1日百万回接種目標で「荒唐無稽」だったのはどっち?

「荒唐無稽・口から出まかせ」…これって全部日刊ゲンダイさんの自己紹介でした

日本は総選挙モードに突入していて、メディアの報道もすっかり選挙一色に染まりつつあります。ただ、選挙の公示直前というタイミングではありますが、ここであらためて振り返っておきたいのが、コロナ禍の本質はメディア禍だったのではないか、という当ウェブサイトなりの仮説です。ことに、ワクチン接種を巡る1日100万回接種目標を「荒唐無稽」だ、「無理筋な精神論」だ、「口から出まかせ」だ、などと批判したメディアがありましたが、ここでデータをもとに、「荒唐無稽」な「無理筋な精神論」を「口から出まかせ」で述べた側がどっちだったのか、指摘しておく必要があります。

ワクチンがコロナを抑え込む?

東京都では480日ぶりの「50人割れ」!

コロナウィルスの新規陽性者に関しては、ずいぶんと減少してきました。

たとえば、東京都の場合だと、新規陽性者数は40人、その7日間平均値は60人で、重症者数に至っては35人と前週比ほぼ半減しています。

都内のコロナ動向<10月17日(日)時点>
  • 新規陽性…40人(前日比▲26人、前週比▲20人)
  • 7日平均…60人(前日比▲3人、前週比▲54人)
  • 重症者数…35人(前日比±0人、前週比▲32人)
  • 新規死亡…6人(前日比▲1人、前週比▲1人)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

ちなみに新規陽性者数が50人を割り込むのは、48人だった昨年6月25日以来、480日ぶり(!)の快挙であり、7日間平均値についても8月23日以来、56日間連続で減り続けています。また、日曜日における新規陽性者数としては、48人だった2020年6月28日の水準を割り込んでいます。

ワクチン接種はもうすぐ1億8000万回

もちろん、これから「第6波」、「第7波」などに備える必要もありそうですし、私たち一般国民としても、マスク着用、手洗い、「集・近・閉(しゅう・きん・ぺい)の回避」を徹底するなど、引き続き慎重な生活を続ける必要はあるのかもしれません。

しかし、ここまで急速にコロナ禍が終息しつつある要因として、個人的に最も有力な仮説は、やはりワクチン接種が急激に進んでいることを挙げるべきだと思います。

いまや、総接種回数で見ると、「公式ベース」でもワクチン接種は1.8億回に達しようとしていますし(図表1)、これに例の「ワクチン接種済みだがワクチン接種記録システム(VRS)への入力が漏れている」という回数を含めれば、おそらく現時点で1億8500万回程度には達しているのではないでしょうか。

図表1 総接種回数と接種率
区分総接種回数接種率
全体合計179,242,766 
 うち1回目95,020,94175.02%
 うち2回目84,221,82566.50%
65歳以上合計64,799,530 
 うち1回目32,603,51291.15%
 うち2回目32,196,01890.01%
12~64歳合計114,443,236 
 うち1回目62,417,42979.12%
 うち2回目52,025,80765.95%

(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。10月17日時点で取得したVRSデータ、10月15日時点で取得した職域接種データ・重複計上データなどを使用。「接種率」とは累計接種数を『令和3年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値。「65歳以上」の接種率は累計接種回数を3576万8503人で、「12~64歳」の接種率は、総接種回数合計から65歳以上への接種回数を引いた数値を7888万5741人【※12歳未満人口を1200万人と仮置き】で除して算出)

高齢者以外への接種も急速に進んできた

冷静に考えたら、これも大変なことです。

ことに、高齢者以外への接種対象者(12~64歳の層で、当ウェブサイトの試算だと、対象者はざっくり8000万人弱)に限定すれば、現時点で1回目接種率はほぼ8割、2回目も7割近くに達しました。

これに、「接種済みだがデータの入力が終わっていない」という回数が500万回存在すると仮定したら、2回目接種率も対象者の7割を超えている計算です。

多くの自治体で、10月中にワクチンの集団接種会場を撤収するとも伝えられていますが、逆にいえば、多くの自治体では、少なくとも1回目のワクチン接種については終了のめどが立っているということであり、1回目が終われば必然的に数週間後に2回目も終わります。

