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今これをやるか!? 慰安婦財団解散の衝撃

日韓関係に関する話題には個人的に少々食傷気味なのですが、こうしたなか、もう1つ「爆弾級」のニュースが出て来ました。いわゆる「慰安婦財団」を巡り、昨年11月21日に韓国政府が一方的に「解散する」と宣言していた問題で、朝日新聞は「7月3日に(財団の)解散登記完了の通知が届いた」と報じているのです。これについては、「毒まんじゅうの毒」が発動した、という言い方ができるのでしょうか。

この段階でそれをやるか…

本日、思わずのけぞってしまいました。朝日新聞デジタル(日本語版)によると、慰安婦財団が正式に解散されていたそうです。

日韓慰安婦財団が正式解散 韓国、日本の同意なく手続き(2019年7月5日00時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

朝日新聞はソウルの武田肇氏のレポートとして、慰安婦財団が解散登記を終え、正式に解散したことが4日判明したとしています。

この慰安婦財団は、2015年12月28日の「日韓慰安婦合意」(※ポイントは後述)に基づいて韓国政府が設立し、そこに日本政府が予算から2016年8月に10億円を拠出したのですが、昨年11月21日に韓国政府が一方的に「解散する」と宣言していました。

これについて当ウェブサイトでは、『結局、慰安婦問題も国内問題。日本国民の覚悟が問われている』のなかで、慰安婦財団が正式に解散されていないうちは、まだ「ギリギリで踏みとどまっている」状態だといえる、と申し上げました。

しかし、今回の朝日新聞の報道が事実だとしたら、もはや「ギリギリで踏みとどまる状態」だとはいえなくなりました。

今後、日韓関係は奈落の底に堕ちていくことが懸念されます。

慰安婦問題は日韓関係の象徴

なぜ当ウェブサイトが以前からこの慰安婦財団に注目しているのかといえば、これが現在の日韓関係を象徴しているものだからです。

そもそもの慰安婦問題とは、

①1941年12月9日から1945年8月15日の期間、②日本軍が組織としての正式な意思決定に基づき、③朝鮮半島で少女のみ20万人を拉致し、④戦場に連行して性的奴隷として使役した問題

のことです。

この①~④のどれが欠落しても、「慰安婦問題」は成立しません。

慰安婦問題を追及している韓国メディアや韓国国民、韓国政府、そして日本の自称市民団体や反日メディアは、わざとこの「慰安婦問題」の正確な定義を述べませんが、その理由は簡単です。

①~④のどれも、きちんとした証拠がないからです。

まず、一番重要な「強制連行」については物的証拠がまったく存在しませんし、あるのは自称元慰安婦らの証言だけですが、真面目に検証すれば、これらにはかなりの虚偽、矛盾が含まれています(その典型例は『彼女がフィリピンに渡ったとき、日本軍はいませんでしたよ?』でも取り上げたとおりです)。

それに、「少女20万人」といえば、当時の朝鮮半島の全人口(約2000万人)に対して1%という比率ですし、それだけ大々的な強制連行がなされていれば、極東軍事裁判でも当然に指摘されているべきでしょう。

端的に言えば、朝日新聞が火をつけ、それに韓国国民や韓国政府、さらには彼らを支援する日本の自称市民団体らが共同ででっち上げた、日本を貶め、傷つけるための壮大なフィクションが、この「慰安婦問題」なのです。

慰安婦合意の大問題

もちろん、この慰安婦問題を巡っては、日本政府の対応にも重大な問題がありました。

慰安婦問題は日本の側から見れば、100%、完全な冤罪であるにも関わらず、むしろ日本政府がこれを放置してきたというフシがあるからです。

この慰安婦問題は、朝日新聞の報道をきっかけに、1990年代になってから日韓間で外交問題化し、1993年に官房長官だった河野洋平が発した、いわゆる「河野談話」によって、「日本政府が強制性を認めた」ことにされてしまいました。

日本政府はその後、慰安婦問題が韓国と朝日新聞の捏造だと論破するチャンスが何度もあったにも関わらず、この問題を潰そうとせず、それどころか「アジア女性基金」を設立するなどして、この問題に対する謝罪と賠償の活動を行ってきたのです。

