日韓関係悪化と日中関係好転はセットで議論すべし!
本日から「仕事始め」です。『今年も日韓関係は年初から波乱含み』でも予報しましたが、本日以降、日本政府の報道発表には要注意の展開が続くことになりそうです。そして、日韓関係の悪化と日中関係の好転は、実はセットで議論すべきなのです。
目次
日韓の断絶はさらに深まる
本日以降の注目点:日本政府は「慰安婦TF」にどう対処する?
多くの企業や官庁は、本日からが仕事始めです。
私の会社の場合も、クライアント先の多くが金融機関かそれに類する企業であるため、顧客先に合わせて本日から本格稼働するつもりです。
ただ、それと同時に私は別に誰かに雇われているという身分でもありません。その気になれば、24時間・365日、仕事をすることもできます。実際、最近は子供が寝静まった時間帯に書き物をしているので、そのついでに、ウェブサイトも更新しているという状況です。
ところで、正月の2日に『今年も日韓関係は年初から波乱含み』という記事を執筆しましたが、これについては、どうしても仕事始めの前に更新しておきたかったという事情があります。
その理由は簡単です。それは、日本政府が本日以降、韓国に対する何らかのアクションを発表する可能性があるからです。
韓国政府は昨年、「慰安婦合意の検証に関するタスクフォース(慰安婦合意TF)」を立ち上げ、12月27日にその内容を発表しました。そして、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領は年末に自身のツイッター(※韓国語)で、「道を出すことができない」(つまり、2015年12月の「日韓慰安婦合意」では慰安婦問題を解決することができない)と明言しました。
これは、考え様によっては、韓国政府が「慰安婦合意(というゴールポスト)を動かすつもりだ」という意思表示とも受け取れます。
日本にとっての外交カードは山ほどある!
では、仮に韓国が「ゴールポストを動かした」場合、これに対してわが国の政府はどのような対応を取るのでしょうか?いや、正しくいえば、「どのような対応を取ることができる」のでしょうか?
これについては一昨日の記事の中でも申し上げたとおり、日本政府にとっての外交カードは、実にたくさんあります(図表)。
図表 日本が韓国に対して保持する外交カードの例
区分 | 種類 | 概要 |
---|---|---|
平昌(へいしょう)五輪関係 | 安倍総理が平昌五輪を機に訪韓するかどうか | 韓国政府はメンツにかけて、平昌五輪を成功させようとしており、安倍総理の訪韓も文在寅韓国大統領が直接要請している |
日本がそもそも平昌五輪に参加するかどうか | 米国が平昌五輪への不参加を示唆しているなか、日本も不参加を表明するかどうかが韓国に対する外交カードとなり得る | |
日韓の往来 | 駐韓大使らの一時帰国措置 | 昨年に続き、長嶺安政・駐韓特命全権大使を一時帰国させる措置 |
韓国人に対する訪日ビザ | 現在、韓国国民が観光目的で日本を訪れる際、90日以内であればビザは免除されているが、この際の滞在可能日数を減らすなどの措置 | |
日本国民に対する渡航延期勧告等 | 外務省の「海外安全情報」を通じて、日本国民に対し、韓国全土に「渡航延期勧告」を発動するなどの措置 | |
その他 | 日韓通貨スワップ協定の交渉再開 | 韓国が慰安婦合意を順守する意向を示せば、日韓スワップ協定再開の交渉に応じることをチラつかせるなどの措置 |
これだけ沢山の外交カードが「できてしまった」原因は、ひとえに韓国政府の数多くの「自爆」(?)によるところが大きいです。というのも、韓国政府はどうも慰安婦合意を撤回したあとの「落としどころ」について、全く考えていないように見受けられるからです。
そもそも文在寅氏が大統領選に出馬していた時点の政権公約で、慰安婦合意についてはそもそも「全面的に無効である」と言明していました ((もっとも、昨年5月の大統領選では、ほかの大統領候補者も、安哲秀(あん・てつしゅう)候補の「慰安婦合意は破棄する」、安熙正(あん・きせい)候補の「慰安婦合意は全面的に再検討する」、李在明(り・ざいめい)候補の「慰安婦合意は存在しない」など、主だった候補者はほぼ全員、慰安婦合意に何らかの変更を加えるつもりだったようです。)) 。
しかし、慰安婦合意に対し、再交渉や無効などを主張した瞬間、日本政府は山ほど存在する外交カードをチラつかせ、韓国を脅すことになるでしょう。
一昨日の記事の中でも申し上げたとおり、今この瞬間で見る限り、日本外交の正しい姿とは、「慰安婦合意のゴールは1ミリたりとも動かない」という姿勢を堅持し、韓国政府に対してひたすら「慰安婦合意を誠実かつ着実に履行しろ」と言い続け、必要に応じて潤沢にある外交カードを1枚ずつ切っていくだけで良いのです。
日本が対韓制裁を発動するのは尚早?