(※まれに、いまだに1回目接種の予約すら取れない自治体というものもあるようですが、それなどは明らかにその自治体の実務遂行能力の問題と見るべきでしょう。)

もちろん、何らかの事情で受けそびれた人が、医療機関の門をたたいてワクチン接種を依頼する、といったケースもあろうかとは思いますが、現時点において社会の圧倒的多数がワクチン接種を終えたという事実は、正当に評価する必要があります。

ファクトチェック

「荒唐無稽」「無理筋な精神論」「口から出まかせ」

そして、この素晴らしい速度を達成した要因には、なんといっても菅義偉総理大臣が5月7日の記者会見で、「1日100万回のワクチン接種を目指す」などと号令をかけたことがあります。

これに関し、日刊ゲンダイさんなどは「荒唐無稽」だ、「無理筋な精神論」だ、「口から出まかせ」だ、などと好きなことをおっしゃったようです。

菅首相がシャカリキ「ワクチン1日100万回」計画の荒唐無稽

―――2021/05/11 13:25付 日刊ゲンダイDIGITALより

では、この計画は、日刊ゲンダイさんのおっしゃるような「荒唐無稽」で「口から出まかせ」の「無理筋な精神論」だったのでしょうか。

本稿の趣旨は、この点をじっくりと確認してやろうじゃないか、という点にあります。

まずは事後的に、VRSのデータをもとにしてワクチン接種を振り返ってみたものが、図表2です。

図表2 ワクチン接種実績(過去データ、VRSのみ)

(【出所】10月17日時点で取得したVRSデータをもとに著者作成。医療従事者等への接種、職域接種などのデータは含まれていない。また、実際にはVRSへの未入力も存在する可能性があるが、この点については勘案していない)

図表2で見てみるとわかりますが、東京五輪開会式などが行われた7月下旬の4連休、8月の盆休みなどの時期を除けば、6月上旬から9月下旬にかけての約3ヵ月間、少なくとも平日に関しては1日あたり最大で160万回を超える接種がなされていました。

また、直近になればなるほど回数が落ち込んでいるように見えますが、現実にはVRSへの未入力がかなりの回数発生しているため、現時点においても平日は1日60~70万回近い接種実績が続いていると考えてよさそうです。

累計接種回数と接種率

違う角度からも確認しておきましょう。

VRSデータ、厚労省データ、首相官邸「医療従事者等」への接種データ、「職域接種」等のデータを著者自身が統合して作成したものが、次の図表3に示すデータです。

図表3 累計接種回数と接種率

(【出所】10月17日時点で取得したVRSデータ、10月15日時点で取得した職域接種データ・重複計上データ、8月初旬に取得した医療従事者等に対する接種実績などを使用して著者作成。「接種率」とは累計接種数を『令和3年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値)

グラフ上、接種実績がほぼ一直線に積み上がっていることが確認できます(途中、接種回数と接種率がジャンプしているのは、8月上旬以降、職域接種のデータが一気に加算されたためです)。

あるいは、接種率だけを抜き出すと、もっとキレイな直線が描けます(図表4)。

図表4 接種率

(【出所】10月17日時点で取得したVRSデータ、10月15日時点で取得した職域接種データ・重複計上データ、8月初旬に取得した医療従事者等に対する接種実績などを使用して著者作成。「接種率」とは65歳以上に対する接種回数を3576万8503人で、12~64歳に対する接種回数を7888万5741人で、それぞれ割った数値)

今後の展開は?

