ラオスのダム決壊事故の続報はなぜ出てこない?
ラオスのダム決壊事故については発生からもう2週間が経過します。そして、この事故は大騒ぎされている割に、客観的な被害状況、事故原因等に関する続報がほとんどありません。やはり、ラオスと韓国という組合せが真相究明を妨げているという点については指摘しておく必要があるでしょう。
目次
被害が少なすぎないか?
東南アジアのラオスのダム決壊事故を巡る報道が続いています。
当ウェブサイトでも『韓国企業が関わるラオスのダム決壊事故に見る中央日報の報道』で紹介したとおり、この事故は現地時間の7月23日(月)午後8時過ぎに発生したとされるもので、当初は死者が20名前後、行方不明者が数百人とされていました。
しかし、これについての第一報が出て来たのが翌日、すなわち24日(火)の日本時間の夜以降です。そして、続報がほとんど確認されておらず、それどころか、被害の実態が隠蔽されているのではないかとの疑念も出ているようです。
24日の時点でラオス当局が外国のメディアに明らかにした内容を改めてまとめておくと、
- 韓国企業など3ヵ国が参加するコンソーシアムが建設中のダムが決壊した
- 50億立方メートルの水量が一気に流れ出た
- 死者は20名前後、行方不明者が数百人に達しており、6600人以上が家を失った
といった基本的な情報ですが、水害は隣国・カンボジアなどにも及んでおり、かつ、衛星写真などからもダム事故の前後で明らかに大量の水が下流に溢れている姿が確認されることなどから、事故の規模は相当大きく、ラオスが発表した死者・行方不明者数は少なすぎるように思えてなりません。
社会主義国の隠蔽体質
ラオスという国の特徴
通常、50億立方メートルもの水量が一気に流れ出せば、流域では想像を絶する被害が生じているはずなのに、死者・行方不明者に関する続報がほとんど出て来ません。また、あれほどまでの大災害が発生していれば、国際社会に対しても大々的に支援を要請して然るべきです。
では、なぜラオスは沈黙を守っているのでしょうか?
おそらく、その理由は、被害の実態を表に出せば、ラオス政府の責任問題に発展し、一党独裁体制が揺らぐことを、ラオス政府が何よりも恐れているからではないかと思います。
外務省のウェブサイトによると、ラオスの人口は650万人、東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟していて、政治体制としては人民民主共和制を採用していますが、要するに社会主義国です。事実上、「人民革命党」という政党が一党独裁体制を敷いています。
現在、中国やベトナムなどに倣い、社会主義体制下で資本主義の考えを取り入れようとしているものの、それでもまだまだ経済発展は道半ばです。ラオスのGDPは約117億米ドル(※2014年時点)であり、1人当たりGDPは2000ドル未満で、まだまだアジアの最貧国水準にあるからです。
社会主義体制でありながらも、アジア最貧国という地位から抜け出そうとして資本主義の原理を取り入れることは、別に不自然ではありません。しかし、人命にかかわるような事態が生じているにも関わらず、社会主義国独特の論理で情報を隠蔽してしまうのはいただけません。
真相究明が必要なのに…
この手の事故が発生した場合、最優先すべきは人命の救助であり、次に被災地の復旧と生活の再建、そして復興です。しかし、それと並んで重要なのは、「なぜこのような大惨事が発生したのか」という原因の究明です。
この「原因究明」は、「誰が悪い」という「犯人捜し」のために行われるものではありません。工法に問題がなかったのか、耐久性はどうだったのか、仕様書・設計図どおりに建設されていたのか、といった科学的知見に基づく観点から、徹底的に究明されるべきものです。
たとえば、土木・建築工事の分野に限定しても、悲惨な事故は、今回のラオスのダム建設工事以外にも、それこそ世界中のあちらこちらで発生しています。古くは米国で1940年7月1日に開通し、4ヵ月少々で崩落したタコマ橋の例などが有名です。
また、わが国は地震国ですから、それこそ1995年の阪神・淡路大震災で、阪神高速の高架道路が横倒しになった事例を含め、さまざまな事故の事例があります。これらについてはのちに強度等のシミュレーションが加えられ、それ以降の工事に生かされています。
今回のラオスの事故についても、単なる工事会社の手抜きなのか、それとも世界一般に採用されているダム工法に大きな欠陥があるということなのかについては、最低限、究明が必要です。
「韓国の建設会社が手抜きをしていただけだ」という話であれば、これは工法ではなく、韓国のその建設会社(あるいはせいぜい、韓国という国)の問題で話は済むかもしれません。しかし、仮に日本の建設会社が建設に関わっていてもダムが決壊したといえるのならば、それはダムの工法の問題でしょう。
