解散総選挙・緊急分析

本日は予定を変えて、急遽、解散総選挙についての分析と雑感をお届けしたいと思います。

解散総選挙を斬る

最初にお断りをしておきます。

本日は、最初は当ウェブサイトの大人気コンテンツである『韓国滅亡へのシナリオ・アップデート』という記事を公表するつもりでした。しかし、昨日の日曜日、報道各社がいっせいに「安倍晋三総理大臣が衆議院の解散総選挙を決断した」と報道。これについていろいろと思うところもあるため、当初の予定を変更して、この「解散総選挙」に関する話題について取り上げてみたいと思います。

報道は真実か?

まず、大前提として、これらの報道は真実かどうか、という問題があります。

首相、10月衆院選の意向 早期解散、与党へ伝達(2017/09/17 11:50付 共同通信より)
臨時国会冒頭にも解散=安倍首相、与党幹部に伝達-10月衆院選有力(2017/09/17-17:51付 時事通信より)
与党が年内解散へ準備(2017年9月17日 02:08付 ロイターより)

報道により若干ニュアンスに違いはあるのですが、読売、朝日、毎日などの主要全国紙、時事・共同・ロイターなどの各通信社の報道を総合すれば、解散総選挙、公示、投開票の時期は、今月28日に召集予定の臨時国会の冒頭で衆議院を解散する可能性が濃厚であるとしています。

ただし、報道によっては、解散時期が各会派の代表質問(10月2~4日)直後にあたる10月初旬とする説や、あるいは10月22日の補選後の結果を見極めたうえで11月に解散、12月に投開票、という説も入り乱れています。

衆議院解散総選挙に関する現時点の報道
  • ①9月28日に冒頭解散/10月10日公示/10月22日投開票
  • ②9月28日に冒頭解散/10月17日公示/10月29日投開票
  • ③10月初旬の各党代表質問直後に解散/10月下旬公示/11月投開票
  • ④10月22日の補選後の11月に解散/12月に公示・投開票

なお、現時点の最有力説である①、②の日程だった場合、10月22日に投開票を予定していた衆院青森4区、新潟5区、愛媛3区の補欠選挙は行われず、総選挙とまとめて実施されることになると考えられます。

いずれにせよ、各メディアが一斉に報じた内容を見ると、大筋では臨時国会の冒頭で解散し、10月中に総選挙が行われる可能性が高いという点では一致しており、本稿でも「9月28日解散、10月29日までに投開票」という前提で議論を進めてみたいと思います。

解散総選挙をどう読むか?

とはいえ、私自身はジャーナリストではありませんし、別に安倍総理やその周辺の政治家と直接の知り合いでもありません。したがって、直接、これらの政治家から話を聞く立場にはありません。

ただ、敢えて今回の解散総選挙について考えるならば、政治的な判断としては非常に興味深いと考えます。

「なぜ、このタイミングなのか」については、3つの要因があると考えています。それは、

  1. 解散を決断する権限がある安倍総理自身の政治日程
  2. 改憲、消費税などの重要な政治課題への対応
  3. 野党がグダグダな今、解散を仕掛ければ勝てるという目算

です。これらについて、1つずつ確認していきましょう。

総裁選とご譲位を考えるなら、来年6月までには総選挙を!

前回の衆議院議員総選挙が行われたのは2014年12月のことであり、放っておけば、遅くとも2018年12月には総選挙を行う必要があります。

これを、安倍総理自身の視点から確認してみましょう(図表1)。

図表1 安倍総理から見た重要政治日程
時期出来事想定される注目点
2018年9月自民党総裁選挙安倍晋三総理(自民党総裁)は3選を目指す?
2018年(平成30年)中今上天皇のご譲位平成が終わり新元号が公布される
2019年7月参議院議員通常選挙スケジュール的に消費増税派争点となり得ない
2019年10月「再延期」された消費税・地方消費税率の引き上げ税率が合計8%から合計10%に増税される予定
2020年夏東京五輪各種インフラ整備を終了させる必要があり、景気対策も必要?
2020年中?憲法改正憲法第9条の取扱い等
2021年9月安倍総理が自民党総裁に3選された場合の任期満了この時点まで在任すれば、安倍総理は歴史上、最も長く総理を務めた人物となる

