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国際競争力で日本を上回る相手国に通貨スワップは不要

本稿はちょっとした「小ネタ」です。隣国の経済副首相が、「国際競争力で日本を上回った」と相好を崩しているようです。ほんの数ヵ月前に「G20スワップが必要だ」などと述べていたのと同じ人物とは思えないという気もするのですが、おそらく彼らの中では矛盾していないのでしょう。もっとも、正直に申し上げるならば、「G20スワップ構想」などという与太話、ネタとしては面白いのかもしれませんが、現実味はまったくありません。

2020/06/17 13:05追記

文中、一部に「G20」と表記すべき箇所を「G7」と、「G7」と表記すべき箇所を「G20」と表記していましたので修正しております。

韓国が訴えた「G20スワップ」構想

以前にも取り上げた、「G20スワップ構想」というものを覚えていらっしゃるでしょうか。

これは、「G20諸国で相互に通貨スワップを締結し、通貨危機に備えよう」とする構想のことですが、ただ、提案しているのが、韓国の洪楠基(こう・なんき)経済副首相兼企画財政部長官であるという時点で、怪しさは満点です。

「G20スワップ構想」に含まれる韓国側の「ホンネ」

先月から、韓国側ではメディア、政治家を問わず、日韓通貨スワップへの期待が、やたらと出て来ています。ただ、昨今の日韓関係の悪化に加え、日本側からは「日韓通貨スワップ構想など聞いていない」といった発言も出ています(『韓国の無礼な態度により麻生総理が席を立ったのは当然』等参照)。こうしたなか、「韓日通貨スワップ」について言い出し辛いのか、日韓通貨スワップ論と並んで最近よく見かけるのが「G20スワップ構想」です。

―――2020/04/01 13:15付 当ウェブサイトより

ここで、「G20」といわれても、想像がつかない、という方も多いと思います。というのも、「G20」と呼ばれているグループには、G7諸国(日米英仏独伊加)のような先進国もあれば、「BRICS」諸国と呼ばれる国なども含まれているからです。

G20とは?
  • G7諸国…カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国の7ヵ国
  • G20諸国…G7に次の13ヵ国・地域を加えたもの
  • BRICS…ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ
  • それ以外…アルゼンチン、豪州、インドネシア、韓国、メキシコ、サウジアラビア、トルコ、EU

G20スワップがあり得ないわけ

これらの国々を並べてみると、なぜこの国々をひとつのグループにしたのか、個人的には理解に苦しむところでもあります。

これらのうち豪州はG7に準じる先進国というカテゴリーで良いと思うのですが、「BRICS」にしたって、ゴールドマン・サックスのジム・オニール氏が提唱した用語が下敷きになっていますが、国としてのGDP、人口、面積、政治体制などがまったくことなるものを「BRICS」とまとめるのも無理があります。

さらには、産油国でイスラム圏の「盟主(?)」でもあるサウジアラビアがG20に入っているのは理解できなくもないのですが、何度も国債のデフォルトを発生させているアルゼンチン、過去に通貨危機を発生させているインドネシアや韓国、通貨ポジションが脆弱なトルコ、メキシコなどが入っている理由も不明です。

ちなみにG20諸国を「通貨」という視点から並べ替えてみましょう。

  • ハード・カレンシー…米国、ユーロ圏(独仏伊)、日本、英国、カナダ
  • 準ハード・カレンシー…豪州、南アフリカ
  • ソフト・カレンシー…ブラジル、ロシア、インド、中国、アルゼンチン、インドネシア、韓国、メキシコ、トルコ
  • 米ドルペッグ通貨…サウジアラビア

(※もっとも、「南アフリカランド」を「準ハード・カレンシー」に含めて良いかどうかは微妙ですが…。)

「G20諸国が参加する多国間通貨スワップ」ともなれば、ハード・カレンシー国であるG7、準ハード・カレンシー国である豪州などから、通貨ポジションが脆弱なその他のG20諸国に対する、ほぼ一方的な支援とならざるを得ないのは明白でしょう。

下位の国に支援してもらう必要はない

さて、本日、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、久しぶりに「洪楠基経済副首相」というお名前を見かけました。

韓国経済副首相「韓国の国際競争力、日本を上回る」

洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官が韓国の国際競争力が日本を上回ったと明らかにした。<<…続きを読む>>
―――2020.06.17 11:34付 中央日報日本語版より

これは、スイス・ローザンヌにあるビジネススクールIMDが16日に発表した『2020年版世界競争力ランキング』で、韓国が23位と前年の28位から5ランクも上昇したというもので、また、日本は昨年の30位から今年は34位に低下したという話題です。

中央日報のタイトルに「日本より上」とついている時点で自意識過剰という気がしないでもないのですが、それだけではありません。洪氏は次のように述べたのだそうです。

韓国は人口2000万人以上の29ヵ国のうち過去最高順位となる8位(2012年も8位)、そして国民所得3万ドル・人口5000万人以上の7ヵ国の中では4位を記録した。これはフランス、日本、イタリアを上回る順位だ