工法の国際比較は避けられない
ただ、いかにラオスが隠蔽体質の国だからといって、事故原因のすべてを隠蔽することができるのかといえば、それは不可能でしょう。なぜなら、ラオスは現在、国際社会からの支援を得て、メコン川水系で各所にダムを建設しているからであり、決壊したダムが日本企業のダムと比較されるのも時間の問題だからです。
ラオスはASEAN加盟国の中でも珍しい内陸国であり、タイやベトナムなどと比べると、外国企業の進出も低調です。このため、外貨獲得の手段としてラオスは電力の輸出に力を入れており、実際、ラオスの主要輸出品目には電力が挙げられています。
そうなってくると、ラオスのダム建設に関わっているのは韓国・SK建設だけではありません。今回決壊したダム以外にも、ラオスは各地でダムを建設しており、建設中のプロジェクトの例としては関西電力ウェブサイトに掲載されているナムニアップ1水力プロジェクトなどが挙げられます。
このプロジェクトは、関西電力が筆頭株主となり、日本一の堤高を誇る黒部ダムと同規模の発電所を作るというもので、関西電力によれば「第二の黒四(黒部ダム第四発電所)建設」という意気込みで取り組んでいるそうです。
いずれにせよ、いくらラオス政府が隠蔽したところで、ラオス国内では日本企業がダム建設プロジェクトに携わっているという事情もあるため、日本国内では必然的にに、「日本企業の工法と比べて今回のSK建設の工法に問題がなかったのか」という観点からの検証が行われることになるのです。
とくにわが国は世界に冠たる土木大国でもあり、また、災害も多いことから、各国の事故の事例などには深い関心を払うであろうことは間違いないと思います。
韓国も責任逃れに終始?
zakzakによる容赦ない韓国追及
ただし、こうした科学的で厳密な検証にはそれなりの時間がかかると思います。おそらく、数ヵ月から数年単位で時間が必要でしょう。一方で、ジャーナリズムはもっと早く、現時点で手に入る情報をもとに、韓国企業に対する追及を開始するはずです。
しかし、不思議なことに、日本のメディアはこの問題を巡り、あまり深く取り上げている形跡はありません。こうしたなか、私が見たところ、例外的に舌鋒鋭くこの問題を追及しているウェブサイトの1つが、産経系のオピニオン・サイト『zakzak』です。
以前もzakzakに掲載された、ジャーナリストの加賀孝英氏が寄稿した論考について、『ラオスのダム決壊が日本のせい?「韓国の世論操作」説』で取り上げましたが、zakzakはその後も精力的にこの問題を追いかけており、昨日もいくつかの記事が掲載されています。
ここでは、次の2つの記事を眺めてみましょう。
決壊ダムは最古の工法だった…ラオス激怒、韓国企業に特別補償要求へ(2018.8.4付 zakzakより)
ラオスのダム決壊で再認識…韓国“ポンコツ”技術、過去にも死傷者出す事故続発 識者「背景に見かけ重視の国民性」(2018.8.4付 zakzakより)
記事のタイトルを見ると、実に刺激的です。やれ「決壊ダムは最古の工法だった」だの、「韓国の技術はポンコツ」だの、じつに言いたい放題です。このうち「最古の工法」というタイトルの記事では、
「「欠陥工事か」(米紙ニューヨーク・タイムズ)などと欧米メディアが報じるなか、ダムの工法自体にも疑問が出ている。決壊したダムについて、聯合ニュースは「土を積み上げたアースダム」と報じている。/溝渕利明・法政大教授の著書『ダムの本』(日刊工業新聞社)によると、アースダムは「土でできたダム」「ダムの形式として最も古い」とあり、「地震で壊れてしまう可能性がある」「洪水時の異常出水で越水して決壊してしまう可能性がある」と記されている。」
と記載されています。また、「ポンコツ技術」というタイトルの記事でも、
「韓国事情に精通する朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「見かけ重視の国民性が影響し、建物やインフラの耐久性など目に見えない部分に神経を使わないケースが多い」と指摘する。」
などと記載したうえで、韓国がこれまでに発生させた、「▼1994年10月の聖水大橋崩壊事故(死者32人)、▼1995年6月のソウルの三豊百貨店崩壊事故(死者502人)、▼1996年9月のパラオのコンクリート橋崩落事故(死傷者6人)」などの事例を列挙しています。
ボーナス2000万ドルの不可解
残念ながら私自身は土木技術の専門家ではないため、これらの指摘が正しいのかどうかについて、判断する材料を持ち合わせていません。しかし、もし施工会社側が「欠陥工法だ」と認識していたのだとすれば、これは重過失というほかありません。
また、朝鮮日報など一部の韓国メディアの報道によれば、今回のラオスのダムについても、工期を短縮したことによって発注側から2000万ドルのボーナスを受け取っていたとの情報もあります。これらの点をあわせて考えるならば、
