テレビ利権を突き崩す、「テレビCMゼロで増収増益」
しまむらの事例は「アリの一穴」?いよいよテレビ利権の崩壊が始まるのか
衣料品大手のしまむらが2021年2月期連結決算で広告費を抑制しながら増収増益を達成したことが、ネットメディア『J-CASTニュース』で報じられました。J-CASTニュースによると、しまむらの企画室は「テレビCMよりYouTubeなど動画広告の方がより低いコストで売上効果も十分あった」と明らかにしたそうですが、こうした動きは他社にも広まるのでしょうか。
利権の特徴の3点セット
あくまでも一般論で申し上げるなら、「利権」と呼ばれる構造には、個人的には次の3つの特徴があると考えています。
利権の特徴
- ①利権は得てして理不尽なものである。
- ②利権はいったん確立すると、それを壊すのが難しいという特徴を持つ。
- ③ただし、利権を持っている者の強欲や怠惰には非常に弱い。
利権とは、その名のとおり、不合理な既得権益のことであり、それらはさまざまな紆余曲折の末に成立してきたものであり、それらの圧倒的な多くは、合理性がない、ときとして理不尽な既得権益です。しかも、いったん確立してしまうと、それを壊すためには多大な労力が必要です。
ただし、重要なポイントがあるとすれば、利権そのものは、利権を持っている者の自己向上心を阻害し、みずから研鑽する努力を損ないます。そして、時代が変われば、意外とあっという間に利権構造は消え去ったりするものなのです。
この10年で社会的地位を確立しつつあるネット
さて、「新宿会計士」名義でのウェブ評論を始めてから今年7月で11年が経過します。
当時は某大手ブログサイトでブログを始めたのですが、毎日ブログ更新を頑張っても大して多くの人に読んでもらえるでもなく、また、新聞やテレビのおかしな報道を見つけてブログ報告していても、それが世間に伝わることはほとんどありませんでした。
考えてみえれば当然のことですが、当時、インターネットを通じて情報収集をするという行動が、まだまだ社会の「主流」を占めていたとは言い難く、実際、会社などに勤めていると、上司からは「新聞くらいは毎日読みなさい」、などとアドバイスされたものです。
しかし、2010年ごろといえば、スマートフォンが爆発的に普及し始めた時期でもあります。
それまでの大手ブログサイトでのブログと並行し、当ウェブサイトを立ち上げたのは2016年7月のことですが、ちょうどインターネット人口がさらに増大する時期と重なったという事情もあり、個人が匿名で運営しているサイトであるにも関わらず、当ウェブサイトには1日数万件というページビュー(PV)があります。
非常に感慨深いものがあると言わざるを得ません。
部数減、広告費の減少、視聴者離れ…マスメディアの苦境
これに対し、少なくとも新聞業界に関していえば、いまや社会の情報発信におけるメインストリームとしての地位を喪失しそうになっており、そのことは経営面で如実に表れています。
たとえば、大手の一角を占める朝日新聞社が昨年9月の中間決算で400億円を超える赤字を計上し(『退職給付会計と税効果会計、そして大手新聞社の経営難』等参照)、毎日新聞社も「1億円減資」に踏み切りました(『毎日新聞「1億円への減資」と資本剰余金の「使い道」』等参照)。
また、『部数と広告のダブルパンチに悩む新聞社のリストラ事情』でも報告したとおり、新聞を支える販売店網自体、このコロナ禍におけるチラシ収入の減少に直面し、その影響で「押し紙」も減るなどの「ダブルパンチ」状態が出現している、という話題も耳にします。
その一方で、テレビ業界に関していえば、依然として社会的影響力は強く、『テレビ業界の「コロナ減益」は業界没落の始まりなのか』などでも述べたとおり、在京民放5局(の持株会社)は各社ともに減収が続いているものの、依然として黒字基調は維持しています。
ただ、「広告費」という面で見れば、新聞、テレビともに「ジリ貧」の状況が続いており、とくに昨年(2020年)に関してはコロナ禍の影響もあってか、テレビ、新聞ともに大きく落ち込んでいたことが確認できます(『埼玉県民様から:2020年版「日本の広告費」を読む』等参照)。
【参考】『埼玉県民様から:2020年版「日本の広告費」を読む』
このように考えていくと、既存メディアのなかでは新聞が一歩先行して「没落」しているだけであり、やがてはテレビ業界も新聞業界の後を追うのではないかと思えてなりません。
もちろん、『ますます低くなる、ウェブ評論活動と新聞との「垣根」』などでも報告したとおり、新聞業界のなかにもネットと融合して生き残りを図る社は出現していくでしょうし、テレビ業界もこのまま座して死を待つのか、それともどこかで反転のきっかけを掴むのかはわかりません。
もっとも、新聞業界もテレビ業界も、記者クラブだの、電波利権だの、再販価格維持制度だの、消費税の軽減税率だのといった利権に塗れています。前述のとおり、利権というものは得てして自己向上心を阻害し、みずから研鑽する努力を損ないます。
そして、時代が変われば、意外とあっという間に利権構造は消え去ったりするものであり、新聞、テレビを含めたマスメディア業界がその法則の例外であるという保証はどこにもありません。
