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駐韓米国大使、間接的ながら「韓国への制裁」に言及

昨日の『韓国、北朝鮮に対する経済制裁を公然と妨害し始めた?』や『注目点は「日韓関係悪化」よりむしろ「米韓関係悪化」』で報告したとおり、年初から米韓関係がギクシャクし始めました。もちろん、この「ギクシャク」の原因は、韓国の文在寅大統領本人を含めた韓国政府関係者にあります。というのも、米国をはじめとする国際社会が北朝鮮の非核化に向けて努力しているにも関わらず、そうした努力に水を差すような発言が、韓国政府関係者から相次いでいるからです。こうしたなか、ハリー・ハリス駐韓米大使は、間接的にではありますが、「韓国に対する制裁を発動する」可能性に言及したようです。

文在寅氏の頭のなかは北朝鮮でいっぱい

先日の『年頭会見に見る「文在寅政権がもたらす日韓関係破綻」』では、1月14日に行われた「新年記者会見」で、韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領が日韓関係についてどう発言したかという点に注目しました。

ただ、昨日の『韓国、北朝鮮に対する経済制裁を公然と妨害し始めた?』や『注目点は「日韓関係悪化」よりむしろ「米韓関係悪化」』で報告したとおり、文在寅氏自身はおそらく日本に対してはほとんど関心がなく、彼の頭のなかは北朝鮮のことでいっぱいなのだ、と、当ウェブサイトでは考えています。

その証拠がまた出て来ました。

独自に推進可能な南北協力事業をリストアップ中 韓国統一部(2020.01.16 14:38付 聯合ニュース日本語版より)

昨日、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)によると、韓国政府・統一部の当局者は記者団に対して16日、「(韓国が)独自にできる南北協力事業をリストアップしている」、と明らかにしたのだそうです。

おそらくこれは、文在寅氏の新年記者会見で出てきた「北朝鮮に対する個人旅行」構想などを踏まえたものだと思うのですが、それにしてもこうやって政府当局者自身が米国の神経を逆撫でするというのもなかなかすごい話です。

努力の方向性間違っている韓国政府

これについて聯合ニュースの記事では、この担当者はこれらの事業について、「国際社会の対北朝鮮制裁の例外として認められるよう具体的な準備を進めているかどうか」を尋ねられたところ、「現段階では現実的に難しい」と述べたのだそうですが、それと同時に次のようにも述べたのだそうです。

  • 昨年は南北離散家族の映像による再会や北朝鮮・開城にある高麗時代の王宮遺跡「満月台」の共同発掘事業、北朝鮮育苗場の近代化事業などが制裁措置の例外に認定された
  • 南北協議を通じて大枠が示され、計画策定段階になれば、事前に制裁からの除外を受けて(事業を)執行できるようにする

…。

すごい話ですね(苦笑)。

個人的には、これらの事業を韓国政府が米国などに対し「対北朝鮮制裁の例外」として認めさせるという時点で、かなりの努力が必要だと思いますし、努力の方向性自体が大きく間違っていると感じてしまいます。

しかも、聯合ニュースによれば、韓国政府が昨年、制裁の例外として認めさせた手続については、南北関係が膠着状態に陥ったため、いまだに着手していないというオチもついているようです。

「限られた政府のリソースを南北共同事業などという不毛なことに使うくらいなら、その努力のほんの一部を、自分たちが作り出した日本との対立状況の解消に向ければよいのに」、という皮肉のひとつでも言ってやりたい気持ちでいっぱいになってしまいます。

それはさておき、この当局者は、現在リストアップ中だという南北共同事業を巡っては、

ただ、北の呼応が最も重要なため、北側の態度と状況を注視しながら現実的な方策を講じる

とも述べたそうですが、言い換えれば、肝心の米国や北朝鮮の合意はこれから取り付ける、という意味でもあります。

日本人拉致事件の被害国である日本は?

さて、ここからは少しだけ脱線します。

改めて指摘するまでもありませんが、日本と北朝鮮の関係は、「日本が被害者」「北朝鮮が加害者」です。なぜなら、北朝鮮は無辜の日本国民を多数拉致し、自国に強制連行するという国際犯罪を働いたからです。しかも、北朝鮮はいまだに拉致事件の全容解明に協力していません。

北朝鮮の不法行為は、日本に対するものだけではありません。

北朝鮮は堂々と核兵器やミサイル、生物・化学兵器などを開発していますし、偽札、麻薬、覚醒剤などの製造や販売、保険金詐欺、奴隷労働、人権侵害など、世界と自国の人民に対しても人道に反する犯罪行為を現在進行形で働いているのです。

