韓国に対し譲歩することが日本で評価されるとの勘違い

韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今朝、韓国人なりの勘違いを示しているとしか思えない記事が出て来ました。それは、「日韓関係の破綻を避けるためには日本が譲歩すべきだ」とする価値観に基づいていると思しき記事であり、私たち日本としては到底看過できるものではありません。これについてどう考えるべきでしょうか。

2020/01/17 17:00 追記

記事のURLの設定にエラーがありましたので、URL自体を修正しております。本記事の本来のURLは 「https://shinjukuacc.com/20200117-03-2/」ではなく「https://shinjukuacc.com/20200117-03/」です。

日韓友好論の3類型

以前から当ウェブサイトで何度か申し上げているとおり、日韓関係における友好の在り方を巡っては、わが国にはだいたい次の3つの考え方があります。

日韓友好論の3類型
  • ①対等関係論:日韓両国は対等な主権国家同士として、お互いに尊重し合い、ともに手を取り合って、未来に向けて発展していけるような関係を目指すべきだ。
  • ②対韓配慮論:日韓両国は対等な関係だが、過去の一時期に不幸な歴史もあったことを踏まえ、日本がある程度、韓国に配慮することで、「名よりも実を取る」ことを目指すべきだ。
  • ③対韓追随論:日韓友好はとても非常に大切であり、韓国が「もう良い」というまで過去の不幸な歴史を反省し、謝罪し続けるべきだ。

この①~③は、あくまでも「政治家やマスメディアの主張などをざっくりとまとめると、こうした考え方に集約できる」、ということであり、当ウェブサイトとしての主張ではありません。ただ、ここに示した考え方は、戦後の日本の日韓関係に関する論壇の意見を集約するものとしては、あながち見当外れでもないと思います。

ただし、一昨年秋口あたりから韓国が日本に対し、さまざまな不法行為(たとえば、旭日旗騒動や自称元徴用工問題、レーダー照射事件や国会議長による上皇陛下侮辱発言など)を仕掛けて来たため、おそらく①の考え方についてはすでに「諦めた」という人が多いのではないかと思います。

結局のところ、①の考え方は、韓国が過去に何度も何度も約束を破ってきたという事実を無視していると言わざるを得ないのです。つまり、日本にとって韓国には、主権国家同士の対等な友誼を結ぶべき資格はない、ということあり、この点に気付く人が増えて来たことは間違いないでしょう。

韓国国内の用日派が②に対応

ただし、②や③の考え方を取ってきた人たちは、一種の「確信犯」ですので、日韓関係がここまで悪化しても、あまり考え方を変えないように思えてなりません。

このうち③の考え方を強力に主張している者の大多数は、(言葉は悪いのですが)「反日的」な主張をする勢力が中心です。正直、まともに議論する必要性すら疑わしいものですし、圧倒的多数の日本国民からは、もはや支持されないと考えて良いでしょう。

しかし、②の考え方については、注意と警戒が必要です。

なぜなら、ここまで日韓関係が悪化したにもかかわらず、②の考え方を持つ者はいまだにしつこく残っているからです。外務省や経団連企業経営者ら、あるいは日経新聞の記者などが、このような主張をする勢力ではないでしょうか。

では、なぜこの②の考え方がしつこく残っているのかといえば、日本国内の「対韓配慮論者」は韓国の「用日派」と結託している傾向が見られるからです。韓国の政治勢力をざっくり「右派」「左派」の2つに分けると、彼らの外交スタンスは、

  • 右派…親米、用日、反北、恐中
  • 左派…反米、反日、親北、親中

といったところでしょう(この括りは若干乱暴ですが…)。

ここで注意すべきは、日本に対するスタンスは、右派(保守派)が「用日」である、という点です。

「用日」とは「基本的に歴史問題で日本を糾弾しつつも、都合が良い部分では日本を利用しよう」という考え方のことであり、「ツートラック」と呼ばれることもあります。あるいは、「義務を果たさず権利だけ行使しよう」という考え方でしょうか。一種の「食い逃げ外交」のようなものですね。

日韓関係の将来はどうなるのか

さて、以前から当ウェブサイトで追いかけてきたテーマのひとつである「日韓関係はこのままでいけばどうなってしまうのか」という命題については、現時点における結論を申し上げるなら、落としどころは次の①~③のいずれかしかありません。

  • ①韓国が国際法や約束をきちんと守る方向に舵を切ることで、日韓関係の破綻を避ける
  • ②日本が原理原則を捻じ曲げ、韓国に対して譲歩することで、日韓関係の破綻を避ける
  • ③韓国が国際法を破り続け、日本が原理原則を貫き続けることで、日韓関係が破綻する

(※もっとも、個人的には「④日本が韓国に対して国際法や約束を無理やり守らせるために、軍事面や経済面で制裁を加える」という選択肢があっても良いと思いますが、この点についてはまだ議論しないことにしています)。