じつに嬉しそうですね。

べつにどこかの団体が発表している指標が国力を決めているわけではないのですが、このあたり、某世論調査会社の社長が「マスメディアが実施する世論調査が最も客観的な世論の指標だ」などと騙っているのを思い出してしまいますね。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

考え様によっては、今回の洪氏の発言も、「韓国の国際競争力が日本を上回った」という自信のあらわれのようなものでしょう。

個人的には、ご自身がわずか数ヵ月前に「G20スワップ」などと述べていたという事実とは矛盾するような気もしますが、洪氏の気分を忖度して申し上げるなら、あくまでも洪氏は「G20が相互に助け合う」という意味で「G20スワップ」などと述べたのでしょう。

もっとも、日本にとっては、韓国様に助けていただかなくても全然問題ないという気がしてならないのですが…。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • 都合の良いように己の願望を事実にすり替えるような国家には、それ相応のつきあい方をするしかありませんね。
    新宿会計士様の言うとおり、日本より上だと言うのなら、通過スワップも不要でしょう。

  • 新宿会計士 様

    本論以外の部分ですが、「G20スワップがあり得ないわけ」中の
    > 産油国でイスラム圏の「盟主(?)」でもあるサウジアラビアがG7に入っているのは
    G7はG20の誤記ですね。

    • イーシャ様

      「知性学」の件、笑わせすぎです。謝罪と賠償を(ry

      誤植の件、ご指摘ありがとうございます。さっそく確認します。
      引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

      • 新宿会計士 様

        何度言われても謝罪も賠償もしません(笑)。
        気に入っていただけたなら、ご自由にお使いくださいませ。
        変な像の作者と違って、著作権を主張したりしませんので。

  • G20スワップがあり得ないわけの段

    幾箇所かG20と表記すべきところが「G7」になっています。

    • カズ 様

      誤植大変失礼しました。確認して修正します。
      引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。

  • 更新ありがとうございます。

    韓国はランク付け好きですね。世界で何番、アジアで一番とか。でも基準が曖昧で、例えば月間の貿易高や金融関係でも、米ドルで言ってたのにウォンになったり、日本円で比べたり。

    それに前年比は1%の100分の1迄出してると思ったら、他の項目は1%の10分の1止まり。これは中央日報や朝鮮日報など、韓国紙に共通してます。

    要は単に『日本に勝ったかどうか』だけ。比較する物差しさえ統一出来ない(笑)。

    G20スワップ?変な国が複数以上入ってるから、日本は持ち出しだけだ。返って来るのか?取極しな〜い!

  •  こうしたおバカさんがどんどん出てきてくるので、日本としては好都合でしょうか。
     国民一致団結して「日本不要論」でせいぜい盛り上がって欲しいものです。物忘れが激しい民族のようですが、こちらは覚えていますから。

     最近、在韓日本人のミュージシャン(というより普通の日本人ではないでしょうが)が、「韓国の音楽市場は5000億ドル」だと記事で書いていました。すごいですね、アメリカに匹敵する市場規模です、どうしてアメリカのミュージシャンは韓国市場を狙わないのでしょう。
     こうしたウォン、円、ドルきちんとかきわけられない記事が目立ちます。それを載せてしまうYahooジャパンというメディアもお里が知れるというものですが。

    • > 「韓国の音楽市場は5000億ドル」

      さあ、日本以外のミュージシャンの皆様、韓国にGO!

      • サムライアベンジャー、阿野煮鱒さま 

        因みに韓国のGDPは.1.6兆ドルくらいです。
        世界の韓国人売春婦のマーケットと、間違えてると思ったんですが、それでも桁違いですね。
        ドルとウォンを間違えたのが、一番可能性が、高そうです。

        • だんなさま、阿野煮鱒さま >>
           通貨単位の書き違いは、韓国では中央日報のような大手新聞社でもよくありますよね。

           意図的にやっている例は、韓国に進出した企業をいつも「No.1」と書いていたりすることです。「にほんNo.1のアウトテリア企業が韓国に工場を・・・」と書いてあったので調べてみると、業界では第6位くらいの企業でした。

           音楽コンテンツの売上で、世界経済の動向を見ているのは私くらいだと思いますが(苦笑)コンテンツビジネスの発達はその国の「余剰パワー」であり、一つの目安だと思っています。

           日本は1970年代に統計を取り始めてから、人口2億超(現・3億)のアメリカに次いで常に2位です。どこの国でも「1997年」が最大で、その頃は日本は人口一人あたりで7000円、韓国では700円程度でしたが、現在は日本を含めた先進国はその頃の1/2以下に落ち込んでいます。アメリカでスト1/3に落ち込んでいますから日本はまだ持ちこたえている方だと思います。デジタル違法コピーの普及だけでは説明がつかない落ち込みかと思います。