しまむらの成功事例
なぜ唐突にこんな話を持ち出したのかといえば、ウェブメディア『J-CASTニュース』に昨日、こんな記事が配信されていたのを発見したからです。
しまむら「脱テレビCM」でも業績好調 デジタル広告へシフト「低コストで売上効果も十分」
―――2021年04月11日17時00分付 J-CASTニュースより
これは、衣料品チェーン大手の「しまむら」が4月5日に発表した2021年2月期連結決算で、4期ぶりの増収増益を果たしたとする話題に関連し、「広告戦略の見直し」が効果的だった、というものです。
「第2四半期からデジタル広告を、第3四半期からは動画広告の出稿を増やし、客足増加につなげた。年齢や性別、商品セグメントごと広告を配信する手法を新たに取り入れた」。
なかなか興味深い話題です。同記事によると、しまむらは具体的に次のような対応を取ったのだとか。
- 新聞折込チラシの出稿量を減らしてウェブチラシに力を入れた
- テレビCMを見送り、YouTubeなどの動画広告を出稿した
その結果、どうなったのか。
J-CASTニュースがしまむら企画室に取材したところ、次のような回答があったのだそうです。
「テレビCMよりも動画広告の方がより低いコストでかつ売上効果も十分あったため、ウェブの方に重きを置いていこうと去年から進めています」。
実際、同社は広告宣伝費を114億7800万円と2割強抑制したのだそうです。
コストが低く、かつ、効果が高い広告媒体が出現したら、そちらに力を入れるのは、当たり前すぎる話ですね。
問題は、こうした動きが他社にも広がるのかどうか、でしょう。
もちろん、しまむらの取り組みはひとつの事例であり、同社の成功例がただちに他社にもそのまま当てはまると結論付けるのは若干早計です。しかし、新聞の購読者、テレビの視聴者が減り、ネットユーザーが増えるという流れが逆転するとも考え辛いところです。
いずれにせよ、「アリの一穴」ではありませんが、「テレビ不要論」が今後はスポンサーにも広まるのかどうかに関しては、注意深く見守る価値がありそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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YouTubeも保守系動画の広告剥がしも酷いもんですが。
やっぱり経費節減は効きますね。
ざっくり広告費の前期当期差が29億円、最終利益261億円の一割を越えちゃいます。
しかもカンフル剤じゃないんで継続的効果もある訳で言うことなし。
この件ではWEBメディアのJ-CASTは記事の通りテレビCM見送りチラシの削減に触れる一方、読売・毎日・朝日は巣ごもり需要を要因として広告費には触れていない点もなかなか。
恣意的かどうかはともかくとして情報量はメディアの質、引いては需要を左右するでしょうに。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、テレビと同じく、自分は間違えない存在と自惚れそうなので)
『しまむら』の成功事例を、テレビでは絶対に報道しないと思います。(もっとも、日経あたりが、日本の企業経営の特別な事例として報道しなければならなくなるかも、しれませんが)
蛇足ですが、(テレビ局に限らず)日本の企業は、ビジネスモデルが変わる衝撃に耐えられるのでしょうが。(もちろん、一概には言えないかもしれませんが)
駄文にて失礼しました。
主張には賛同いたします。ついでにTVが衰退しつつあることに関する私の観察を述べさせていただきます。
·TV局が番組に掛けるコストは明らかに低下している。
·番組で目新しいアイデアを見かけない。創造力が低下。
·私から見て番組がどんどんつまらなくなっている。息子はとうにTV離れしており、家族でTVを見るのは女房(60代後半)だけになった。
·平日昼間は、健康食品などじじばば向けのCMばかり。
視聴者が離れる→スポンサーが離れる→原価低減→品質低下→視聴者が離れる→・・
つまり負のスパイラルが進行中。
そもそも自宅にはテレビないので観ませんが、飯屋で流れてる「Twitterで流れてくる程度の動物動画に間抜けなナレーション付けて、それをスタジオの有象無象で観て笑う」なんて番組を堂々と流してる限り「ああもう終わりだな、観なくていいな」としか思いません。
以前、新聞の購読理由に「チラシを見たい主婦の存在」というコメントをしたものです。
そのような主婦層でも最近は「ポイント集めにスマホを使う」という人が増えています。
店頭でQRコードをスマホに読みこませれば、「お得な情報が自動的に送られてくる」といいうシステムです。
私が、新聞購読をやめたほうが良い、、とアドバイスしても聞き入れてくれなかった主婦層がスマホの「お得情報アプリ」だけは、素直に入れてくれます。
ただし、実店舗の店頭にあるアプリでないと怖くて駄目なようです。
知らないアプリは怖くて入れれない、、そんな人でも入れてくれるので、やはり実店舗があるというのは信用度が高いのだと思います。
ということで、実店舗のあるほうが、WEB広告は効果が出るのではないでしょうか?