ただ、この①~③をながめていただけるとわかりますが、このうちの「②日本が原理原則を捻じ曲げて韓国に譲歩すること」とは、先ほどの「対韓配慮論」の主張そのものでもあります。あらためて読んでおきましょう。

対韓配慮論:日韓両国は対等な関係だが、過去の一時期に不幸な歴史もあったことを踏まえ、日本がある程度、韓国に配慮することで、「名よりも実を取る」ことを目指すべきだ。

この「対韓配慮論」に基づくならば、「日韓関係の破綻を避けるためには、日本として譲れるところを探すべきだ」、という結論になってしまいます(ちなみにたいていの場合には何らかの企業などの利権とも繋がっていることが多いようです)。

したがって、「対韓配慮論者」が幅を利かせている限りは、「日本が原理原則を捻じ曲げてでも韓国に譲歩すべし」とする意見がいずれ台頭してくることは間違いないのです。

その意味で、日本の「本当の敵」とは、韓国ではなく、日本国内の対韓配慮論者ではないでしょうか。

中央日報記者の勘違い

さて、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に本日、「ソ・スンウク東京総局長」が執筆した、次の記事が掲載されています(※漢字がわからないので以下では「ソ・スンウク氏」と表記します)。

【グローバルアイ】安倍氏の一言に一喜一憂する韓国(2020.01.17 07:01付 中央日報日本語版より)

ソ・スンウク氏によれば、昨年12月24日の日韓首脳会談以来、韓国国内では安倍晋三総理大臣の一挙手一投足にかなりの関心が集まっているらしく、自称元徴用工問題を巡り、首脳会談の3日後のテレビインタビューに落胆が広まったのだそうです。

  • 昨年12月29日に放送された安倍首相のBSテレビ東京のインタビューにおける韓国関連の発言は4分程度だった
  • 首脳会談から3日後であるにも関わらず、安倍氏の態度は以前と変わらず、徴用問題に関しても「約束が守られなければ国と国との関係は成立しない」と話した

また、安倍総理の発言に対して韓国国内が深く関心を抱いた事例がほかにも紹介されているのですが、これらを巡って、ソ・スンウク氏は次のように述べます。

外交成果を国民に知らせようとする狙いだったのなら、少なくとも『絶対的友軍』メディア数社はこれを大きく報道したはずだ。だが、新聞の中で『クリスマス・イブに文大統領に会う』という言葉を意味があるように取り上げたところはほとんどなかった。

この、「日本側が日韓関係を改善しようとする意志を示せばそれが外交成果になる」という発想自体、ソ・スンウク氏の思考が現在の日本の現実に追いついていない証拠でしょう。

ただ、看過できないのは、次の記述です。

「(安倍総理は)新人議員の時から『日韓問題は1965年の基本条約と請求権協定ですでに解決済み』という確固たる考えを有していたことになる。このような『確信犯』水準の相手に対抗するために必要なことは冷静な状況判断と緻密な交渉戦略だ。すぐに熱くなってすぐに冷める態度では、相手に弱点だけを握られてしまう。

こんな文章を平気で書くあたり、ソ・スンウク氏が「日本が原理原則を捻じ曲げて韓国に譲歩することが必要だ」と考えている証拠でしょうし、私たち日本としてはこうした動きが日本国内で出てこないように、しっかりと状況を注視する必要があるのではないでしょうか。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. 引きこもり中年 より:

     独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。

     韓国もそうですが、日本国内でも日本マスゴミ村のATMや野党、それに
    韓国から利益を得ている日本企業では、「日本政府に韓国への譲歩をさ
    せることで、自分たちの仲間内で評価される」のではないでしょうか。極
    論なら、自分たちの中での評価のためなら、一般の日本国民がどうなって
    も関係ないのです。

     駄文にて失礼しました。

  2. だんな より:

    日本国内の対韓配慮論者の多くは、中朝工作員だと思っていれば、間違い有りません。
    ソ・スンウク東京総局長には、韓国こそが日韓協定を無効化して、国際法違反をしようとしている確信犯だと、お返しします。
    安倍首相が首脳会談後に発言が、ぶれなかったことを落胆したのは乞食が「何も貰えなかったニダ」と嘆いているのです。

    1. 一国民 より:

      まったく同感です。

      それにしても、韓国は国を挙げて、特にマスゴミが率先かつ一致協力して反日・貶日キャンペーンに勤しむ姿は見事(?)としか言いようがありません。

      対する日本のそれら、ともすれば彼等の主張を受け入れキャンペーンにも加担。もちろん問題の核心を突くことは避けてばかり。

      いくら工作の手が伸びているとは言え、正論を唱える関係者が希少なのが残念です。

  3. 製造業SE より:

