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レーダー照射事件巡る協議打ち切りに、韓国が「慌てる」?

先ほどの『【速報】レーダー照射事件巡り、防衛省が「最終見解」を公表』の続きです。防衛省が発表した資料の詳細について触れる前に、韓国政府の反応を少しだけ紹介しておきたいと思います。そのうえで、今回の防衛省の発表については、「今後も日韓、日米韓の防衛協力を進める」という字面だけでは計り知れない、防衛省の韓国に対する強い不信感が含まれているのではないか、という点に加え、日本が韓国のペースに乗らなかったという意味で、良い方向への日本外交の脱皮という側面があるともいえるのかもしれません。

防衛省の韓国に対する強い不信感

【速報】レーダー照射事件巡り、防衛省が「最終見解」を公表』の続きです。

先ほど私は防衛省の今回の見解について、「日米韓3ヵ国連携」に向けた努力を続けるとしながらも、これをもって韓国との交渉を打ち切ると発表したことについて、「やや唐突感がある」と申し上げました。

その後、防衛省が公表した資料をひととおり確認してみた結果、これは

2018年12月20日に発生したレーダー照射事件については、韓国側と認識を擦り合わせる努力を打ち切る

という意味だと私なりに解釈しました。

要するに、韓国側に再発防止を求めようにも、韓国側はいまだにレーダー照射した事実すら認めておらず、これ以上、韓国側と認識を擦り合わせようとしても無意味だ、と防衛省が判断した、ということです。言い換えれば、防衛省の韓国政府に対する強い怒りが見える、ということでもあります。

また、防衛省は

本公表が、同種事案の再発防止につながることを期待するとともに、引き続き、日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力していく考えです。

と述べていますが、これも読み方によっては、「今後、日本は日韓・日米韓で防衛協力できるように努力するつもりだが、それが本当に実現するかどうかは、すべて韓国側次第だよ」、と受け止められなくもありません。

どうしてそう解釈できるのかといえば、今回の資料の詳細を眺めていくと、防衛省の韓国政府・韓国海軍に対する深い不信感が見て取れるからです。ただ、これについては少し論点が複雑ですので、その分析については明日以降に触れることにしたいと思います。

韓国政府の意外な反応

こうしたなか、私自身は先ほど、「韓国政府がこれで『勝利宣言』することになっては困る」と申し上げました。

なぜなら、防衛省が(中身はともかく、見た目は)「矛を収めた」かのようにも見えるからです。そして、韓国側が「日本側が協議を打ち切ったことで、わが方の正しさが証明された」などと言い張る可能性がないわけでもなかったからです。

ところが、意外なことに、韓国政府は今回の防衛省の発表に対して慌てたようです。

レーダー問題で防衛省が協議打ち切り 韓国国防部「深い遺憾」(2019.01.21 19:50付 聯合ニュース日本語版より)

韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)によると、韓国政府国防部は日本の防衛省が協議打ち切りを決めたことについて、「深い遺憾」を表明したのだとか。

韓国政府・国防部の崔賢洙(さい・けんしゅ)報道官の発言は、次のとおりです。

  • 今回の事案の本質は人道主義的な救助活動中だったわが国の艦艇に対する日本哨戒機の低空威嚇飛行であり、これに対する再発防止と日本側の謝罪を再度求める
  • われわれがこれまで強調してきた通り、正確な証拠を提示し両国の専門家を加え、科学的で客観的な検証を行うことに積極的に応じることを促す
  • 韓国政府は韓米連合防衛体制とともに韓日の安全保障協力の強化のための努力は今後も発展させていく

この韓国政府の発表を見ると、日本側が協議を打ち切ったこととともに、韓国政府の「日本による威嚇飛行」という土俵に、日本政府が一切乗って来ないことに対する焦りすら見えます。

「今後は韓国政府を相手にせず」

つまり、韓国政府の反応を照らし合わせてみると、今回の防衛省の発表は、「レーダー照射事件」に対する措置としては、ある意味では適切な対応だったといえなくもないのかもしれません。

これまで、日韓交渉の場においては、「道徳的価値観」に基づく「密室外交」により支配されて来ました。

まず、「道徳的価値観」とは、「歴史的に見て韓国は被害者、日本は加害者であるため、韓国が日本に対して道徳的優位性にある」とする考え方です。

非常にふざけた発想ですが、これは別に私自身がでっち上げているわけではなく、ちゃんとした根拠があります。最近の事例でいえば、昨年12月の韓国メディア『中央日報』(日本語版)の報道で、韓国外交部の「当局者」が「徴用工判決」問題を巡り、

法的問題を別にして、根本的に韓日関係は法だけでは解決できない道徳的、歴史的背景があるにもかかわらず、日本側が『法的に終わったことなので、責任を負う必要もない』という態度を示すことは、両国関係にとって決して望ましくない」(※下線部は引用者による加工)