時系列で追うならば、まず、来年(つまり2018年)の9月には、ご自身の自民党総裁としての任期満了が控えています。安倍総理自身にとっての「悲願」である憲法改正を達成するためには、まず、この自民党総裁選を勝ち抜かねばなりません。

次に、同じ2008年には、今上天皇の皇太子殿下へのご譲位が予定されており、2018年中(または2019年の早い時期)に皇太子殿下が新天皇に即位され、元号が改正されるとみられます。

この場合、おそらく平成は30年で終了することになりますが、国民生活への影響を考えるならば、2018年の早い段階で新元号を公布しておき、2019年1月1日から新元号の元年とすることが理想でしょう。

衆議院の任期切れ(2018年12月13日)のギリギリになって総選挙を実施すれば、わが国の国家元首の交替というタイミングに重なってしまい、政治的にも大きな混乱が生じかねません。

このように考えるならば、安倍総理が自民党総裁として3選されてから衆議院を解散総選挙するのではなく、もっと早いタイミング(たとえば2018年6月まで)に解散総選挙が行われてしかるべきです。

その意味で、安倍総理自身の総裁選、天皇陛下のご譲位という2つの政治イベントを控えた2018年ではなく、今年のこのタイミングで衆議院の解散総選挙を実施するという考え方は、非常に合理的です。また、今年の総選挙で良い結果を残すことができれば、その後のさまざまな政治課題に対しても、じっくりと腰を落ち着けて取り組むことができるからです。

消費増税凍結と新憲法

もっとも、仮に今年10月に衆議院選挙が行われた場合であっても、今後の政治課題は目白押しです。

その最たるものは、2019年10月に予定されている、消費税率の再引き上げです。2014年4月の増税により、消費税と地方消費税の税率は5%(消費税4%、地方消費税1%)から8%(消費税6.3%、地方消費税1.7%)に引き上げられ、当初の予定ではさらに2015年10月に10%(消費税7.8%、地方消費税2.2%)に引き上げられるはずでした。

しかし、2014年12月の解散総選挙、2016年7月の参議院議員通常選挙では、安倍総理はこの消費増税の延期を掲げ、それぞれ勝利しました。

安倍総理も、なかなかしたたかになったと思います。

私は、安倍総理がこの「消費増税の延期」「消費増税の再延期」で選挙戦を制したという経験から、総選挙が2018年に行われる場合は「消費増税の凍結」を争点に打ち出すのではないかと見ていました。しかし、仮に現段階で解散総選挙を行うのであれば、再来年に予定されている消費増税を、敢えて争点にする必要はありません。

もちろん、私個人としては、アベノミクスを成功させるために、安倍総理には今回の解散総選挙でも、敢えて「消費増税の凍結」を政権公約に掲げて欲しいという思いはあります。しかし、安倍総理が、「何もいたずらに財務省や増税派議員らを刺激する必要などない」と考えたとしても、「政治判断」としては、別に不自然ではありません。

この場合、消費増税の凍結を巡っては、総選挙を制したあとで、2019年に予定されている参議院議員通常選挙までに判断することになると考えています。というのも、これを参議院議員通常選挙の争点にするには、時間がなさすぎるからです。

そして、消費増税凍結と並んで優先順位が高いのは、新憲法です。

「2020年までに新憲法」という野心的な目標を達成するためには、2020年に新憲法案を可決していたのでは遅すぎます。憲法の場合、国会が新憲法案を可決しても、それだけでは憲法として成立しません。国民投票が必要だからです。

さらに、1年から2年程度の周知期間を置く必要があるため、実務的にはどんなに遅くとも2019年前半(理想を言えば2018年中)には新憲法案を可決し、国民の信を問う必要があります。

安倍総理は「参議院議員通常選挙」をにらんでいる?