    皮肉にも韓国製造業が普及に一翼を担ったスマホのおかげで、日本は若年層を中心にテレビ離れが一層進んでいる状況です。この手の譲歩論は主に左翼系メディアとほとんどの地上波で盛んに、コメンテーターなどを媒介に吹聴されていますが、日本の将来を担う若本たちの目には届きません。
    未だに選挙で大きな影響力を持つ年配層には相変わらず効果があるようですが…。個人的には、文在寅という救世主のおかげで年配層への洗脳効果も徐々に薄れてくるのではないかと期待しています。さすがに、擁護できないレベルのものを擁護し続ければ誰でもおかしいことに気づきますからね。

  4. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    まだ「韓国に謝罪を多少でもして譲歩しなさい」とか「善隣友好を忘れないように」とか呆けた事を言う経済団体首脳、つまり大企業経営者らが居る事は残念です。ジャーナリストやマスコミにも居ます。

    しかし、日本のまともな人、一番多い層は既に韓国に対する考え方は冷め切っています。いわば「韓国との付き合いを棄てる」「関心が無い」と変わって来ています。

    安倍氏の態度も以前と変わらず、徴用問題に関しても「約束が守られなければ国と国との関係は成立しない」と言ってます。これが日本人のコモンセンスでしょう。

    半面、新宿の雑踏で迷惑な「アベヤメロ」デモなんてやるのは、ごくごく一部の反日派か、目立ちたがり屋、イカレた奴、それを煽る在日、日本共産党員らです。

    あんなのこそ、香港のように至近距離から催涙スプレー出来ないものかと思っています。確かにやり方は酷いが、大声で罵倒する、拡声器で詰る、道路にはみ出すマナーを守らない人間には、マスタードガス(笑 死ぬか)か催涙スプレーが丁度いいと思いますね。
    でも、香港警察を支援しているのではないですヨ。

  5. 匿名 より:

    ソ・スンウク東京総局長は漢字では徐承煜と書くようです。
    https://s.japanese.joins.com/JArticle/145408

  6. 一国民 より:

    東京総局長のソ・スンウクとやら、彼もまた反日種族主義の立場の人間、こんなお門違いの論評を書くと言うことは。

    日本国内をいろいろ嗅ぎ回って日本攻撃のネタ探しをしているのでしょう。

  7. 心配性のおばさん より:

    ごめんあそばせ。別稿にもコメントしたのですが、こちらのほうがふさわしいと思いましたので再度コメントさせて下さい。お題違いではございますが、zakzakにこんな記事を見つけました。

    【有本香の以読制毒】「中国に屈しない」総統選勝利!蔡氏のブレーン明かす「安倍首相に学んだ」 その一方…安易にカネ受け取り、中国系企業にズブズブ浸透され放題の日本政界
    https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200117/for2001170002-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop

    蔡英文氏が総裁選に勝利した台湾では、その事前、去年の暮れに与党・民主進党議員が頑張って、反浸透法なるものを可決させたそうです。

    >反浸透法とは、中国を念頭に置いた国外の「敵対勢力」による選挙運動やロビー活動、政治献金、社会秩序の破壊、選挙に関連した虚偽情報の拡散などの活動を禁止する法律だ。
    >中国系企業の関係者から安易に「選挙応援のカネ」を受け取る議員が続々出るほど、ズブズブに浸透され放題の日本政界にこそ、この種の法律が必要だ。

    本人に意識はなくても、危機意識のなさから、楽々と相手の術中に入ってしまうのは、議員でなくとも日本人全体の問題かもしれない。
    スパイ防止法とまではいかなくとも、これぐらいのたがをかけないと、日本の安全保障が危ういと感じました。

  8. 農民 より:

    対韓配慮論 ②の前半も表現次第でかなり反感がありますが、

    ”日本がある程度、韓国に配慮することで、「名よりも実を取る」ことを目指すべきだ。”

    これ、本当に「実」があるのであればまぁ良いとは思うのですよ。
    国益を第一にすべきだと思いますので、歴史観の名誉や単純な感情面(も様々な影響において国益の一部ですが)にマイナスでも、本当に総合的な国益のプラス面が相応に上回るならですが。

    でも実際にはそこまでは及ばない、どころの話ではなく、もうほんっと全然さっぱり驚くほど実が無いんですよね。今まで付き合って来た中で損ばかりだし、今後も全く日本にとって(←重要)良い付き合いができそうな要素が何もない。

    左派…とくくるのは本来乱暴ですか、親韓派の方はこのへんを納得いく説明をしてみせてくれれば良いのです。エビデンス付きでね。ねーよそんなもんなどと仰らず。
    でなければ、はなから選択の余地すらありません。

    1. 匿名 より:

      名を捨て実を取るのではなく国を売る行為

  9. めたぼーん より:

    確信犯はどちらなのかは明白だと思うのですが、歴史捏造歪曲教育という岩盤のうえに、こういう記事に日頃から触れているので、どうにもならないのでしょうね。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告