独裁者・バシールの解任と拘束 次に逮捕されるべきは金正恩
昨日はウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジ容疑者がロンドン警視庁から逮捕され、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を発付されているスーダンのバシール大統領が同国軍により解任され、拘束されているというニュースが入ってきました。アサンジ容疑者のような「小物」は正直、どうでも良いのですが、やはりインパクトが強いのは、何といってもバシールの方でしょう。バシールがICCに引き渡されるのかどうかは現時点でわかりませんが、それでも、「現役の国家元首であってもあまりにも酷い罪を犯した場合には逮捕される」という前例を作ることは大切です。そして、次に逮捕されるべきは、当然、金正恩(きん・しょうおん)です。
アサンジという小物臭漂う男の逮捕
本日は「逮捕」に関する話題が2つあります。
1つ目は、「ウィキリークス」の創設者であるジュリアン・アサンジ容疑者がロンドンのエクアドル大使館で逮捕された、というものです。
「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジ容疑者を逮捕(2019.04.11 18:52 JST付 CNN日本語版より)
CNNによるとアサンジ容疑者は性的暴行容疑でスウェーデン当局からの逮捕状が出されていた2012年にロンドンのエクアドル大使館に駆け込み、亡命申請。昨年1月にはエクアドル国籍を付与されたそうです(※なお、スウェーデンの逮捕状は2017年に取り下げられています)。
ただ、エクアドルで2017年に政権交代が発生したことを契機に、アサンジ容疑者とエクアドル大使館の関係が悪化。ロンドン警視庁がエクアドル大使館でアサンジ容疑者を逮捕し、その後、エクアドルのモレノ大統領はアサンジ容疑者の亡命を撤回する決定に関する声明を発表したそうです。
アサンジ容疑者の逮捕容疑は英国内の裁判所出頭命令を怠った件ですが、今後はウィキリークスの活動が原因で米国に送還される可能性もあるでしょう。
ところで、ウィキリークスといえば、なんといっても「エドワード・スノーデン事件」が有名です。
これは、1983年生まれで米CIAなどに勤務していたエドワード・スノーデンが2013年6月、渡航先の香港で米国当局が全世界でインターネットなどの通信を傍受していると暴露し、米当局から逮捕状が出されたものの、その後、ロシアに亡命して現在まで匿われている事件です。
また、ウィキリークスは不思議なことに、米国など西側諸国の不祥事ばかりがリークされるとの指摘もあり、2017年にはヒラリー・クリントン氏が「ウィキリークスは現在、実質的にロシアの諜報機関に完全に所有されている」と述べているほどです(次のAFPBBニューズの記事参照)。
ウィキリークスのメール暴露はロシアと結託、クリントン氏が非難(2017年10月16日 12:16付 AFP BB NEWSより)
また、今回のアサンジ容疑者の逮捕により、ウィキリークスの活動が解明されるのかどうかが気になるところですが、それよりも思わず笑ってしまったのは、アサンジ容疑者の逮捕理由です。
先ほどのCNNの記事によれば、アサンジ容疑者は「大使館のルールに反して電気機器などを設置したり、監視カメラをブロックしたりする行為」を繰り返していたということであり、何やら非常に「小物臭」がすると感じるのは私だけではないでしょう。
バシールの逮捕?
一方、アサンジのような小物よりも、もっと重要なのが、次の話題です。
スーダン軍、バシル大統領を拘束(2019年4月11日 21:13付 AFP BB NEWSより)
AFPBBニューズを初めとする複数のメディアの報道によると、スーダンの国軍がオマル・ハッサン・アハメド・バシール大統領を辞職させ、拘束したと発表したそうです。
バシールといえば、パッと思いつくのは、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を請求されていることです。
わが国の外務省のウェブサイトによると、バシールは「人道に対する犯罪」(殺人、殲滅、住民の強制移送、拷問、強姦の5つの訴因)と「戦争犯罪」(文民たる住民に対する故意の攻撃および略奪の2つの訴因)により、2009年3月4日にICC予備裁判部第一部が逮捕状発布を決定しました。
しかし、バシールは今日に至るまで、スーダンの大統領として在任していたばかりでなく、国連加盟国(しかもよりによって常任理事国)である中国で2015年9月に行われた「抗日戦勝利70周年記念式典」に参加。天安門から軍事パレードを観閲しました。
(※もっとも、中国はICCの設立根拠となるローマ条約に参加していないため、バシールを逮捕する義務はない、というもの事実ですが…。)
これだけでも驚きなのですが、実は、この「抗日戦勝利70周年記念式典」に参加したバシール以外のメンバーが、壮絶です。
典型的な独裁者(あるいはそれに準じる人物)として、例えば、
- ロシアのウラジミル・プーチン大統領
- カザフスタンのナザルバエフ大統領(1990年から2019年まで29年間、大統領として在任)
- ウズベキスタンのカリモフ大統領(1991年から死去する2016年まで大統領として在任)
- ベネズエラのマドゥーロ大統領(独裁者のチャベスの死去に伴い、2013年以来大統領として在任)
といった面々の名前が挙がっているようです。
まったく香ばしいと言いますか、呆れると言いますか。
何を隠そう、この行進の主催者の習近平(しゅう・きんぺい)中国国家主席自身が独裁者ですが、これだけ香ばしい独裁者たちの面々を集めておきながら、「反ファシズム」と名乗っているのですから、ブラックジョークかなにかとしか思えません。
ちなみに、日本共産党や朝日新聞の信者を中心に、安倍晋三総理大臣を「ヒトラー」に例えて「独裁者」だと批判する人は多いのですが、(『「安倍総理は独裁者」と主張する方とツイッターで対話してみた』参照)、彼らは絶対に習近平や金正恩や志位和夫を「独裁者」と批判しないのですから不思議です。
潘基文さん、声明を出してはいかがですか?