そのように考えていくならば、安倍総理は今年中に解散総選挙を実施し、国会日程としては2018年から2019年にかけて、新憲法と消費増税の可否の判断を行ったうえで、2019年7月の参議院議員通常選挙に臨む、という流れが考えられます。

もし、安倍総理がこの流れを念頭に置いているのなら、安倍総理が政治的な求心力を維持し、高めるために、少なくとも現有勢力以上の議席数を獲得する必要があります。

仮に、現有勢力以上の議席数を獲得すれば、引き続き政権与党(自公)が衆参で3分の2以上を占めるという状況を維持することが可能です。というか、むしろ安倍総理の求心力は、間違いなく、今以上に高まります。

以上から、たとえば、

  • 2018年前半に新元号を公布する
  • 2018年9月に安倍総理自身が自民党総裁選を制し、3選される
  • 2018年中に消費税増税の凍結法(あるいはむしろ引き下げ)を可決する
  • 2019年前半に新憲法草案を可決する
  • 2019年7月の参議院議員通常選挙と新憲法の国民投票を同時に実施する

という流れが現実のものになってくるのです。

(※ただし、消費増税の凍結は、あくまでも私自身の希望的観測に過ぎません。)

では、勝てるのか?

加計学園事件は史上初の「マスゴミ敗北」

そこで、安倍総理が解散総選挙を決断するうえで、重要な視点の1つは、「いま選挙をやれば、勝てるのか?」という点です。

既存のマス・メディアの調査によれば、内閣支持率、自民党に対する支持率は、今年5月頃までは、非常に高い水準で推移していました。

しかし、安倍総理が今年5月に、「2020年までの憲法改正」を具体的に提唱したことをきっかけに、あの「言論テロ」が発生します。そう、加計学園「問題」です。

私が考える加計学園「問題」の経緯は、だいたい、次のような流れです。

朝日新聞社による加計学園「問題」の捏造と倒閣運動
  • 天下り問題で今年1月に引責辞任した前川喜平・前文科省事務次官が、文科省の内部文書(あるいは怪文書)を写メールなどでコピーし、文書をPCで自作して、朝日新聞社に持ち込んだ
  • 朝日新聞社がこの「前川捏造文書」を大々的に報道。これにテレビが乗っかる形で、一斉に「安倍政権倒閣運動」が発生した
  • 新聞社・テレビ局などのマス・メディアが実施する6月・7月の世論調査では、内閣支持率が最大25%ポイントほど下落。安倍総理は8月3日に内閣改造を余儀なくされた

その意味で私は、この加計学園「問題」については、明らかに朝日新聞社による社運を賭けた倒閣運動だったと考えています。

しかし、マス・メディアの暴走を止めたのは、インターネットでした。

加計学園「問題」を巡っては、参議院議員の青山繁晴氏による、加戸守行・前愛媛県知事に対する質問のやりとり(7月10日、7月25日)を見れば、行政を歪めていたのがむしろ文科省の側であるということは、一目瞭然でした。

既存のマス・メディアは、「報道しない自由」を最大限行使して加戸証言を黙殺しましたが、このことがインターネット・ユーザーの怒りの火に油を注ぎました。インターネット上では、TBSやNHK、朝日新聞などのメディアに対する批判が大合唱となり、TBSなどのメディアに対しては大規模な抗議活動も発生。人々のマス・メディア不信はますます高まった格好になっています。

それだけではありません。

加計学園「問題」は野党に飛び火。加計学園「問題」追及の「急先鋒」の1人だった民進党の衆議院議員・玉木雄一郎氏が、獣医師会(日本獣医師政治連盟)から多額の献金を受けていたことが発覚。インターネット上では玉木議員に対する批判が大洪水のごとく巻き起こり、民進党にとっては盛大なブーメランが突き刺さったのです。

その意味で、加計学園「問題」の本質とは、国民を舐め腐り、腐敗しきったマス・メディアが、自分たちの力を確かめようと世論誘導を図ったものの、あえなく失敗したという事件だったと言えるでしょう。

世論操作の本質

もっとも、6月から7月に掛けて、主要マス・メディアによる世論調査では、内閣支持率が20~30%ポイント近く下落したことも事実です。

少し古い記事で恐縮ですが、7月の主要メディアによる世論調査の一覧を眺めてみましょう(図表2)。

図表2 主要新聞・テレビによる世論調査とネット世論調査
媒体支持不支持
読売(7/7~9)36%52%
朝日(7/8~9)33%47%
毎日(7/22~23)26%56%
日経・テレ東(7/21~23)39%52%
NHK(7/7~9)35%48%
共同(7/15~16)35.8%53.1%
産経・FNN(7/22~23)34.7%56.1%
ニコニコ動画(7/20)51.7%24.1%
netgeek(7/19~7/26)72%28%

(【出所】ニコニコ動画《世論調査》安倍内閣支持微減51.7% 不支持微増24.1%~ネット調査7月号~およびnetgeek記事より著者作成)

この調査を見れば、「反日媒体の急先鋒」として知られる毎日で支持率が26%にまで下落していますが、その他のメディアの調査でも政権支持率は軒並み低下。「保守系」を自称する産経・FNN調査でさえ34.7%というありさまでした。

しかし、そもそも論として、マス・メディアによる世論調査は、日本の有権者全体の意見を公平に反映しているといえるのでしょうか?