それでは、今週5日(金)か来週8日(月)あたりに、日本政府は何らかの「対抗措置」を発動するのでしょうか?
これについて参考になるのは、ちょうど1年前の日本政府の対応です。
2017年1月6日(金)、日本政府は突如として、駐韓大使の一時帰国措置や日韓通貨スワップ協定の再開交渉の中断などの措置を決め、韓国側に通告しました。これは、2016年12月末頃、釜山の日本総領事館前の公道上に慰安婦像が設置され、釜山市東区庁当局がこの設置を恒久化することを許可したことに対する措置です。
時系列で眺めると、「市民団体」の手によって最初に慰安婦像が設置されたのは、「慰安婦合意」からちょうど1年目にあたる12月28日のことでしたが、この時には釜山市東区庁が直ちにこれを撤去しました。
しかし、「市民団体」や全国の韓国国民からの抗議を受け、30日頃までに同庁はこの慰安婦像を返還することを決定。その後、返還された慰安婦像が再び日本総領事館前に設置され、固定されました。
この時点で日本政府がすぐに対抗措置を取らなかった理由は、おそらく、すでに年末年始休暇に入っていたからでしょう。
しかし、1月4日(水)に休暇から明けてから、わずか2日後に、これらの措置が発動されたのです。
ということは、おそらく安倍総理、菅官房長官ら官邸の中枢部が冬休み期間中に対策を練っておき、外務省が開庁した瞬間、外務省幹部らを呼んでこれを伝達した、というのが実情に近いのではないでしょうか?
昨年の対抗措置は慰安婦像が実際に設置されてから1週間も徒過したかに見えますが、以上の事情を考えれば、実際には正月休暇を挟んで、官邸がとても迅速に動いた結果だ、という見方もできるでしょう。
ちなみに私はこの釜山慰安婦像設置問題について、当ウェブサイトでほぼリアルタイムに感想を述べていますが、この時点では官邸がここまで強硬な対抗措置に踏み切るとは考えていませんでした。そして、この対抗措置の発動を受けて、良い意味で安倍政権のことを少しだけ見直したのです。
では、今年も官邸は、大使の一時帰国措置など、何らかの対抗措置を取るのでしょうか?
これについて、現段階では、韓国政府が昨年27日に「慰安婦合意TF」を発表し、大統領らが談話を発表しただけである、という状況にあり、具体的に「ゴールポストを動かす」という動きは見せていません。
このことから考えると、昨年のような対抗措置が、今週や来週、発動される可能性は、それほど高くないと見ています。
ただし、これらの外交カードについては、「いつでも切れるぞ」、という姿を韓国に見せつけておくのは良いことでしょう。そして、いずれもぎりぎりまで温存しておくべきです。
そして、「制裁措置」は発動されなくても、今後の日韓関係の在り方を示唆する何らかの報道発表が出てくる可能性はあります。その意味でも、これからしばらくの首相官邸の報道発表からは目が離せないのです。
今年は日中急接近の年
なぜ日本は韓国を重視せざるを得なかったのか?