このような国に「南北協力」と称して支援しようとする韓国は、間接的に「加害者」である北朝鮮を支援しているのと同じですし、そのような姿勢を示すこと自体、日本政府はもっと強い怒りを示さなければならないのではないでしょうか。

当然、米国が牽制

以上は余談として、本論に戻りましょう。

こうした韓国政府の姿勢に対し、米国のハリー・ハリス駐韓大使はさっそく、「韓国政府が独自に推進できる南北協力の範囲を広めるためには、米国との協議が必要だ」との見解を示したそうです。

駐韓米大使「米との協議必要」 韓国の南北協力推進構想を牽制(2020.01.16 21:12付 聯合ニュース日本語版より)

これ自体は聯合ニュースの報道ですが、もとはロイターが伝えた16日の外国メディア記者との懇談会でハリス氏が述べた内容だそうです。

【参考】ハリー・ハリス駐韓米国大使

(【出所】駐韓米国大使館HP※リンク切れ)

ハリス氏の発言の要旨は、次のとおりです(※下線部は引用者による加工)。

  • 国際社会の取り決めに違反して、制裁につながる可能性がある問題は、誤解を避けるためにも、対北朝鮮制裁問題などを調整する米韓の作業部会を通じて扱った方が良い
  • 文在寅大統領の南北関係に関する楽観的な見方は希望を生むものではあるが、その楽観論により動くことについては米国との協議を通じて進行されなければならない

そのうえで、文在寅氏が新年記者会見で示した北朝鮮への個人旅行構想を巡っても、(本来)「米国は韓国の決定を承認する立場にはない」としつつも、(もしそれを実現させるならば)「米韓の緊密な協議が重要だ」、と強調したのだそうです。

ハリス氏の「制裁につながる可能性」という発言は、もちろん、「韓国に対する制裁」、と読むべきでしょう。もちろん、ここでいう「制裁」が「経済制裁」なのか「軍事制裁」なのかはわかりませんが、いずれにせよ、大使が「制裁」というコトバを口にするということ自体、尋常ではありません。

聯合ニュースはこのハリス氏の発言を、

対北朝鮮問題における韓米の協議の重要性を強調するのは米国務省が繰り返し示してきた立場ではあるものの、『制裁』の可能性を持ち出すことで、南北関係の改善に向け速度を上げようとする韓国政府の態度に警戒を示したものと受け止められる。

と述べていますが、「警戒を示した」どころか、現実には「強く警告した」という方が正確ではないでしょうか。

また、聯合ニュースはハリス氏が

韓国は主権国家であり国益のために最善と考えることをするだろう

と述べた、とも報じているのですが、これは「主権国家ならば米国の意向に反して北朝鮮を支援したりしないよね」、という意味での、極めて強い牽制と見るべきでしょう。

米韓関係は波乱含み

いずれにせよ、先日から『注目点は「日韓関係悪化」よりむしろ「米韓関係悪化」』などでお伝えしているとおり、年初から米韓関係は波乱含みです。

当ウェブサイトでは最近は取り上げきれていませんが、米国が韓国に対し、ホルムズ海峡への派兵を求めている問題や、駐韓米軍の費用負担の合意が取れていない問題など、課題は山積している状況にあります。

もちろん、米韓関係がいますぐ破綻する、とまで断言するつもりはありませんが、米韓関係に「突然死」のリスクもないわけではありません。引き続き、米韓問題を巡る状況については、緊密な注目が必要といえるでしょう。

新宿会計士:

View Comments (16)