私はそうは思いません。その理由はいくつかあるのですが、その最たるものは、ニコニコ動画の調査が既存メディアの調査と全く違う結果を示していることです。

インターネットで行われるニコニコ動画の調査では、終始一貫して内閣支持率は50%を超えており、少なくとも2016年9月から2017年8月までの各月で50~60%、不支持率は15~20%でほぼ安定していました。ただし、ニコニコ動画の調査でも、2017年7月については、不支持率が24.1%にまで上昇していますが、それでも既存のメディアの調査と比べれば、群を抜いて低いといえます。

それに、マス・メディアによる世論調査は、調査が行われるインターバル、タイミングが各社ともてんでバラバラですし、方法も一貫しません。これに対して、ニコニコ動画の場合は世論調査の実施方法質問項目や実施日時、結果の詳細、さらには過去の調査結果が、全てインターネット上で公開されており、非常に透明性が高いという特徴があります(※ただし、ニコニコ動画側で調査結果の捏造を行っていないという前提条件が付きます)。

もちろん、私は「既存メディアが調査結果を捏造している」と申し上げるつもりはありません。私の仮説は、既存メディアが調査対象としている有権者の母集団が、高齢者、テレビ視聴者層などに極端に偏っている、とするものです。つまり、既存メディアの調査の結果、政権支持率が極端に低下した理由は、母集団がテレビや新聞に影響を受ける人たちに著しく偏っており、テレビが安倍倒閣運動を行った結果、そのバイアスを強く受けて支持率が低く出てしまったのだと考えられます。

実際、いくつかのメディアの追跡調査を見る限り、8月、9月の政権支持率は軒並み上昇に転じています。「もり・かけ問題」で騙される有権者は、しょせん、その程度の判断力しかない、ということです。

なお、図表2に示したnetgeekの調査では、政権支持率が72%を記録したとされていますが、私は逆に、この調査については信頼性が高くないと考えています。その理由はいくつかありますが、その中で最大の欠陥は、二重投票を防ぐ仕組みが担保されていない、という点です(※ニコニコ動画の場合は全動画を止めて世論調査を実施するため、二重投票は不可能です)。また、記事の性質上、安倍政権の支持者、マス・メディアに対する不信感を抱く者などが積極的に投票に応じたと考えられるため、支持率にバイアスがかかり、既存メディアと逆の意味で、回答者の母集団が著しく偏っていると考えているのです。

いずれにせよ、私は事実上、政党支持率、内閣支持率のいずれで見ても、現在の安倍政権は衆議院議員総選挙で勝利する可能性が極めて高いとみています。

グダグダすぎる民進党

というのも、安倍総理が「解散総選挙」に踏み切って勝てるのかどうか、その最大の要因は、対抗勢力、つまり野党にあるからです。

とりわけ最大野党・民進党の状況は重要です。

マス・メディアは、民進党を初めとする野党勢力に甘く、彼らの不祥事については、「報道しない自由」を使って、ほぼ黙殺しています。たとえば、先日民進党を離党したばかりの後藤祐一議員が泥酔し、タクシーの運転手とトラブルになった事件や、同じく後藤祐一議員が官僚に対してパワハラを働いた事件などについて、まともに報じたメディアは、産経などの一部メディアを除き、ほぼ皆無に近いといえます。

しかし、ここでも大活躍しているのがインターネットです。

先ほども玉木雄一郎議員の話題を紹介しましたが、私が見た限り、玉木議員がツイッターなどで情報を発信すると、いまや寄せられるリプライの98%程度は玉木議員を批判するものばかりです。

