【夕刊】態度を改めるのはインドネシアの方では?
本日も「かなり早めの夕刊」です。「物乞い」という表現に怒り狂う前に、まずは自国の態度を改めるべきではないか――。そう思ったエピソードを紹介したいと思います。
目次
事実に怒り狂うのは筋違い
筋の違う「炎上事件」
あるインドネシアを風刺する漫画を描いて「炎上」したそうです。
ごく簡単に申し上げれば、
- ①インドネシアと日本が鉄道協力で合意
- ②日本側が汗をかき、おカネを投じて現地調査を実施
- ③インドネシアにデータを提出
- ④インドネシアがそのデータを中国に横流しし、かつ、ディスカウントを要請
- ⑤インドネシアが中国製鉄道を採用すると発表し、日本側が涙を呑む
- ⑥しかし中国はいつまで経っても鉄道を完成させてくれない
- ⑦2019年の大統領選を控えたジョコ大統領が日本にすがりつく
- ⑧最後のコマで、日本人が「インドネシアは乞食か!?」と怒り狂う
というストーリーで、絵柄も分かりやすくて非常に好感が持てる作品です。しかし、残念ながら、その漫画を見ることはできません。この最後のコマで、インドネシアを「乞食」に見立てている部分がインドネシア国民の逆鱗に触れ、この漫画家のアカウントに、インドネシア人からの非難が殺到したからです。
この度は、私の軽率な行動で皆様に多大なご迷惑・お騒がせ・ご心配をおかけしてしまい誠に申し訳ありませんでした。謝罪の言葉もございません。
多方面からたくさんお叱りを受ける事と思います。現在、他に連絡窓口がないため、やはりツイッターだけは残しておこうと思います。こちらにお願いします。— Onan Hiroshi (@hiroshionan) 2018年2月27日
勝手な価値観を押し付けるな!
この漫画家は、ご自身の投稿した風刺漫画を削除し、その代わり、「インドネシア人にお詫びする」という趣旨のツイートを現時点で掲載されていますが、もしインドネシア人がこうしたツイートに反応したのだとしたら、ハッキリと「恥を知れ」と申し上げたいと思います。
なぜなら、インドネシアの行いは、日本の厚意を踏みにじり、中国に擦り寄り、都合が悪くなればまた日本に「物乞い」をしたという意味で、まさに乞食と同じだからです。私はこの人物の漫画に、何一つとして違和感を抱きません。
この「高速鉄道案件」の経緯については、だいたい上の①~⑧に示した通りです。ただし、本件については当ウェブサイトでも、不定期ながら随分と取り上げて来ました ((詳しくは、『インドネシア高速鉄道案件とAIIBの現状』、『自業自得のインドネシアを見透かす日本外交』、『インドネシアの「良い所取り」を許すな!』、『インドネシア「赤い糸」理論のナンセンス』あたりをご参照ください。)) ので、詳しい経緯については繰り返しません。
問題は、この「乞食行為」がイスラム教的に問題表現だ、ということらしいのです。しかし、大変申し訳ないのですが、「乞食」とみなされることがイスラム教に照らして問題だといわれても、それは彼らの問題であり、日本では十分に表現の自由の範囲内です。
この漫画家はタイに在住されているようであり、タイの法律に抵触するならば問題ですが、不肖ながら、タイで「イスラム教国を乞食と表現することが問題になる」という法律があるとは聞いたことがありません。また、日本でこの漫画を公表するなら、まったくもって問題がありません。
いずれにせよ、勝手な価値観を押し付けないでほしいものです。
国際的な信義を破ることの意味
あらかじめお断りしておきますが、私にインドネシアという国、およびその国の国民を侮辱する意思は、まったくありません。しかし、事実を指摘されて怒り狂うというのは、明らかに筋が違う話であり、とうてい看過できません。「乞食表現」にしても、日本でいえば表現の自由の範囲内であり、まったく問題がありません。
ただ、インターネットは国境を越えて気軽に情報が流れていくという性質があります。そして、マンガは言語の違いを乗り越える情報発信手段としては最適の媒体です。ここから、「マンガ+インターネット」という組み合わせで、思わぬ混乱が生じることもあるのです。
このため、たとえば漫画家も、イスラム教徒を侮辱するような内容のものを執筆して公表すれば、イスラム教国のインターネット・ユーザーから手厳しい批判を受ける可能性があります。この点については、インターネットを通じた情報発信に内在するリスクでもあります。
しかし、インドネシアのように国際的な信義を先に破っておきながら、事実を指摘されて、そのことに怒り狂うという行動が、私にとっては、まずもって理解できません。インドネシアという国は、そのくらいのことをしでかしたのだということを、きちんと理解すべきでしょう。
いずれにせよ、本件についてはむしろ、インドネシア側が高速鉄道を欲しがるならば、先に日本に対して謝罪すべき筋合いのものであり、今回のような表現の漫画が出現したことを含めて、日本人としてインドネシアに謝る筋合いのものでは一切ありません。
インドネシアは高速鉄道の件で日本の厚意を踏みにじったことについて、認識が甘すぎるとしか言いようがないでしょう。
あるべき日本の対応
インドネシアは困っているが…