と述べたことが、その根拠の1つです。

そして、もう1つの「密室外交」とは、「できるだけ問題を公表しないで密室で処理する」という傾向のことです。

今回のレーダー照射事件のようないざこざが発生した際に、韓国政府は「その事実を公表しないでくれ」と日本に懇願し、日本が韓国の要求を呑んでその事実を伏せたとしたら、それこそ韓国は日本に対して「やりたい放題」の悪事を働き、理不尽な要求を次々と呑ませるのです。

日韓両国政府による合作であった可能性が指摘されている1993年の「河野談話」は、その典型例でしょう。

しかし、今回のレーダー照射事件については、事件発生の翌日である昨年12月21日に岩屋毅防衛大臣自身が記者発表し、その後、防衛省は数回にわたって韓国側が不法行為を働いた証拠を公表しました。

韓国政府はその都度、支離滅裂な反応を示したのですが、こうした韓国政府の醜態を全世界に見せつけたこと自体、日本の外交が脱皮した証拠といえるでしょう。

私が何よりも恐れているのは、日本外交(とくに対韓外交)がひと昔前の「事なかれ主義」に戻ることですが、その点については、そこまで恐れる必要もないのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (37)

  • 防衛省の文書をみると、どちらかというと決別宣言だね。もう韓国は友軍ではないということだ。これからは敵国として対峙していくことになる。

  • もう韓国は一線を越えたと思います。
    パククネまでは共産圏にすり寄りながらも軸足は西側にありました。
    しかしムンジェイン政権は親北を隠そうともしない。
    日米はブチ切れたと思います。
    ムン政権の中枢以外はまだ西側寄りの雰囲気が残っているので日本の激怒に慌てているのでしょう。
    ムンを選んでしまった時点で手遅れなわけですが。

  • うーん、、、結局STIRの照射があったのか無かったのかが分からないと、この問題何も進まないんですよね。(低空飛行はしてないことが明らかなので、どうでも良いですが)

    今日の防衛省の発表でもそこは分からなかったので、出自もよく分からない音だけ公開することで韓国を陥れようとしている、と言われてもしようがない気がします。

    本当にSTIRを照射してなかったとすると、今回の防衛省の幕の引き方もまあ頷けます。報道も意訳や社の方針や意見が入ったりするので、何が正しいのかを追うのは難しい。

    更に今回は見えないモノだったのて、これを証明するのは難しいですね。

    • 防衛省ホームページにある補足説明を見ることをお勧めします。http://www.mod.go.jp/j/press/news/2019/01/21x.html
      私自身、警戒音しかないと思いがっかりしましたが、補足説明には経緯と図解があり日本側の行動が分かります。警戒音は少々加工(周波数調整)の跡がありますが、概ね客観的と見えます。
      防衛省も最後通牒的にうまく出してきたと思います。

      • コメントありがとうございます。

        防衛省の資料は一通り確認済みでのコメントです。
        防衛省の資料には、経緯や飛行経路、低空飛行など、今までにでたことについて詳細に筋道を立てて書いてありました。

        しかし火器管制レーダーについては、「レーダー波を解析すれば~」「結果等からみれば、火器管制レーダー使用は明らか」というように書かれているものの、これに関する客観的事実は示されていないと考えています。音声データも、素人目に見て出自が分かりません。

        ここがしっかり示せないと、CUESについても問えませんし、そもそも今回の件が問題にもなりません。

        それを示すために相互主義に基づきデータ交換をしようとしたができなかったと書かれていますが、もし今回の件が日本の捏造や日本側の誤解によるものだったと仮定すれば、そんな国からデータ交換しようと提案されても、応じにくいことは想像に難しくないかと思います(そのデータを使用されて、また捏造されては困りますから)

        専門家なら分かるのかもしれませんが、軍事に素人な私から見るとどちらがあっているとも明言できず、客観的・直接的証拠を示せていない日本の捏造と見られてもおかしくないと思います。

        海外でこのように理論立てて議論できる人がマジョリティーなのか分かりませんが、低きに流れるような人は韓国側を支持する可能性もあると思います。

        • レーダー波のマイクロ波帯はそもそもGHzで人間の認識できるものではありません。
          それをある一定の関数で、可聴域に変換して認識しやすくしたのがRWRの警告音です。

          もはや、韓国とのやりとりは、ネットの上でのおかしい人とのフレームのようなもので、「無敵の人」がどれだけ客観的に論破されても負けを認めない泥仕合になった場合、相手の意見を変える目的では無くて、それを見ている周りの人間にどちらが正しいのかが認識できる様に場を整えるだけが精一杯なのに似ています。

