ついに日韓ハイレベル防衛交流「ゼロ回」に=防衛白書

本稿は、速報です。ついに韓国との「ハイレベル交流実績」が「ゼロ回」になってしまいました。コロナ禍のために対話が停滞しているためなのか、それとも「それ以外の理由」があるのかはさておき、事実として、防衛省が本日公表した『令和3年版防衛白書』によれば、韓国は昨年4月からの1年間で「交流実績ゼロ」だったのです。「竹島」云々より、むしろこちらの方が重要なのかもしれませんね。

ハイレベル交流実績

以前の『ハイレベル防衛交流面でも大幅に後退していた日韓関係』で、過去数年分の防衛白書を確認したところ、韓国との「ハイレベル交流」の回数が大幅に減っていた、とする話題を取り上げました。

ここで「ハイレベル交流」とは、「防衛大臣、防衛副大臣、防衛大臣政務官、事務次官、防衛審議官、各幕僚長」が「それぞれのカウンターパート」と実施する2国間会談のことを指しているのだそうであり、これを過去4年分比較したものが、次のとおりです(図表1)。

図表1 ハイレベル交流実績(過去4年分)【※クリックで拡大/大容量注意】

(【出所】過去4年分の『防衛白書』より著者作成)

いかがでしょうか。

この図表、1年間で「5回以上」実施された場合は赤、「3回以上」は濃いオレンジ、「2回」は薄いオレンジ、「1回」は黄色、そして「ゼロ回」は灰色で示されています。

これで確認すると、日本とともに「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の「クアッド」を構成している米・豪・印各国との連携が数年前から密になり始めていたことに加え、東南アジア諸国連合(ASEAN)や英仏、さらには一種の「仮想敵国」(?)でもある中国とも、交流が持たれています。

しかし、韓国に関しては、隣国でありながらも数年前から交流が後退し始め、「2018年6月~2019年6月」の期間に関しては「濃いオレンジ(3回以上)」、「2019年4月~2020年3月」の期間に関しては「黄色(1回)」に減っているのです。

ついに交流実績が「ゼロ回」に!

さて、防衛省は本日、『令和3年版防衛白書』を公表しました。とりあえず現在、その通読作業を始めたところです。

(※余談ですが、『PDF一括版』は100メガバイトという大容量かつ681ページという長編であり、なかなか閲覧するのも大変です。『目次』【※PDF版】であたりを付けたうえで、『PDFの閲覧』のページにアクセスするという方法だと、まだ容量的な負担は軽いかもしれません。)

こうしたなか、さっそくこんな図表を発見しました(図表2)。

図表2 ハイレベル交流実績(2020年4月~2021年3月)

(【出所】『令和3年版防衛白書』P309)

いかがでしょうか。

かつては「年5回以上」だった韓国との交流実績、なんと「ゼロ回」になってしまいました。

コロナ禍の最中ではあるものの、日本が大切にするFOIP諸国(米豪印)やカナダ、英仏などに加え、ASEAN諸国、ドイツ、イタリア、ニュージーランドなどの「準友好国」との交流が持たれたほか、中国ですら1回の交流が持たれているにも関わらず、です。

FOIPから明示的に除外された韓国

それだけではありません。

防衛白書(P311)に掲載されているFOIPの「地図のイメージ」を閲覧すると、今年も、韓国は中国、ロシア、北朝鮮と並び、明示的に抜かれていることがわかります。

図表3 FOIPのイメージ

(【出所】『令和3年版防衛白書』P311)

もちろん、このイメージ自体が「シーレーン」などについて述べたものであるため、中国・ロシアが除外されている理由は何となく説明がつくのですが、日本政府は口先では「日米韓3ヵ国連携」などと述べていながら、実質的には韓国を防衛協力の対象外に置いている、というメッセージでしょう。

なかなか興味深い論点だと思う次第です。

いずれにせよ、今回の防衛白書でも個人的に気になる部分がいくつもありますので、これについては近日中にお伝えしたいと思う次第です。

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