           アジアは日本に肉薄できている国はなく、トップ20にインドと韓国、近年では中国が入っていますが、がくが少なすぎます。「成長するアジア経済」というフレーズを聞くと思わず苦笑してしまいます。

           韓国はK-Popに国際普及のため国の予算を注ぎ込んでいるので、200億~300億円程度に「回復」途上にあります。過去のデータと比較してあくまで「回復」しているのであって、NHKとかで「成長するK-Pop」みたいな特集番組を作っているのを見ると笑えます。

           NPO団体がした調査では、日本における「韓国デリバリー」という風俗は3000億円程度と、K-popの売上を凌駕し、日本の音楽市場規模に肉薄しています。韓国人女性を売っているのは在日さんなので、日本人は罪悪感を持たなくてもいいのですが。

        • サムライアベンジャーさま
          韓国人売春婦は、兆円の桁まで行くと思います。
          KPOPなんか、目じゃ無いと思います。

        • サムライアベンジャー 様

          >韓国人女性を売っているのは在日さんなので、日本人は罪悪感を持たなくてもいいのですが。

          この辺は例の「慰安婦」と同じ構造ですので 要注意かもしれませんよ。 その内、昭和慰安婦とか平成慰安婦とかの「新語」を作り出して 新たなタカリを企てるかもしれません。彼女達にとっては 基礎年金にプラスされる「老後厚生年金=旧報酬比例分厚生年金」に相当し、それなりに精力的に活動するかもしれません。 

          バア~ちゃんの口癖♪ 謝罪♪ 保証♪ 金じゃないんだ♪  謝罪♪ 保証♪ 金じゃないんだ♪   

  • ホルホル、ホルホルが、来たニダ。
    韓国様が、日本とスワップを、結んで上げても良いニダ。
    優しく言って上げるのは、今のうちだけニダ。

    脳内お花畑だから、国民は皆信じるニダ。

    消されるかな。

  • ご冗談でしょう、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官どの!!!

    そう宣うの、いくら何でも早すぎるんじゃないですか。失業者もたいそう増えているようですが。

    最近、誇大妄想が多いですね、世界標準のKー防疫やらなんちゃら・・と。

    ウフッ(^o^)

    • 最近だと「G8って、それはないでしょう」というのが流行みたいですよw

  •  本当に順位に拘ります。

     会社で何か新しい事を提案すると「これが出来れば世界一になれますか?」と上層部から訊ねられます。小生は「ナンバー1を目指すよりオンリー1を目指すべき」といつも上層部に言います。

     「日本の中小企業が強いのはオンリー1技術があるから」といくら話をしても聞きません。短期間で成果を要求され、ただでさえ開発能力に乏しい韓国人技術者は結局パクるしかないのです。

     5年後10年後の成果は求めず、すぐ世界一になれる技術を欲しがります。技術開発を舐めているとしか思えません。今までどれだけ技術を与えたらこういう思考になるのか、日本の経営者は反省して欲しいものです。

     駄文にて失礼します。

      • はい、今まで韓国を甘やかしてきたことを反省するのです。お判りでしょ?

      • 生みの苦しみを知らない経営者が政治的理由で技術を供与してましたからね
        結果、軒を貸してなんとやらですから

    • 技術なんかナンボでも売って儲ければいいんです。
      どんな技術も時代とともに陳腐化するし、製品化された時点でもう古いんだから、技術の価値などいっときの時価的なものでしかありません。

      いかにして技術を産み出すかというノウハウや学びの風土はカネで買えない。そこの違いがわからない限りずっとヨソから技術を買い続けることになる。
      それでは常に後追いするしかなく、先進国にはなれませんね。

      大局で見れば、日本の経営者はうまくやっていると言えなくもないのでは。

  • だいたいこういう順位というのは、中に含まれる得点配分を調整すれば如何様にもつくれます。
    まあ、他国の人が作ってるものなら、自分の都合の良いように作ったものではないのでしょうが、都合の良い指標だけ記事にして取り上げてるのは間違いありません。

    本来、複数の指標の数値は単純に足したらいけなくて、レーダーチャートにして強み弱みを把握するのに使います。

    「国際競争力」といった指標が韓国が20位台というのは悪すぎますよね。もっと高いはずですよ。一応貿易の国際競争でもって先進国に届くかもという国ですから。

    と思ったら日本は「国際競争力」30位台とな笑。ホントなんの国際競争力なんでしょうね。

  • S&Pのソブリン格付けをみたら、韓国がAA、日本がA+。韓国が上じゃん。お金は有限なので日本より格付けが
    同じか上の国には一切支援しないことにしたらいいのでは。別段、韓国を特別扱いしているわけではないんですよ。中国も同様。それにしてもアメリカの会社は日本にやけに厳しいよね。

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