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【夕刊】韓国が絶対に呑めない条件を突きつけて放置でOK

昨日の韓国経済新聞の報道によれば、韓国の外貨準備高は4000億ドルを超えたのだそうですが、そんなに潤沢な外貨準備があるのならば、どうして韓国は「日本との」通貨スワップ(BSA)を欲しがっているのでしょうか?

韓国の外貨準備のウソ

韓国が外貨準備高統計でかなりのウソをついているのではないかとする仮説は、私の以前からの持論でもあります。これについては、最新版のデータをもとに分析したものを、『【準保存版】韓国の外貨準備統計のウソと通貨スワップ』という記事にまとめています。少し長い記事ですが、是非、お読みください。

それはさておき、最近、韓国のメディアに、外貨準備高を懸念する論説が、頻繁に掲載されます。昨日の『中央日報』(日本語版)に掲載された、『韓国経済新聞』の次の記事なども、その典型例でしょう。

韓経:【コラム】韓国の外貨準備高、今の水準で充分だろうか(2018年07月06日09時57分付 中央日報日本語版より)

これは韓国経済新聞の記事を中央日報の責任で日本語訳し、掲載しているものだそうです。

4000億ドルの大台突破!

韓国経済新聞の記事要約

リンク先の記事には著作権があるので、記事の全文を当ウェブサイトに転載することは控えたいと思います。そのかわり、私の文責で内容の要約を掲載しておきたいと思います(ただし、意味が通じるよう、語順、誤植等については適宜修正しています)。

  • 韓国銀行が発表した6月末の外貨準備高は史上初めて4000億ドルの大台に乗せた
  • 韓国銀行の外貨準備高は、91.9%が有価証券で構成されており、現金預金の比率は5.6%、金地金の比率は1.2%に過ぎない
  • 有価証券のうち約60%は米国などの外国国債・政府機関債であり、社債や資産流動化証券などにも一部投資している
  • 1997年にアジア通貨危機が韓国に波及した際、韓国の外貨準備高は39億ドルしかなかったため、対外債務の返済のために、国際通貨基金(IMF)に救済を申し込まざるを得なかった
  • 国際通貨基金(IMF)が勧告する韓国の外貨準備高の適正水準は3814~5721億ドルだが、本当に適正な規模についての普遍的なルールはない
  • 外貨準備が多すぎると、外貨購入のために発行した通貨安定証券の金利が米国債の利回りを上回るリスクもある
  • 流動性も重要であり、外貨準備高が3兆ドルを超えているとされる中国も、3分の1ほどは流動性がほとんどない資産だとの指摘もある

記事全文について、ご興味があれば、直接、リンク先をお読みください。ただし、「予備預置金」など、おそらく誤植であろう意味不明な単語も出て来ますので、その点についてはご了承ください。

流動性の問題は深刻だ

実は、この記事のなかでは明確に触れられていませんが、韓国の外貨準備高については、その通貨別内訳も、資産別内訳も、よくわかりません。韓国銀行は、メディアを通じて、公式には「9割少々を有価証券などで運用している」などと発表していますが、これが実に怪しいのです。

まず、韓国経済の性格に照らして、外貨準備の6~9割は米ドル建てであろうと考えられます。その理由は、韓国の主要貿易相手国が、中国や米国などの、事実上の「ドル経済圏」だからです。BIS統計等に照らしても、中韓間の貿易においては、、基本的にはドル決済が中心であろうと考えられます。

ところが、米国側の「TICレポート」などの関連資料と突合してみても、韓国銀行が外貨準備として保有しているであろう「米ドル建て資産」の金額は、最大でも1700~1800億ドル、最小で200億ドル程度に過ぎません(ただし、試算の幅にはかなりのブレがあります)。

おそらく、普通に考えて、米ドル建ての有価証券の割合は400~800億ドル程度であると見るべきでしょう。これに米ドル以外の通貨で構成される資産を加えれた金額が韓国の実質的な外貨準備高なのですが、おそらく1800億ドル程度に過ぎないと私は考えています。

では、4000億ドルと1800億ドルの差額の2200億ドルは、いったい何者なのでしょうか?

