改めて主張する、日本は「圧力一辺倒」で北朝鮮の破綻を待て

共同通信に日本の外務省あたりからリークされたと思しき記事が掲載されました。「圧力一辺倒ではなく、経済協力を通じて北朝鮮と信頼醸成を図るべきとする新方針が浮上した」、とするものです。犯罪者と「信頼醸成を図る」なんて、たちの悪い冗談としか思えませんが、北朝鮮に対して日本は圧力一辺倒で良いのでしょうか?

対北朝鮮融和派の主張

昨日、共同通信にこんな記事が掲載されました。

拉致交渉、政府内に新方針案浮上/経済前面に信頼醸成、反対論も(2018/8/18 02:00付 共同通信より)

共同通信によると、日本政府内で北朝鮮との交渉を巡り、「経済協力や支援に関する協議を前面に出して信頼醸成を図るシナリオ」への軌道修正を求める意見が浮上していることを、「複数の日本政府関係者が17日、明らかにした」そうです。

これについて、どう見るべきでしょうか?

私は、日本政府内で北朝鮮に対する融和的な姿勢を前面に出す意見があったとしても、驚きません。実際、2002年に小泉純一郎首相(当時)が北朝鮮を訪問した際、外務省内では「拉致問題などどうでも良い」、「それよりも日朝国交正常化の方が大事だ」、といった意見があったことは事実でしょう。

実際、安倍晋三総理大臣の2013年6月12日付のフェイスブックなどによれば、外務省の田中均・元アジア太洋州局長が、一貫して北朝鮮に対して宥和的な姿勢を主張していたことなどが明らかにされています。

田中均氏のような姿勢は外交官として論外ですが、外務省のことですから、田中均氏のような考え方を持つ人間が、いまだにたくさん在籍していたとしても不思議ではありません(もちろん、共同通信が報じた「複数の日本政府関係者」とやらが実在するのかどうかという問題はありますが…)。

なぜ最大限の圧力が必要なのか?

最大限の圧力とは?

さて、現在の日本政府・安倍政権の姿勢は、一貫しています。

これは、圧力を背景に「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」と迫るものであり、逆に言えば、国交正常化以前に、「拉致問題」「核開発問題」などが包括的に解決がなされない限り、日本としては北朝鮮に対する最大限の圧力を維持する、というものです。

これについては、「圧力一辺倒ではダメだ」、とする考え方があるのは事実でしょう。実際、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」、「(むしろ)日本が朝鮮人民に対して犯した罪を反省し、賠償すべきだ」とする立場を崩していないからです。

ただ、共同通信はこの記事を

安倍晋三首相と金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談実現を模索する日本政府は、首相官邸を中心に対処方針を詰める意向だ。

と締め括っていますが、この一文は非常に不自然です。その意味は、

外務省には任せない

という官邸側の意向が存在するかのような言い草だからであり、このことから、共同通信に対してこの「新たな方針が浮上した」と述べたのは外務省の職員ではないか、という仮説が浮かびます。

これが事実なら、とんでもないことです。

北朝鮮は無実の日本人を拉致し、自国に監禁している、恐るべき犯罪者集団です。それだけではありません。北朝鮮は麻薬製造、贋札使用、保険金詐欺、大量破壊兵器開発など、まさに「テロ国家」そのものであり、ISILと同様、本来ならば今すぐ討伐すべき武装勢力です。

ちなみに、北朝鮮が拉致した国民は、日本人だけではありません。被害者の国籍は韓国人も多く、また、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」の調査によれば、タイ、レバノン、中国、マレーシア、シンガポール、フランス、イタリア、オランダ、ヨルダン、ルーマニアなどの人も被害に遭っています。

そんな犯罪組織と「経済協力を前面に押し出し」、「信頼醸成を図る」とは、意味が分かりません。

交渉が通用する相手とは?

くどいようですが、北朝鮮は信頼に値する相手ではありません。日本政府としては、日朝平壌宣言に従い、「核、拉致などの諸問題が包括的に解決された暁には国交正常化を実現する」という立場ですが、これはそもそもの前提が間違っています。

日朝平壌宣言には、次のような文言が入っています。

双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。

ただ、北朝鮮が核開発を継続している時点で、すでに北朝鮮側が日朝平壌宣言の精神を損なっていることは明らかです。そもそも、合意をただの1つとして守ることができない時点で、北朝鮮には国家同士の交渉が成立しないのです。

日本はこれからどうすべきか?

一般日本国民に与える印象は?