その中でもとくに酷い事件といえば、前代表の村田蓮舫(むらた・れんほう、中国名「謝蓮舫」=しゃ・れんほう)参議院議員による「二重国籍問題の説明」です。これもインターネットでは有名な話ですが、謝蓮舫氏は「台湾当局が発行した」とされる国籍離脱許可証を、国籍離脱の証拠として提示しましたが、不自然な箇所が多々あり、インターネット上で無名の多くの有志による検証が加えられ、おそらく偽造ではないかと結論が導かれました。

謝蓮舫氏が自身の二重国籍問題に関する説明会を行ったのは7月18日でしたが、その10日後の7月28日に、謝蓮舫氏は民進党の代表を辞任すると表明しました。この10日間で、謝蓮舫氏は逃げ切れなくなった格好です。

もっとも、泥船から逃げ出すネズミのごとく、民進党の離党ラッシュは止まらず、9月1日に前原代表が就任する前後で、複数の議員が離党しています。

民進党を離党した議員の中には、鈴木義弘衆議院議員のように、比例区で当選した議員も含まれています。鈴木議員に対しては、民進党の大島敦幹事長が「比例で当選した以上、議員を辞職するのが筋だ」と伝えたそうですが、もとをただせば、鈴木議員は旧民主党ではなく、旧維新の会で当選した人物です。次の産経ニュースの報道によれば、日本維新の会の代表を務める松井一郎・大阪府知事は民進党に対し「むしろ議席を維新に返すべきだ」と怪気炎を上げたそうです。

松井氏“激怒”「本当にピンぼけ」 旧維新で当選の離党議員に民進執行部「議席返せ」発言(2017.9.13 20:41付 産経ニュースWESTより)

この松井知事の発言、全くの正論というほかありません。

小池ファースト党、早くも迷走中

一方、崩壊直前の民進党議員が逃げ出す最も有力な勢力が、「小池ファースト党」です。

その勢力の1つで、実質的に小池百合子・東京都知事が率いる「都民ファーストの会」は、7月2日に行われた東京都議選で、自民党東京都連を惨敗に追いやり、大躍進しました。

こうした中、「小池人気」にあやかろうと、自民党を離党した若狭勝衆議院議員、民進党を離党した細野豪志氏が、都内の料亭で小池都知事と会談しています。

小池都知事、細野氏と会談=「しがらみない政治を」(2017/09/11-22:59付 時事通信より)

(※余談ですが、時事通信は会談場所を「都内の日本料理店」と報じていますが、こうした報道は明らかにアンフェアです。自民党議員の会談の場合は「都内の料亭」と報じるわけですから、時事通信が小池ファースト勢力を支援していることは、こうした細かい言葉遣いからも露骨に見えてくるのです。)

ただ、国政に進出するための理念も具体的な政策もなく、また、明らかに能力・経験が不足している若狭氏や細野氏に、国政を担うだけの資格があるようには、私にはとうてい考えられません。

小池氏もしたたかなのか、きっと彼らの資質を見抜いたうえで、彼女自身が若狭氏の設立した「日本ファーストの会」とどう関わるつもりなのか、全く言質を与えていないようです。

私は、小池氏の実務能力については大いに疑っているのですが、小池氏の「政局を読む力」については、一時期の小沢一郎氏並みの嗅覚の鋭さがあると考えており、強く警戒しているのです。

事実、私がひそかに「小池ファースト党」と呼ぶ「都民ファーストの会」が、代表人事で大きく迷走し始めています。

「都民ファーストの会」(実質的に「小池ファースト党」)は、今年1月に発足した当初は野田数(のだ・かずさ)氏が代表を務めていましたが(小池氏は特別顧問)、6月に小池氏自身が野田氏に代わり代表に就任。しかし、小池氏は都議選直後の7月に再び代表を退いて特別顧問に就任し、再び野田氏が代表に就任。今度は9月に野田氏が「小池氏の特別秘書職に専念したい」として代表を退き、小池氏の衆議院議員時代の秘書だった荒木千陽(あらき・ちはる)氏が代表に就任しました。

ところが、この選出過程がきわめて不透明です。

というのも、幹事長、政調会長、特別顧問からなる「代表選考委員会」が、「規約に基づき」、荒木氏を新代表に選出したとしていますが、「都民ファーストの会」に所属する都議会議員らによる総会が行われた気配はありません。

