最低限の信義則も守れない韓国

本日は、「ビジネス上の信義則」についてお話ししたいと思います。私自身、公認会計士としていくつかの会社の会計監査に従事したこともありますし、また、現在は事実上個人の会社ではあるものの、いくつかの会社からご契約を頂いて仕事をこなす立場のビジネスマンの端くれでもあります。ビジネスマンとして一番大事なものは「約束を守ること」だと考えているのですが、お隣の国で「約束を守る」という最低限のことすらできない事例が、二つ出てきています。

社会人の鉄則は「信義則」

「信義則(しんぎそく)」、ということばを聞いたことはありますか?これは、もともとは民法第1条に出てくる言葉であり、権利行使も義務履行も「信義に従い誠実に」行わなければならない、とする規定です。民法第1条は非常に大事なので、これを引用しておきましょう

民法第1条(基本原則)
  1. 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
  2. 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
  3. 権利の濫用は、これを許さない。

数字は民法第1条の項数です(※オリジナルの条文には、「第1項」には項数は付されていません)。どれも自由民主主義社会として非常に大事な条文であり、私は民法第1条こそが、本来、日本国憲法に規定されているべきではないかとさえ考えています。

それはさておき、社会人であれば、この「信義則」の大切さを痛感することは、いくらでもあります。たとえば、あるエアコン業者Aが飲食店Bに「10万円でエアコンを売る」という契約をしたとしましょう。そして、エアコンの設置が終わり、無事に稼働し始めたものの、エアコン業者Aに対してその飲食店Bが、支払いの段階になって「10万円を5万円に値下げしろ」と言ってくるとします。この場合、契約違反を理由に契約を解除してもAには損害が発生しますし、裁判に訴えても時間と費用が掛かり過ぎます。このため、この業者Aは泣く泣く、Bからの5万円への値下げを飲まざるを得ないのが実情です。

しかし、この業者Aは、周囲に対して「Bからエアコン設置代金を不当に5万円に値引きされ、残額を踏み倒された」と宣伝して回ることは間違いありません。人間、受けた損害に対する恨みは絶対に忘れませんからね。結果的に、飲食店Bは、(よっぽど味が良くて値段が安ければ話は別ですが、)風評が悪化して商売を畳まざるを得なくなるのが関の山でしょう。

つまり、「いったん契約した以上、きちんと契約を履行する」ことは、社会人の鉄則なのです。そして、これこそが「信義則」の一つの事例です。これを前提として、二つの事件に触れてみましょう。

やっぱり来た!合意違反

まず、こちらの報道を紹介します。

韓国外交部「慰安婦被害者への日本の追加的かつ感性的な措置を期待」(2016年09月30日06時15分付 中央日報日本語版より)

リンク先の記事は日本語でわずか3行の短いものですが、韓国の趙俊赫(ちょう・しゅんかく)外交部報道官が9月29日の会見で、

「日本側が慰安婦被害者の方々の心の傷を癒やすような追加的かつ感性的な措置を取るよう期待している」

と述べた、とするものです。ここでは中央日報の報道が趙報道官の発言を正確に報道しているという前提で、趙報道官の発言の意味を考えてみましょう。

日本の日韓合意の履行は終わった

大前提として、「日韓慰安婦合意」の内容を振り返っておきます。昨年12月28日の日韓外相会談では、日本の岸田文雄外相と韓国の尹炳世(いん・へいせい)外交部長官(外相に相当)が、次の内容で合意しています。

  • 韓国政府が元(自称)慰安婦らの支援を目的とした財団を設立し、これに日本政府の予算で10億円程度の資金を一括拠出し、日韓両政府が協力してすべての元(自称)慰安婦らの名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しの事業を行う
  • この措置を着実に実施するとの前提で、本問題は最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、この問題について日韓両国政府は互いに批判・非難することを控える

これを読む限りでは、日本政府が予算から10億円を一括拠出し、それにより韓国政府が設立した財団が、元自称慰安婦らの支援を行うという合意です。そして、今年の7月に韓国政府は財団を設立し、8月末に日本政府は10億円を一括拠出済みです。つまり、日本政府側は「日韓合意」に基づく義務を全て履行したのであり、これ以上、日本政府としては、この問題に関わる必要もありませんし、関わってもなりません。