ところで、日韓慰安婦合意については、インターネットの掲示板などを中心に、
「どうせすぐ韓国側が慰安婦合意を破棄するに違いない」
「韓国のことだから慰安婦合意で『おかわり』を求めてくるのではないか?」
といった、ある種の達観めいた意見が、多数、存在しています。そして、
「日本はここまで韓国にコケにされて、それでも韓国と付き合うのか?」
といった、ある種の「日韓断交論」まで飛び出す始末です。
もちろん、日韓は隣国同士であり、お互いの貿易高・投資高、お互いの人的往来の多さなどを考えると、「腹が立つから日韓断交すべし」、などと短絡的に主張するのは、あまりにも無責任です。
ただ、各種世論調査などで見ても、日本国民のレベルで、韓国に対して親近感を持つ人は決して多数派ではありませんし、また、『【再】日本人ビジネスマンの8割「韓国不要」ほか』でも触れたとおり、日本人ビジネスマンの8割近くが「韓国は(日本にとって)必要な国ではない」と答えた、とする調査もあります。
ということは、日本政府が韓国に配慮する外交をすればするほど、少なくない日本国民がそれに嫌悪感を抱いていることは間違いありません。
そして、比較的保守層の支持が厚いと見られる安倍政権であれば、なおさらそうでしょう。
実際、2015年7月の「明治期の産業革命関連施設の世界遺産登録」を韓国が猛烈に妨害してきたときも、2015年12月の「日韓慰安婦合意」のときにも、安倍政権に嫌悪感を抱いた国民は多かったのではないでしょうか?
もちろん、現実の政治は、一部の右翼団体の論客が唱える「日韓断交」が実現するほど簡単なものではありませんが、それにしても安倍政権の対韓外交には粗が目立ちます。
ではなぜ、安倍政権はここまで韓国に配慮して来たのでしょうか?
その最大の理由は、現在の日本には、2ヵ国も3ヵ国も敵に回しているほどの余裕はないからです。
近年、中国は領土的野心を剥き出しにしていて、放っておけば尖閣諸島も南シナ海も中国に制圧されかねません。
また、北朝鮮は国際的な経済制裁を喰らいながらも、核・大量破壊兵器の開発を粛々と進めており、放っておけば日本と世界の深刻な脅威に繋がることは間違いありません。
あくまでも私の理解ですが、安倍政権は成立以来、日本に対する最大の軍事的脅威を取り除くべく、奮迅してきました。つまり、中国と北朝鮮の封じ込めです。
こうした状況にあって、韓国まで敵に回す余裕がなかったことは、しっかりと理解しておく必要があるでしょう。
一帯一路めぐる年末の日経報道の真否
さて、今後の日韓関係を考えるうえでは、この報道について無視するわけにはいきません。
一帯一路 中国に協力 政府、支援は個別判断(2017/12/31付 日本経済新聞朝刊より)
日経の報道によると、日本政府は中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が提唱する「一帯一路」構想に参加する日本の民間企業を、是々非々で支援する方針を固めた、としています。
この報道自体、正確なものなのか、現時点では判断できません。日経もたいがい、「飛ばし記事」が多いメディアだからです ((日経は2008年には「時価会計が凍結される」という誤報をしでかしたこともあります)) 。
ただ、今回の日経が報じた「政府のあらたな指針」とやらの内容自体は、別に不自然なものではありません。私の文責で要約すると、
「環境・省エネ分野、第三国の産業高度化、物流の各分野において、中国企業と共同事業をてがける日本企業に対し、透明性や採算性、借入国の財政の健全性、軍事転用のリスクなどを審査したうえで、国際協力銀行(JBIC)などを通じて支援する」
というものです。
「相手国のためになり採算性のある透明性の高い融資に協力する」という方針は、日本政府の以前からの方針と比べてまったく逸脱しておらず、何ら新しい話ではありません。
逆に言えば、この話は、軍事転用可能なプロジェクトや相手国の過剰債務負担となりかねないプロジェクトには、日本政府としては一切協力しない、ということでもあります。
これは安倍総理を筆頭とする日本政府関係者が以前から主張していた内容と全く同じであり、別に日本政府の方針転換でも何でもありません。
(※余談ですが、リンク先の日経記事には、「トランプ氏が中国と28兆円の商談をまとめた」という下りを含め、細かいツッコミどころがいくつもありますが、それについて触れても意味はないので、本日はあえてスルーします。)