実際、同会に所属する音喜多駿(おときた・しゅん)都議は、この代表選出プロセスには「異議がある」と述べたのだそうです。

先ほどの記者会見で新代表から説明があった通り、本日の議員総会にて代表選出のプロセスには異議があることを強く主張し、新代表の現時点での就任には反対を表明しました。言うべきことはきちんと主張し、今後の改革のために尽力します。取り急ぎ。2017/09/12付 ツイッターより)

ちなみに音喜多氏に対しては、「ほかにいくらでも言うべきタイミングはあったのではないか?」といった批判も寄せられているようですが、私個人的には全く同感です。

いずれにせよ、「都民ファーストの会」は、私に言わせれば、実質的には「小池氏が一番大事」だという「小池ファースト党」であり、もっといえば「自分たちの議員の身分が大事だ」と考える「自分ファースト党」です。旧民進党から流れてきたグダグダな人たちが集まったのが同会である以上、マス・メディアがどれほど彼らを擁護したとしても、そのグダグダぶりを治すことなどできないでしょう。

日本共産党を切った前原氏に心の底から感謝します

こうした中、民進党に視点を戻しましょう。実は、私は前原代表のことを高く評価しているのです。その理由は、共産党との選挙協力を断ち切ったことです。

こうした中、前原代表が自由、社民両党に対し、統一会派の結成を提案する予定だとする報道がありました。

前原氏、統一会派提案へ(2017年9月16日 20:08付 ロイターより)

党連」を略すと「野合」とでもいうのでしょうか?ただ、私に言わせれば、理念もない「選挙互助会」に過ぎない民進党と、極左「パヨク」政党である社民党、「自由主義」を名乗っていながら筋金入りの反日主義者が率いる自由党の3党は、ある意味で野合に相応しいと思います。

社民党も自由党も、いずれも変わったコアな人たちが支持しているので、選挙協力をすれば、それなりに議席を上積みすることはできるかもしれません。しかし、強い組織票を持つ反社会的組織・日本共産党との選挙協力が実現しなければ、彼らが国会で大きな勢力をもつ可能性は、それほど高くありません。

とくに、日本の衆議院議員選挙の場合、小選挙区では死票が大量に出るという特徴があります(図表3)。

図表3 過去の小選挙区における自民党と民主党の得票率・議席数

これによれば、民主党(現・民進党)は2012年、2014年と、小選挙区における得票数は自民党の半分程度であるにもかかわらず、獲得議席数は自民党と比べて1~2割程度に留まっていることが確認できます。

したがって、組織票がしっかりしている共産党がバックについてしまえば、民進党が小選挙区で思いのほか「善戦」してしまいかねません。

うがった見方ですが、安倍総理がこのタイミングで解散総選挙を決断したのだとすれば、その最大の要因は、民進党等共産党の選挙協力がないと判断したからではないでしょうか?

いずれにせよ、謝蓮舫氏が代表を務めたままであれば、最大野党である民進党が日本共産党に丸ごと飲み込まれ、日本にとって非常に危険な状況が生じていたかもしれません。その意味でも、このタイミングで前原氏が民進党の代表に就任してくれたという「天の配剤」に、私は強く感謝したいと思います。

余談ですが:山尾氏らの落選を心よりお祈り申し上げます。

余談ですが、急いで民進党を離党した皆様の多くは、選挙で落選の危機に直面するでしょう。

少なくとも、長島昭久氏、細野豪志氏、後藤祐一氏、鈴木義弘氏、笠浩史氏らは、私に言わせれば、「議員の地位にしがみつきたいがために、民進党が一番苦しい時に民進党を捨てた人たち」です。私は個人的に、民進党のことは嫌いですが、彼らのことは心の底から侮蔑の対象としています。

また、同じく民進党を離党した山尾志桜里衆議院議員については、ガソリン問題その他の不正問題に加え、不倫疑惑などについて、全く誠意ある説明を行っていません。総選挙となれば、良い機会ですので、有権者の皆さんは山尾氏に落選という制裁を加えて欲しいと思います。

私は彼らの落選を、心の底よりお祈り申し上げたいと思います。

まともな野党が存在しない日本の不幸にどう対処するか?