          今回のRWRの警告音を聞けば世界の軍用機乗りには、一目瞭然でしょうから軍事コミュニティでの韓国軍の信用は地に落ちます(落ちるほどあったのかという問題はさておき)。
          自衛隊の制服組としては、ここまでやればもう十分という判断なのでしょう。
          あとは政治の仕事と、ぶん投げました。

        • (4回以上は返信できなさそうなのでこちらへ)

          PWRと呼ぶ物があるのですね。後で調べてみます。

          これが可逆関数で可聴域に周波数を落としているのであれば、元の周波数が復元できるので、機密に当たるためそのまま公開できないのは、理由として納得です。

          しかし、それがあのときあの場所で発せられたかどうかは、STIRの動きとともに見ないと証明出来なさそうですね。各種報道が真実だとすると、そこまで出すとP1の性能がばれるとのことですので、どうやってもここで打ち止めな感じです。

          ペイント弾みたいに色でも付けば明確なのですが。

          後は外野がどちらを信じてくれるかですが、外野が大したこと無いと思っていたら、本件に力を入れてもしようがないですね。

          会計士さんにつきましては、もしお時間があれば、海外のこの問題に対する状況を、事実と共に哨戒いただけると助かります。

          いままでは日本と韓国の事実や報道ベースでしたので、8か国語や10か国語で翻訳した国に対する影響がどうなのか、知りたいところです。

  • 「防衛省の韓国政府・韓国海軍に対する深い不信感」については、防衛省のYouTubeにあげた、丁寧に編集された映像と防衛省の報道資料の作り込み具合から、十分に察することができます。
    普通は、一応は友軍だった相手にはここまでしませんよね。

    中央日報の「法的問題を別にして、根本的に韓日関係は法だけでは解決できない道徳的、歴史的背景があるにもかかわらず、」の一文には遺憾の意を示したいと思います。
    道徳的、歴史的問題を解決するために法があるというのに、法治国家の記者の発言ではないですね。
    日本も例外ではないですが。

    協議はこれで打ちきり、という形になりましたが表面上の友軍として再発防止はこれからも求めてほしいです。

    自衛隊の皆様、日々の日本を守ってくださりありがとうございます。

  • * でしょう?会計士さん。『でしょう』って何が?(笑)。日本防衛省は、何も後先考えずに今日の行動したわけじゃない。

    * 韓国への密室忖度譲歩外交をせず、事の詳細を韓国語まで付けて。音声データまで叩きつけてやって、『貴国とはマトモな話などできんッ』と啖呵を切って大見得を現しました。

    * 素晴らしいじゃないですか。何の証拠を出そうが、どんな高品質のデータを示そうが日本が相手ならマトモに判断出来なくなる病気です。屁理屈の堂々巡りです。

    * 日本防衛省が意外にもスパッと切ったので、阿呆韓国人は経験値低く、フリーズしたんでしょう(笑)。『ニホンガコトワッタ』怖いだろう。もう助けんぞ。

    * 日本国自体がひょっとすると高性能の電子戦機かもしれません(爆笑)。相手のヨミ、言葉を遮る。同じ土俵に日本がわざわざ下りて、程度の低い『やったやらない』は、三流国同士でやんなさい。アンタラ南北と、日本は違うよッと確固たる意志表示出来て良かったです。

    * 『今後も日米韓で〜』というのは、手切れの挨拶、いっぱい面倒みたが、一つも返さなかったな!という意味だ。さ、これで韓国との諍い、戦い方が増えたぞ。レーダー照射にしても『韓国との協議を中止』というだけ。また、使わせて貰うゾッ(笑)。

  • レーダー照射事件、防衛省が協議打ち切りってのは、主に二つの意味があると思います。

    意味①
    レーダー照射が事実か事実でないかについて、ほぼ世界中の政府・軍は事実であったと認識したので、
    事実・虚実の確認の議論にはならない。

    意味②
    こちらの方が①よりも遥かに重大ですが、
    レーダー照射事件の本質が解ってしまった。
    つまり、韓国海警&軍があの時、あの場所で、何を目的に、どんな作戦行動だったのか。。。
    そして、金&文にとってヤバい情報が流出し、誰がそれをゲットし、今後の国際情勢にどんな影響を及ぼすのか。。。

    日本としてはこれ以上ポピュリズムに付き合う必要はなく本件で得た(様々な)情報を
    今後の国家戦略に生かすことだけを考えれば十分であるという判断なのでしょうね。

    今の国際情勢は愚民の感情論に付き合ってる場合じゃないんだって状況であるんだと、
    むしろ賢者は黙って理解するのが妥当かと・・・

  • 今回の資料を見て、再度、防衛省発表のビデオを見て見ましたところ、6分51秒のところ、機長が「はい、この音覚えておいてください」の直後に、火器管制レーダーの音が聞こえます。私には、防衛省資料中の音声データの音と同一の音であるように聞こえます。