もちろん、インドネシア自体は東南アジア諸国連合(ASEAN)最大の人口と面積を持つ大国であり、G20の構成国でもあります。このため、日本がインドネシアを軽視して良いというものではありませんし、安倍総理もそんなインドネシアとの関係改善に踏み切っています(『自業自得のインドネシアを見透かす日本外交』参照)。
また、中国に対する牽制という観点からも、中・長期的に見て、対ASEAN外交の「かなめ」となる、インドネシアとの関係は大変に重要です。日本としては、インフラ輸出などの案件を中心に、インドネシアと良好な協力関係を築いていく必要があります。
ただし、「インドネシアという国」と、「ジョコウィドド大統領個人」については、明確に分けて考えるべきでしょう。ジョコウィドド大統領自身、どうやらかなりのポピュリストであり、ビジネスにも外交にも、決して詳しいわけではなさそうです。この点、「硬派」で知られるフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領とは大きく異なります。
そして、『インドネシア「赤い糸」理論のナンセンス』でも議論したとおり、次期大統領に「外交とビジネスが分かる人物」が就任することを期待し、日本はインドネシアに対する新規ODAの供与を中断してもよいくらいだと思います。
平成28年度難民申請者トップの国
もっといえば、インドネシアは確かに親日国ではありますが、ジョコウィドド氏は日本と中国を両天秤にかけたような人物であり、このような人物は信頼に値しません。
日本のすぐ隣には、どうしようもない反日国が3ヵ国ほど存在しているため、どうしてもインドネシアのような親日国を見掛けたら、「無制限・無条件に信用供与してあげたい」と思う人もいるのですが、こうした考え方は間違っています。
しかも、インドネシアといえば、日本にやってきて「難民申請」する人が多い国でもあります。法務省が昨年3月24日付で公表した『平成28年における難民認定者数等について(別表1)』(※PDFファイル)の2ページ目によれば、平成28年(2016年)における難民申請者10,901人のうち、インドネシア出身者は1,829人で断トツの1位です。
外務省のウェブサイトによれば、インドネシア出身者には15日間限定で観光ビザの免除措置が導入されており、実際に、日本政府観光局(JNTO)のデータによれば、2016年を通じて日本に入国したインドネシア人は271,014人でした。
つまり、インドネシア人の日本入国者のうち約0.67%は「難民申請」しているのですが、彼らの多くは、「難民申請」している間は就労できるという制度を悪用する狙いがあるといわれても仕方がありません。その意味で、インドネシアには、まずは態度を改めることを強くお勧めしたいと思います。
なお、この「難民申請中の就労許可制度」については、後日談があります。法務省は今年1月、「難民申請中の就労許可制度」を廃止すると発表しました。
法務省、難民申請後6カ月での就労許可を廃止 在留の制限強化(2018年1月12日 / 17:11 付 ロイターより)
日本では民主党政権下の2010年3月から、難民申請を行った6ヵ月後から、認定手続きが完了するまでの間、就労が認められるようになっていたのを、やっと改めた格好です。遅きに失した感はありますが、当たり前の対応でしょう。
親日国だからといって無条件に信用供与しない
私の持論を繰り返して恐縮ですが、古今東西、国家には常に2つの目標があります。それは、「国民の生命と財産の安全を保障すること(安全保障)」と「国民に豊かで文明的な生活を保障すること(経済的利益)」であり、この2つの目標は、古今東西、ありとあらゆる国にあてはまるものです。
そして、外交とは、この「安全保障」と「経済的利益」を追求するための、数ある手段の1つに過ぎません。逆に言えば、「自国の国益」を最大化することが外交の目的であり、それ以外に目的はありません。ある国と付き合うことで日本の国益が損なわれるなら、付き合い方を見直すのは当たり前です。
そのことを、あらためて強調しておきたいと思います。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
インドネシアの高速鉄道については一度計画が潰れたときに発表された、200キロ程度の在来線による中速鉄道とする。との考え方が良かったのではないかと思っています。日本や中国の高速鉄道は人間しか運べませんし、高い運賃を払ってまで移動する経済力もありません。貨物を中心に整備したほうが地味ですがインドネシアの発展に寄与すると思います。最も、鉄道を電化しても電線が盗まれるお国柄では、国民の教育から始めないいけないでしょうが。
最初の書かれたマンガの炎上は、インドネシアを韓国に変えて、事実を指摘されると激情するという面では同じだな。と思いました。もっと酷くなるかも。
インドネシアさん^_^どこをどう見ても裏切った分際で恥を知らずにまたお願いするとかありえないからww
ドゥテルテは筋を通してるし仮にポピュリストであったとしても自分の息子すら切り捨てる事を明言してるくらい立派でまだ良いよ。
てかインドネシア政府への文句をイスラム教にこじ付けて文句言うとか民度低すぎだろww政教分離ご存知ないのかなww宗教持ち出せば何でも許されると勘違いしてないかコイツら?