さて、65歳以上の層に関しての接種率は、1回目、2回目ともに、ほぼ90%で「頭打ち」です。

「12~64歳」の層に関しては、このペースでいけば1回目接種率が80%を超えるのはおそらく間違いないと思いますが、さすがに90%を突き抜けて100%を目指す、という可能性はさほど高くないというのが個人的な予想であり、落ち着きどころは「今月末・85%程度で頭打ち」、といったところではないかと思います。

この場合、2回目接種についてもほぼ3週間後、つまり11月20日前後で83%程度を記録するのではないでしょうか。もちろんこれは、G7でもG20でもほぼトップクラスです(図表5)。

図表5 ワクチン接種率国際比較

(【出所】 Our World in Data “Share of people vaccinated against COVID-19, Oct 11, 2021”)

いずれにせよ、これらのデータで見る限り、日刊ゲンダイさんが5月時点で主張した、「荒唐無稽」で「無理筋な精神論」に基づく「口から出まかせ」という表現は、菅総理ではなく日刊ゲンダイさん自身のことを指していたと断じざるを得ません。

日刊ゲンダイさんはこれ以上報道記事を配信する以前に、まずはここまで盛大に政治家を批判し、ここまで盛大に自社にブーメランが突き刺さったことについて、菅総理と日本国民に対し、真摯に説明すべきではないでしょうか?

菅総理は偉大な宰相

今月4日に内閣総辞職した菅総理自身が、一種の「捨て身」で日本のために多大な成果をあげたことは、『菅義偉総理大臣の事績集:「日本を変えた384日間」』でも議論したとおりです。

一方、これに対し、新聞、テレビを中心とするオールドメディアは、ひたすらコロナの恐怖を煽り、政府の失策をことさらに強調するような、極めて不適切な報道を垂れ流し続けてきました。

しかも、『徹底して自分に甘いテレビ朝日:説明は明らかに不十分』などでも指摘した「テレビ朝日女性従業員泥酔ビル転落事件」の例にも見るとおり、テレビ朝日を筆頭とするマスメディア業界こそが、じつはコロナの感染拡大につながりかねない行動を取って来ました。

その意味で、菅総理は間違いなく日本史上に名を遺す偉大な総理である一方、報道の質が極めて低く、行動も幼稚なわが国のマスメディア産業もまた、「違う意味で」歴史に名を遺すことも間違いない、と、著者自身は確信している次第です。

読者コメント一覧

  1. KN より:

    日刊ゲンダイさんは、ヤフーニュースにも頻繁にアップされるのでウザいです。PCなら、Y!News Excluder や NGワードフィルターを使って、不要なメディアはニュースは視界に入れないほうがいいと思います。PV数稼ぎに協力してあげる必要はないでしょう。

  2. 匿名 より:

    日刊ゲンダイさんーーーーって、マスコミなんですか?

    1. sqsq より:

      ずいぶん前、王が巨人の監督やってた頃、1面ぶち抜きで「王解任」。
      こりゃ大変なニュースだと思って買って読んだら解任のことが書かれていない。
      1面に戻ってみたら「王解任」のあとに米粒くらいの大きさで「も」がついていた。
      要するに成績が悪いと王といえども解任はあり得るというあたりまえのことを書いているだけのこと。
      この新聞はいわゆるタブロイドに分類される新聞で、こんなのばっかり。

      1. 迷王星 より:

        sqsq様

        仰りたいことはとても良く分かりますが,しかし今やタブロイド紙でない新聞のほとんども,その小さい字の「も」さえ付けずに「王解任」と同じかそれ以上のデタラメ記事を次々に掲載して国民を自分達の信奉する一種のカルト的な世界へと誘導しようとしている時代ですからねえ.

        日本ではもはや「タブロイド紙」というのは蔑称ではなくなってしまったのですよ.何しろ普通の新聞のほとんどがタブロイド紙レベルに堕落してしまいましたから.