  • > 政府当局者自身が米国の神経を逆撫でするというのもなかなかすごい話です。

    蛇喰夢子さんの声が聞こえました。
    「だから良いのではないですか。彼の国は狂っているほど面白い。さぁ韓狂いましょう」

    同時に浮かんだ、り地域が真っ赤に染まる絵には、いろんな解釈ができそうです。

  • 中央日報で同じ内容のニュースが出でいます。
    駐韓米国大使、韓国の個別観光推進に警告…北朝鮮は「2月までに金剛山から撤去せよ」
    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200117-00000002-cnippou-kr
    事の発端は「北朝鮮は来月まで金剛山の韓国側施設の撤去を求めている。」ため、文大統領が年頭会見で、「北朝鮮個別観光の推進」を言い出したのが始まりです。
    観光施設の撤去が、制裁違反になるかどうかは、分かりませんが、「北朝鮮個別観光の推進」は多分アウト。
    韓国の李度勲外交部韓半島平和交渉本部長は、「(個別観光は)安保理制裁自体によって禁止されたものではない」と言い、盧英敏大統領秘書室長は「金剛山観光や対北個別訪問の場合、国連の北朝鮮に対する制裁に該当しない」として「いつでも履行することができるし、この部分を検討している」と話した。との事で、GSOMIA破棄の時と同じように「出来るニダ」と言い張っています。
    年頭会見から、ハリス大使は、イエローカードを出して、アメリカと話し合って進めなさい、勝手にやると制裁違反で韓国が制裁されますよという話。
    米韓の足並みの乱れとか言ってますが、乱しているのは韓国。南北関係の改善は、米朝関係の改善に繋がると言ってます。
    もう一方の北朝鮮は、韓国の提案をガン無視してます。
    北朝鮮が欲しい物じゃ無いんですね。
    それでも文大統領は、北朝鮮愛が強いから何とかして、実現したい。またアメリカが理解したと言って、北朝鮮に相手にされなければ、正にGSOMIA破棄の再現で、アメリカの信用を失っておしまい。結果として、また可動範囲が狭まる事になると思います。

  • 更新ありがとうございます。

    さすが駐韓米国大使のハリー・ハリス氏、強いですねー。元太平洋軍司令長官、提督は違う!日本に前、居たケネ○○大使と、えらい違いや。何か業績らしきものありましたっけ?オバマ推薦枠?(笑)

    ハリス大使は韓国より日本に着任して欲しかった。大使が韓国に言ったのは「警告」レベルではない。両手で肩を揺さぶり、首が折れるぐらいの行為だと思う。

    これでも北に100%照準合わせて、ホイホイ餌を貢いでいる文大統領には、付ける薬ありません、周辺国の迷惑考えて、2年先に監獄行きか、謀殺かで宜しいと存じます。

  • 更新お疲れ様です。

    ハリス大使が日本人の血を受け継いでいるため、韓国人はハリスは嫌韓だ!という論調をしています。また、それが青瓦台にとっては煙に巻く大義名分にもなっています。
    どれだけ米国が警告をしたところで、その一点のみで暖簾に腕押し糠に釘といったところでしょう。もっとも、仮にハリスが日本と縁もゆかりもない人物であっても、叩けるところを見つけて埃を出そうとするでしょう。靖国神社、募集工、(勝手に集まった)従軍慰安婦、旭日旗がまさにソレ。
    ハリス大使もそんな韓国人の気質はお見通しでしょうが、お互い主張を変える、歩み寄ることは100%ないでしょうから、米韓の破局は時間の問題でしょうね。

  • 私の予想
    制裁は まずは軽いジャブとして韓国のソブリン債の格下げ及びIMFによるストレステストあたりじゃないでしょうか。ストレステストは2014年が最後だったと思いますのでそろそろよろしいのでは?

    • 韓国のソプリン債といっても所詮ハイイールド債なんですから。いずれ崩壊するでしょう。

  • 韓国独自の従北政策は、それ自体として米国の反韓を買うでしょうが、それ以外に米国の体面というものも考えねばならないでしょう。自陣営(の筈)の国が米国の意向に平気で反し、それを放置することは、ボスとしての資質に問題ありと他国に思わせることになりかねません。韓国の態度に追従する国が続発すれば米国の覇権も大ダメージを受けます。

    かと言って中国の香港への対処のように強圧的態度に出ると、米国の正義という錦の御旗に傷がつきます。米国の我慢強く繰り返される警告は、国際世論における「韓国忘恩論」「懲罰やむなし」という空気の醸成を目的としているような気がしてなりません。

    米韓関係の次アクションを5W1Hで言うと「誰が」「どこで」「何を」「なぜ」の4マスは埋まっており、「いつ」「どのように」が記入を待っている状況のように思われます。

  • 在韓米国大使館周辺で催された「ハリス大使のひげ抜きパフォーマンス」の記事を見て、韓国警察が静観してて大丈夫か?・・と思ったものです。

    以前に「米国がクシャミをしたら日本が風邪をひく」言われていたように、安保・経済の依存元の意向はより大きくなって波及するとしたものなんですからね。

    不謹慎なのかもですが、韓国に対する「ハリスの風邪」の威力を見てみたい気もしています。

    〔おそらく米国は非礼を放置しないでしょう。〕

  • 地域的条件からだと思うのですが、アメリカは実に忍耐強いですね、韓国に対しては。そこまで重要な条件なのかしら?