安倍政権も本件については結局、政治決着の道を選びました。

具体的には、岸田文雄外相(当時)が韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権当時の尹炳世(いん・へいせい)外交部長官とのあいだで、日韓慰安婦合意を口頭で成立させたのですが、そのポイントは、次の4つです。

いわゆる「日韓慰安婦合意」(2015年12月28日)のポイント
  • ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
  • ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する
  • ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
  • ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。(※下線部は引用者による加工)

このうち①については、下線部は「河野談話」を踏襲したものと考えられますが、あたかも私たちの先祖が朝鮮人少女20万人を戦場に強制連行して性的奴隷として使役したかのように、日本政府が認めてしまった、という言い方をして良いでしょう。

この点において、慰安婦合意には重篤な問題が含まれていると考えられます。

安倍政権が韓国に食わせた毒まんじゅう?

ただし、ポイントはもう1つあります。

先ほどの②で示したとおり、日本政府は「韓国政府が設立する財団」に10億円を一括拠出することを義務として負ったのですが、これは自称元慰安婦に対する事実上の慰謝料の支払いを、すべて韓国政府側の責任に転換してしまったことです。

また、日本政府の義務は②であり、これは完全に履行済みなのですが、韓国政府の義務である③(慰安婦像問題の解決)については、依然として履行されていません。

それどころか、2016年12月末には釜山にある日本総領事館前にもあらたな慰安婦像が設置されましたし、日本政府はそれに対し、2017年1月には日韓通貨スワップ再開交渉などを無期限に中断する措置を講じています。

つまり、非常にうがった見方ですが、安倍総理は「どうせ韓国はこの合意を守るつもりはない」と見切ったうえで、あえて10億円を「捨て金」として、韓国を「国際的な約束を破った国」と糾弾する目的で仕込んだ「毒まんじゅう」ではないか、との見方が説得力を帯びて来るのです。

もちろん、韓国が慰安婦財団を解散したからといって、「(自称元)慰安婦らへの癒やし事業を終えた」と言えれば、まだ話はわかります。

しかし、先ほどの朝日新聞デジタルの記事には、こうあります。

財団は日本が出した10億円を財源に、元慰安婦に1人あたり支援金1億ウォン(約900万円)、遺族に同2千万ウォンを支給する事業に取り組んだ。事業の対象になった元慰安婦47人と遺族199人のうち、元慰安婦36人と遺族71人が受給を希望した。だが、受給希望者のうち、元慰安婦2人と遺族13人はまだ支払われていない。財団関係者は『今後、希望者に支払われるかどうか、私たちにはわからない』と話した。

つまり、慰安婦財団は使命を終えていないにも関わらず、解散してしまったのです。

これによって、韓国は「まともに義務すら履行せず、約束を破ってしまう」という確たる実績を作ったのだ、という言い方をしてもよいでしょう。

現代の「真珠湾攻撃」なのか

ただ、正直、このタイミングでこの報道が出て来ることに、少々の驚きもあります。

自称元徴用工問題を巡り、日本政府がフッ酸などの輸出規制厳格化措置を打ち出したばかりというタイミングですが、見方によっては、韓国からの「真珠湾攻撃」のようにも見えてしまいます。

ちなみに日本政府の「厳格化措置」を巡って、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は「対抗措置ではない」と断言していますが、このように考えると、日本政府の措置はさしずめ大東亜戦争直前のABCD包囲網、といったところでしょうか。

本当の対抗措置あるいは制裁措置は、むしろこれから本格化すると考えて良いでしょうが、その本格的な制裁措置を発動するうえで、今回の「財団解散」はちょうどよい材料の1つです(日本政府が実際に経済制裁を発動するかどうかは別として)。

大東亜戦争の直接の引き金を引いたのは日本による1941年12月8日の真珠湾攻撃でしたが、今回の慰安財団解散は、「自称元徴用工側の差押え資産の換金」と同様、安倍政権にとっては「越えてはならない一線」に見えるかもしれません。

その意味で、安倍政権が本件について、どう反応するのかについては注目に値するところでしょう。

新宿会計士:

View Comments (48)

  • >この慰安婦問題は、朝日新聞の報道をきっかけに、1990年代になってから日韓間で外交問題化し、1993年に官房長官だった河野洋平が発した、いわゆる「河野談話」によって、「日本政府が強制性を認めた」ことにされてしまいました。

