昨日の『韓国は徴用工判決で自滅へ　新日鉄住金の門前払いを支持する』では、「北朝鮮に送られた200トンのミカン」に紛れて、なにか良からぬものも送られているのではないか、という仮説を提示しました。ここでは、その続きとして、なぜ私が「韓国へのセカンダリー・サンクション」が必要だと考えているのかについて、その概要に触れておきたいと思います。

北朝鮮への200トンのミカン箱、何が入っている？

昨日、当ウェブサイトでは『韓国は徴用工判決で自滅へ　新日鉄住金の門前払いを支持する』の末尾で、次の韓国メディア『中央日報』（日本語版）の記事を紹介しました。

韓国党前代表「北に送った箱にミカンだけと信じる国民が何人いるか」（2018/11/12 13:11付　中央日報日本語版より）

これは、韓国大統領府がマツタケに対する返礼として、済州（さいしゅう）産のミカン200トンを軍輸送機で北朝鮮に送ったと発表したことをを受けて、洪準杓（こう・じゅんひょう）前自由韓国党代表は11日午後、自身のフェイスブックに次のような書き込みを行った、というものです。

「軍輸送機で北に送ったというミカン箱の中にミカンだけ入っていると信じる国民が果たしてどれだけいるか／すでに彼らは南北首脳会談の代価として数億ドルを北に送金した前歴もある」

洪氏の懸念は、まったくそのとおりでしょう。

200トンのミカンとは、冷静に考えてみれば、凄い量です。

わが家では先日、近所のスーパーでミカン１箱を買ってきたのですが、ためしにその中の１つを測ってみたら、中サイズでだいたい120グラムくらいでした。

ここでは分かりやすく、１個100グラム（0.1キログラム）だったと仮定して、200トンを個数に換算すれば、ミカンは200万個（！）ですね（200トン＝20万キログラム）。あるいは、10キログラムのミカン箱に換算しても２万箱であり、どう考えても尋常な量ではありません。

昨日はコメント欄に「りょうちん」様から「山吹色のお菓子」などの心無い書き込み（笑）を頂いたとおり、それこそその気になれば、２万箱のミカン箱のなかに「山吹色のお菓子」（ドル紙幣とか？）を混ぜ込むこともできますし、それこそ戦略物資を混ぜていたとしても不思議ではありません。

「疑問に思っている」のは誰だ！？

中央日報によると、この「山吹色のお菓子」疑惑は、洪準杓・前自由韓国党代表が提示したものですが、私自身も数日前から、「もしかして韓国に対するセカンダリー・サンクション（二次的制裁）は水面下で始まっているのではないか？」という仮説を立てています（詳しくは、次のような記事をご参照ください）。

• 2018/11/08 14:00 『韓国が南北鉄道連結事業着工を強行したら米国はどう動くのか』
• 2018/11/09 11:00 『フッ酸禁輸報道の真偽　資本財輸出を止めれば韓国産業壊滅も』
• 2018/11/11 05:00 『韓国へのフッ酸禁輸報道は北朝鮮核開発の関係があるのか？』
• 2018/11/12 08:00 『韓国に対するセカンダリー制裁はすでに始まっているのでは？』

あの鈍い韓国の政治家や私でさえそう感じているくらいですから、「見る人」が見れば、もっと多くの人が「もしかして韓国は公然と北朝鮮を支援しているのではないか？」と「疑問に思っている」はずです。

では、その具体的な人は、誰でしょうか？

答えは言うまでもありません。米国政府です。

米国のドナルド・Ｊ・トランプ大統領は６月12日の米朝首脳会談で、北朝鮮の独裁者である金正恩（きん・しょうおん）と会談を行い、朝鮮半島の非核化など４項目で合意しました。

ただ、その時に合意したのはあくまでも「朝鮮半島の非核化を条件に新たな平和体制を構築すること」であり、現在、米国と日本が主導して導入している北朝鮮への経済制裁を緩和するという話は、まったく出ていません。

それなのに、韓国の文在寅（ぶん・ざいいん）大統領は米国の了解なく、勝手に北朝鮮を訪問したり、欧州に出掛けて北朝鮮制裁の緩和を要求したりしており、正直、米国が相当に強い不快感を抱いていることは間違いありません。

北朝鮮は核開発を継続中？

こうしたなか、米ウォール・ストリート・ジャーナル（ＷＳＪ）は日本時間の本日早朝、こんなレポートを掲載しています。

North Korea Keeping Up Work on Missile Sites, Report Says（米国時間2018/11/12(月) 11:23付＝日本時間2018/11/13(火) 01:23付　ＷＳＪより）

ＷＳＪの報道は英語で、かつ、契約していないと読めない可能性があるため、ここに全文を引用することは控えますが、私の文責で要点を日本語にまとめておきましょう。

• ＣＳＩＳ（戦略問題研究所）は月曜日、衛星写真から北朝鮮が弾道ミサイル基地の運用を続けているとする報告書を発表した
• 米朝外交交渉が停滞する中、米国や南朝鮮（※）による緊張緩和に向けた努力にもかかわらず、北朝鮮が依然としてミサイルや核兵器の開発を続けていることが示された格好だ
• 複数の衛星写真によれば、シンガポールで米朝首脳会談が行われた６月12日以降も、こうした活発な活動が続けられていると見られる
• 米朝両国は現在、北朝鮮が核・ミサイル開発を中断することで合意しているにも関わらず、金正恩による非核化に向けた意思の有無が問われている

（※）「南朝鮮」とはＷＳＪの記述 “South Korea” のこと。ＷＳＪに限らず、英字メディアでは基本的に韓国を「南朝鮮」と呼んでいます。

ＣＳＩＳといえば、名著『自滅する中国』でも知られるエドワード・ルトワック氏が上級顧問を務めている組織ですが、そのＣＳＩＳによれば、「衛星写真から見る限り、シンガポールでの米朝首脳会談後も北朝鮮は核、ミサイル開発を続けている」というのです。

いずれにせよ、北朝鮮が本当に核開発を放棄する意思があるのかどうかといわれれば、それは大いに疑問でしょう。そして、ＣＳＩＳが北朝鮮による核開発継続の事実を掴んでいるという情報が事実であれば、米国政府こそ、とうの昔にその事実を掴んでいるのは間違いありません。

韓国へのセカンダリー制裁は必要

いずれにせよ、北朝鮮が核開発をやめる意思を持っていないことは間違いないでしょうし、このまま北朝鮮を放置しておいて良いわけがありません。

とくに、日本は北朝鮮に多数の国民を拉致されていて、その国民がいまだに故国・日本の土を踏むことすらできていません。他国の無辜の国民を拉致して拘束し、自国民の人権を弾圧し、麻薬・覚醒剤を製造し、贋札をばら撒き、国ぐるみで保険金詐欺を行うような体制が、存続を許されるものではありません。

ましてや、その北朝鮮を、いまや公然と支援し、日本や米国を裏切り続ける韓国も、今や同罪でしょう。

いずれにせよ、北朝鮮に対する国際的圧力を今以上に高めることが必要であることは言うまでもありませんが、私はそれだけでは不足していると思います。いくら北朝鮮「だけ」に圧力を加えても、抜け道があれば、経済制裁にも意味がなくなってしまうからです。

私は以前から、「すでに韓国へのセカンダリー・サンクションが始まったのではないか」と申し上げていますが、むしろ、北朝鮮の体制を倒すためには、北朝鮮だけでなく韓国に対しても同様に強い圧力が必要ではないかと思うのです。