- 「とにかく日本企業よりも早く、安く仕上げる」と言って強引に工事を受注する
- 実際には工費をケチるために、材料費などがもっとも安く上がる工法を採用する
- 工期を短縮するためにずさんな作業を行う
といった、不法行為まがいのことが行われていた可能性は十分にあるでしょう。
原因究明に当たっては、このあたりの実態解明についても必要であることは言うまでもありません。
この期に及んで論点をすり替える韓国メディア
しかし、真相解明こそが必要な局面であるにも関わらず、どうも韓国メディアも論点そらしに汲々としているように見受けられます。これだと韓国は隠蔽体質のラオス政府と大して変わらないと批判されても仕方ないでしょう。
その証拠に、当ウェブサイトにもコメント欄などで複数の方からご指摘を頂いているとおり、韓国メディアでは論点をすり替える記事が掲載され始めているようです。そのなかでも特に酷いと私が感じたのは、ダム決壊事故の数日後に、韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に掲載された、次の記事です。
ラオスダム流失事故、背後には「メコン川開発問題」が隠れている(2018-07-27 06:46付 ハンギョレ新聞日本語版より)
この記事は、前半ではSK建設が施工したダムの決壊原因を巡り、SK建設側が主張する「普段より3倍以上の大雨」によるものなのか、それともSK建設の手抜き工事が原因なのかについては、「事故原因を究明しなければならない」と論じています。この点について私も異論はありません。
しかし、ハンギョレ新聞の論調は、メコン川で「無作為式にダム建設が進み、これによる水位の不安定が生じてきたこと」が、今回の事故の背景にある、とでも言いたいようです。確かに、ハンギョレ新聞の指摘通り、メコン川は世界で12番目に長く、6ヵ国にまたがっているという事情もあるでしょう。
しかし、今回のダム決壊事故は、状況証拠から見ると、「ダム建設が相次いだことによる水位不安定」というよりはむしろ、単純にSK建設が手抜き工事を行っただけ、という可能性を否定することはできません。いずれにせよ、事故原因は今後の検証を待つ必要があります。
それなのに、現段階でこのような記事を出すあたり、ハンギョレ新聞が韓国企業を守るために「論点そらし」をしていると批判されても仕方ありません。
責任追及より原因究明が大事
いずれにせよ、現段階で必要なのは人命救助であり、行方不明者の捜索、被災者の支援を優先しなければなりませんし、次いで被災地の復旧・復興が重要です。そして、落ち着いた時点でじっくりと事故原因を究明し、必要ならば国際社会が連携して今回の問題に対処しなければなりません。
ところが、肝心の被災地であるラオスが情報開示に消極的であるという事情に加え、事故を発生させたSK建設が虚偽の説明をしている疑いが濃厚です。とくに、事故直前になって韓国人の職員全員が避難して無事だったという点を見ても、SK建設側が事故の発生を予見し得る立場にあったことは明白です。
ラオスダム決壊、4日前から兆候…「韓国職員53人は避難したが…」(2018年07月26日07時56分付 中央日報日本語版より)
これについては私自身、『ラオスのダム決壊事故は、「セウォル号事件」の再来なのか?』のなかでも説明したとおり、2014年に発生したフェリー船セウォル号の沈没事故の際に船長以下船員が乗客を見捨てて真っ先に逃げ出した事件を思い出してしまいます。
いずれにせよ、責任究明はもちろん必要ですが、当事者が責任追及を恐れて逃げてしまい、結局、原因がうやむやになってしまうことが、最大のリスクです。
ちなみに私が秀逸なコリア・ウォッチング・サイトの1つだと考えている『楽韓Web』では8月2日付の『ラオスダム崩壊:ラオス政府「ダム決壊は欠陥工事による人災。天災による災害認定はできない」→SK建設に補償を求める模様』という記事のなかで、ブログ主の方が次のように指摘されています。
「まっとうな原因究明が行われるようであれば、驚きですよ。/社会主義国+韓国じゃ組み合わせが悪すぎます。」
残念ながら、この指摘は的を射ています。
やはり、「社会主義国・独裁国家かつ最貧国」という状態のラオスだからこそ、人民革命党による政府は、被害の実態を全力で覆い隠すべきだと判断していると見て良いでしょう。また、人命よりも自分たちの評判を心配する国が韓国です。この2つの組合せだと、当事者による原因究明は絶望的です。
やはり、日本は今後の事故を防ぐという意味でも、落ち着いた段階で、第三者的・客観的な立場から今回の事故原因を究明することに協力しても良いのではないかと思います。また、そうすることで、ラオスの復興、そして日本とASEANとの友好にも寄与するはずだと思いますが、いかがでしょうか?
