「一方的に批判する権利がある」?アベノセイダーズの勘違い
思い込みって怖いですよね。普段、支離滅裂な理由で安倍総理を批判する「アベノセイダーズ」のみなさんも、自分が安倍総理を批判する立場にあるだけでなく、自分自身がインターネット言論空間で批判される可能性があるという点に、もう少し留意したら良いのに、と思います。
目次
ネットと新聞・テレビの違い
マス・メディアの独占体質
「インターネットもマス・メディアも、記事は玉石混淆だ」――。
これは、私の持論です。
各種世論調査などを見ると、新聞、テレビを中心とするマス・メディアに対する日本国民の信頼度は高いようですが、実際には、朝日新聞の慰安婦関連報道など、誤報、捏造報道などが蔓延していると思います。このため、マス・メディアの報道を無条件に信頼するのは危険です。
ただ、一部のインターネット上の某掲示板では、マス・メディアを「マスゴミ」と蔑み、「新聞、テレビの報道は100%間違いだ」、といった論調を見かけることもあります。しかし、いくら新聞やテレビが多くの誤報、捏造報道を流しているからといって、「マスゴミの報道は100%間違いだ」というのも極論でしょう。
ただ、私に言わせれば、人間は完璧な存在ではありません。
記事を書くにあたって、かなり気を付けながら、事前に調べていたとしても、どうしても記事の書き手の調査不足、理解不足による誤認などが判明することはありますし、それはマス・メディア産業に従事する関係者(新聞記者、テレビ制作者など)であってもまったく同じことでしょう。
したがって、そもそも人々は「マス・メディアの報道は100%正解だ」などとは思わず、複数の書き手の記事を読み比べるべきなのです。とくに、あるメディア(例:朝日新聞)に怪しい記事が掲載されたならば、それをすぐに信じるのではなく、できるだけ裏を取る癖をつけるべきです。
しかし、わが国のマス・メディアの場合、この「複数のメディアから裏を取る」という作業が、時として困難です。なぜなら、わが国のマス・メディアの場合は、次の図表のとおり、事実上、わずか8社・グループが大きな力を持ってしまっているからです。
図表 全国紙、キー局、通信社など、8社による情報の独占
グループ | テレビ局 | 新聞・通信社 |
---|---|---|
読売グループ | 日本テレビ(東)、よみうりテレビ(阪)、中京テレビ(名) | 読売新聞社 |
朝日グループ | テレビ朝日(東)、朝日放送(阪)、名古屋テレビ(名) | 朝日新聞社 |
フジサンケイグループ | フジテレビ(東)、関西テレビ(阪)、東海テレビ(名) | 産経新聞社 |
毎日グループ | TBS(東)、毎日放送(阪)、CBC(名) | 毎日新聞社 |
日経グループ | テレビ東京(東)、テレビ大阪(阪)、テレビ愛知(名) | 日本経済新聞社 |
NHKグループ | NHK | ― |
共同通信 | ― | 共同通信社 |
時事通信 | ― | 時事通信社 |
(【出所】著者作成。グループ名は著者が便宜上名付けたもの)
要するに、民放の在京キー局、在阪・在名準キー局は主要全国紙と同一の資本系列にあり、これに「公共放送」を自称するNHK、ほとんどの地方紙に記事を提供している共同通信、時事通信をあわせれば、日本の新聞、テレビから流れる情報の多くは、事実上、8社グループによって独占されてしまっているのです。
無限の可能性があるインターネット
これに対し、インターネットの場合は、書き手は無限に存在しています。
たった8社が情報の多くを支配してしまっているマス・メディアと異なり、ウェブ・メディアはそれこそ多様な書き手がさまざまな視点で記事を執筆しており、当ウェブサイトのような政治経済評論サイトだけでなく、それこそ趣味のブログから実用ブログに至るまで、ジャンルもさまざまです。