    正確には、河野談話発表時の河野発言だと理解してます。
    河野談話自体は「いわゆる日本軍慰安婦問題を日本政府が認めた」と曲解する余地がある程度で、河野洋平氏が発表時に「いわゆる拉致はあったと考えている」って感じの発言をして、曲解を曲解では無いレベルに引き上げたと理解しています。

    • >①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。

      ①については、「慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に居た多数の女性の名誉と尊厳が深く傷付いた問題であり」という文章であればまだ良かったのになぁ…と受け止めてます。

      但し、売春する事が名誉と尊厳を深く傷付ける事であるとするのは、売買春とは商行為では無く人権侵害の犯罪行為であるとの価値観に立つ事になりかねず、強制売春を排除した売春を合法化するに当たって障害となる気はします。

    • そうなんですよね。私も河野談話を読んでみて、当時も今も良く出来てるという印象を持ちます。日本が認められるギリギリのラインを書いていると思うのは、私が元左翼だからというわけではないと思います。

      > 時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題

      軍が直接関与してないとしても、道義的責任を負うのは妥当だとは思います。一般的に裁判では、直接責任がない人間でも近くにいた金持ちが支払わなければならないことは割合あるので。

      そう、道義的責任を認めるくらいなら妥当です。まともな相手なら。韓国が相手だとそこが大問題なんですが。

      河野談話の後の発言はまずかったですね。苦労して作り込んだ文章が台無しになってしまった感があります。

      • チキンサラダさん

        >日本が認められるギリギリのラインを書いていると思うのは、私が元左翼だからというわけではないと思います。

        はい、右も左も関係ないと思いますよ。

        「①1941年12月9日から1945年8月15日の期間、②日本軍が組織としての正式な意思決定に基づき、③朝鮮半島で少女のみ20万人を拉致し、④戦場に連行して性的奴隷として使役した」という大嘘を大嘘だと韓国民に説明したくない、説明しても韓国民を納得させる自信のない韓国政府に、日韓関係に波風を立てたくない日本政府が配慮して、「当時の軍の関与」を日本側と韓国側で解釈を変える事によって対応する手法は、1965年条約時に日本から韓国に渡すお金を、日本は「独立祝金」として渡し、韓国は「賠償金」として受け取る手法と一緒ですし。

        >軍が直接関与してないとしても、道義的責任を負うのは妥当だとは思います。

        日本軍関係者が女衒に騙されて慰安所に来た女性や強制売春の被害者を把握して助けた事実があるので、把握されなかった被害女性が居たであろう事は推測出来て、被害女性をゼロにする責任を果たし切れていなかったという点で道義的責任はあると思います。

        ただ、どれだけ責任の範囲を広げようとしても道義的責任の範囲内であり、韓国政府や挺対協などが求めている法的責任まで広げる事が出来ないんですよね。

        >河野談話の後の発言はまずかったですね。苦労して作り込んだ文章が台無しになってしまった感があります。

        はい。河野洋平氏は万死に値しますね。

  • さきほど産経の記事で確認しました。米国のプッシュで合意に至ったとの理解ですが、この反故の仕方を見る限り、別事案でWTOに提訴しても国際世論の賛同はとても得られないと思います。

  • 「世間をお騒がせし、また関係者の皆様には多大なるご迷惑をおかけし」と普通なら伏して謝罪すべき朝日が、なぜか嬉しそうに報じてますね。いや、またまた「お騒がせ」できることの嬉しさが行間からにじみ出てる。つくづく卑劣なやつらだ。

  • 昔、長崎の消防団が射撃場の火事に巻き込まれ死亡した際、
    遺体(患者だったかも)の引渡しに1000万ぐらいふっかけた事件がありました。

    中東の人質外交、竹島漁師解放等の事例が参考になる事態が
    数年の内に来るかもしれませんね。

  • 文春オンラインの記事(2019/05/31)によるとポスコ財団というのがすでにあるそうです。
    自主的にポスコが100億ウォン(10億円)を出したものだそうです。
    しかし、資金は慰安婦に渡らず、政治屋と反日活動家(慰安婦の弁護士も含む)の活動資金になっているそうです。これが韓国の現実と思うと、呆れてしまいます。

    https://bunshun.jp/articles/-/12088?page=2

  • 強制連行もしないのに、今でも日本各地に「韓国人慰安婦」の方々がたくさんいらっしゃいます。彼女らのことですから、いずれなかったはずの「強制連行」やら「性奴隷」やらを証言し、映画を作ってこれが証拠だなどと言い出しかねません。日本政府は早急に対策すべきだと思います。

