来日したモリソン豪首相、A4紙5枚にびっしりの宣言
中国で「戦争準備」という動きが報じられており、「憲法9条教」からの解脱は待ったなしの論点です。こうしたなか、日本や米国を含めた「自由で開かれたインド太平洋」陣営も、手をこまねいているわけではなさそうです。こうしたなか、気になる動きをメモ的に紹介しておきましょう。
昨日取り上げようと思っていて、時間がなくて紹介できなかったのが、この論点です。
日豪首脳会談
11月17日、菅義偉内閣総理大臣は、来日中のスコット・モリソン・オーストラリア連邦首相(The Hon. Scott Morrison MP, Prime Minister of the Commonwealth of Australia)との間で日豪首脳会談等を実施しました。まず、同日午後5時少し前から約20分間、首脳のみで会合が行われ、続いて午後5時15分から約50分間、首脳会談全体会合が行われました。首脳会談の後、午後6時50分から約65分間、菅総理は夕食会を催しました。<<…続きを読む>>
―――2020/11/18付 外務省HPより
昨日は豪州のスコット・モリソン首相が来日し、菅義偉総理と夕方、首脳会談を実施したうえで、夕食会が開かれました。
そのうえで、両首脳は日豪両国が「自由、民主主義、人権、法の支配などの基本的価値と戦略的利益を共有する『特別な戦略的パートナー』である」と位置付けたうえで、例の「自由で開かれたインド太平洋」(俗に「FOIP」)の実現にむけて、ともに取り組んでいくことを確認した、としています。
米国で次期大統領が誰になるのか、まだよくわからないという情勢ではありますが、安倍晋三政権下で、おもに日本のイニシアティブを通じて米トランプ政権と合意した「FOIP」構想が、着々と実を結びつつある、ということでしょう。
さらに、昨日公表されている『日豪首脳共同声明』は、日本語の仮訳版でA4サイズ5ページ分にわたってびっしりと書き込まれており、これだけを見ると、日豪は防衛協力を強化するなど、すでにあたかも同盟関係にあるかのような書き方です。
数年前まで「中国べったり」だった豪州が、ここにきて日本に急接近しているというのも驚きですが、菅総理とモリソン首相が満面の笑みで「肘タッチ」を交わしているのも印象的です。
参考 菅総理とモリソン首相の「肘タッチ」
(【出所】外務省)
さて、こうしたなか、もうひとつ気になる動きが米国の「第1艦隊」構想です。
米、インド洋に「第1艦隊」構想 対中国で海軍態勢強化
―――2020年11月18日14時34分付 時事通信より
時事通信は本日付の記事で、米軍事専門紙などの情報として、ブレイスウェイト米海軍長官が17日、海軍関係団体が主催したオンラインのイベントで講演した際、「インド洋と太平洋を結ぶ海域を管轄する『第1艦隊』」を創設するという構想を明らかにしたと報じています。
これは日本に現在存在している第7艦隊の負担を軽減するとともに、「世界各地で攻撃性を示している中国」(※ブレイスウェイト氏)に対抗する狙いがある、ということでしょう。
実際、同じく時事通信には数日前、こんな記事も掲載されています。
中国、「戦争準備」本格化 制服組トップ、態勢転換に言及―台湾などの緊張にらむ
―――2020年11月16日07時06分付 時事通信より
これは、中国人民解放軍(※時事通信の記事中では「中国軍」)が「戦争準備の動きを強めている」とするもので、時事通信は、ことに10月下旬に開かれた中国共産党中央委員会総会で、「軍創設100年を迎える2027年にあわせた『奮闘目標の実現』を掲げた」、としています。
非常に嫌な動きですね。
いずれにせよ、「憲法第9条があれば戦争にならない」といった寝言とは、そろそろ本格的に決別すべき局面が到来していることは間違いなさそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
モリソン首相の顔を始めてみました。
人柄が良さそうな感じがします。
日豪で引っ張れば、アメリカも引っ張れるかも知れませんね。
だんな様 甘い!豪州の真剣度は、ひっくり返すとアメリカへの警戒感じゃございません?バイデン氏は、無策のオバマ政権の副大統領だったのですから。
議会を始めとしたアメリカの相違が対中強硬であるとしても、ここに至って行動から手を引くとなれば、同盟国への裏切りとなります。それがありうると見做して、日本に確認しているのじゃありませんかしら?