某匿名掲示板には日々、さまざまな人々が書き込みをしていきます。これらの書き込みについては「しょせんは便所の落書き」と批判する人もいますが、しかし、たった8社が牛耳るマス・メディア業界の報道を批判する機能は、インターネットにこそ存在しています。
コミュニケーションには、常に「情報の出し手」と「情報の受け手」が存在します。そして、情報の伝達においては、「情報の受け手」の側が、「情報の出し手」が出してくる情報の信頼性を、自分自身できちんと判断するプロセスが必要です。
「その情報が信頼に値するかどうかを自分できちんと考えることが必要」なのは、マス・メディアであってもウェブ・メディアであってもまったく同じですが、私に言わせれば、情報の出し手が限られているマス・メディアよりも、多様な情報が流れているウェブ・メディアの方が良いと思うのです。
ちなみに当『新宿会計士の政治経済評論』の場合は、東京・新宿に拠点を持つ管理人(ペンネーム「新宿会計士」)が1人で執筆しているサイトですが、いまや月間20万を超えるページビュー(PV)を頂いており、ちょっとしたウェブ・メディアになっていると思います。
ウェブ・メディアもいろいろ
「戦後最悪の総理」ランキング
少し前置きが長くなりました。
最近、インターネットがかなり普及しているためでしょうか、その影響を大きく受けているのが雑誌です。「娯楽の王様」だった雑誌が、インターネットの影響で売れなくなっているらしく、最近だと、雑誌社がウェブ・メディアを運営しているケースも増えて来ているように思えます。
これは、非常に良い傾向です。それこそ雑誌社には長年の取材、編集、記事執筆などのノウハウも蓄積されていますし、新聞・テレビを支配する8社グループが絶対に取り扱わない話題を取り上げるメディアが出現することも期待されるからです。
こうしたウェブ・メディアの1つが、『NEWSポストセブン』です。当ウェブサイトでも、このNEWSポストセブンの記事をときどき取り上げるのですが、困ったことに、このNEWSポストセブンの記事はそれこそ玉石混淆です。次の記事が、その典型例でしょう。
「戦後歴代最低の総理大臣」調査、3位は鳩山由紀夫氏(2018.08.06 16:00付 NEWSポストセブンより)
この記事は、「政治記者・評論家・学者52人に対して実名アンケートを実施し、戦後最悪の総理を選ばせる」というものですが、まずはランキングをご覧ください。
1位:菅直人、2位:安倍晋三、3位:鳩山由紀夫、4位:宇野宗佑、5位:森喜朗、6位:麻生太郎、7位:小泉純一郎、8位:野田佳彦、9位:村山富市、10位:羽田孜。
対象となっているのは「戦後最悪の総理」ですので、近衛文麿のような「戦前の首相」はそもそもランキングに含まれません。
ところで、福島第一原発を爆破した菅直人元首相、沖縄普天間飛行場移設計画などを妨害した鳩山由紀夫元首相、消費増税や「700億ドル韓日スワップ」を推進した野田佳彦元首相、阪神・淡路大震災の被害を拡大させた村山富一元首相らが「戦後最悪」と称されるのは順当な気がします。
しかし、なぜかランキングの2位に安倍晋三総理、6位に麻生太郎総理が入っている点については、どう思われるでしょうか?少なくとも私はここに、非常に強い違和感を覚えるのです。
とくに、安倍総理を批判する人は、おもに左派言論人に多いような気がしますが、少なくとも「歴代2位」に選ばれるほど酷いとは私は思いません。なぜなら、経済政策面ではたしかに見るべき点は少ないものの、外交、安全保障上では日本の国益を最大化する方向で多大な業績を上げていると私は思うからです。
回答者に著しい偏り?