また、この日経報道が正しいという前提で議論をするとしても、安倍政権がこのようなスタンスを取ることは何も間違っていません。以前も『一帯一路構想には「是々非々」が正解』でも述べたとおり、一帯一路構想だろうが、アジアインフラ投資銀行(AIIB)だろうが、日本としては適度な距離を保ちつつ、是々非々でお付き合いするのが国益に最も資するからです。
中国が日本を重視するわけ
さて、先ほどの日経報道の真偽はともかくとして、日中関係が近年、急速に改善していることは間違いありません。
これについては先日も申し上げたとおり、むしろ「日中関係改善メッセージ」は中国の方から発せられていると見るべきです。
昨年11月、ベトナム・ダナンで開かれたG20会合で、安倍総理・習主席の両者が会談。日中関係の改善などで合意しています。
これを受けて、今年はまず、1月に河野太郎外相が訪中を予定しており、次いで4月頃の「日中韓3ヵ国首脳会談」で中国の李克強(り・こっきょう)首相が来日する可能性があります(ただし、これについては調整中とのことです)。
さらに、今年後半には日中平和友好条約40周年にあわせて安倍総理自身が訪中し、来年は日本で開かれるG20会合にあわせて習主席が来日する、という計画も報じられています。
要するに、日中関係の改善は非常にはっきりしてきているのです。
この中国による方針転換の背景にあるのは、「安倍政権が予想外に強かったこと」、です。
もちろん、安倍政権が順風満帆だったわけではなく、さまざまな危機が訪れましたが、安倍政権は実力や幸運により、それらの危機を次々と乗り越えてきました。
安倍政権の最大の危機は、政権が成立して1年目となる2013年12月26日、安倍総理が靖国神社に参拝したときに訪れました。このとき、中国と韓国は、それこそ「鬼の首を取った」ように、安倍政権と日本を批判しました。
ところで、日本国内にいると分かり辛いのですが、この時には、米国、ロシア、欧州連合(EU)、台湾も、日本のことを批判しました。英国のメディア「フィナンシャル・タイムス(FT)」ですら、靖国神社を「Yasukuni WWII Shrine(靖国第二次大戦神社)」と表現したほどです。
しかし、このときには2014年3月に、ロシアがウクライナ領だったクリミア半島とセヴァストポリ市を併合したことで、世界中の批判の目が日本から逸れてロシアに向かい、ロシアはG8から追放されるという結果になりました。
また、特定秘密保護法、安保法制など、極左反日活動家が嫌う法律を次々と成立させたことで、安倍政権には国内で多くの敵が出ました。しかし、2012年12月から通算して5回の大型国政選挙を完勝した安倍政権は、いまや歴代最長政権に大手をかけている状況です。
中国が日本との対話路線に転じた理由も、安倍政権が史上最強の政権となりつつあることに加え、日米同盟もゆるぎないものとなっているからだと見るべきでしょう。
日中は「戦略的互恵関係」が正解
もちろん、日本にとって中国は、無条件で信頼すべき相手ではありません。
近代民主主義国家である日本と、時代遅れの共産主義と前近代的な人治主義がないまぜになった中国とは、現時点では相容れない存在です。日中両国が「価値を共有する隣国」となるためには、日本が近代民主主義を捨てるか、中国が共産主義を放棄して前近代的な人治主義から脱却するか、そのいずれかが必要です。
ただ、日中が仲良くする方法は、ないではありません。
それが、「戦略的互恵関係」です。
外務省のウェブサイトによれば、この「戦略的互恵関係」とは、「絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、互恵協力を拡大しつつ、日中関係を世界の潮流に沿って方向付け、アジア太平洋及び世界の良き未来を共に創り上げていく」関係であり、「互いに協力のパートナーであり、互いに脅威にならないこと」ことを柱に据えた関係です。
要するに、「価値観は相容れないけれども、協力できるところは協力しつつ、軍事的衝突は避けましょうね」、という関係だと考えるとわかりやすいでしょう。
そして、先ほどの「一帯一路を巡る中国への是々非々での協力」も、この「戦略的互恵関係」の柱の1つです。
では、もう1つの柱とは、何でしょうか?
