昨日は、韓国の憲法裁が自称元慰安婦らの「2015年12月の日韓慰安婦合意の違憲性」に関する判断を求めた訴訟を棄却しました。これにより、今後、韓国の憲法裁は韓国国内で「針のむしろ」に座らされることになるのかもしれませんが、私たち日本人としては「知ったこと」ではありません。この際明確にしておきたいのですが、もし韓国が慰安婦問題という自分自身で作り出した毒にやられたとしても、それは彼らの自業自得であり、私たち日本人が手を差し伸べる筋合いのものではないのです。
昨日の慰安婦合意に関する憲法裁判決
本稿は、ちょっとした「ショートメモ」です。
『韓国憲法裁の慰安婦合意訴訟棄却は「譲歩」にあらず』で速報的にお伝えしたのですが、昨日、韓国の憲法裁判所は、「慰安婦合意の違憲性」の判断を求めた自称元慰安婦らの訴えを棄却しました。
判決では「慰安婦合意は政府間合意に過ぎない」として法的拘束力を否定しているとと読める記載もあるなど、私たち日本の立場としては容認できない部分もありますが、それでも憲法裁自身が合憲性の判断を避けたことは間違いありません。
奇しくもこの「慰安婦合意」は、今日からちょうど4年前の2015年12月28日に口頭で成立したものですが、日本政府は「合意の着実な履行が必要だ」とする態度で一貫している一方で、韓国側では慰安婦財団を一方的に解散するなど、この合意を明らかにないがしろにしています。
もっとも、文在寅(ぶん・ざいいん)政権下の韓国が、日韓慰安婦合意を含めた日韓関係全般を、これまで一方的に踏みにじってきたという流れに照らすならば、個人的には少し意外な印象を抱きました。「慰安婦合意は違憲だ」などとして、憲法裁が無効を言い渡したら、それはそれで話題性はあったのですが…。
しかし、昨日も報告したとおり、日韓慰安婦合意は国家間の約束であり、日本は韓国に対して約束どおり国民の血税から10億円という貴重な資金を自称元慰安婦のためにくれてやったにも関わらず、韓国側はソウルの日本大使館前の慰安婦像問題を解決するという努力を怠っています。
余談ですが、慰安婦像が撤去されないため、日本大使館の方が撤去されたというエピソードもあるのですが(『「大使館新築放棄」の続報と日本企業が強く意識すべきリスク』参照)、ここまでくればもはや「笑い話」の類いではないかと思ってしまう次第です。
慰安婦合意の日本にとっての「もうひとつのメリット」
さて、昨日は日韓慰安婦合意の長所、短所について、個人的な所感を申し上げたのですが、もうひとつ思いだした論点があります。
日韓慰安婦合意には、日本の側のメリットとして、少なくとも日本政府としては
「自称元慰安婦問題が完全に韓国の国内問題になった」
と認識するに至った、という点があります。その理由は、次の④にあります。
【参考】いわゆる「日韓慰安婦合意」(2015年12月28日)のポイント
- ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
- ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。
- ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
- ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。
(【出所】外務省HP『日韓外相会談』より著者作成)
ポイントは、④のなかにある、「国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える」とする記述です。
韓国政府はわりとこの部分を無視していて、日本政府・外務省がその都度抗議していないのは非常に気になる点ですが、それはさておき、「自称元慰安婦問題を巡って、韓国はこれ以上、日本政府に文句を言うな」とくぎを刺した、という効果があるのです。
自力で問題解決できない国
以前の『韓国メディア「韓日首脳会談、葛藤解決の第一歩」』でも報告しましたが、韓国(や北朝鮮)は、「散らかすだけ散らかして、自分で片づけることができない」という特徴を持った国です。
日韓問題でもそうですが、何か自分たちにとって困った問題が発生したときに、自力で問題を解決する能力がないのです(まるで実務的な問題解決能力を何一つとしてもたない、日本の特定野党勢力や特定オールドメディアみたいですね)。
そうなると、韓国政府はいつも、どうしても「日本政府と一緒に解決策を考える」という発想に陥りがちですし、韓国メディアもしばしば「韓日両国が解決策を探さなければならない」、などと述べたりします。たとえば『聯合ニュース』(日本語版)の、12月25日付の次の記事などもその典型例です。
文大統領「韓国政府、徴用判決に関与できない」 安倍首相に説明(2019.12.25 17:28付 聯合ニュース日本語版より)
これは、韓国大統領府関係者が25日に明らかにしたところによると、日韓首脳会談の際、文在寅(ぶん・ざいいん)大統領は安倍晋三総理大臣に対し、自称元徴用工問題を巡って
「韓国政府は大法院の判決に関与することはできない」「解決を急がなければならない」「重要なのは解決方法を探すこと」「本質を巡って論争すれば問題をさらに難しくするだけだ。解決方法を見つけるために知恵を集めていきたい」
などと述べた、とする話題だそうです。
また、日本の総理大臣に「解決を急がなければならない」「両国が早期に折衷案をみつける必要がある」、などと言われても困ります。なぜなら、これは韓国が自身の責任で解消しなければならない問題だからであり、「折衷案」も何もないからです。
ただ、こうした発想が平気で出てくるあたり、韓国政府の問題解決能力がいかに低いかという証拠ともいえそうです。
自称元慰安婦らの激怒が韓国憲法裁に向かう!
