【夕刊】珍説「安倍と麻生が朝日新聞の信頼度を落とした」

先日、当ウェブサイトでは、『NEWSポストセブン』というメディアに掲載された、「朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位」とする記事を紹介しました。ところで、その記事に「続編」があったようなのですが、その「続編」の内容は、まことに残念な代物です。

「朝日新聞は信頼できない」

NEWSポストセブンの続報

先日、当ウェブサイトに掲載した『【夕刊】「安倍=ヒトラー」説で本質から逃げる反日左翼』とする記事のなかで、「朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位だった」とする、NEWSポストセブンが報じた次の話題を紹介しました。

朝日新聞の信頼度は日本の有力紙の中で最下位 英調査(2018.07.02 07:00付 NEWSポストセブンより)

これは、英国の調査機関が日本の主要新聞6紙を比較したところ、読者の信頼度が最も低かったのが朝日新聞だった、とする話題です。ただ、先日も申しあげたとおり、このNEWSポストセブンの記事だと、朝日新聞の信頼が低い理由に関する斬り込みが不足していて、今ひとつ、読後感はすっきりしません。

こうしたなか、昨日、NEWSポストセブンにその「続報」ともいえる記事が掲載されていました。

信頼失った朝日新聞 安倍―麻生の印象操作の餌食に(2018.07.04 07:00付 NEWSポストセブンより)

この記事では、先日の記事と異なり、冒頭で

信頼度が下がり、国民から不信を持たれる原因は、慰安婦報道や吉田調書問題など間違った報道を誤報と認めて謝るのが遅すぎるからだろう。」(※下線部は引用者による加工)

と指摘しています。

「朝日新聞が信頼を失ったのは安倍・麻生のせいだ」

ちなみに、慰安婦報道や吉田調書問題は「誤報」ではありません。「捏造報道」です。しかも、慰安婦捏造報道事件や吉田調書捏造報道事件などは、朝日新聞の「信頼度を下げる」どころか、私たち一般国民の怒りを買った事件ではないかと思うのですが、このあたりについてはひとまず差し置くとしましょう。

問題は、「隙だらけの朝日新聞が安倍晋三総理、麻生太郎副総理の両名に利用された」とする指摘の部分です。NEWSポストセブンは、

安倍晋三・首相と麻生太郎・副総理兼財務相にとって、隙だらけの朝日新聞は格好の標的だった。朝日が政権批判の記事を書けば書くほど、2人は同紙の記者を翻弄することで“捏造の朝日”というレッテル貼りと自己正当化に利用した。

国民の信頼を失った朝日新聞は、安倍―麻生の印象操作に簡単にやられてしまった。

などと主張するのです。

この、「朝日新聞の記者を翻弄することで『捏造の朝日』というレッテル張りと自己正当化に利用した」とは、「『安倍晋三記念小学校』報道」で麻生太郎副総理が朝日新聞の記者に詰め寄ったという話や、安倍総理が国会答弁で朝日新聞を批判したという話をすり替えたものです。

やはり、しょせんNEWSポストセブンはたんなるゴシップ紙なのでしょうか?「英国の調査機関の調査によれば、朝日新聞の信頼度が低下している」という、普通のメディアがあまり取り上げない話題を取り上げてくれたこと自体には感謝したいと思います。

しかし、「朝日新聞に『捏造メディア』というレッテルを貼ったのは安倍(氏)、麻生(氏)だ」とする主張自体、極めて浅薄であり、まことに残念です。

朝日新聞の自爆だと思います

検索ワードは「ウソの新聞」

NEWSポストセブンの記者には大変申し訳ないのですが、朝日新聞が「捏造メディア」ではないかとの認識が一般化した理由は、別に「安倍(氏)、麻生(氏)が自己正当化のために朝日新聞にレッテルを貼ったから」ではないと思います。

インターネットを使って自分で情報を取りに行くという癖がつくと、朝日新聞が過去に報じたウソなど、たやすく見つけられるからです。その結果の1つが、「ウソの新聞」というキーワードです。