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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< 更新ありがとうございます。
< ラオスの『ダム崩壊事故』、不思議なぐらい続報がありませんね。外国通信社も配信ないという事は、社会主義国であるラオスが、徹底した報道規制をしているからだと思います。
< しかし、どう考えても死者行方不明の人数は少なすぎる。5つも6つもの村が冠水(というか水没)し、6,600人が家を失ってます。事故の検証をあまりやると、ラオス側にも『贈収賄など言えない部分』があるのかと、疑います。社会主義国と『袖の下』得意の韓国企業なら多分あるでしょう。
< しかし、このままラオスは泣き寝入りせず、SK建設や韓国政府を相手取って、事故の責任に対する保障、賠償を求める方向ですね。相変わらず韓国は『直前までに1,000ミリ以上の想定外の大雨が降ったからだ』『メコン川の他の開発に影響された』と他者に責任なすりつける。
< いやいや、ダムは大量の水を堰き止めるものである。危ないと思えば、少しずつ放流すればいい。下流地域には避難指示を出す。韓国人スタッフだけ先に逃げる全員無事なんて、責任感ゼロだね。怒!
< それに完工率90%以上で、ラオスの報道では決壊前にダム自体11cm下がり、亀裂が入った上部から決壊した。ナニコレ?
< 私が見た該当ダムの工法は、土手にコンクリートの堤を被しただけのように見えるが、小型ダムとはいえ、こんなので大丈夫?『日本の第2黒四ダムに負けるな』で【パリパリ仕事】したのは明らかです。
< すべて行方不明者を探しだすのが第一ですが、水没した畑、耕地、道路、簡易住宅の建設には10年単位でかかるでしょう。また韓国製ダムは、そんな脆弱な構造物、一度スクラップにする迄が韓国側のつとめ。
< 他国の権威など交えて第3者委員会等立ち上げ、 賠償金はタップリ貰って下さい、但し少し急がないと、あの国が無くなるかもしれません(笑)貧困国のラオスは、売電が大きな外貨獲得になる。遺失利益も足すこと。また、中国がメコン川を狙ってます。大規模灌漑用としても更にダムは必要ですね。
< 韓国は、外国に危険な構造物を作るな!国際入札からは退場だ。 以上。
おはようございます。
私個人的にはこのサイトの説明がわかりやすくて、かつ、納得がいきました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/dandoyasuharu/20180801-00091429/
これによるとダム本体というより全体的な設計と運用の問題、という感じでしょうか。
全体的な設計やダムの工法自体はラオス政府も承認しているようですから、ラオス政府もそこには触れたくないでしょうね。となると、土を十分に固めていない可能性や運用(水位のコントロール)などが今後の争点になっていくのかな。
何?この記事
途中で読むの止めたは
情報収集能力無しなんだね
韓国の工作員乙。
確かに二週間経つのに続報と言えば責任問題ばかり。事故の時には再発防止のための原因究明が必要なのに、ちっとも進でなさそう
ですね。
ところでブログ村のアクセス数が凄いことになってません?政治ブログのpvがランキング三位でもうすぐ二位になりそう。で、そうなると当然変なコメントも沸く訳で、少し前からこのブログにも、ネトウヨサイトにありがちな変な煽りコメントが沸くようになりましたね。
ま、以前からの読者の皆さんはスルー推奨で。
http://japanese.joins.com/article/754/243754.html
ラオス政府、ダム事故原因調査委員会を構成…韓国政府にも参加を要請
http://japanese.cri.cn/20180805/2d823d47-1fdd-30c4-2797-6e276180fa86.html
ラオスのダム決壊事故、犠牲者は30人に
現地に行った記者のルポを見ると、実際のところ、泥に埋まってて、まだご遺体を三十体しか見つけられていないというのが本当のところじゃないのですかね。
韓国の英字メディアですが、
http://www.koreatimes.co.kr/www/nation/2018/08/176_253355.html
By Yi Whan-woo なるウリによると
>A dam collapse in Laos’ southern province of Attapeu late July bewilders Koreans because two Korean companies _ SK Engineering and Korea Western Power _ were involved in building the dam.
