【昼刊】北朝鮮の断末魔
朝鮮民族とは、ある意味、南北揃って実に分かりやすいリアクションをする人たちではないかと思います。北朝鮮の国営メディアと韓国の国防長官の発言から、私たち日本が持たねばならない「心構え」について、改めて論じておきましょう。
目次
朝鮮中央通信の「断末魔」
本当に分かりやすい民族だ!
北朝鮮の国営メディア『朝鮮中央通信』は6月4日付で、こんな論評を掲載しています。
世界の嘲笑の種にしかならない 朝鮮中央通信社論評(2018/06/04付 朝鮮中央通信より)
(※ただし、リンクのURLは変動するらしいので、正しく記事にリンクする保証はありません。あらかじめ、お含み置きください。)
ここでは、少し長いのですが、全文を引用しておきましょう。
【平壌6月4日発朝鮮中央通信】急変する朝鮮半島情勢の流れから押し出された日本が非常にいらいらしている。/首相安倍と外相河野をはじめ政客らが、われわれに対する「最大圧迫共助」の哀願訪問で東奔西走している。/訪ねる所が中東であれ欧州であれ米州であれ、圧迫の度合いを強めるべきだ、拉致問題解決、という紋切り型の意地悪い言葉だけである。/しかし、大勢に似合わない日本の孤独な曲調はか細い残響さえ残せずにいる。/形勢がどう変わり、他人が何を考えているのかも知らず、自分の興に乗って「圧迫」ほらだけを吹く日本の行動は世人の嘲笑(ちょうしょう)を買っている。/「日本だけが蚊帳の外に置かれている」という非難が列島内で高まり、「日本疎外」が世界的な単語になる程度だと見る時、日本は自分の歩みが果たして正しいのかを熟考してみる必要がある。/こんにち、朝鮮半島と地域では恒久的で強固な平和と繁栄を成し遂げるための対話努力が情勢発展を主導しており、これは世界的な呼応を受けている。/これを通じて、国際社会は対話と信頼だけが問題解決の基本方途であり、一方的な圧力と敵視はむしろ、事態を悪化させるだけだということをさらに実感している。/まさにこのような時、日本は朝鮮半島と世界の平和と安全問題において自国の利益だけを優先させることによって「積極的参与」という意図に背ちして自ら孤立を作り出している。/強調するが、日本が新しい時代の環境に適応できず、すでに解決済みの「拉致問題」などを持ち歩いて引き続き対朝鮮対決に奔走するなら、世界の嘲笑を買い、歴史の外に永遠に押し出されるということを知るべきである。/悪心を抱いて数千里を彷徨(ほうこう)するよりは、たった一歩を踏み出しても善心を抱いて行動するのが賢明なことではなかろうか。/歴史に再び恥ずべき罪悪を刻みたくなければ、今からでも正しい選択をする方がよい。/日本は、野望を捨ててわが民族に働いた過去の罪悪から清算すべきである。---
なんとも分かりやすい記事ですね(笑)
「最大限の圧力」に苦しむ北朝鮮
まず、安倍晋三総理大臣や河野太郎外務大臣が、世界中を奔走して、「北朝鮮に対する最大限の圧力」を維持するように呼び掛けていることは事実です。朝鮮中央通信は「自分の興に乗って「圧迫」ほらだけを吹く日本の行動は世人の嘲笑を買う」としていますが、これこそ圧力が効いている証拠です。
そもそもなぜ、北朝鮮が米国との対話に応じたのかといえば、この「最大限の圧力」が原因です。昨年を思い出してみてください。韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)政権が北朝鮮に対して対話を呼び掛ける「ベルリン構想」を発表したにも関わらず、北朝鮮はこれを無視したではないですか。
文大統領の「ベルリン構想」第一歩、南北軍事・赤十字パッケージ会談提案(2017年07月18日15時27分付 中央日報日本語版より)
北朝鮮は昨年7月時点で、韓国政府が発した対話の呼びかけを一切無視。それどころか、ミサイル実験を何度も強行し、さらに9月には史上6回目の核実験を行うなどしました。国連安保理が北朝鮮制裁を決議したのは、その後のことです。
しかし、「ベルリン構想」から半年後、今年1月に入ってから、文在寅政権が北朝鮮に対して高官級協議の実施を呼び掛けたところ、北朝鮮は急遽、これに応じました。これが、1月9日の「南北高官級協議」です。
(※ちなみにこのころから、韓国大統領府や韓国メディアは、米国・ホワイトハウスとまったく矛盾する内容を堂々と発表するようになりました。この問題については、『【夕刊】韓国メディア「米国が南北対話を歓迎」のウソ』などで取り上げています。)
その後、北朝鮮の平昌(へいしょう)冬季五輪参加決定、開会式・閉会式への北朝鮮代表団の参加、3月5日の韓国政府特使の北朝鮮訪問、そして3月8日に米朝首脳会談の開催が決定されるなど、動きが非常に急速だったのが印象的です。
これは、2017年7月の時点と、2018年1月の時点で、北朝鮮が「何が何でも対話に応じなければならない」という状況に追い込まれていたと考えるのが自然でしょう。
拉致問題は北朝鮮のアキレス腱に?