(なおドゥテルテさんは宗教の過激派は断固として許さない模様、国家のトップとしては立派でしょ
< 夕刊の配信ありがとうございます。
< インドネシアの高速鉄道建設について、中国にジョコウィドド大統領が『すごく厚かましい追加』要求をしていますね。なんとジャカルタからバンドンだけではなく、ご存知の方もいるでしょうが、途中から別線で新空港まで延伸せよと依頼(笑)。オイオイ!後出しじゃんけんか?これも建設費タダと言ったかどうか分かりませんが、とにかく計画を根本的に変更しなければなりません。あの中国をやり込めるとは、カス大統領、まったく政治オンチで無能な方です。鉄道用地の確保がインドネシア政府によって進んでないこともあり、中国側は工事中断。いつできるのか、また日本に頭下げるのか。『そら乞食言われても仕方ないで』と思うのは大多数の日本人でしょう。日本人漫画家さんは正しい。日本国は悔しさあるが、『赤い糸』に引きずり込まれず良かった。親日派のマトモな大統領就任までほっときましょう。
< この別表PDFを見ますと「国籍別難民申請数」でインドネシアは平成26年17人、27年969人、28年1829人と異常な増え方です。また「国籍別不服申し立て数」も同じ3か年でランク圏外から11位72人、1位1229人と爆発的に増加。2位以下の常連ネパール、ベトナム、トルコ、フイリピンは『高値安定』ですが、インドネシアだけ垂直上昇してます。政情不安か経済的不振なのか。気になりますね。しかし、日本近隣の3悪国には何の手助け、援助もしないが、台湾含め東南アジアとは仲良くやった方がいいです。特にインドネシアは大国ですから、難民申請が減るような処方が必要と思います。ま、ジョコウィドド辞めるまで待ってもいいか、と思います。
< 失礼します。
前に、『インドネシア「赤い糸」理論のナンセンス』っつう記事で、色々と意見書いたけど…。
まあ、インドネシアの高速鉄道(新幹線:標準軌、交流(50Hz)25kV電化、最高時速250km超)の件に関しては、
まあ、今の段階で、インドネシア大統領ジョコが泣き付いてきても、ソデにするべき。
その前に、
“期日までに完成できない事”と
“契約締結時とは異なる『不要だった政府保証を付与せよ』と言って来た事”を
理由にして、現時点で、高速鉄道建設工事を受注している中共(シナ共産)との契約を、
インドネシア政府とジョコ大統領自身の決断で、彼ら自身が率先して契約破棄してこない限り、ハナシを聞いてはいけない!
まあ、日本が独自でやっている件は、引き続き、粛々と励行いいけど!
・ジャカルタ都市圏と周辺域の在来鉄道の新設と改良・改造の案件…とか…
・また、電力・エネルギー、上下水道・情報通信インフラの件でも…
追:無論、日本企業・政府のみで、短期的には実行部隊を組み、中長期的には、現地のインドネシア国民を雇えばよろしい。徐々に移行して行くカンジで…。
Ex:○電力/エネルギーなら、
地熱(フラッシュ/バイナリーサイクル)・水力(上下水道/治水・利水も)・海洋温度差、
火力(石炭:(A-)USC/IGCC発電、LNG/天然ガス:GTCC発電)
そういうのをやっていけばいい!
イチオ、『インドネシア「赤い糸」理論のナンセンス』で書いた事じゃけど…。
言われてみれば中国との契約破棄してもらわないと日本何もできないですね、盲点でした。
ただ面子に拘る中国の事だからこの辺で突けばやらざる得ないかもしれませんねww
世の中「金と女」でコロコロ態度変える輩は、インドネシアに限った事では無いでしょう。
悲しい事ですが日本人以外は、性善説を変更して付き合う必要が有ります。
経産省は国内企業の持つ技術の流失を防ぐ為、今後5年間掛け全ての輸出製品に模倣、解析防止策を備え付ける様企業に義務づけるそうです、又カーリング娘がモグモグタイムで食してたイチゴの苗は、日本から盗まれた物です。
お人好しの日本人のままでは、他国に食い潰されてしまうとと言う事でしょう。
相手が変わるのを待つのは、時間の無駄でしか無いと思います
ウーン!
酒と金と女ね!
忍者の三禁のことね!
これも、古今東西。大昔から変わらないなあ!
残念ながら、こういったので、コケル様な奴は、決して心許しべきでないし、信用してはならんってことじゃな!
ワシらじゃて、他国に食いつぶされる為に存在するんじゃない!
自分達の住んで居おる地域・国をよりよくする為に存在するんだ!
裏切り者には死を。それしかない。六身眷族、ことごくく死を。
政治的な意味ですけど。
なぜ、罵られたインドネシアがふざけた日本の漫画家などに態度をあらためなければならないのでしょうか?
だいたい日本の厚意とやらも、インドネシアにとって不都合であれば、押し付けに過ぎないのでは?
そもそも日本がそんなに清廉潔白な国だったのでしょうか?