韓国政府による合意の蒸し返し

そのうえで、9月29日の趙報道官の発言にある「追加的な措置」とは、「昨年12月28日の日韓合意」で合意されていない内容を「追加する」という意味でしょう。また、「感性的な措置」とは、いわば「安倍晋三(日本国総理大臣)名義で謝罪の手紙を元(自称)慰安婦らに渡すべきだ」という、韓国の一部団体が騒いでいる主張に言及したものであると考えられます。

確かに、今回の韓国政府内の主張は、いずれも「大したことがない」ように見えなくもありません。日本政府が形式上、「安倍総理名義の謝罪の手紙」を起草して(何なら閣議決定でもして)、元自称慰安婦どもに渡せば良いだけだからです。しかし、日本政府(特に外務省)に一番言いたいことは、

「絶対に韓国政府の要求に応じてはならない!」

ということです。仮にここで韓国政府の要求に応じると、これまでの失敗を再び繰り返すことになります。

自力で事態収拾ができない韓国政府

くどいようですが、10億円の拠出をもって、従軍慰安婦問題は公式に「最終的かつ不可逆的に」解決されたのです。解決済みの問題に、これ以上、何をする必要があるというのでしょうか?仮に、韓国政府がこの問題を蒸し返そうとするならば、日本政府としても

「昨年12月28日の日韓合意は韓国側の合意違反により破棄する。そして、従軍慰安婦問題自体が朝日新聞社と植村隆による捏造であるから、韓国政府と韓国国民はウソツキであり、したがって日本政府は朝日新聞社と植村隆と韓国政府と韓国国民に対する制裁を開始する」

とでも宣言すれば良いのです。というか、日本国民の一人として、日本政府・外務省に、「今すぐそうしろ」と言いたいです。何より、日本大使館前の醜悪な慰安婦像の撤去も実現していませんし、それどころか、慰安婦像が世界中に拡散しようとしています。昨年の日韓合意が安倍政権による遠大な外交目標に沿ったものであることは、頭の中では理解しているつもりなのですが、それと同時にウソの慰安婦問題で日本人の名誉が傷つけられるのを、日本国民の一人として、はらわたが煮えくり返る思いで眺めているのも事実です。

ただ、もう一つ明らかになったことがあります。それは、「韓国政府は事態の収拾すら自力でできない」という、韓国政府の調整能力・実務対応能力の低さです。昨年12月の日韓合意とは、ありもしない「慰安婦問題」で、しかも韓国政府自身が「右翼政権」とレッテルを張る安倍晋三政権が、最大限、韓国に譲歩してくれたという「外交上のチャンス」だったのです。しかし、この貴重な「外交上のチャンス」を得たにも関わらず、韓国政府は挺隊協をはじめとする国内の勢力の説得すらまともにできないという失態を犯し、実務能力の低さが露呈しました。

そして、実は韓国の日本大使館前に設置された「慰安婦像」については、諸外国の外交官からも「笑いもの」にされています。韓国の首都には意外とたくさんの国の外交官が駐留していますから、これらの外交官は、「自分の国の首都に設置された外国公館の尊厳と静謐を侵害するような行為すら取り締まれない」という韓国政府の治安維持能力を疑問視するはずです。今回の趙報道官の発言も、韓国政府の実務対応能力のなさを示す証拠の一つであることに間違いないでしょう。

漂流する韓進海運

次は、経営破綻した「韓進(かんしん)海運」に関する記事です。

日本勢参加のコンテナ船連合、韓進を排除へ

日本経済新聞(電子版)は今週、コンテナ船を共同運航する「新連合」が、韓進家運を「受け入れない」とする見通しを報じています。

韓進海運受け入れず 日本勢参加のコンテナ船連合(2016/9/28 18:58付 日本経済新聞電子版より)

日経によると、今年5月に日本の海運大手3社(日本郵船、商船三井、川崎汽船)に加え、独ハパックロイド、台湾の陽明海運、韓国の韓進海運の6社が、コンテナ船を共同運航する新連合「ザ・アライアンス」を来春に結成する予定だと発表しています。しかし、9月28日の記者会見で日本郵船会長の工藤泰三氏は韓進との共同運航について、「もう無理だろう」と述べたのだそうです。

顧客に迷惑を掛けて平気なのか!?