さて、自称元慰安婦問題に関連する憲法裁の判決に関し、ひとつ良いことがあったとすれば、自称元慰安婦らの「激怒」が韓国の憲法裁に向かう、という効果でしょう。
実際、次の『聯合ニュース』(日本語版)の記事によれば、自称元慰安婦らが憲法裁に対して怒りを表明しているのだそうです。
慰安婦被害者 「あきれる」と失望表明=韓国憲法裁の訴え却下に(2019.12.27 17:29付 聯合ニュース日本語版より)
正直、今回の憲法裁の判決は、純然たる韓国の国内問題に過ぎず、私たち日本国民としては、正直、日本に迷惑が掛からない範囲では「勝手にすれば?」と言いたい気持ちでいっぱいです。
自力で問題解決したことがない国が、本格的に自国内で慰安婦問題に正面から対処しなければならないわけですから、これはこれで大変な話ですが、それは私たち日本国民の「知ったこと」ではありません。それこそ、韓国国内の問題です。
むろん、私たち日本人としては、韓国が全世界で慰安婦問題のウソをばら撒いて日本の名誉と尊厳を傷つけているヘイト犯罪を今すぐやめさせねばなりませんし、場合によっては韓国政府が日韓合意を守らないことに対し、日本政府は韓国に対する経済制裁を適用しても良いくらいだと思っています。
しかし、それと同時に慰安婦問題に対する自家中毒で韓国が混乱したとしても、それはそれで韓国の自業自得であり、同情の余地は皆無である、と申し上げておく価値はあるでしょう。
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「本質を巡って論争すれば問題をさらに難しくするだけだ。解決方法を見つけるために知恵を集めていきたい」
日韓関係において、韓国人は道理を捻じ曲げて自分達に都合の良い結果を導き出したい時 この「知恵」をよく使います。この言葉が出てきたら要注意です(笑) 日本は法治国家であり知恵主義国家ではありません。
これに騙された愚かな日韓議員連盟の先生方もよく使いますです。
額賀先生
https://www.sankei.com/politics/news/191023/plt1910230002-n1.html
河村先生
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/181211/soc1812110014-n1.html
「知恵」=日本側が案を出して譲歩しろ
イヤイヤ・・・。
チョイとちげえんじゃあないか!?
『知恵』=日本国側の方から、“率先”して、案や解決策を、永久に出し続けた上で、永遠に譲歩し続けろ!!
という事では?
更新お疲れ様です!