以上、今回の解散総選挙報道について、政治日程・政治課題の面と、野党のグダグダぶりの面からざっくりと眺めて来ました。何事もなければ自公両党が今回も圧勝し、いよいよ私たち日本国民の悲願である憲法改正が視野に入ることになります。

したがって私は、現状で考える限り、自民党に投票したいと思います。民進党、自由党、社民党のように、政府の揚げ足取りばかりする政党など、百害あって一利なしです。ましてや日本共産党のように、日本の破壊を目論んでいる政党は、一日も早く非合法化すべきです。

しかし、現在の日本の「自民党一強体制」には、長期的な課題もあります。それは、まともな野党が存在しないことです。とくに、古今東西、「絶対権力」は絶対に腐敗します。自民党が万年与党となれば、緊張感を失い、やがて再び腐敗し、金権政治に沈むおそれもあります。

もちろん、日本維新の会の足立康史議員や丸山穂高議員のように、個人的に信頼に値すると私が考える議員も存在します。あるいは、「日本の心を大切にする党」のように、私自身が深く共感する考え方を持つ政党もあります。

そのように考えていくならば、こうした健全でまともな政治家が所属する、健全でまともな野党こそが、日本には必要です。そして、もしそのような野党が出現しないのであれば、健全なジャーナリズムが政権与党、そして日本政府を監視する必要があるのです。

その意味で私は、地位も権力も何もない平凡な社会人ですが、唯一の武器である「経済・金融の専門知識」を武器に、社会の片隅からささやかな木鐸として、警鐘を鳴らし続けたいと思うのです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. むるむる より:

    もしも10月に総選挙なら争点を議論する時間が割と短く見える為経済的な功績、外交的な功績と安全保障上の功績が前面に出されてくる事は間違いないと思います。日本人の殆どに反中意識、嫌韓、北の脅威が蔓延している現状なら例え韓国が通貨スワップを要請して来ても(多分9月から10月で来る)選挙を理由に断れますし米国の韓国支援の要請も潰せる筈です(米国から来るとは思えないけど)国内の某企業などの要請なんて軽く無視できます。
    それに忘れがちですが中国共産党の党大会も10月です。少なくとも私には今の中国が日本に対して直接揉め事を起こす時期では無さそうに見えますし、互いが足元の地盤固めに奔走するので双方が相手の支持基盤を揺さぶる絶好のチャンスです。問題満載の中国共産党に日本妨害に力を発揮出来るとは思えません、周囲の状況的にやるなら今が最高なのです。

  2. ぶたさん より:

    更新ありがとうございます。

    総選挙ですか!!
    なんとか、安倍首相率いる自民党が圧勝して
    憲法改正
    をお願いしたいです。
    九条二項削除が理想ですが、三項追加でも良いです。

    今の憲法では、日本が滅んでしまいます。

    安倍首相頑張ってください!
    応援しています!

  3. 右派 より:

    更新お疲れ様です。

    私は野党などこの国に不要だと思います。野党なき与党が腐敗するというのは事実ですが、この国の場合、真面目に政治をやろうと思えば自民党に入らざるを得ず、また自民党自身が右も左も入り混じった鵺的な政党です。

    自民党が統制の取れた一枚岩の政党なら、自民党だけに任せるのは危険です。しかし自民党内の思想はバラバラであり、党内の派閥抗争や足の引っ張り合いは日常茶飯事で、党内で擬似的な政権交代を頻繁に起こしています。

    自民党は幕府みたいなもので、右にしろ左にしろ、この枠内で話が決まりますから、野党に仕事などありません。

    ですので、この国にまともな野党がいないのも、育たないのも別に悲しむべき事ではないと私は思います。

  4. きゃん’t⇔R より:

    いつも楽しみに拝読しております。

    「真っ当な野党論」に関しまして、会計士様のご指摘通りだと思います。
    「もりかけを契機にアベ政権を解散に追い込む!」最近まで息巻いていた野党ですが、解散の情報が流れた途端、「この状況(北ミサイル)で政治的空白を作るのか!」と掌返しのダブルスタンダード。どこまで国民を愚弄するつもりなのか・・・

    一方、泥船から小池の懐に逃げ込む下郎議員。小池氏は元々保守・改憲勢力ですから、反日マスゴミは遅かれ早かれ同氏バッシングに舵を切ってくるのではないでしょうか。その時が鼠どもの本当の最期かも知れません。保守二大政党制(維新や日本のこころ)の道を国民が選択し、創り出していきたいです。

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