    すぐにでも根こそぎひっ捕まえて強制送還すべきです。マスコミも動員して、彼ら彼女らの欺瞞を世界に知らしめるべきです。

    • 慰安婦だけではありません。
      近年、南朝鮮の就職難にかこつけて、朝鮮人の若者たちが日本国内で職を得ようと、就職説明会に殺到しているようです。
      彼らも、時が経てば、強制連行され、徴用された証人として、世話になった就職先を訴えて、退職金などのお代わりをする積りでしょう。
      彼らを雇用した企業は、元徴用社員救済のための積立金を、今から用意しておくべきです。夢々、日本政府に泣きつくことが無いように、お願いしますよ。

      • 私も同感です。現在の韓国人慰安婦と韓国人就労者の対応のために、「就労ビザ審査の厳格化」と「ビザ無し渡航の在留期間の短縮(15日)と回数制限」は、今すぐにでも実施しなくてはならないと思います。後手後手にならないように。

    • アメリカで現代の慰安婦さんに会ったことがあります。

      大阪でしばらく働いていたということで、かなり上手な日本語を話しました。
      彼女は英語がほとんどできなかったので、私とは途中から日本語で話をしたほどです。よほど長く働いていたのかなと感じました。

      私が日本人だとわかってる人からは日本の悪口を聞いたことはあまりないのですが、彼女は日本のことボロクソに言いかけてましたね。途中でハッとしてやめましたけど。私が嫌そうな顔をしたのに気づいたのかもしれません。

      彼女たちは回遊魚のように世界中を売春して回るそうなのですが、その世界中で日本の悪口を言って回るのかと思うと嫌な気分ですね。日本で相当稼いだと思うんですけどね。

  • 今あのヒト達は、自分達がどのような立場にいるのかさえ、理解できていないんでしょう。
    どのような場面でも、まったく空気が読めずに、あさって方向の行動しか取ることができないんだから、世界中から、除け者扱いされるのは必定ですね。
    ホントに、お気の毒な、おヒト達です。

  • 会計士様

    タイトルの「衝撃」は、「笑劇」ではないでしょうか? “φ(・ω・。*)アカペン

  • ほんとすごいタイミングですよね

    安倍総理と文大統領は実は仲良しなんじゃないでしょうか? 韓国潰すって点では利害も一致してそうなのです♪

    • 七味 様

      いつもコメントありがとうございます。
      なかなか鋭いご指摘ですね。
      当ウェブサイトの『真の親日派とは、文在寅氏その人だ』でも触れた論点と重なりますね。
      引き続き当ウェブサイトのご愛読並びにお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

      • 会計士 様

        返信ありがとうございます m(_ _)m

        >なかなか鋭いご指摘ですね。
        やっぱりタイトル打ち間違えてたのですね 自動変換に慣れちゃうとよくあることなのです
        ヾ(¯∇ ̄๑)ドンマイ

        ♬•*¨*•.¸¸ʚïɞ.

        って、こっちじゃなかったですね (*ノω・*)テヘ

  • >今これをやるか!? 慰安婦財団解散の衝撃

     これ意図的ではなく、忘れている間に事務処理が
    機械的に進められていたのではないでしょうか?

    今の混乱ぶりを見ていると、多分7月18日の第3国仲裁
    期限も忘れてそう。そこで日本政府はICJ提訴+対抗措置
    、多分ビザの優遇措置廃止(ビザ復活+厳格化)かな。
    理由は今回と同じ。(これ何にでも使えて便利!)

     1.信頼関係がなくなった。
     2.不適切な事案の発生(不法滞在、不法就労の多発)

    8月にホワイト外しして、統帥権移管本決まりを受けて
    GSOMIA破棄と進み、最後に金融関係の優遇措置(L/C等)
    を剥奪する感じかな。

    この間に現金化や韓国側の制裁措置があれば、更に
    対抗措置がプラスされるのでしょう。

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