徴用工巡る韓国の「日本専門家」見解、てんでお話にならない

当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』は別に「韓国専門サイト」であるつもりはありませんが、「毒を喰らわば皿まで」とばかりに、最近では割り切って、韓国に関する話題を取り上げるようにしています。こうした中、どうして本日中に紹介したい話題が１つあります。それは、産経ニュースのインタビュー記事に、「韓国を代表するシンクタンク」（？）の「日本研究センター長」なる役職を持つ人物の、限りなく「お話にならない」レベルのインタビュー記事です。

毒を喰らわば皿まで

世の中に「毒を食らわば皿まで」という言葉があります。

当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』は別に「韓国専門サイト」であるつもりは一切ないのですが、数えてみたら、先週金曜日の「海自哨戒機に対する火器レーダー照射事件」以来、とにかくひたすら韓国の話題ばかり取り上げているような気がします。

こうなったら、もう割り切って、年内限定で「韓国サイト」にでも衣替えしましょうかね？（笑）

というのはさておき、「情報の鮮度」の都合上、もう１つ、本日中に紹介しておきたい話題があります。それが、産経ニュースに掲載された、次の記事です（といっても、記事が公表されたのは昨日のことですので、どこかの匿名掲示板ですでに読んだ、という方もいらっしゃると思います）。

徴用工問題は「最後の棘」　韓国専門家の陳昌洙氏インタビュー　法廷闘争の回避訴え（2018.12.24 20:35付　産経ニュースより）

先ほど、これについて紹介しようと思って準備していたのですが、その最中に急用が入り、そうこうしているうちに保育園の迎えの時間になってしまったため、少し掲載が遅れてしまいました。しかし、なんとか本日中に間に合いました。

ただし、「頑張って本日中に掲載した」というわりに身もふたもない話ですが、内容は真面目に読むに値するものではありません（笑）。あくまでも１つの「ネタ」として受け流すべき筋合いのものでしょう。

これは、韓国の「有力シンクタンク」（？）である「世宗研究所」で「日本研究センター長」を務める陳昌洙（ちん・しょうしゅ）氏が来日のタイミングに合わせ、都内で産経新聞社のインタビューに応じた、とするものです。

どんなことが書かれているのでしょうか？

「徴用工問題は日韓最後のトゲ」、これが本当の「出オチ」？

結論から言いましょう。

この記事は、一種の「出オチ」のようなものです。産経ニュースの記事の冒頭を読んで、私はいきなりずっこけました。

「陳氏は、徴用工問題が日韓に残る「最後のとげ」だと指摘。「この問題を乗り越えれば両国関係は好転する」とし、「重要なのは国際司法の場で法廷闘争を展開するような事態を避けることだ」と述べた。」

…はぁ…？

昨日から私は「開いた口がふさがらない」という表現を多用しているような気がしますが、本当にそれ以外に適切な表現が見つかりません。

陳氏の主張を私の文責で要約すると、

• 日韓間では数年ごとに大きな問題が浮上する
• しかし、実際には徴用工問題が「最後のとげ」であり、これを乗り越えれば両国関係は好転する
• 両国が衝突するには代償が大きすぎることに、双方が気付くべき

といったものです。

陳氏は徴用工問題が「最後のトゲ」と主張するのですが、私に言わせれば、このインパクトは「トゲ」どころの騒ぎではありません。下手をすると「日韓関係を崩壊に導く最後の一撃」であり、しかも、韓国が100％、全面的に悪いものであり、日本が負うべき責任はまったくのゼロです。

こんな程度の認識の人物にも「韓国の有力シンクタンク」で「日本研究センター長」が務まってしまうという事実に、私は改めて韓国社会の絶望的な病巣を痛感せざるを得ません。

陳氏もいちおう「日本研究センター長」を名乗っている以上、1965年の「日韓請求権協定」というものを、もう一度読み返すべきです。これは、日韓間の戦後賠償問題を一括して解決する、両国間での協定であり、もし韓国がこの協定を破る動きに出た場合には、日韓関係の法的基盤は完全に破壊されます。

もっとも、もしそれだとしても、韓国が「日韓請求権協定」を破棄し、日韓関係を破壊に導くことをお望みとあらば、それを止める手段は日本にはほぼ残されていませんが…。

旧態依然とした認識に愕然

ただ、せっかく産経ニュースがインタビューに仕立ててくれているので、同氏の主な発言を（ツッコミ付きで）呼んでおきましょう（ただし、原意を損なわない範囲で、文章は適宜手直ししています）。

• 徴用工判決を巡っては、10月末の大法院判決まで韓国政府が本件を放置し、予備外交を行わなかったのは問題だったし、日本政府や世論の反応を見誤った部分もあった
• しかし、日本では本件判決を文在寅（ぶん・ざいいん）政権の反日によるものであるかの印象が広がっているが、実際には現政権が司法と行政の癒着を解消する司法改革を掲げていたためであり、判決前に政権と裁判所側の満足なすりあわせができていなかったことが主要因だ
• こうした韓国側の事情を把握していながら、判決後の韓国政府の対応を公然と非難する日本政府の姿勢にも問題はある
• 今後の解決策としては、日本の経済支援金を基に発展した韓国企業と韓国政府、日本企業の「２＋１」で基金を設立し、原告に対応していくのが望ましいが、慰安婦財団が最近解散したこともあり、日本側には基金設立に対する不信感が根強い
• しかし、もし交渉による解決に失敗し、国際司法裁判所（ＩＣＪ）などで争う事態になれば、独島（竹島の韓国側名称）や慰安婦の問題にも白黒つけよう－との声が強まる恐れがある

ハッキリ言って、お話になりません。

もちろん、私自身も、日韓が断交してしまえば日本側にもいくばくかのデメリットが生じるであろうことは認めますし、あくまでも一般論ですが、外交の現場においては、国交断絶のギリギリ直前まで、お互い、関係改善の努力をすることが望ましいことは言うまでもありません。

しかし、本件については、①韓国側で司法府が国際条約に堂々と違反した非常識な判断を下したことに加え、②その判決を韓国の政府や国会が是正しようとせず、放置している点に問題があります。

それに陳氏は「韓国の国内事情を把握しておきながら、韓国政府の対応を公然と非難する日本の姿勢に問題がある」と「逆ギレ」しているのですが、なぜ日本政府がわざわざ韓国側の事情を忖度しなければならないというのでしょうか？

だいいち、「徴用工財団」構想にしても、河野洋平が官房長官や外務大臣を務めていたころならばいざ知らず、現在の外相は、おなじ「河野」でも「洋平」ではなく「太郎」氏です。自分で慰安婦財団解散を決定しておきながら、徴用工判決問題を同じ財団方式で解決しようとは虫が良すぎます。

いずれにせよ陳氏が「懸念」する、「竹島や慰安婦の問題にも白黒つけよう」との声が強まることは、むしろ日本にとってハッピーです。

河野外相の発言を読む

こうしたなか、日本政府はこれらの問題についてどう考えているのかを読むうえで、参考になるインタビューが、外務省のホームページにアップロードされています。

河野外務大臣臨時会見記録（平成30年12月24日（月曜日）16時56分　於：モロッコ・ラバト）（2018/12/24付　外務省ＨＰより）

これは、河野太郎外務大臣が出張先のモロッコで会見に応じたものです。ただ、このリンク先記事については、昨日（12月24日）時点でチェックしたときにはまだアップロードされていなかった記憶があるのですが、もしかすると時差の関係で、本日、アップロードされたものなのかもしれません。

ただ、本日はこれについて触れる余裕がありませんので、一両日中に、詳しい内容に触れたいと考えております。