ところが、NEWSポストセブンの記事には、アンケート調査に回答した人のリストは出ていないようですが、記事本文を読み進めていけば、具体的な人名がいくつか出て来ます。そこで、記事本文に出てくる人物を順番にリストアップすると、つぎのとおりです(敬称略、肩書はNEWSポストセブンの記事による)。
- 寺脇研(京都造形芸術大学教授)
- 上村達男(早稲田大学法学学術院教授)
- 森功(ノンフィクション作家)
- 安積明子(政治ジャーナリスト)
- 岸博幸(慶応義塾大学大学院教授)
- 後房雄(名古屋大学大学院教授)
- 村上正邦(元労相)
- 「香山リカ」(精神科医)
- 上脇博之(神戸学院大学教授)
- 野上忠興(政治ジャーナリスト)
- 望月衣塑子(東京新聞記者)
はたして、「戦後最悪の総理大臣を選ぶ」という政治的な話題の記事を執筆するうえで、この人選は適切なのでしょうか?むろん、中には保守的な論客として知られる人もいますが、私の目には、かなり強硬な「反アベ派」が多く選ばれているようにも見受けられます。
とくに、「ゆとり教育」を推進した寺脇研氏や、YouTuberのKAZUYA氏をツイッター上で侮辱した「香山リカ」氏、菅義偉(すが・よしひで)官房長官に支離滅裂な質問を投げつける望月衣塑子氏など、私の目から見れば「有識者」ではない人物の名前がずらずら並んでいるのが気になります。
(なお、「香山リカ」という人名をカッコ付きで示している理由については、『アカウントBAN運動は言論封殺であり、天に唾する愚行だ!』あたりをご参照ください。)
基本的に、何を主張するのも自由
つまり、今回のNEWSポストセブンの記事を読むと、どうもアンケート調査の人選段階で、「アベノセイダーズ」と呼ばれる人たちをかなり選んでしまったのではないかとの疑念を払拭することができません。人名を見ると、「安倍総理が1位にならなかったのがむしろ不思議」だと思えるほどの人選です。
この「アベノセイダーズ」とは、最近のネットスラングですが、「何でもかんでも安倍晋三(氏)のせいにする人たち」のことです。「何でもかんでも日本のせい」と主張する某外国がありますが、それの「政治家版」だと思えば良いでしょう。
もちろん、言論空間では何を主張するのも自由ですし、安倍総理、麻生総理は政治家という「公人」なのですから、誹謗中傷のたぐいも含めて批判を甘受する必要があります。しかし、いくら言論空間が自由だからといって、相手を批判するならば、それなりの根拠を示していただきたいところです。
たとえば、寺脇研氏は安倍総理を
「三権分立を壊すという、とんでもない政治を行なっている。国会軽視、官僚は萎縮、そして政権に対するチェック機能を潰してきた。あげく、司法にも人事で介入する始末。第4の権力とも称されるマスコミにも、圧力を加えてナアナアの関係を築いた。つまり、戦後の立憲主義を破壊した」
と批判しています。しかし、「もりかけ問題」という虚報でマス・メディアは安倍総理を叩きたい放題に叩いており、「第4の権力」の暴虐ぶりはまったく衰えていませんし、国会で野党の議席数が激減したことは事実ですが、その理由は安倍総理のせいではありません。私たち国民の選択によるものです。
また、そのほかの方々のコメントにも、私は強い違和感を抱きます。たとえば、
「モリカケ問題で官僚の公文書改竄や虚偽答弁を招き、いまや与野党の国会議員も首相を忖度して異なる政策を打ち出せない」(森功氏)
という指摘についても、「異なる政策を打ち出せていない」のは安倍総理の責任ではなく、野党の責任です。一方で
「モリカケ疑惑では行政の不正は明らかなのに、何も調査しようとしない。つまり、国民に向き合おうとしない」(望月衣塑子氏)
とおっしゃる人もいますが、望月さんはそのように主張されるのならば、「もりかけ疑惑」における「行政の不正」とやらをジャーナリストの立場から調べて指摘すれば済む話であり、それをサボっておきながら「安倍総理が調査すべきだ」と主張するのは、ジャーナリストとしての責任の放棄です。なお、
「(麻生総理は)反知性主義が目に余る」(「香山リカ」氏)
というご指摘もあったようですが、私はむしろ、この人物が著名ユーチューバーのKAZUYAさんをツイッター上で侮辱しているのをリアルタイムで眺めていて、「反知性主義」とはこの人物のことではないかとすら思います。その意味で、「香山リカ」を名乗るこの人物には、「天に唾する」という言葉をお贈りしたいと思います。
インターネット上の言論空間の特徴