“were involved in building the dam”のくだりにはブチ切れそうになりますね。
おまえら事業主体だろうに。
韓国(そして中国も)相手にBOT方式でインフラ発注なんてやっちゃいけないことだと、世界が学習するまでにあとどれだけの犠牲者が出るんでしょう。
この事業はPFI方式で32年間のタイへの売電事業で収益を上げた後にラオスに引き渡されます。
そして費用の大半は韓国輸出入銀行の融資であり、売電事業が始まらないことには回収もできない。
どのみち韓国政府はSK建設を追求しなきゃならん立場なのですよ。
この融資の一部にはタイとADBも参加してます。
ラオス政府が今後も開発事業を行いたければ、公正な調査を行う以外の選択は無いように思われます。
そういえば、「ADBの与信管理能力はAIIBとは違う」という言説をチラホラ見ましたが、ADBもこんな事業にお金を貸している様では怪しいモノですね。
こういう案件はAIIBに今後移っていくのでしょうか。
問題のダムでは、ロックフィルダム(石を積む形式のダム)を予定していたが、アースダム(土を積む形式のダム)に仕様変更したようです。これ自体は現地調査の結論であれば問題はありません。(当初の見込みより地盤が強固なのがわかったとか)
不思議なのは、工期短縮によるボーナスがあり、韓国がそれを達成している点です。
アースダムって期間短縮がすげー難しいらしいんですね。
アースダムというのは原始的な工法(悪口じゃないです。実績豊富で長年利用されている工法です)で、ローコストに作れるんですが、その反面大規模なものは工期がかなりかかります。
狭い範囲ならともかく、広い範囲で土を固める(転圧する)のは現実的ではありません。
実際、国内では大規模なアースフィルダムはあまりありません。(ロックフィルダムはたくさんあります)
やるとしても、遮水壁となる部分だけをコストをかけてギチギチに作り、後は粋石で固めて自然に荷重で落ちつかせる、という工法になります。これだと地震にも強いからね。
このあたりの技術的な話は以下が素人でも読みやすかったです。
http://u1sokuhou.ldblog.jp/archives/50512413.html
アースフィルダムは大規模ダムには適さない。土だけを盛り立てるため基礎地盤が軟弱だと崩れやすいし、越流すると崩壊する。日本ではせいぜい溜池くらいにしか使われない。
なので遮水には土(粘土)を中に入れ、表面は岩石で保護したアース・ロックフィルダムが一般的である。
それでもコンクリートダムに比べると越流に対しては弱いので、設計水位はコンクリートダムの2割増しくらいにする。
従って日本人が設計するなら、主ダム(コンクリートダム)に対して副ダム(フィルダム)の築堤を高くする。
現地の副ダムはまだ4基残っているから、現地で測定してみればすぐに判る。
>現地の副ダムはまだ4基残っているから、現地で測定してみればすぐに判る。
「このフリーザは変身をするたびにパワーがはるかに増す・・・その変身をあと2回もオレは残している・・・その意味がわかるな?」
という台詞が脳内で再生されました。
ここ一週間くらい、毎日ラオスのニュースをフォローしてるんですけど、あれだけ西日本の洪水被害を報道している日本で、ここまで黙殺しているのは不気味なくらいです。
で、日本語のニュースはなんとこれだけ
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180809/soc1808090012-n1.html
泥と大水の「泥地獄」…国連、ラオスのダム決壊に重大関心 報告書「ヘリでないと近づけない」
ラオス・ダム決壊 韓国企業の責任は…
zakzakはちょっと反韓国の気合いが滑っている感じがしてどうもねえ。あとは、
https://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/1089103/
世界的食料危機を招きかねない中国ダム開発乱発の悪影響とは
文中にラオスのダム事故があったので検索に引っかかってきたのですが、東スポなのに良い記事です。