これについては、さっぱりわかりません。しかし、一番可能性が高いのは、韓国銀行が過去に運用で大きな損失を計上し、その金額を穴埋めできないまま放置している、というものであり、次に可能性が高いのは、流動性が低いバンクローン、証券化商品などが不良資産化したものではないかと思います。

通貨安定証券や「外貨不足額」

韓国の場合、さらに問題なのが、「通貨安定証券」なる債務証券です。

私はこれについても随分と調べているのですが、韓国銀行が公表する「資金循環統計」(Flow of Funds)などの基礎統計と、さまざまなマーケット情報などに矛盾が非常に大きく、その実態はよくわからないというのが実情です。

ただし、おそらくこの証券は、為替介入をするために韓国銀行が発行したもので、その金額は170兆ウォン(1500億ドル)程度です。その通貨構成についてもよくわかりませんが、仮に韓国国内で利上げすれば、通貨安定証券の調達金利も上昇してしまうため、韓国銀行としては利上げし辛いという状況です。

通貨スワップ待望論

「外貨不足額は1200億ドル」報道

さて、外貨準備統計から離れて、韓国経済の実情を冷静に振り返っておくと、韓国国内でも資金循環統計が信頼されていないようにも見受けられます。その証拠が、次の記事です。

韓国、米利上げ時に通貨危機の可能性…日米との通貨スワップ必要(2018年03月19日13時47分付 中央日報日本語版より)

これは、「通貨危機に見舞われた際の外貨不足額は1200億ドル以上に達する」とする試算を、韓国国内の研究機関「韓国経済研究院」が発表した、とする話題です。ただし、「1200億ドル」の具体的な計算根拠については、正直、記事を読んでもよくわかりません。

しかし、「韓国の外貨不足額が1200億ドル以上に達する」との結果自体は、『【準保存版】韓国の外貨準備統計のウソと通貨スワップ』でも示した、私自身による試算結果とも、それほど大きなズレは生じていません。

使い物にならないBSAと為替スワップ

一方で、韓国は現在、「二国間通貨スワップ(BSA)」協定を、「5ヵ国との間で締結している」と主張しています。しかし、いざという時に使い物になるものは、オーストラリアとのスワップ(100億豪ドル、約75億米ドル)とスイスとのスワップ(100億フラン、約100億米ドル)しかありません(図表)。

図表 韓国と外国中央銀行の通貨スワップ(BSA)
相手国と金額 韓国ウォン 相手国通貨の換算額
100億豪ドル(オーストラリア) 9.0兆ウォン 75.4億米ドル
150億リンギット(マレーシア) 5.0兆ウォン 38.1億米ドル
115兆ルピア(インドネシア) 11.0兆ウォン 82.5億米ドル
100億フラン(スイス) 11.2兆ウォン 100.0億米ドル
3600億元(中国)(※) 64.0兆ウォン 565.8億米ドル
合計 100.2兆ウォン 861.8億米ドル
(うち中国以外とのスワップ) 36.2兆ウォン 296.0億米ドル

(【出所】著者調べ。なお、米ドル換算はWSJの2018年5月4日時点引け値により試算)

韓国が「外国と締結している」と主張するBSAの金額は、全体で900億ドル弱に達していますが、しかし、いわゆる「ハード・カレンシー」とのスワップは、オーストラリア、スイスの両国とのスワップしかなく、それ以外はいずれも国際的に使い物にならない「ソフト・カレンシー」ばかりです。

しかも、中国とのスワップについては、中国人民銀行側は公式には「延長に合意した」とは述べていません。あくまでも韓国側が一方的に、「口頭で延長に合意した」と主張しているだけです。このため、中国とのスワップを除けば、実質的なBSAの金額は300億ドル前後に過ぎません。

さらに、『【速報】カナダ・韓国間の為替スワップは通貨スワップではない!』でも述べたとおり、カナダ銀行との間で締結したスワップは、通貨スワップ(BSA)ではありません。為替スワップです。外貨準備の補完としては使い物になりません。

チラチラ日本を眺める韓国

このように考えていくと、韓国の外貨ポジションは脆弱過ぎ、見ていて危なっかしくてなりません。もし万が一、再び通貨危機が発生して韓国からのキャピタル・フライトが生じた場合、韓国の銀行や企業が発行している円建ての債券の償還可能性にも疑義が生じることになりかねません。

そうなると、日本の企業や銀行にも、少なからず動揺が走ることになります。ひと昔前だと、「韓国は日本の大事な隣国だ」、「韓国を救済しなければ日本企業にも損害が発生する」、などの屁理屈をこねる人がいましたが、これなどまさに、「日本経済を人質にとって韓国を救済させる」という、韓国側の思うつぼです。