    日本では、アメリカの利益に逆らっただけで、田中角栄総理が失脚させられました。
    アメリカの安全保障の妨害をし、敵対行動を連発する韓国には、実に忍耐強いですよね。

    日韓関係なんてどうでもいい。破綻しています。どうしても理解できないのは、アメリカの韓国に対する忍耐です。

    >こうやって政府当局者自身が米国の神経を逆撫でするというのもなかなかすごい話です。

    別稿でも申し上げたのですが、彼らに米国の神経を逆撫でしている意識はないと思います。彼らには他者への思い計りがありませんから。

    それでも、アメリカと敵対している北朝鮮は、アメリカの怒りを警戒する分別がある。
    がこれまで、”反共の橋頭保”として、甘やかされてきた韓国は、アメリカの怒りを知らない。

    >努力の方向性自体が大きく間違っていると感じてしまいます。

    ごめんなさい。彼らは間違っているとは思っていないと思います。文在寅政権の無敵なのは、アメリカのみならず、国際社会に対する警戒が皆無であることです。

    4月の選挙に向けて、文在寅氏は独裁を確立しました。彼の大義の前には、なんでもありだと思います。
    後は北朝鮮のために殉ずることしか考えていないと思っております。

    >韓国政府が昨年、制裁の例外として認めさせた手続については、南北関係が膠着状態に陥ったため、いまだに着手していない

    文在寅政権は、北朝鮮に身を投じる準備ができているようですが、先様(北朝鮮)のご都合はどうですかしら?韓国と違って、北朝鮮はアメリカの怒りを警戒しています。ヘタをすると、韓国の浅慮(それを煽っているのが北朝鮮という矛盾もありますが)のために、半島ごと戦火に投じられる可能性もありますのよ。

    >その努力のほんの一部を、自分たちが作り出した日本との対立状況の解消に向ければよいのに

    そうはしません。なぜなら、韓国の反日を主導しているのが北朝鮮だからです。彼らには韓国の利益には関心が無い。

    日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開
    https://nknews.jp/archives/4609?zkzk=128968

    北朝鮮も半島人です。彼らはアメリカについては警戒していますが、その他(日本も入っています)に関しては意に介しません。なにせ核を持っているのですから(笑)。

    • 自己レス失礼致します。

      (普通の国にはありえない形態なので)忘れがちですが、韓国では民意が全ての上に立ちます。
      文在寅氏は、その民意に殺される前に、その民意の上に政権がある100年王国を築こうと必死です。
      4〇%でしたっけ、岩盤支持層(北朝鮮工作員+労組ならぬ労働貴族)に縋って、4月の選挙を切り抜けようとしています。がしかし、チョ・グク前法相を辞任に追い込んだ民意を押さえ込むのは如何でしょう。こんな記事を見つけました。

      韓国騒然 チョ・グク追い詰めた検事総長に、文政権があからさまな“虐殺”人事
      https://www.msn.com/ja-jp/news/world/韓国騒然-チョ・グク追い詰めた検事総長に、文政権があからさまな“虐殺”人事/ar-BBZ2t4H?ocid=spartanntp

      文在寅政権が押さえ込んだハズのメディアが、一斉に政権非難に転じています。どうなるのかしら(笑)。

  • 「賢明な判断を期待する」
    「こんなことはしないだろうと信じている」 etc
    正式ではないにせよかなり強めな暗の要請というか圧力にあたる表現ですよね。日米の交渉時でも見ることはありますし、最近の米韓では特に強いのが見られるような。

    朝鮮半島文化では建前や皮肉を理解しにくい傾向のようですが……

    ハ「韓国は主権国家であり国益のために最善と考えることをするだろう」
    文「これがウリナラの国益だからセーフ!」

    とかやらかしそうで。表面上の文言が合うかではなく相手がどう思うかが重要なのに。
    「GSOMIA破棄に米国が反応している?これはカードに使えるぞ!!」ってやっちゃったくらいだしなぁ。

  • 更新お疲れ様です!

    >改めて指摘するまでもありませんが、日本と北朝鮮の関係は、「日本が被害者」「北朝鮮が加害者」です。なぜなら、北朝鮮は無辜の日本国民を多数拉致し、自国に強制連行するという国際犯罪を働いたからです。しかも、北朝鮮はいまだに拉致事件の全容解明に協力していません。

    対日ヘイト教のシャーマンたる辛某によると、北朝鮮による日本人拉致問題とは今まで加害者として道徳的劣位に甘んじてきた日本が被害者として道徳的優位に立つ為に捏造した問題だそうで、金正日が日本人拉致を認めた後も謝罪も撤回もしていないそうです。

    大阪や川崎でヘイトの被害者コスプレして生きている在日コリアンって所詮は辛某のお仲間な訳で、コリアンから日本人への加害の歴史を直視しようとしない在日コリアンと日本社会で共生可能だとは到底思えませんね。

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