最近のテレビはつまらないという声が多いですね。
正確に言うと最近のテレビの出演者がつまらないのだと思います。(特に報道系の)
でも最近のテレビドラマの質は一昔前の、そこいらのOLが恵比寿の高級マンションに住んでるような現実離れしたトレンディドラマに比べたらとても上質でテンポが良く、居酒屋でウダウダ喋ってるwwシーンは少なくなりました。
番組の質も視聴率も上がればスポンサーもつくでしょうが、「サンモニ」のように反日的のままでは厳しいでしょうね。
同じ報道系でも「正義の味方」、「そこまで言って委員会」は面白いですが、「しまむら」のような広告への取り組みは当然他社も考慮してるわけで、面白いから今のまま続く保証はどこにもなく、テレビ局も厳しい対応を迫られるでしょう。(テレビの報道番組風に言って見ました)
サンモニは視聴率もいいからやめられないのではないでしょうか(私は観ていませんが)
思考停止のテレビ世代高齢者だけではなく、「今週はどんな反日的な内容を垂れ流すのか」と視聴を止められず、放送直後から感想をツィートするなんて若い層も多いようで、これはこれで巧く敵の思うままになっている気がします(笑)
同感です。モーニングショーなど、玉川ダブルさんの、ダブスタ発言が楽しみで、見ている人が多いと思います。
CMまたぎでコンテンツの巻き戻しとか、TV離れする演出をなぜやめられないのでしょうか
他局との視聴率争いではじり貧でしょうに
敵は業界の外にいるのに…
衰退産業だなとつくづく実感します
貧すれば鈍すを地でいくハナシですなあ
もっとも、貧せずとも鈍!なればこそ招き寄せた現状ナンデショーけど
そもそも、TV局の本来の収益源はスポットCMとタイムCMの2つのみ、そのビジネスモデルはずっと変わりません。
現状、キー局なら何とかスポットCMとタイムCMの枠もそれなりに埋まっていますが、各枠の標準広告料の低下は激しく、数年先には大幅ディスカウントをしない限り、埋まらない枠も出てくるでしょう。
キー局でさえこの現状、地方局はもっと厳しく、事実上キー局からの売り上げ移転に頼っている現状もあります。
各TV局は立派な自社ビルを有しているので、新聞社同様、将来は不動産業が稼ぎ頭になり、事実上不動産屋になるのかもしれません。
但し地方では不動産需要も低いので、倒産するTV局も続出するでしょう。
そういた状況に陥ってから、政府自民党&総務省は放送法の改革、電波オークションを行う算段なのかもしれません。
敢えて事前に救済のための制度改革をせず(わざと反対させる)、勝手に滅びゆく業界となるのを舌なめずりをしながら待ち望んでいるようにも思えます。
テレビが衰退しているかどうか実感はありませんが、4Kだの8K放送は本当に必要なんでしょうか。スポーツ観戦を大画面高精細テレビで見たい方にはよいのでしょうけど。 しかし我が家のテレビは28インチですが、俳優の顔が画面一杯にアップになったりすると、あまりのリアルさにのけぞってしまいます。夜中にふと目を覚ますと自分の体の上に大きな顔が迫っているという悪夢を見そうです。
更新ありがとうございます。
しまむらは、地盤が埼玉県中心に北関東、信越、東北、首都圏、中国地方に店舗数が多いです。「しまむら」の他、「アベイル」や「バースデイ」など、もう2,000店舗以上の巨艦衣料品チェーンです。広報担当者みたい。やけに詳しいでしょ?(笑)
30年以上前、平成に元号が変わった頃、埼玉と群馬の県境に一時住んでました。見たことないロードサイドショップ「しまむら」がありました。入ると雑然と服が陳列(というか、適当に置いてるだけ)されてます。
最初は「安物の倒産品をさばく格安店舗か」と思いましたが、道を走ると何店舗も同じ看板が並んでいる。「こんな服のどこがいいの?」と思いましたが、しばらく経つと、たまには覗きました。自然に足が向かう。と思っていると私の地元にも店が出来ました。