次に、朝鮮中央通信の長ったらしい論評の中で、とくに目を引くのは、拉致問題について「すでに解決済み」と強調していることです。
「強調するが、日本が新しい時代の環境に適応できず、すでに解決済みの「拉致問題」などを持ち歩いて引き続き対朝鮮対決に奔走するなら、世界の嘲笑を買い、歴史の外に永遠に押し出されるということを知るべきである。」
日本のマス・メディアの報道を眺めていると、「拉致問題の解決を米国にお願いするとは情けない」、といった論評、川柳などもあるのですが、少なくともこの下りは、北朝鮮側が、この拉致問題に触れられることを嫌がっている、という証拠でもあります。
北朝鮮は5月に朝鮮系米国市民3人の身柄を解放し、米国に「恩を売った」つもりになっているのかもしれません。しかし、日本が求めているのは、「個人を特定しての拉致被害者の送還」ではありません。「日本が納得できる形での拉致問題の解決」です。
北朝鮮にとっては、拉致問題を「日本からの援助を引き出すための外交カード」と位置付けている節がありましたが、ここに来て、日本は「拉致問題や核問題が包括的に解決しなければ経済支援は一切行わない」とする姿勢を明確に打ち出し始めました。
仮に――あくまでも「仮に」、ですが――、米朝首脳会談で核・大量破壊兵器のCVID ((CVIDとは「完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での廃棄」(Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)のこと。)) の受入を表明したとして、米国が北朝鮮に対する経済制裁を緩和したとしても、日本は拉致問題の解決が図られなければ、北朝鮮に対してビタ一文、おカネを支払わない、ということです。
朝鮮中央通信が必死になって日本を批判しているのは、まさにこの点なのです。
その意味で、今回の朝鮮中央通信の日本に対する論評は、まさに北朝鮮の「断末魔」のようなものだと考えるべきでしょう。そして、日本は北朝鮮に対する圧力を維持し、さらには強化する方策も考えて良いと思います。
韓国は日本の味方ではない
拉致事件に無関心、韓国政府の姿勢は罪だ
さて、一昨日に『【昼刊】チェンバレンに例えられる韓国』でも紹介したのが、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載された、この記事です。
South Korea: We Need to Give Kim Jong Un a Chance to Change the North(米国夏時間2018/06/02(土) 01:13付=日本時間2018/06/02(土) 14:13付 WSJより)
この記事は、土曜日にシンガポールで開催された安全保障フォーラム(通称「シャングリラ会合」)で、韓国の宋永武(そう・えいぶ)国防長官が「国際社会は北朝鮮に対して非核化のための猶予を与えるべきだ」と主張した、というものです。
米国メディアであるWSJの記事の文面からは、「呆れて物も言えない」という雰囲気が、プンプン伝わってきます。なぜなら、韓国は紛れもなく、米国の同盟国という立場にありながら、金正恩(きん・しょうおん)に「変化するための時間を与えるべきだ」と、堂々と主張したからです。
今さら指摘するまでもありませんが、北朝鮮による拉致被害者は、なにも日本人だけではありません。韓国からもたくさんの人々が北朝鮮に誘拐されています。それなのに、現在の文在寅政権が、これらの拉致被害者を取り返そうとする意思を、まったく見せていないことは、もはや罪であるとしかいえません。
(※といっても、私は韓国人ではありませんから、このような人物が大統領を務めていることによって生じる不利益を被る立場にはありません。韓国人自身が彼を大統領に選んだ以上、いかなる不利益が韓国人に生じたとしても、日本としては無関係を貫くべきです。)
どちらの味方なのか?