インターネットの長所は記事の共有が可能であること
さて、『NEWSポストセブン』というウェブサイト、記事はそれこそ玉石混淆です。当ウェブサイトではこのウェブサイトの記事を、好意的に引用したこともあれば、批判的に引用したこともあります。ただ、玉石混淆という意味では、良い意味でも悪い意味でも「雑誌」らしいと言えなくもありません。
ただし、インターネット上の記事の場合、長所が1つあります。
それは、簡単に引用することができる、ということです。そして、たいていの記事はツイッターなどのSNSと連携していますし、誰かが某匿名掲示板に転載でもされれば(※)、そこからあっという間に拡散し、多くの人々の感想が書き込まれるのです。
(※)ただし、一般的に記事を丸々引用してコピーすることは、著作権法に照らして問題があります。なお、当ウェブサイトの場合は、リンクさえ示していただければ、「2ちゃんねる」だろうが「5ちゃんねる」だろうが、好きに転載して頂いて問題ありません。
従来の新聞、テレビだと、なかなかこうはいきません。新聞を読んで違和感を抱いても、紙媒体だと、その「もやもや」をインターネットに投稿して共有することが難しいのが実情し、テレビの場合も録画していないとなかなかコンテンツを人々と共有することができません。
ただ、最近だと当ウェブサイトを含め、政治、経済などの評論サイトも増えて来ましたし、YouTubeなどの動画技術が上昇してきました。このため、人々が新聞、テレビを見捨て、次第にインターネットのコンテンツに夢中になってくるというのも当然のことなのかもしれません。
当ウェブサイトの基本思想
いずれにせよ、言論空間においては、何を主張しても自由ですし、政治家に対する批判であってもまったく問題ありません。ただ、それと同時に重要なことは、批判する側も、きちんとした根拠を示すことが出来なければ、容赦なく批判される、という点でしょう。
先ほど、NEWSポストセブンの「安倍総理批判」をいくつか眺めてみましたが、どの批判も抽象的であり、具体性がないという点に気付かれたでしょうか?
昨日私は『中央日報の「歪曲」主張は、究極的に沖縄タイムスと同じ』のなかで、中央日報や沖縄タイムスの具体性を欠いた記事を批判しましたが、「アベノセイダーズ」の皆さんも、イメージだけで安倍批判を行っているという意味では、中央日報や沖縄タイムスなどのメディアと姿勢はまったく同じなのかもしれません。
そして、インターネットの普及で言論空間が飛躍的に広まったことは事実ですが、それは同時に、情報発信がジャーナリストの特権ではなくなったということであり、誰でも気軽に情報発信できるということでもあります。
実は、私自身は安倍政権のことを無条件に支持するつもりはありません。というのも、せっかく中央銀行による金融緩和政策が取られているのに、財務省が財政出動を渋っており、今ひとつ、日本経済がデフレから脱却する兆候が見られないからです。
ただ、安倍政権を批判するならば、「安倍政権はアベノミクスの政権公約に基づく積極的な財政出動を行っていない」といった具合に、政策の欠点については具体的に指摘すべきでしょう。それと同時に、根拠のない思い込みのような「安倍批評」については、遠慮なく批判させていただこうと思います。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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< 更新ありがとうございます。
< 戦後最悪の総理ワースト10 確定版
①ルーピー鳩山由紀夫(不世出の総理笑)
⑵菅直人(福島原発処理で最悪の行動)
③野田佳彦(菅の後釜。日本国の復興に寄与せず、じゃましい。不適格。)
④田中角栄(拝金主義、必要無い新潟インフラ血税かける、フィクサー。やはり小卒では無理だ)
⑤村山富市(連立のカス。阪神淡路大震災で、無能ぶり遺憾無く発揮。北朝鮮とも深い仲。)
⑥中曽根康弘(まだ生きてる笑。戦後政治の総決算、不沈空母と言葉作りは上手いが、所詮政界風見鶏。自分に決定権なし。長いだけ。
⑦宇野宗佑(3本指の旦那。確か最短総理。恥ずかしさではナンバーワン。
⑧三木武夫(弱小派閥だが、クリーンさで総理に。実は社会党、民社党とツーツー。)
⑨森喜朗(体育会系、脳内筋肉。早稲田ラグビーしか興味なし。態度不遜。)
⑩小泉純一郎(パフォーマンス総理。感激したッ。勝手にしとけよ。今、安倍首相をマトにしている。老害。)
< と、思います。 以上。