豪州やカナダは、既に対中行動に踏み込んでいます。アメリカの裏切りを許さないでしょうが、同時に覚悟している。
アメリカ自身が主導したTPPをひっくり返したのは記憶に新しいですよね。その裏切りを修復して立ち上げたのは日本です。当てにできないアメリカを見っ切って、日本に縋っているというように私には見えます。
心配性のおばさん さま
「アメリカへの警戒感」は、分かってますから、大丈夫ですよ。
この時期に来日して、戻れば隔離らしいですので、日本に対する期待度は高いんだと思います。
このおじさんと並ぶと、ガ-ス-が随分「悪い人」に見えますなあ。
更新ありがとうございます。
7月9日、安倍首相もスコット・モリソン首相とテレビ会談してますね。茂木外務大臣もペイン外相と先月東京で会談されてます。何やら急速に豪州との親密度合いがアゲアゲの状態ですが、かつては日本の戦略防衛ツールの柱である潜水艦を袖にした事があり、「本当に大丈夫か」という一抹の不安もあります。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201007/k10012651921000.html
しかし、豪州も対中国で相当やられており、怒り心頭なのは分かります。「な、だからシナなんかと仲良くしてもロクな事ないで」と茂木大臣当たり、大きな声で言ってやってください。そうだ、当時煮え湯を飲まされた安倍首相が一番相応わしい。
以下、日豪首脳宣言の一部です。
「日豪間の「特別な戦略的パートナーシップ」は、民主主義、人権、自由貿易及びルールに基づく秩序に対するコミットメントを含む共通の価値観、インド太平洋地域及びそれを超えた地域における安全、安定及び繁栄における共有された戦略的利益並びに深い経済相互補完性に基づくものであることを再確認した。」
「両首脳は、武力による威嚇若しくは武力の行使又は威圧によらず紛争が平和的な方法で解決され、国際法の下での全ての国家の主権及び権利が堅持される、自由で、開かれ、包摂的で、繁栄したインド太平洋地域を推進するための協力を深化させる決意を新たにした。」
もう完全に対中宣言です。深い友誼のある国家がまた増えました。
>日本の戦略防衛ツールの柱である潜水艦を袖にした
これは最初から無理筋だったのですよ。
ターンキーシステムでの導入ならまだ話が違ったのですが、地元雇用で自国生産を要求したので、物理的に「日本の潜水艦は豪には作れない」話。
そういう輸出に慣れているドイツと、なぜか通常型潜水艦を持っていないフランスが争ってフランスを採用するという謎の選択をしたあげく、原潜の設計を通常動力艦にするという迷走でコストが跳ね上がり、政治問題化していますw。
まだドイツ製の方が理解できたのですが、ドイツ製潜水艦は、絶対、韓国のせいでイメージが悪くなっていますよw。
りょうちん様
>ドイツ製潜水艦は、絶対、韓国のせいでイメージが悪くなっていますよw
なるほどw
確かにそうですね。座布団一枚進呈致しますww
りょうちん様
ありがとうございます。そうですね。フランス選択は謎ですね。まだ輸出用を持つドイツならあり得るかなと思いますが。
頭切り替えて、日本の技術が外に出なくて良かったです。最大深度、潜水航行可能日数も秘密ですから、豪から第3国経由で怪しげな国に漏れたら困ります。
最先端技術は輸出が難しい。「おうりゅう」型もバリバリの現役だし、特に「たいげい」型など、無理ですね。
豪州は人材不足の国で産業の厚みが足りません。サゲているわけではありませんし、建国史にも立ち入りません。
