみたいとも思う次第です。

読者コメント一覧

  1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    韓国では尿素が足りないのに
    「供給は安定している」と政府が毎日嘘をついている

  2. だんな より:

    >まず日本の“被告企業”が高齢の“原告”たちと向かい合って座り、不幸な歴史に対して率直に謝る姿を見せるべきだ」。

    別にコメントしていますが、「謝罪させて賠償させる」という、慰安婦の成功体験を再現するしか、朝鮮脳に解決は無いのでしょう。
    朝鮮脳にしてみれば、「日韓協定で解決した」では無く、「慰安婦は出来て、何故徴用工で出来ない」「何故日本は謝罪しない」と考えていると思います。

  3. taku より:

    ”謝る”という行為の持つ意味が、日韓では異なることに、少なからずの日本人が気づいてしまった以上、キル・ユンヒョン氏のいうやり方での解決はありえません。日本では、尖鋭化した雰囲気を和らげるために、本音とは別に「こちらが悪かった」と述べることは、大人の処世術としてよくあることです(夫婦喧嘩ではてきめん効果)。一方、韓国では、正悪を分別する、あるいはその後の「甲乙関係」と言われる上位下位の関係を互いに確認する重大な行為です。1868年の河野談話で、韓国側から「一度だけ謝ってくれ」と言われ謝り、その後次々と要求がエスカレートしていって今日の徴用工問題となったことは周知の事実です。それよりもイ・ジェミョン陣営の平和外交安保特別委員長を務めるキム・ジュニョン氏が、「日本に前提条件として謝罪せよというのはやめるべきだ」、元徴用工問題についても「韓国が全て責任を持つという原則を立てれば、(解決)方法はいろいろある」と述べたことが注目されます。日本側の政権・外相が変わろうとも、あるいは野党の前原誠司氏ですら「韓国側から先に解決策を提示しなければならない」と述べてきたことが、効果を表したのかもしれません。

    1. taku より:

      誤…1868年
      正…1988年

    2. ムッシュ林 より:

      日本人には謝れば許されるという感覚があると思います。一方、韓国人には謝罪には賠償や責任が伴うという意識があるように思います。これは韓国だけでなく、中国、欧米もそういう傾向があると思いますが、こうした国では簡単には謝罪しません。
      河野談話は日本人的な部分が利用されたとも言えますね。

  4. 匿名29号 より:

    >韓日協力は『もはや選択の問題ではない』
    =>それはアンタの問題でしょ。

    >韓国政府が素材・部品・装備産業の『脱日本化』を推進したが
    =>No Japanを進めながら一方で日韓協力は必要だと、相反することを何の疑問もなく同時に言う相手を信用できる筈もありません。

    >複雑に絡まりあった強制動員被害者の賠償問題
    =>日本側にとっては別に複雑でも何でもないし、そもそも「問題」にもなっていません。国際ルールに則ればよいだけの話。問題にならないとはこのこと。

    >原告”たちと向かい合って座り、不幸な歴史に対して率直に謝る
    =>またまた「謝罪」ですか。 えーかげんにしいな。何度騙せば気が済む。

    よく自分の言うことに、その内容が嘘であっても自分自身が陶酔してしまい感情を爆発させて、真実だと思い込む人がいますが、韓国は国全体がそのようです。感情で迫る人を相手に話し合いなどしても解決しないのが常です。

  5. deinei より:

    「被告企業は徴用工に直接会って向き合って座れ、謝罪しろ」とい要求は間に(日本政府を介さずに)という一文を入れると解りやすいのではないでしょうか。
    2012年まで続いていた「日本企業と元徴用工との和解交渉」を再開したいがためにこのような言い回しになるのでしょう。
    いまだに拘っているところを見ると、当時の交渉は相当韓国ペースで日本企業の譲歩を前提に進んでいたものと推察されます。

  6. G より:

    特に困ってない日本から解決策が降ってくることはありません。すべて韓国から行動を起こさなければいけません。
    多分わかっているのでしょう。ただそれは絶対に彼らの口から出てきません。韓国が自らの過ちを認めた瞬間から日本は被害者となり韓国が加害者となるのです。韓国はとんでもないことを今まで日本にしてきました。

    日本はいつまでも、彼らが正直に過ちを認めて謝罪するのを待てばいいのです。何百年でも。

  7. 頓珍韓 より:

    このキル・ユンヒョン氏のコラムですが、まったく評価できません。

    前原氏が「韓国が先に解決すべき」と主張するのに対して、キル・ユンヒョン氏は「日本が大切と考える「65年体制」に触れずに、韓国で最高権威を持つ最高裁判決を迂回できる事実上唯一の代案」を、はじめに日本の被告企業が謝罪をしてから、基金設立をすべき、と主張しています。

    これは詐欺的で、まったくおかしな話です。
    と問いかけつつも、「65年体制」に触れずに解決しようとする時点で、「日本は韓国の国際法違反を見逃せ」と言っており、さらに言えば、現韓国政府の「65年体制」を形骸化させようとしている試みに加担しています。
    1965年から2021年までの今までの両国関係を無視しろ、と言っているわけです。
    彼は「ガチガチに凍りついた両国関係を、どうすれば改善方向に導けるだろうか」などと言っていますが、それでは日韓請求権協定を確定するまでのゴタゴタ状態になってしまうことになることぐらい自明でバカげた話です。