日朝平壌宣言が行われた際、私自身はまだ若いビジネスマンでした。当時私が勤めていた職場では、あまり政治的な事柄が話題になることはなかったのですが、それでも職場で休憩時間にこの話題を振ってみたら、北朝鮮に対する怒りの気持ちを抱いている人が多く、驚いた記憶があります。

考えてみれば当然ですが、他人の国に勝手に工作員を侵入させ、罪のない老若男女を誘拐し、工作船に乗せて自国に拉致したのですから、これは犯罪にほかなりません。こうした残虐非道な行為に、一般の日本国民は強い違和感を抱いたのでしょう。

しかも、北朝鮮側が「拉致問題は解決済み」などと主張していることは事実ですが、北朝鮮がこのように主張すること自体、一般の日本国民の意識を刺激するはずです。田中均氏のような売国官僚が、いかに北朝鮮の利益を代弁しようとしたところで、一般の日本国民を敵に回すことは避けられません。

日本は民主主義国家であり、しかも、北朝鮮が考えるよりも日本国民は遥かに賢いのです。北朝鮮による日本人拉致問題を「放置すべきだ」と主張する政治家は落選させられます。

北朝鮮が勘違いしているのは、まさにこの点でしょう。

南北揃って「不可逆的解決」ができない

先日、ツイッターを眺めていたら、「南北揃って不可逆的解決が受け入れられない国だ」といったつぶやきを発見しました。

これは至言です。

韓国は(従軍)慰安婦問題で、北朝鮮は日本人拉致問題で、それぞれ不可逆的な解決を拒絶しているからです。

このうち、韓国との間の慰安婦問題を巡っては、2015年12月28日の「日韓慰安婦合意」で最終的かつ不可逆的に解決済みです。要点は次の4つです。

①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。

②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。

③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。

④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。

日本政府側は、すでにこの合意に基づく義務を100%履行しました。よって、日本側からは「最終的かつ不可逆的に解決済みだ」と突っぱねれば済む話です。

一方、日本人拉致問題を巡っては北朝鮮側が解決を拒絶しており、その意味で、韓国と北朝鮮には「最終的かつ不可逆的な解決」ができないという共通点があることは間違いありません。

「日本が南北朝鮮と対峙する正しい方法」、実はまったく同じ』でも申し上げましたが、北朝鮮に「核・日本人拉致問題解決」、韓国に「慰安婦合意の遵守」ができるとは思わない方が良いでしょう。

日韓関係、日朝関係ともに、「相手国政府に正論を堂々と主張し、相手国政府が破滅するまで日本は放置する」のが正解なのです。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。

    < いつぞや『対北に対しては正論をぶつけ、最大限の圧力をかけ続けるのが良い』と私が述べたところ、『それでは手緩い』的なご意見を頂戴しました。

    < でも、今すぐに日本軍が軍事侵攻或いは金正恩を電撃的に拘束出来ない以上、北の非道を訴え米国と歩調を合わせ①核開発の不可逆的破棄(CVID)の目に見える形での実施②拉致日本人の奪還と責任者の拘束、全容解明を訴え続けるーーーーのがベストに近いのではないですか。今の北朝鮮の苦しみようは、相当ダメージ喰らってます。

    < 小泉=金正日会談で、5人だけ帰国させて(家族も帰国したが)、幕引き狙った北朝鮮。今度は2人だけ入国履歴あり、なんて神経戦を出して来ています。こう言う拉致者をカードとしか見ない北は、今すぐにでも殲滅したい思いです。

    < 『経済協力や支援に関する協議を優先して信頼関係を作る』ーーーーいくらなんでも共同通信よ、その意見がメジャーなのか個人の観測気球なのかぐらい、書けよ。これではブラフと見る。

    < どうしても、最大限の圧力一辺倒では『やり過ぎ』と感じる、或いは『何とか安倍首相に方向転換を』と突つく実力者が居て、親韓派、北への宥和派を動かそうとしているのだろう。

    < このヤカラは懲りないのか、根っからの朝鮮民族マンセーなのか、【約束は破る為にあり】【日本に対しては(国民向けポーズとしても)、いつも我々が甲だ】としか言わない朝鮮人に譲歩をして根本的解決を先延ばししようとする。南も北も破滅(破綻)するまで、こう言う一部日本側の声には反論、叱責し、目標貫徹すべきです。 以上。

  2. パーヨクのエ作員 より:

    いつも知的好奇心を刺激する記事の配信有り難うございます。

    北朝鮮はアメリカに対し非核の意志を示しながら、アメリカと会合後は難癖をつけてのらりくらりとかわしながら核の開発を進めています。
    目的の達成能力としては我が国の外務省など足下に及びません。

    共産主義国は発展の為には資本主義の技術、資本を獲ないといけません。
    北朝鮮が発展するには韓国から資本や技術を得る?
    もっと手早く資本や技術を獲る方法が有ります。

    日本を併合することです。

    当方は核兵器を有効に使えば不可能ではないと思います。
    資金とアイデアと日本の弱点分析力さえあれば。
    北朝鮮には資金以外はありそうです。

    さて、外務省融和派ですか。その為の経済的な援助を行う?

    よっぽど「自由と民主主義がいらない」のでしょう。
    彼らは全員退官して北朝鮮に移住すべきです。

    勿論、移住中の飛行機を自衛隊がミサイルの誤射事故で打ち落とす事になりますが(笑)

    最初から誤っているか今は正しく見えるが将来誤ることになる虚言若しくは狂言は以上です。

    駄文失礼しました。

  3. ketsuro8da より:

    韓国にも最大限の圧力をかけて慰安婦像などによる侮日、反日を止めさせ、止めなければ完全無視を徹底して破綻を待ちましょう。

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