    これは見事な罠なのでは無いでしょうか。遠山の金さんもビックリの仕掛けで、前回公開済みのビデオには既に証拠の音声データが含まれて居て、そこでギブアップしていれば、まだ戻れたのに、これではもう戻る事はできません。佐藤外務副大臣が言っておられた「データを発表されて困るのは韓国の方なのに」と言う真の意味が分かったように思えます。

    韓国といくら協議しても、嘘に嘘を重ねる事も予測して、世界に真実を発信する方向に軌道修正、更に、強烈な爆弾が仕込まれて居たんですね。

    こうなると、今になっての韓国の弱気がわかるように思えますが、如何でしょうか。

  • 安倍政権には、大筋では支持できるが、
    こういう時に民意と逆を行く違和感が発生する事があります。
    しかし、後になって大局的に見てみるとそれが正解だったりトラップだったりして、決定打になっている事が多い。
    今回も後になって分かる意味があるのかもしれません。

  • 今は"見に徹する"のが正解なのかな
    考えても分からん
    韓国に対するヘイト値が溜まる
    感情を開放してやらないとストレスが溜まる

    • 「弱腰なのは現行憲法のせいだ → 改正しなければ」という気運を煽るために、あえて国民にストレスを溜めさせる、くらいだったら安倍氏も策士なんだが。

  • ガキがいう事聞かない時は、ガツんとやっていう事を聞かせる。それが本当の「大人の対応」なんですけどね。そういう意味では日本は「大人の対応」を全く勘違いしてきて、今回もまた同じ間違いをしてます。バカなのは韓国じゃなくて日本の方。それが国際的な評価でしょうね。残念ながら。

    • 私はちょっと違うような気がする。
      日韓だけを見ていればその様な見解に至ると思うが、世界のそれも海軍に重きをおけば判断は間違いではないと思う。
      最初の動画を配信した時から相手は、韓国ではなく世界特にアメリカの目でしょ。
      今後、日米は韓国不要論が出てくるのではないでしょうか。
      北朝鮮への傾倒っぷりから韓国はおかしな国と思われつつあるのは事実で北東アジアの安保経済情勢の再編が行なわれるのではないか。
      中露がどう動くか定かではないが北朝鮮と韓国の孤立化が目的。
      日米ともに手を引くことを前提に「こんな変な国だかえら手を切るけどしょうがないよね、向こうが悪いんだし」って国内世論を形成している段階。
      韓国ウオッチャーは十分理解していると思われるが、一般には浸透させることが目的では。

      • 私もそう思います。絶縁宣言まで時間が掛かったのも米との調整が必要だったからだと思います。
        場合によって日本は安保理に持ち出すことも可能(瀬取り絡みで)になりました。なあなあにしなくて良かったと思います。
        これで後は国際世論に対して韓国がどう説明するかという問題になってしまった訳です。
        さしあたりG20でどんな言い訳をするか聞きたいところですが、いくらムン氏の面の皮が厚くても来れないでしょうね。いや半島人のメンタルなら来れるのかなあ?

    • 「はいこの音、覚えといてください」の直後、
      音声が伏せられてるのは結構な広範囲である事が分かります。
      ピー音の部分だけが非公開部分ではなく、
      もっと前から音がカットされていた事になります。
      韓国の国防部はピーの部分だけが非公開だと思ったのかも。
      実は防衛省の動画には既にレーダー照射音が含まれていたと
      いう事も分からなかったのでは。
      ピーの部分だけがレーダーの音声で、この部分では我々は照射してない、
      嘘をついているのは自衛隊だと強気に出たら
      今回ので、もっと広範囲にわたっていた、というオチですかね。

      今回の音声が駆逐艦の射撃レーダーの音だとすると、
      韓国の軍事機密そのものをさらしてしまうことになる。
      防衛省は公開すると機密情報だからと渋ってたけど、
      自衛隊の哨戒能力というよりは、韓国のレーダー音そのものが
      軍事機密だってことを言っていたわけで。
      防衛省はレーダー照射された事を正当な理由として、
      韓国の軍事機密を堂々と世界中に公表できる理由を得たことになる。

      防衛省は最後の最後まで協議をしようと努力した。
      非公開の場でデータを公開しえば音声の公開は世間にさらされない、
      と持ちかけたけれど、韓国側が拒否した。
      これで軍事機密が公開されても、韓国はこのことについて一切抗議できない。
      なぜなら実務者協議でもすべてのデータ公開を自ら拒否したから。

      韓国はこれで謝罪の機会さえも失ったという事です。

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