それは、「軍事衝突を回避するメカニズム」です。
具体的には、喫緊の課題は東シナ海での軍事衝突の回避ですが、中・長期的には、日本がしっかりとした自衛力を持つことによって、中国が決して日本領に手を出そうとは考えないような状況が生じることが必要です。
ついでに申し上げれば、中国は日本に対して、今後も水面下で「歴史闘争」を仕掛けて来るでしょう。これを止めさせるためにも、日本政府は今すぐ天安門事件やチベット・ウイグルでの民族浄化などに関するカウンター・プロパガンダを開始すべきです(詳しくは『カウンター・プロパガンダは「今すぐ」始めよ!』をご参照ください)。
つまり、日中関係は、ときとしてテーブルの下で足を蹴り飛ばして牽制しながらも、テーブルの上では作り笑いをしながら握手をするという関係に持っていく必要があるのです。
日中関係と日韓関係はセット
日中接近は韓国軽視の証拠
では、どうして日中関係の議論が日韓関係と関係するのでしょうか?
それは、日中間の関係が改善すれば、日本にとって韓国と無理に仲良くし続ける理由はなくなるからです。
もちろん、日中関係の改善が進んだとしても、「中国は本質的に信頼できない国である」という警戒心は必要ですし、「日中友好が戻ったから日本は韓国と断交しても良い」という単純なものでもありません。
それでも、日中関係が雪解けし、改善してくれば、日本としては、中国への牽制を目的とした日韓友好を推し進める必要が薄れて来ます。
いや、むしろ昨年を通じて、韓国の中国への属国化は、ずいぶんと進行してしまいました。韓国は以前(たとえば、5年前の朴槿恵=ぼく・きんけい=政権が発足する直前など)と比べて、中国への従属度合いを深めていることは間違いありません。
中国が表面上、日本と仲良くしつつも、「子分」である韓国をけしかけて、国際社会において日本の足を掬おうと、さまざまな歴史戦を仕掛けてくる可能性だってあります。
つまり、日韓関係は日中関係の独立変数ではなく、従属変数になったと見るべきでしょう。
その意味で、もはや日韓関係だけを単独で論じても、まったく意味はないのです。
ムカデ競争から韓国を外すときだ!
それだけではありません。
韓国が中国の言うことを聞く「属国状態」となりつつあることは、日本の安全保障にとっても脅威に転じつつあります。
とくに問題が多い考え方は、「日米韓3ヵ国連携」です。なぜなら、仮想敵国を攻略するに際して、「いちばん弱いところ」を攻めるのは、古今東西、外交の鉄則だからです。
日米韓3ヵ国から見た「仮想敵国」とは、短期的には北朝鮮ですが、中・長期的には、中国やロシアが加わってきます。そして、「日米韓3ヵ国連携」という体制を前提としていた時に、いちばん弱い韓国が中国や北朝鮮に籠絡されてしまえば、肝心なときに「日米韓3ヵ国連携」がつまづくことになりかねません。
小学校の運動会でやった「ムカデ競争」を思い出してみてください。「3人1組になって、足を同時に動かさないと前に進めない」という競技です。誰か1人でも、足並みが乱れてしまえば、3人同時に転んでしまいます。
今の「日米韓3ヵ国連携」とは、まさにこの「ムカデ競争」みたいなものです。
いちばん前に米国、真ん中に日本、いちばん後ろに韓国と並んで、「せーの!」で走り出したときに、韓国の足並みが乱れたら、米国や日本も巻き添えを喰らって転んでしまいます。
したがって、日本と米国は、「日米韓3ヵ国連携」という考え方から、そろそろ脱却する必要があるのです。
平昌五輪が最初の試金石?