このシャングリラ会合での宋長官の発言、次の中央日報の記事でも確認することができます。
国防部の宋永武長官、国際会議で日本防衛相の演説に釘刺す(2018年06月03日11時39分付 中央日報日本語版より)
記事タイトルに「日本防衛相の演説に釘刺す」とあるのは、宋長官が小野寺五典(おのでら・いつのり)防衛大臣の基調演説を取り上げて批判した、としているものです。ここで、韓国が問題視した小野寺防衛相の発言は、次のとおりです。
「25年の歴史を振り返れば北朝鮮がとても先制的で肯定的な態度を見せながら突然国際社会のすべての平和努力を無視し武力措置を取ったことがある。北朝鮮は1994年に米朝基本合意書に合意したのに継続して秘密裏に核兵器を開発し、2005年に6カ国協議共同合意書を出しながら初めての核兵器実験を行った。単純に対話に乗り出したからと北朝鮮に見返りを提供すべきではない」
私はこの小野寺氏の発言に、何1つとして過不足はないと思います。まったく非の打ちどころがない正論であり、全面的に賛同せざるを得ません。ところが、宋長官はこの小野寺氏の演説に対し、次のように反論したのです。
「未来に向かう道で、約束を保障する見方からいま思い切った決断をして出てくる北朝鮮を理解してくれるよう望む。北朝鮮の住民や金正恩委員長も現体制をそのまま維持しながら改革開放して住民の生活を向上させ、国際社会に同じ一員として進んでいくということにわれわれは焦点を置いて支援すべきで、それに対して疑問を持ち始めれば前に進みにくくなるだろう」
要するに、現在、北朝鮮人民に圧政と隷従を敷いている金王朝をそのまま存続させたままで、北朝鮮を支援しろ、と日本に要求しているのとまったく同じです。
「現在の韓国政府」イコール「北朝鮮の代弁者」
これはさりげなく、非常に重要な発言です。というのも、現在の韓国政府が北朝鮮の代弁者である、という点を、如実に示しているからです。韓国はもはや、日本の味方ではありません。いや、それどころか、「味方」のふりをしながら、日本を後ろから刺しかねない、極めて厄介な国です。
日本は現在、国際社会に対して、北朝鮮に対する圧力を強化するよう呼びかけています。核放棄や拉致事件解決を図ろうとするならば、現在の日本にできることは、圧力の維持・強化しかないからです。そして、それを妨害しようとするならば、もはや韓国は立派な敵国です。
安倍総理、トランプ大統領は、常々、北朝鮮核問題の解決に「日米韓3ヵ国の連携が重要だ」と口癖のように述べています。しかし、本当に日本が韓国と協力して核・拉致問題を解決するということは不可能です。
ただ、現在の日本は、国内的には朝日新聞社による「もりかけ報道テロ」のため、国会審議がわけのわからない問題に支配されており、憲法改正が間に合っていません。このため、日本が公然と韓国を敵国と認定するわけにはいかない、という悩みもあるのだと思います。
拉致問題は「自分のこと」
さて、拉致問題とは、私たちの同胞である日本国民が、北朝鮮という犯罪者集団に拉致され、いまだに監禁されているという、前代未聞の人権侵害事件です。現在の日本に拉致問題を自力解決する力はありませんが、それでも、日本国民なら拉致問題を「自分のこと」として深刻に受け止める必要があります。
私は、拉致問題については日本が国家の意思として、北朝鮮に軍事侵攻して拉致事件の首謀者や金正恩らを逮捕し、強制的に北朝鮮国内を捜査して、拉致された日本人を1人残らず保護し、日本に連れて帰るという形で解決すべきだと考えています。
しかし、現実にそれをやろうと思ったときには相当に困難です。国内法制度がほとんど整備されておらず、かつ、憲法第9条第2項で「武力行使が禁止」されてしまっていて、さらには朝日新聞を筆頭とするマス・メディアがこうした動きを全力で妨害するであろうことは目に見えています。
一方、日本が日米同盟を締結している以上、現状では利用できるものは何でも利用すべきであり、安倍総理がドナルド・J・トランプ米大統領に拉致問題の解決への力添えを依頼するのは、日本国総理大臣としてはあまりにも当然過ぎる話だと私は考えています。
これを某大学教授のように、「アメポチ」と批判するのは簡単です。その某大学教授さんと会う機会があれば、私は「批判するくらいなら、お前が拉致被害者全員を取り返して来い」という嫌味の1つでも言ってやりたい気持ちでいっぱいです。
いずれにせよ、朝日新聞や財務省、日本共産党など、日本国内に日本が良くなるのを妨害する勢力を跋扈させている時点で、日本国民は反省しなければならないでしょう。
しかし、インターネットの時代が到来したことで、マス・メディアの情報統制にでっかい風穴が開き、日本の改革を阻んでいた勢力が炙り出されつつあるという現状を、私は素直に歓迎したいと思うのです。最後にいつものお願いです。
- 変な報道を続ける新聞を読んでいる人は、その新聞を解約しましょう。
- 変な報道を続けるテレビを見ている人は、そのテレビを見ないようにしましょう。
- 選挙にはきちんといきましょう。
国民一人ひとりが、この3つをきちんと意識し、実行すれば、それだけで日本は間違いなく良い方向に変わるはずです。そうすることで、私たちの子供が大人になる頃には、日本社会がより良くなり、私たちはより良い日本社会を子供たちに引き継いでいくことができるはずです。
私は心から、そう信じているのです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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北の問題は所詮、米中のディールの一つでしかない。いろいろな驚きや利害があるのでしょうが、米中それぞれの戦略の一環でしかない。