21世紀は水戦争が起こるとの予言がありましたが、本当にありそうです。
で、最高に脱力したのが
https://otekomachi.yomiuri.co.jp/escape/20180809-OKT8T96380/
女性ひとり旅も安心! ラオスの古都ルアンパバーンでのんびり
少しは空気読もうぜ。読売新聞ェ・・・・。
右傾左傾に注意して、水平維持に心配りされている内容、読ませて戴いてます。
ラオス大災害の日本のマスコミ、特にテレビは殆んど報道しません。韓国への気配りだと言われています。このままでは親日国ラオスへの義援金の募集さえ危ぶまれます。今まで日本へ義援金など支援して下さったラオス国民は、日本の薄情を何と思うでしょう。此の点について記事を書いて下さい。
日本政府は支援物資を送りましたが、救助人員は西日本豪雨への対応で手一杯で、ラオスに送るまでの余裕が無かったようです。あとは民間企業が泥水の浄化装置を寄付したとか聞いています。
それより、事故原因の解明までは人道支援だけで慎重な対応が必要です。仮に人災であれば、賠償責任は施工した建築業者に有りますし、二次的には事故発生時の賠償保障を契約に含めた企業、そして政府保証を付けたならその国に有ります。
天災の場合は責任者が存在しないため、自国政府や善意の第三者の寄付に頼るしかありませんが、今回のケースは専門家による調査結果を待って判断すべきです。
もちろん人道支援の為に寄付をするのは個人の自由ですけどね。
ラオ・ニュース・エージェンシーやラオシアンタイムス、ビェンチャンタイムスといったメディアでは、ほぼ毎日洪水被害関連のニュースが英字で報じられていましたが、目を通されてますか?
因みに某所の「まっとうな原因究明が行われるようであれば、驚きですよ。/社会主義国+韓国じゃ組み合わせが悪すぎます。」という発言の根拠は7/27ニューヨークタイムスの「650名が暮らす村で65名しか生存確認出来ない」という記事からですが、この記事も元々村名が記載されない、裏取り困難なものだということは考慮すべきです。
そもそも外国人記者が被災地に自由に入れるようになったのは、記者用の特別なビザが発給されるようになった7/27以降だとの話もあるようです。
私も、実際のところ、死亡者数が少ないのは、ご遺体が泥に埋まっていて、まだ発見できないからだと思っています。
行方不明者は残念ながらほぼ生存は絶望的でしょう。
西日本の洪水被害でも、日本の土建能力ですら、未だに泥と格闘されているのですから、ラオスでははるかに条件が悪い。しかも不発弾が洪水の影響で動いてる可能性があるというのですから、現地での復旧・捜索活動は困難でしょう。
しかし、今回の件でラオスについていろいろ勉強しましたが、日本のODAや無償援助などでかなりの関係なのに、ここまで無関心なのはなんででしょうね。森友学園の8億円なんて、ODAの1件分もありませんよw
またラオス独自の英字メディアが複数あるのも初めて知りました。
フランスの植民地だから残った准公用語はフランス語かと思っていました。
返信ありがとうございます。
ラオ・ニュース・エージェンシーとラオシアンタイムスは海外メディア第一報時のソースでしたし(特に前者は、今回の件をburst(決壊)やflood(洪水)ではなくcollapse(崩壊)と伝えた最初のメディアの筈)、ビェンチャンタイムスは最近の報道ソースとしてよく使われています。
8/10のここの記事でも、ビェンチャンタイムス等現地新聞をソースにしていますが、日本含めた海外メディアと一線を画する冷静さと情報の多さは、細かな表現を含めてフォローする価値があると思います。現地取材の少ない御用報道、という側面も在りますが…
あとまあ、日本の報道は…しがらみのないインドネシア地震についてすら続報少ないですしねぇ…
いつも独自の視線と論点から、多くの事柄への考え方を発信されておられる事に、感謝と応援をしております。
浅はかで簡単に情報が手に入る時代にあって、考え方や姿勢を学ぼうとする人は少ない。
良いサイトだとかねがね感じていましたが、管理人さんの姿勢こそ高く評価すべきでしょうね。
<ご返信不要>