ところで、この並居る独裁者に混じって、「出席してはならない人物」が2人ほど、この軍事パレードに参加したことを、読者の皆さまは覚えていらっしゃいますか?
1人は当時の朴槿恵(ぼく・きんけい)韓国大統領、もう1人は当時の潘基文(はん・きぶん)国連事務総長です。
ちなみに、朴槿恵氏は現在、大統領から解任され、拘置所にいるらしいのですが、米国を筆頭とする西側諸国のパートナーを裏切ってまで天安門パレードに参加したわりには、浮かばれない末路ですね(※といっても、彼女の場合は自業自得であり、ただの1ミリも同情心など湧きませんが…)。
しかし、潘基文氏の場合は、現役の国連事務総長でありながら、バシールと同席したことについて、いまだにただのヒトコトも説明をしていません。
国連広報センターの説明によれば、ICCと国連は必ずしも一体の組織ではありませんが、それでも、国連事務総長という立場にあった者が、ICCから逮捕状を請求されているような独裁者とパレードで同席して良いはずがありません。
今回のバシールの失脚を巡り、潘基文氏が何らかのコメントを出すのかどうかについて、個人的には注目したいところです。
次は金正恩の番だ!
さて、バシールがスーダン国軍によって解任され、拘束されているのは事実ですが、今後、バシールがICCに引き渡されるのかどうかはわかりません。高齢のため、このまま国内で拘束されるのかもしれませんし、あるいは残念ながら処刑されるのかもしれません。
ただ、現役の国家元首に対するICCによる逮捕状発布という実例は、独裁者の圧政に苦しむ全世界の人々に、強い希望を与えたことは間違いありません。
ところで、先ほど、バシールの訴因として、「人道に対する犯罪」と「戦争犯罪」が挙げられていましたが、このうち、「人道に対する犯罪」を現在進行形で行っている独裁者が、アジアに2人います。
1人は習近平中国国家主席であり、殺人、殲滅、住民の強制移住、拷問などについては間違いなくウイグルやチベットで現在進行形で行われています。バシールに対する逮捕状が発付されるなら、習近平に対しても発付されるべきでしょう。
もう1人は、北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)です。
北朝鮮の独裁政権は自国民に対する殺人、殲滅、強制移住、拷問などを加えていますが、国際社会に対しても麻薬製造、贋札使用、保険金詐欺、仮想通貨窃盗、そして日本人を初めとする外国人の誘拐といった、許されざる犯罪を続けている国でもあります。
その首謀者である金正恩を犯罪者といわずして何と呼べばよいのでしょうか?
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
正直、北朝鮮核問題については、経済制裁だけで解決するものではありませんが、現状では経済制裁以外に有効な方法がないため、北朝鮮に対する「最大限の圧力」を加え、維持するのは、やむを得ない選択です。
しかし、北朝鮮から核兵器を取り上げ、拉致されたすべての日本人を取り戻し、責任者を逮捕して日本で裁判にかけるためには、やはり、北朝鮮の現在の独裁者である金正恩の逮捕がどうしても必要です。
日本人拉致事件の解決とは、「どうやったら北朝鮮から日本人を返してもらえるか」「どうやったら北朝鮮が全容を教えてくれるか」を議論すべきではありません。
「どうやったら日本人を取り返しに北朝鮮に軍事侵攻できるか」、「どうやったら金正恩らを逮捕して日本に連行することができるか」を議論すべきなのです。
そのためには、憲法改正問題を初め、解決しなければならない問題が山積みになっています。
まずは独裁者・志位和夫が君臨する日本共産党や、「支持率3%の最大野党」である立憲民主党に、国会から消えてもらわなければなりません。その意味で、この夏の参院選(場合によっては衆参同日選)は、私たち日本国民の見識が問われる選挙になるでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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日本人拉致事件の解決とは、「どうやったら北朝鮮から日本人を返してもらえるか」「どうやったら北朝鮮が全容を教えてくれるか」を議論すべきではありません。
「どうやったら日本人を取り返しに北朝鮮に軍事侵攻できるか」、「どうやったら金正恩らを逮捕して日本に連行することができるか」を議論すべきなのです。
上記に心より同意します。
ホントに日本国も日本人もふがいない。すっかり腑抜けになったのでしょうか。
今年、自民党員になる積りです。
暇なのでネットで情報収集して、総裁選にて一票行使できるように(笑)
潘基文の今の所在ですが、先日開催されたボアオ・アジア・フォーラムの新理事長に収まってたようです。
因みに潘基文同様、国際機関から式典に参加したWHOのマーガレット・チャンも、付随する新フォーラム「世界健康フォーラム」の大会主席だそうで。
https://www.google.com/url?sa=t&source=web&rct=j&url=https://www.jpcnma.or.jp/wp-content/uploads/2018/12/fee221d40786068d1c92f437c3312b4d.pdf&ved=2ahUKEwjAqIDi8crhAhXJfLwKHfoBAXwQFjAAegQIARAB&usg=AOvVaw06aH3QIktuiOlIuQppStTW&cshid=1555084174655
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを主張する日本の保健外交とバッティングしそうで、少し興味が湧きます。
それにしても世銀のジム・ヨン・キムはどこに行ったか
リビアは国際社会が承認したリビア国民評議会とハフタル将軍主導リビア国民軍の戦闘激化。
アルジェリアは大統領退陣デモから軍主導で暫定政権に移行のレールがしかれるも
大規模デモは継続。
そして記事のスーダンクーデター。
紅海、北アフリカ諸国が荒れ始めてますね。原油価格に響いている様子。
トルコの記事で懸念されていた新興国危機。やや可能性濃くなってきましたね。