安いのと、そこそこデザインが良いのがポイント。同じものばかり、1アイテム〇〇万枚中国で作らすユ〇ク〇と、全国で同じ商品を売らずに、ある程度の生産ロットで東北版、首都圏関東版、西日本版という風に小回りを利かせるのが、しまむらです。どちらが良いかは服種によって異なります。
そんな話はどうでもいいとして、年代や男女別、独身か夫婦か子供ありかで属性を区切って、ウェブチラシにシフトしたのは正解です。しかし、まだ広告宣伝費に114億7800万円は多過ぎる。衣料の小売業で粗利益率は25~30%程度です。昔のように40%もありません。売上高経常利益率は僅かに1~5%ぐらい。むしろ赤字企業が大半でしょう。ユ〇ク〇は別格ですが(笑)。
私はウェブチラシは今後更に増えると思いますが、こういう業種ではなかなか難しいと思います。
「しまむら」さんが初期に「安物の倒産品をさばく格安店舗か」だったのは本当です。「雑然と服が陳列」されていたのも今は昔、段々と陳列も洗練されてきました。
私は、自称「ファッションおたく」なので、時々は「しまむら」や「Avail」を覗きに行きますが、紳士物を買うことは滅多にありません。「しまむら」のサイズは、いわゆる中年体形に絞り込まれていて私には緩すぎますし、「Avail」は若年層向けなので、ジジイが着るには年甲斐もなく見えてしまいます。
また、仰るように「しまむら」は商品を全店舗統一展開しないので、YouTubeのファッション・インフルエンサーが商品紹介を避けています。お薦めしたい商品がどこでも買えるわけではないから取り上げにくいのです。その点ユニクロはどこでも同じ物が買えるため、話題にしやすいわけです。
それでも私が「しまむら」を定期巡回する理由は、婦人向けの小物の中に使えるものがあるからです。例えばキャップや中折れ帽の中には男性がかぶっても違和感ない物があり、千円未満でイケてるものを買えます。「Harris Tweed」のロゴ入りキャップが500円とか。Zozo Townで買えば4千円ですよ。
https://zozo.jp/shop/basestation/goods-sale/52781768/?did=86589701
ストールやスヌードも男女問わず使えるので重宝します。
「Avail」ではメンズの売り場面積はそれなりにありますが、「しまむら」ではメンズの売り場が年々狭くなっています。おっさん体型に絞り込みすぎて、20代、30代から敬遠されているのではないかと心配しております。
どんなに視聴者が離れようと、テレビは「テレビであること」自体に意義があるので、地方局は潰れるとしてもキー局クラスは誰かが買収するなり”広告費”を注ぎ込むなりして生かし続けるであろうと思います。
ラジオがいくら斜陽になっても「聞くだけ」のスタイルが一部で支持されている様に、テレビも「何も考えずに脳死状態で視るだけ」というスタイルの人たちが見続けると思います。
テレビに何か情報的な有用性を見出そうとしている人種はとっくに見限っています。
確かに、一旦、名前が広がれば、15~30秒のテレビ CM は要らなくなるというのは、あるかもしれません。
実店舗を目にする機会も多く、推せるような商品がないとあれば、なおのこと。
ポカリスエットの新CM「でも君が見えた」篇をTVで見かけて、すげー画像だと検索かけて60秒フルバージョンをメイキング含めて鑑賞しました。
ワイヤーアクション以外はCG使っていないというのが驚き。
作成した映像作家もスゴイ人でした。
(あと歌唄ってんのが、どーも知ってるアーティストの様な気がして気になって確認しようとしたら、プロフィール未公開。)
TVCMオンエアは、フックにしかならないんじゃないですかね。