実際、この韓進海運の経営破綻は「異例尽くし」です。8月に韓国の地裁に「法定管理手続」の開始を申請し(ここまでは日本でもよくある話)、その影響で「世界各地で船舶の運航が停止」した状況にあります。日経は詳しく報じていませんが、9月18日付の「J-CASTニュース」によると、乗員・乗客が「下船すらできず」に、缶詰め状態のまま世界の海上を漂流しているのだとか。

乗員乗客も「下船できない」 韓進海運破綻で日本にも影響が…(2016/9/18 16:00付 J-CASTニュースより)

当時の情報ですが、「海上をさまよう貨物船に積み込まれたコンテナ数は40万個、積み荷の価値は140億ドル、荷主は8000社を超える」という状況であり、世界中の物流にも少なからぬ影響が生じています。通常の国であれば、経営破綻しても営業を継続するための「DIPファイナンス」という制度が整っていますが、韓進海運の場合は、DIPファイナンスすら受けていないようなのです。

日本の場合だと、民主党政権下でJALが経営破綻した時にも、飛行機の運航は通常通り続けられていましたし(客を乗せたまま飛行機が空港に着陸拒否される、ということはあり得ません)、購入済チケットや顧客マイレージなども全額、保護されました。もちろん、民主党政権時代の話ですから、JALの救済スキーム等を巡って、色々と不透明な処理もあったようですが、それでも乗客には一切の迷惑を掛けず、きちんと破綻処理が行われたのです。

韓進海運は、今回の混乱で世界中の荷主からの信頼を失ってしまいました。おそらく、仮に経営破綻処理が終結したとしても、これまで通り「世界中で大々的に営業を展開する」ということはできないでしょう。

ビジネス上も国家運営も信義則が必要

ところで、冒頭に引用した「信義則」は、別に日本だけのルールではありません。先進国・法治主義国家では、信義則を守らない個人・会社・組織に対し、厳しいペナルティが課せられます。昔からの日本語で表現するならば「信用」と言い換えても良いでしょう。

日本では何十年、何百年と続く企業がたくさん存在しており、中には一千年を超える「超長寿企業」も存在します。これは、日本の商人が、昔から「信用」を何よりも重視してきた証拠ではないかと思うのですが、自由・民主主義・資本主義社会となった現代において、「愚直に約束を守ること」の重要性は、むしろ高まっています。日本国民も日本企業も日本政府も、契約や法律、国際合意を愚直に守り続けていますし、それが日本という国全体に対する信頼につながっているのでしょう。金融危機が発生すれば、スイス・フランと並んで日本の通貨・円が買われるのも、もしかすると日本人の特質を世界の人々が高く評価しているからなのかもしれません。

もちろん、日本人が「法律を絶対に守る」ということは、良い効果だけをもたらすとは限りません。たとえば、日本国憲法第9条第2項では「国による交戦権」を禁止していますが、日本人はこの「殺人憲法」すら律儀に守り続けています。したがって、韓国政府が竹島を、ロシア政府が千島・樺太を、中国政府は尖閣諸島が不法に奪い取っても、北朝鮮政府が日本人を不法に拉致しても、日本は「絶対に」反撃して来ないと見透かされているのです。

ただ、私はそれでも、日本国憲法をはじめとした各種法律を愚直に守る日本国民の在り様を、いまさら変えることなどできないと思いますし、だからこそ、たとえ「殺人憲法」であっても、「憲法の規定」に従って「合法的に」変えていかなければならないのだというのが強い持論でもあるのです。

つまり、皮肉なことに、日本の隣に「信義則」すら守れない国が存在し、その国を「鏡」とすることで、逆に私たち自身の国がどういう国なのかを知ることができるのです。

まとめ

今日のまとめです。

  • ビジネス上も国家の運営上も、信義則が必要である
  • 韓国は国際合意一つ守ることができず、大型企業の破綻処理すらまともにできないので、今後、世界中からの信頼を失うだろう
  • 日本の場合、憲法も法律も契約も条約も、愚直に守り通すが、これにより世界中から信頼されている
  • しかし日本の周囲には信義則が通用しない国もあり、憲法第9条第2項の規定は日本を彼らから守ることを禁止しているため、結果的に「殺人憲法」となっている

これらのうち、特に「ビジネスマンは信義則を守るべし」「日本国憲法は殺人憲法である」などの議論については、今後も積極的に取り上げていくつもりですので、どうかご期待ください。

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