通商条約を改定して関税を下げてしまったら、豪州進出の完成車組み立て工場が廃業し引き上げてしまった過去があります。そして代わりに豪州自動車市場をゲットしたのがタイ国だったのは今となっては必然だったとも思えます。
人が足りない社会だからこそ、個々の能力向上に裏打ちされた、並列正規職からの複数収入源を構造づける、本邦が目指すべき社会問題解決の道筋をつまびらかにするため豪州は参考になるのではないでしょうか。
りょうちん 様
>物理的に「日本の潜水艦は豪には作れない」話
ハイテン鋼を使ったキモの部分(艦体?)だけ日本で造って、豪で艤装するなら折り合えたようにも思うんです。
実際は、2年に1艦ペ-スで最適化している造船所に余裕がないから、そもそも造りたくなかったとも聞きましたが。
この写真を見て韓国メディアは「豪州と日本の首脳は残忍な笑みを浮かべながら肘鉄で攻撃し合ったニダ」と言う様な見出しの記事を書きそう。
スコット・モリソン首相は、財務大臣だった当時、C国の富豪から資金提供を受け、C国◯産党
に便宜を図ったサム・ダスティアーニー議員に対し、次のように発言したそうです。
「サム・ダスティアーニー氏の行為はオーストラリアへの裏切りであり、国会議員は辞めるべきであり、本人が辞めないのであれば、野党党首のビル・ショートン氏が辞職勧告をすべきである」
モリソン首相と日本がいい関係を築けているのは私にはとても喜ばしい出来事です。
日本と豪州の今を作ってくれたのは、間違いなく安倍前首相だと思います。
全て積み重ねです。積み重ねがあって今の状況があります。
豪州の前首相ともいい関係でしたし、豪州の前首相はトランプ大統領と当初余り関係がよくありませんでしたが、日本米国豪州3国の首脳会談をした時の写真は3人共に笑顔がとてもよかったです。
橋渡し役をされたのかもしれません。
色んな事があって今があるのがとても嬉しいです。
日本海連合 の響きが好き様
スコット・モリソン首相と菅総理のツーショットは、トランプ大統領が安倍総理に対して見せた屈託のない笑顔に次ぐ良い写真ですね。
新宿会計士様が仰る通り、国と国との外交関係と言っても所詮は「人」が自国を代表して虚々実々の駆け引きを行っているのであり、決して過信は禁物ですが、ふとした表情にこの度の首脳会談の成果がにじみ出ているとも考えられます。
安倍総理が作り上げた外交関係を菅総理が着実に継承して発展させていくことが「日本の国益にとって極めて重要である」と思いますので、今後の菅総理-茂木外相の手腕とリーダーシップに期待しています。
「日豪宣言」は大変喜ばしい事です。
「豪韓宣言」よりも語感はいいし…
笑ってしまいました。
座布団2枚です。
強姦宣言…、あの国らしいですね。
親豪派の自分としては、やっとこちら側に帰って来た!感があります。
前豪州政権は酷すぎました。
それはそれは、日本の民主党政権時代より酷く、中国に豪州を売り渡すんじゃないか?と真剣に心配してました。
ニュージーランドが韓国の支配から脱する状態なので、日本がしっかり支援して欲しいモノです。
豪州とNZは、韓国移民が入り込んでいるので注視する必要があります。
中国移民の人は、世代を重ねる毎に定着し地元民になっているから良いとして、問題は韓国移民ですね。
ほーんとに、色々と迷惑な人達です。
名古屋の住人様
ありがとうございます。
モリソン首相と菅首相のツーショット、とてもいい笑顔ですよね。
安倍総理が作り上げた外交関係を菅総理が着実に継承して発展させていくことは、本当に大切な事だと思います。
これからも日本と豪州の関係を注目していきます。