今年2月頃の話ですが、グーグルで「ウソの新聞」というキーワードで検索すると、朝日新聞が検索結果として表示されるという、まことに興味深い現象が発生したことがありました(『「嘘の新聞」とは、もしかしなくても「朝日新聞」です』参照)。

最近ではさすがに「ウソの新聞」で朝日新聞が直接表示されることはなくなったようですが、それでもインターネットを使う人たちの間では、「朝日新聞はウソばかりついている」という認識は、すでに一般的なものになりつつあるように思えてなりません。

実際、慰安婦問題の捏造事件を暴いたのも、インターネット上で人々が自発的に協力し、少しずつ、丹念に証拠を集めた結果ですし、朝日新聞は吉田証言に基づく一連の慰安婦報道については、2014年8月5日付で撤回を余儀なくされています。

インターネットは日本社会に間違いなく良い影響を与えているのだと思うのです。

相互牽制が効かない新聞とテレビ

では、どうして朝日新聞による悪質な捏造報道が、近年になって急に頻出するようになったのでしょうか?その理由はとても簡単で、1990年代までは、日本の情報の大部分は、新聞とテレビを中心とする、極めて限られた企業グループが統制していたからです。

RSFランキング最新版と倒産に向かうマスゴミ』で説明しましたが、日本の大手メディアといえば、事実上、8社に限られます。もちろん、新聞社とテレビ局は別組織ですが、たとえば朝日新聞グループの場合は、朝日新聞とテレビ朝日(東京)、朝日放送(大阪)などが同一資本に属しています。

さらに、全国各地に地方紙、地方局はたくさんありますが、これらのメディアに対しても、地方紙の場合は共同通信、時事通信などの大手通信社が、地方局の場合は全国キー局が、それぞれ記事、番組を配信するというケースも多いのが実情です。

朝日新聞社がかなり大々的な捏造報道を行っていたという事実は、少なくともテレビが取り上げる話題ではありませんでしたし、また、テレビ局が放送法第4条第1項を無視して偏向報道を続けているという事実についても、新聞各社は大きく批判して来ませんでした。

同一資本である以上、当たり前です。

そして、別にこれは朝日新聞グループに限った問題ではありません。たとえば、2011年8月に、フジテレビ社屋を数千人のデモ隊が取り囲むという「事件」が発生しましたが、私が記憶する限り、産経新聞がこの事件を詳報したような事実はなかったと思います。

このように考えていけば、2000年代以降になって、報道不祥事が急に発生し始めたかにみえるのは一種の「錯覚」に過ぎません。答えは、新聞、テレビを無視して、インターネット上で情報が広く普及し始めたからです。

安倍晋三、麻生太郎の両氏が最近、朝日新聞批判を行っていることは事実かもしれませんが、これはあくまでも、「朝日新聞がさまざまな捏造報道を行ったから」であって、「朝日新聞に『捏造新聞』というレッテルを貼るため」ではありません。因果関係は逆なのです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。
    < 『NEWSポストセブン』は、単なるゴシップ誌だと確信します。小学館発行で、昔あった(今も生きながらえているのか?)『週刊ポスト』、芸能ネタ中心の『女性セブン』の統合版のようなものです。『週刊ポスト』などまったく、全盛時の憎たらしい『週刊朝日』『サンデー毎日』や、『週刊読売』『週刊新潮』『週刊文春』らには太刀打ちできず、『週刊宝石』『週刊現代』あたりと中高年狙いでしたが、全然パッとしませんでした。
    < 書き手が(入力者が)知性が低いのと、いわゆる社外ライターに任せているからだと思います。だから、前号の主張と最新号ではスジが通ってない。編集者も三流。正直、マユツバものの記事が多く、『ああ、また嘘を、思ってもいない事を書いてるな』ぐらいで済ましてます。いずれ、無くなるのではないでしょうか。以上

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