この「日米韓3ヵ国連携」の乱れは、平昌冬季五輪で今年最初のピークを迎えるでしょう。
というのも、韓国は国家的威信を賭けて、平昌五輪を成功させようとするからであり、その分、日米両国と衝突する可能性も高まります。
米軍による北朝鮮攻撃があるのかないのか、また、あるとしたらいつになるのかは、現段階では予想がつきません。事前の報道だと、米国は平昌に不参加を表明するのではないか、といった観測も出ているようですし、平昌五輪の時期にわざとぶつけて北朝鮮攻撃をする、と予想する評論家もいます(※ただし、本当に米国が平昌五輪に参加しないとは限りませんが…)。
こうした状況に対し、北朝鮮は平昌への参加をチラつかせて、韓国政府を揺さぶってくることは間違いないでしょう(実際に金正恩は年初のあいさつで、さっそく平昌五輪に言及したそうです)。
また、現段階で米国が北朝鮮攻撃に踏み切るとした場合、在韓米軍を軍事作戦に使うことは難しいという事情もあります。というのも、文在寅氏は習近平氏に対し、昨年の訪中時に「朝鮮半島での戦争は絶対に容認しない」と、(米国の許可なく勝手に)約束してきてしまったからです。
したがって、米国が北朝鮮に対する軍事作戦を遂行したとしても、中途半端な破壊に終わる可能性が高く(『「北朝鮮攻撃」で問題は解決しない』参照)、朝鮮半島が不安定な状況は、まだまだ当分続くと考えて良さそうです。
安倍政権と米トランプ政権は、韓国が中国の属国になりつつあると判断したたうえで、早ければ今年中にも、「日米韓3ヵ国」の枠組みの変更を決断するのではないか――。
私は、その可能性を見極めるうえで、年初の官邸の動きには注目したいと思います。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
< 毎日の更新ありがとうございます。
< やはりというか、 織り込み済みですが、韓国は慰安婦合意破棄を正式に言いますね。五輪のあと辺り。康外交部長官は「慰安婦合意の破棄はできる」と年明けに言っている。さて、その勢いの良さ、先月の河野外務大臣との会談ではどうだったんでしょうか?散々論破され、返す言葉もないほど。
< また「オプションはいろいろある」と康長官は言ってますが、オプションってナニ(笑)?履行すれば国内の愚民によるローソク、無視すれば日本から対抗措置を取られる。大使領事召還、五輪不参加(安倍首相、選手団)、訪日韓国人のビザ免除プログラム滞在日数の短縮、あるいは中断。訪韓予定日本人に安全情報提供または出国停止指示、在韓邦人の帰国支援(連合国で)、スワップ無し。韓国側に何の手の内、オプションなどあるはずがない。多分考えてもいない。
< 非公開の部分もたった2年で破った蛮国、これはあまり日本も問題提議していませんが、もっと言うべきです。さらに長官たるもの、そんな簡単に「破棄」と言ってはいけない。重い重い言葉です。本当にドシロートですね。この分じゃますます日韓関係はギクシャクする。日本からしたら、修復不可能じゃないですか。ここまで反日し、侮日しながら立ち位置分からん国は、もうほっとくしかないですね。
< 半面、中国が日本ににじり寄っているのが分かります。彼奴らは朝鮮人よりもっと深慮遠謀、いくさにはからきし弱いが、奸智に長けています。新宿会計士様言われる通り、1年に1回首相が変わっているようでは大国には舐められる。私も安倍首相の前は誰か即答出来ない。どぜう野田?有名な菅自称教授、ルーピー鳩山、ギャングスタイル麻生、郵政小泉、その前は誰だっけ(考えれば佐藤氏、中曽根氏は長かったな)。安倍首相が特に2回目の登場後、予想外に強かったということ。特に外交ですね。中国が米韓の離間工作するなら、日本は中国と表面上は握手外交し、韓国を躾けて貰うのがいい。いずれにしても、中国は共産党政権である以上(でなくても)信ずるに値する国ではない。いつかは日本は、中国とぶつかるでしょう。(その前に少数派民族が独立蜂起してバラけるのがいいんだけど)。
< 失礼いたしました。
慰安婦系勢力って中国人や北朝鮮人の工作員なんじゃないでしょうか?日本の気狂い系左翼等の勢力も中国人とか北朝鮮人なんじゃないでしょうか?