韓国の国内問題に過ぎない「いわゆる日本軍慰安婦問題」に関して日本の助けを借りないと解決出来ないところ、流石は自主独立を維持する気概も能力も無い属国根性の民族だなぁ、と感心します。
属国根性な彼らをしっかり属国扱い出来る中国こそ、彼らの宗主国として相応しいですね。
主張がくどいですけど、韓国の反日モンスターのせいです(笑)。
昨日の判決に韓国国民、嘘つき婆さんは、不満の様です。
日本との合意を無効とし、徴用工判決同様、日韓請求権協定も守らない判決だと思います。
文政権が、韓国総選挙をどう戦うかは、進歩派が反日で、保守派が親日という風に国民の葛藤を誘導すると思います。
GSOMIA破棄延期、この慰安婦判決、現金化など、全て文政権の愚民に対する反日カードだと思います。
私も、韓国という国は、問題捏造能力は世界一だが、問題解決能力は全く無いと思います。
慰安婦問題にとどまらず、自称元徴用工問題でも、差し押さえた日本企業財産を「競売・換金するぞ、本当にするぞ」と言い続けるだけで、実際に競売・換金する根性は無いと思います。
その結果、自称元徴用工やその支援者の批判の鉾先が裁判所や韓国政府に向けられるという、自家中毒の展開になると思います。
全ての原因は、韓国国民が「事実を事実として認めることができない」ことにあると思います。科学部門のノーベル賞を受賞できないのも原因は同じだと思います。
文大統領は、「韓国政府は大法院の判決に関与することはできない」と安倍首相に述べたそうですが、これは、「韓国という国は、日本と交わした国際条約を政府が守ることができない国である」と表明した、という事でいいのでしょうか。
であれば、今後、日本は韓国と条約の類を締結することはできない(約束しても守らない、と韓国政府が表明している)という事になります。
これは、国と国との間の問題としては、かなり大事にしていいのではないか、と思うのですが。
今後のことだけでなく、過去の約束も守られない恐れ・・・あら、確かに慰安婦財団は解散してるし、スワップで融通した直後に大統領が竹島上陸してるし。
文大統領は正直だったんですね。
このような国と付き合っていくのは、大変というか、不可能というか。
付き合う上での方法(こういう約束はしない、とか、必ずこういう条件を入れる、とか)が必要ですね。完全に付き合わないというわけにはいかないでしょうし。
韓国が北に(北主導で)統合され、中国やロシアのグループに入って、あるいはもっと先鋭的になって核保有の敵国という立場にならないように、日米は働きかける必要はあるでしょう。そうなることを一番嫌がっているのは、韓国民のサイレントマジョリティであるような気もしているのですが、どうでしょうか。
まとまらない駄文で申し訳ありません。
>私たち日本人としては、韓国が全世界で慰安婦問題のウソをばら撒いて日本の名誉と尊厳を傷つけているヘイト犯罪を今すぐやめさせねばなりませんし、場合によっては韓国政府が日韓合意を守らないことに対し、日本政府は韓国に対する経済制裁を適用しても良いくらいだと思っています。
>しかし、それと同時に慰安婦問題に対する自家中毒で韓国が混乱したとしても、それはそれで韓国の自業自得
これだけ問題の本質をはっきりと述べた論調はないですよね。激しく同意です。
更新ありがとうございます。
案の定憲法裁判所は、ヘタレになって嘘つき婆とその支持者からフクロになってますね。こういう場合、普通政府が折衷案や訴えを未然に防ぐなどするもんですが、韓国人はそれが出来ない。「三権分立だから手が出せない」なら、そら嘘つき婆らは怒るでしょう。
年末それもキワの際で倒閣デモが起きるでしょうか?私は意外に平穏と京城がしているので、ローソクやらには至らないと思う。まだマグマが溜まってない(笑)。しかし、曺国氏が逮捕され、さらにスキャンダルが大きくなれば、年明けに危ないと思います。
グチャグチャな国、韓国。もうクーデターで親米樹立という手がありますが、米国もそこまでコストをかけないでしょう。という事は、今のまま任期終了。最悪の展開でね。
民衆が短慮
↓
パリパリ(はやくはやく)
↓
言った者勝ち
↓
結局実行できない
↓
Happy:外部(日本)に実行させる。
失敗すると
bad:頓挫→内ゲバ・・・☚今ここ
外交成果量産機だった上記Happyルートを潰して内ゲバを起こさせるのが「毒饅頭」の効果という所でしょうか。
「Happyルート」の「Happyピープル」って、牧野朝日新聞編集委員が彼の記事中でしばしば言及している「日韓関係者」「日韓関係のエキスパート」のことなんでしょうね。
そこに合理的な手段があると、使わざるを得ないというのが組織の論理。
Happyルートがあるのに使わないと、ライバルが先に使ってしまいますしね。
ルートを形成しているのが日韓関係者なんでしょうけど、条約破りを仕向けることでルートのキャパを飽和させ、破壊するのが日韓合意の目的の一つであったのではないかと思いました。
今回の審議棄却は「慰安婦合意は口約束に過ぎず、履行の遵守を課されるべき性格のものではない」との司法判断なんですよね。
まさに無責任政権の放置行政にお墨付きを与えたようなものです。(ヒドイ・・・
如何なる場合においても「成果を受け取るまでが彼らにとっての約束」なのなのだと再認識できました。
「法恥国家ここに極まれり」ですね。
まさに「放置国家」ですね。
日本政府は今後も丁寧に無視して「放置国家」扱いにするでしょうね。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
誰か別の人は後片付けをしてくれるなら、ちゃぶ台返しほど、精神衛生
上、よいものはないと言ったところでしょうか。問題は韓国にしても朝日
新聞にしても、待てど暮らせど、誰も後片付けしてくれないということで
す。
駄文にて失礼しました。