ただ、ごく当たり前のことを申し上げれば、企業の投資活動は自己責任で行われるべきです。当然、韓国の経済構造が脆弱であるという事実を無視して、韓国を相手に貿易・投資活動をしている企業がいるならば、それを日本の税金負担で救済するという考え方はおかしなものです。

むしろ、韓国との取引が心配であれば、対韓エクスポージャーを最小化するのが日本企業としての務めでしょう。

定期的にこの手の記事が発生するはず

いずれにせよ、韓国経済を巡っては、文在寅(ぶん・ざいいん)政権の雇用対策などを含め、決して芳しくない状況が続いています。とくに、金融政策面では、利上げしなければ韓国からの資本流出が発生しかねない一方で、利上げすれば失業率、家計債務負担などを圧迫するというジレンマにあります。

一方で、失業率対策を打つのであれば、中央銀行が利下げや金融緩和などを行うのが定石ですが、これをやってしまうと、為替相場に影響が生じ、場合によっては通貨安、資本流出が加速しかねないというジレンマにあります。

こうした状況を踏まえるのならば、韓国が必要としているのは、日本と巨額の通貨スワップ(BSA)を結び、資本流出リスクを排除したうえで、大胆に利下げをすることにほかなりません。

これを行うことで、文在寅政権のミスで高まってしまった失業率水準を少しは抑えることができますし、また、通貨安に誘導されますが、日本とのBSAがあれば、それがバックストップとなり、資本流出は発生しません。むしろ、通貨安になることで、輸出主導で経済が回復する効果も期待できます。

私の試算だと、韓国が必要としている金額は1000億ドル(11兆円)程度です。

逆に言えば、日本としては、韓国経済が苦しいという状況を放置し、眺めるだけで良いと思います。北朝鮮に対して「日本人拉致事件の完全解決をするまでは経済制裁を続ける」と言い放って放置するのと同じようなものでしょう。

韓国がBSAの再開を求めてきたら、「まずはソウルと釜山にある慰安婦像を撤去し、全世界にばら撒かれた慰安婦像を撤去し、日本海を東海と呼び換える運動をやめ、日本に土下座して懇願しなさい」と言い放てば良いのではないでしょうか?

政治と経済は密接につながっています。国民感情に照らして、そのくらいのことを日本政府がやってもバチはあたらないと思います。

新宿会計士:

View Comments (4)

  • < 更新ありがとうございます。
    < 【日韓スワップ。両国にとって必要だ。お互い困った時は助け合わなければいけないね(嘲笑)。】

    < 但し、日本からも条件がある。 1,000億ドル、 11兆円のオネダリは高く付くよ。当然見返りはあるんだろうな。見返りというより、国際的に愚民根性を認め、辱しめに堪えれるかどうかだ。

    < 私的には会計士様の要求プラス、竹島を元に復元して返還、在日人60万人引き取り、仏像無条件返還と謝罪、徴用工像破棄と謝罪、日帝支配期と言う文言をあらゆる発信に使わぬ事、日本に世話になったから今がありますと教科書を改訂する、最後に韓国人来日客の出国税1人5万円、迷惑料の先取りだ。オッとビザ免除プログラムは無いよ。

    < これぐらい呑んだら、考えてもいい。考えるだけだが(笑)。プライドがエベレスト級なんで、無理やろ?(大笑) 以上。

  • 連中に土下座させるなんて下品な報復は見たくもありません。
    韓国に報復するのであれば連中と同じ手法ではなく、よりエゲツなく反発もさせられないような報復が良いと思います。

    日本の使える武器は金融資本、技術です。
    韓国の持つ技術を奪い利権すらもしゃぶり尽くし、水道事業すらもアフリカの様に民営化させ金を搾り尽くして爆発した所で違約金も支払わせればそれはもう美味しいでしょう。

    まぁやりようは幾らでもあるのですからゆっくり骨までしゃぶり尽くしましょうよ。2度と立ち上がれなくなるように。

  • >韓国がBSAの再開を求めてきたら、「まずはソウルと釜山にある慰安婦像を撤去し、全世界にばら撒かれた慰安婦像を撤去し、日本海を東海と呼び換える運動をやめ、日本に土下座して懇願しなさい」と言い放てば良いのではないでしょうか?
     要求をもう一つ付け加える必要があります。
    「竹島を無条件で返還し、長期にわたる不法占拠を謝罪・賠償すること」です。