    2. pマロン より:

      日刊ゲンダイは新聞ではなく、日刊雑誌ですよ。

      1. nanashi より:

        pマロン様

        >日刊ゲンダイは新聞ではなく、日刊雑誌ですよ。

        その通りです。
        講談社傘下である故に日本新聞協会に入会していないそうです。
        因みに日刊ゲンダイの創立者の一人に有名な陸軍軍人の息子がいるとの事です。
        後に日刊ゲンダイの社長に就き、講談社の社長にも就いています。
        ビートたけし(北野武)が、たけし軍団を率いてFRIDAY編集部を襲撃した当時の社長がその方でした。
        現在の講談社の社長は、陸軍軍人の父系の孫にあたります。

  3. sqsq より:

    一回目と2回目の差は11百万。つまり2回目を待っている人が11百万人いるということ。
    接種間隔は3-4週間なので11月中旬までには2回目接種が95百万(国民の75%)に達するということ。11月末には12歳以上の国民の希望者全員が接種完了しそう。

    政府の見通しと同じ。

  4. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    11月になったら多くの接種会場は閉鎖されて
    接種数激減するよ

    1. 匿名 より:

      だからなに?

    2. 匿名 より:

      そりゃ接種済の人が増えたら接種する必要なくなるから激減するのは当たり前だろ

  5. 匿名29号 より:

    菅前首相が「コロナ対策を完全に失敗した」とモーレツに批判しまくったマスコミと野党の面々は反省文を公表すべきです。
    選挙向けに「コロナ弱者救済を」口々に喚いていますが、その前に総括すべきことがある筈であり、それなしには、どうせ また例の口から調子のよいことを言うだけだろとしか受け取られません。マスコミも然り。

    1. がみ より:

      匿名29号様

      百万人あたりの死者数、英国の7分の1なんだよね…

      昨日の党首討論会でもまだ「政権のコロナ対策の失政を問う!」とか息巻いてた政党あったけど。

      立民さんとか

      「自民党の成功した政策は我が党が主張していた事を実施したものばかりだ!」

      とか言っててびっくりしました。

      「モリカケサクラのあとに時間があればコロナやります!」

      しか記憶に無いんですけど…

  6. namuny より:

    そういえば、5月以降ワクチン接種による薬害で超過死亡数が増えているのでは、
    という話がありましたが、7月の死亡数が出てきましたね。

    https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2021/dl/202107.pdf

    昨年から、プラス約8000人/月。5,6,7月全てほぼ一定です。
    本投稿の本文中の図2の、ワクチン接種実績と見比べると
    5月の平均摂取数 30万回/日、6月の100万回/日、7月の140万回/日
    (1回目だけで見れば30万、70万、70万くらいですね)

    このころは全部ファイザーなのでワクチンの種類による違いも少なそうですし
    ワクチンと超過死亡の関係は少ないといえそうです。
    (ロットによる死者数のばらつきはあるみたいですが・・・)

    1. pマロン より:

      薬害でなくてもワクチン接種者は多数亡くなっています。
      そろそろ死亡者の9割以上は、ワクチン接種者になっているのでは?

  7. 人工知能の中の人 より:

    この件については朝日新聞の菅政権1年の振り返り記事も眉をひそめるものです。読める部分だけでも1日100万回の達成発言について、後に実数が出てしぶしぶ認めたものの、結果的に正しかったと言える、党首討論の時点では根拠不明だ、などと逃げ口上。

    公開情報であるVRSを記者自身で手集計するのさぼっていたことは知らんぷり。当日分だけ見て過去日付に積み増していくのまったく認識していなかったのでしょう。まして政府ならば自治体へのワクチン供給数と予約数は確かな数字を把握しているのだから、キャンセルとVRS未報告分によって確定値を出せずともそれらの誤差を含めた推計値はまず間違いはなかったでしょう。

    現状マスメディアは情報を精査検証する能力がまったくないと、(黙ってたけど皆知っていた事が)事例付きで公開されてしまったと言えます。これでファクトチェックするんだと言い出すんですから、もう・・・。

    1. 匿名 某 より:

      マスコミのとってのファクトですから。
      都合が悪いチェックはしません。

  8. KY より:

     恥知らずの便所ヒュンダイは、「荒唐無稽」と当時の菅首相をディスってた事なんかとっくに「無かった事」にしてるんでしょうね。あんな与太タブロイド紙を公衆の面前で堂々と読む連中は、良心と正気を疑われても仕方ないでしょう。

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