    韓国政府がなぜこのようなことを指向しているかと言えば、朝鮮半島唯一の正式な国家が、今後において北の要望も加味させるための土壌作りではないかと私は思っています。
    現在韓国がご執心の終戦宣言をしたのち、日本から追加で金銭をせしめるために、日本と「新・日韓請求権協定」を締結させようとと、妄想しているのではないかと思っています。
    そのためには、核・拉致・竹島等々の問題のすべては、妥結しても守ることのない交渉の材料に使うことでしょう。

    「65年体制」を無視すれば、韓国と会話すらする余地はありません。
    日本は、韓国には「約束を守れ、国際法を守れ」と連呼して、韓国以外の国と誼を結ぶ努力をする、という今の方向性でよろしいと思います。
    「韓日フォーラム」なんてやるだけ無駄です。

    1. 頓珍韓 より:

      「と問いかけつつも、」という部分がゴミで入ってしまいました。無視してください。
      あいかわらず雑な書き込みで失礼いたします。

  8. だんな より:

    韓国から解決策が、出て来ない理由を一つ。
    韓国からの解決策は、韓国が損する内容になります。
    韓国人は、誰かが損をする提案をすると、「損をしたのは、あいつのせいだ」となります。
    良い例としては、慰安婦合意で朴槿恵前大統領が、非難されたようになり、日韓協定も同じ事です。

    慰安婦合意も日韓協定も、補償金を支払ったのは日本ですが、それでも韓国人はもっと貰える筈だと考え、損をしたと思います。
    どの様にしたら貰えるか(HOW)を考えられる脳では無いので、誰か貰った人と同じ事を繰り返しているんです。
    そして、今回は何で貰えないのかという日本に対する不満が、有るんです。

  9. 迷王星 より:

    日韓フォーラムに関しては少し気になっていたので,今回のフォロー記事は大変助かりました.有難うございました.

    >「・・・韓日協力は『もはや選択の問題ではない』ということで参席者の意見が一致した」。

    >これは、キル・ユンヒョン氏の意見ではなく、フォーラムのレポートと見るべきかもしれませんが、

    これはキル氏の個人的意見でなく実際にフォーラムの日韓双方の参加者の意見が日韓協力すべしで一致したということでしょう.

    何しろ日本側からの参加者として名前が出ているのが前原議員や福山議員なのですから,残りの日本側参加者も推して知るべしといったところでしょうし,そういう親韓日本人ばかりが参加したのであれば,冒頭に引用したような意見の一致を見たとしても何の不思議もありません.

  10. 引きこもり中年 より:

    独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (しつこいくらいに、そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
    (自民党政権に、情報公開を要求している)朝日新聞や野党は、韓日フォーラムに参加した立憲民主党や国民民主党の議員に、なぜ、「なにを主張して、なにを言われたのかを明らかにせよ」と言わないのでしょうか。
    蛇足ですが、(国民民主党を含む)超党派の国会議員が靖国神社に参拝したそうです。ならば、韓日フォーラムに参加した国民民主党の議員は、参拝した仲間の議員を非難するのでしょうか。
    駄文にて失礼しました。

  11. 七味 より:

    >まず日本の“被告企業”が・・・・

    なんで日本から行動を起こすべきって発想になるのかな?

    その一点だけみても入口からすれ違ってるんだって気付いて無いんだな?って思うのです♪

  12. 名無しの権兵衛 より:

     「前原誠司議員(国民民主党)の言及が肺腑を突いた。『韓国の方々にはっきり申し上げるが、この問題を解決するためには韓国側から先に解決策を提示しなければならない』」
    ⇒これでは50点です。『韓国の方々にはっきり申し上げるが、この問題を解決するためには、韓国側から国際法に準拠した解決策を提示しなければならない。』というのが100点満点です。
     また、キル・ユンヒョン国際部長の解決案は
    ➀日本の戦犯企業が高齢の原告たちと向き合い、不幸な歴史に対して率直に謝る。
    ➁原告は韓日の歴史的和解という大義のために現在進行中の強制執行手続きを止める。
    ➂韓国政府は最高裁(大法院)判決で確定した賠償金を高齢の原告に先行支給する。
    ➃その後、韓日両国が外交協議を通じて日本企業らの「自発的参加」を前提に基金を設立する。
    という内容ですが、キル・ユンヒョン国際部長も「国家間の紛争は国際法により解決する」という第二次大戦後の基本原則を(恐らく意図的に)無視しています。
     やはり、キル・ユンヒョン国際部長も「ふんどし」の一部が緩んでいます。今後、彼を「キル・ユルフン国際部長」とお呼びしたいと思います。

  13. クロワッサン より:

    [コラム] 韓日葛藤解決のための「提言」
    http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/41907.html

    >それまで安倍政権、菅政権、現在の岸田政権が4年にわたり繰り返してきた強硬な立場を、一時野党の実力者だった議員の声を通じて確認すると、暗澹とした気持ちになることを隠せなかった。

    の後の『それではどうすべきなのか。』以降を読むと、韓国側の『謝罪と賠償をし続けている間は、日本が謝罪や反省の気持ちがあると見做す』という価値観が伺えて、しかも謝罪や賠償を求める根拠は韓国側の被害妄想であるとは全く考えていないのも伺えて、ある意味で有意義ですね。

    日韓関係は外的要因で変化しない限り、今の関係が続くのでは?と思うと安心します。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。